単細胞でも多様なバクテリア
バクテリアは、菌類(カビ)よりずっと小さい直径1000分の1㍉、長さ1000分の1〜3㍉の生物です。
ソーセージ形(桿菌=かんきん)や球状のものなど、形は色々あります。
また、らせん状の形をしたバクテリアの「スピロヘータ」は、梅毒や回帰熱などの病原体です。
スピロヘータは、ヒトの病原細菌としてよく知られ、今から約100年前、野口英世博士が梅毒トレポネーマをはじめとして、様々な病原性スピロヘータの研究を精力的に行ったことでも有名である。
スピロヘータは感染した動物の便に、汚染した手や食品を介して口から感染します。
このため、家族や室内で飼育しているペットから感染する可能性があり、感染すると何ヶ月も長く続く下痢を引き起こします。
バクテリアは単細胞生物で分裂によって増殖できるので、本質的には性行動は必要ありませんが、バクテリア同士が結合してDNAの組み換えを行います。
これは遺伝子を混ぜ合わせて、多様性を高めているのだと考えられます。
バクテリアは環境の変化に適応して、生き残るために工夫しているのです。
バクテリアによって起こる病気
①野菜類軟腐(なんぷ)病
ハクサイやキャベツの真ん中の部分が変色して、腐ったり嫌な臭いがしたり、他にも色々な野菜や果物が腐ります。
これは野菜類軟腐病菌というバクテリアによって起こる病気で、アイリスやシクラメン、ランや観葉植物などにも発生します。
バクテリアは『ペクチン質』を分解しながら増殖しますが、このときペクチナーゼという酵素を出します。
この酵素は、植物の葉などの細胞を溶かしてバラバラにして腐らせます。
ペクチン質は、ガラクツロン酸を主とする多糖の一種で、セルロース繊維などとともに植物の細胞壁を構成しています。
このバクテリアは土壌によって伝染します。
土の中で雑草の根の表面や、病気になった植物の体の一部などに付いて、新しい植物が植え付けられるのを待っています。
バクテリアは菌類と違い、自分で植物たちの表面に孔を開けることができないので、農作業や風雨、害虫の食害などによってできた傷口を探して侵入するので、この病気は害虫の多い畑で多発する。
②フジコブ病
マツコブ病はカビによって起きますが、フジやサクラのコブ病はバクテリアが病原となります。
若い茎や枝の傷から侵入して発病し、小枝が枯れて花の数も少なくなります。
枯れないものは樹とともに成長して、コブのくぼみが害虫の産卵場所になります。
また、虫こぶはクリやブドウ及び一部の植木などでは問題になる。
クリタマバチはクリの芽に産卵する。
ブドウネアブラムシはブドウの根に生息し、ともに虫こぶを形成する。
これらは難防除害虫であるが、その他の作物では虫こぶの形成はあまり問題とされない。
③根粒バクテリア
植物の生育にとって悪い影響を与えるものではないので、病気とは考えられませんが、本来の植物の生理を考えると病気と言えます。
植物病理学からみた病気とは、一定時間以上何らかの刺激を受け続けた結果として、植物が元々持っていた機能や形が正常でなくなった状態のことを言う。
何らかの刺激というのは、例えば微生物の感染などによる刺激を言います。
病気の原因となるものが植物の体内に侵入して、植物から栄養を取るようになることを感染といい、感染した植物の形に異常が起きたときに発病したと言います。
④その他、
立ち枯れ病の一部やコウヤク病もバクテリアによる病気です。
この病気の症状は、青枯れ病や萎凋(いちょう)病の症状と似ていて見分けにくい場合が多い。
いずれの場合でも病原体は、根の傷口から侵入します。
根を傷つける原因は、虫による傷口か、作業用スコップなどで傷をつけることなどが考えられます。
✪コウヤク病については関連ブログ
樹木の五大病気①コウヤク病
No,657に記載しています。