ネコブセンチュウ 土壌線虫
ネコブセンチュウの被害は、太根及び細根に多数の小さな「虫こぶ」ができる。
被害の株は、地上部の生育が悪くなり、樹高は低くて花たちも少なくなる。
虫こぶを切断して拡大鏡で調べると、内部にケシ粒大の白ないし半透明の丸い虫が見つかり、また土壌検査をすると多数の幼虫や線形の雄が見つかる。
根の虫こぶ内の球形のものは雌である。
一生を土壌中ですごし、根に寄生して養分を吸収する。
成虫は卵を土中に産み、やがて孵化した幼虫は根の先端付近から根に侵入して、寄生生活を始める。
やがて雌は成熟すると体は球形、または洋梨形に膨らんで肉眼でも確認出る様なコブとなる。
春から秋まで繁殖を続けて多くの場合は卵で越冬する。
地温が18℃前後に達すると孵化して根に侵入する。
このセンチュウの好適生活条件下では、25〜30日で1世代を完了し、年間、数世代を営む。
雌は500〜600の卵を産み、卵はゼリー状の分泌物で包まれて尾端についている。
センチュウ自体の移動力はほとんどないが、苗木の流通や移動によって各地に運ばれ、新地植栽によって定住して繁殖を繰り返す。
よって、苗木での寄生に注意し、徹底的な防除を行う必要がある。
「センチュウの寄生による根のコブ」
◉防除法
実生の台木はセンチュウのいない圃場で育成する。
栽培畑(圃場=ほじょう)の土壌消毒はクロルピクリンやドロクロール、アドバンテージ、D-D油剤、ディトラペックス、バスアミドなどの土壌くん蒸剤(殺線虫剤)を使用する。
掘り上げた苗木は46℃で60分、48℃で30分、または50℃で10分の温湯処理によって防除する。
米ぬかを土に混ぜる
同じ科の野菜を近くに植えない
他の畑で使った土や道具を持ち込まない
対抗植物を植える
マメ科のクロタラリア、コブトリソウ
イネ科のギニアグラス、ソルゴー
キク科のマリーゴールド
✻寄生する主な樹種
モモ、ヤナギ、アカシヤ、アセロラ、クレマチス、サザンカ
ツバキ、バラ、サクラ、ウメ、ナンテン、他
酸性土壌環境下において、防除剤を処理してから2時間後には半数程度のネコブセンチュウが不動化状態になり、ある程度の防除効果は得られているが、アルカリ性の土壌下状態においては不動化率が低く、ネコブセンチュウが植物の根に寄生する可能性が高い。
アワユキセンダングサの抽出物と、木酢液とテルミナリア·チェブラ果実の抽出物を、有効成分とする防除剤を用いることによって、あらゆるpHを有する土壌環境においても、更に迅速にネコブセンチュウを防除可能であるとしている。
アワユキセンダングサの煮沸抽出で、センチュウの不動化がある。
植物体を乾燥させた状態では18ヶ月、抽出液では12ヶ月間の高い抗線虫活性を維持できる事が明らかになっている。
テルミナリア·チェブラの果実の抽出物を有効成分とする。
✫主な線虫防除剤
ネマトリンエース粒剤、ビーラム粒剤
フォース粒剤、ラグビーMC粒剤
ネマキック粒剤、オルトラン粒剤、他