◉特別な土は必要ない
バラを育てるには、特にこの土でなければと言う事はありません。
日本で生産されたバラの苗は、ノイバラの台木に接ぎ木しています。
ノイバラは有史以前から全国各地に自生していて今尚、繁栄しているのですから色々な土質に適応する能力を備えていると考えられます。
60年程前、バラ栽培が普及し始めた頃荒木田土が良いと言われて客土したり赤土が良いと言われて天地返しをしたりしてバラを植えるのはかなり重労働だったようです。
しかし、実際にはこのような面倒な作業は必要なかったわけです。
★荒木田(あらきだつち)
粘土質が高い水田の土。
★客土(きゃくど)
他所からの土を加えること。
★天地返し
1㍍も掘り、上層の黒土と下層の赤土を入れ替えること。
◉土壌の性質を知る
土壌の物理性を表す固相、気相、液相と言う言葉があります。
固相(こそう)はその土壌が含む固体(真の土分)気相(きそう)は空気液相(えきそう)は水分の割合のこと、これらのバランスが良いと根はすくすくと伸びることができるのです。
また、水持ちがよく乾きにくいと言う保水性、水はけが良いとされる排水性、土壌粒子間の隙間が良いとされる通気性と言う言葉もあります。
これらの性質のバランスがとれたものが良い土と言うことになるのです。
◉土質
※土質を大別すると、火山灰が堆積してできた火山灰土。
※岩石が風化してできた砂質土
※雨によって河川に流れ込み氾濫して堆積した沖積土があります。
比較的新しい時期に堆積した沖積層で、層位の分化があまり進んでいない土壌のこと。
✪それぞれの特徴として
★火山灰土
代表的には関東ローム層、表土は黒土で深部は赤土
火山灰土は肥沃で通気性、排水性は良いが保水性に欠けます。
★砂質土(さしつど)
栄養分が乏しく、通気性と排水性は良いが保水性に欠けます。
★沖積土(ちゅうせきど)(粘土、荒木田)沖積土は肥沃で保水性は良いけれど、通気性と排水性に欠けます。
家の庭の土は有機物を施し、その欠点を補ってやればどの土質でもバラは元気に育ちます。
有機物はそれが持つ植物繊維によって、重い土の通気性をよくして空気を持たせ、排水性を改善します。
軽い土では逆に団粒化することによって保水性を高めます。
砂質土では、多すぎるすき間を埋めることによって保水性を高めます。
また、土中の微生物が繁殖しやすい環境に改善します。
◉土壌酸度(pH)
土壌酸度(pH)は7.0が中性で、これより数値が小さくなると酸性、大きくなるとアルカリ性となります。
日本の土壌は酸性に傾きやすいと言われています。
ホウレン草や豆類など酸性が苦手な作物については農家や家庭菜園では、1作ごとに酸性を中和する石灰を施すように指導されています。
ただしバラはpHでもかなり適応範囲が広いつまり鈍感と言う事で、それほど気を使う事はないようです。
土壌の緩衝能(かんしょうのう)と言う用語がありますが、これは土壌に酸、アルカリが添加されても土壌pH及び、土壌溶液のpH変化は酸、アルカリの添加量から予想されるよりも、はるかに小さい事が多い。
このpH変化に抗する作用を土壌の緩衝能と呼ぶ。
土壌が遊離炭酸塩を含むなら、添加された酸はその溶解によって完全に消費されるので、土壌pHはほとんど不変である。
これは肥料などにより土壌の性質が急激に変化して植物に害となることを防ぐ能力を表し、緩衝能の低い砂地に有機物などを施してやれば、緩衝能を高めることができる。
有機物を適度に施すことによってバラは、どんな土質でも適応できるので、他の草花や野菜、樹木が育つ所なら十分バラも育ちます。
有機物を使えば土質を改良できる。
✿有機物は土壌を改良するもの
有機物とは肥料分をあまり含まず、主として土壌の物理性を改善する資材で、植物繊維の豊富なものを指します。
腐葉土、堆肥、ピートモス、牛ふんなどです。
これに対し肥料は、植物に栄養を与えるためのものです。
家畜の排泄物は肥料として扱われる事が多いですが牛ふんだけは例外的に有機物となります。
有機物は土壌の物理性、微生物性の改善だけでなく発酵分解の過程で、土中のバクテリアを増殖されると共に、腐植酸と言う物質を生成し、根の生育を促進します。
すなわち、有機物はゆっくり分解して土に戻るので毎年補給する必要があります。
ただし、土壌改良材でもパーライト、バーミキュライトなどの鉱物性のものは分解しないので、腐植酸を生成しません。
また、有機物は土の容積に対して与えるものなので容量(L、㍑)で表されます。
◉有機物の施し方
有機物は冬のバラが休眠している時期に元肥と一緒に与えます。
株の周りに撒いてスコップなどで、上下を反転するように土の中に埋めるように混ぜ込みます。
バラは休眠しているので、深く掘り返して根を切ってしまっても大丈夫です。
施す分量は、普通の庭植えの株の場合は、有機物を約5㍑程与えます。
分解の早い牛ふんとピートモスを組み合わせてそれぞれ等しい量を、2.5㍑位ずつ与えればよいでしょう。
有機物の施肥量は神経質になる必要はありません。
その他の腐葉土や堆肥を使う場合も、使用量はこれに準じます。
新規に植え付ける場合は、分量を増やす必要があり合計で10㍑与えればよいでしょう。
◉牛ふんの使用量制限
草食獣の排泄物なので、肥料要素含量は低く植物繊維に富むため有機として扱います。
含量が低いと言っても肥料要素も含まれているので大量に与えると、肥料を与え過ぎた場合と同じ問題が起きます。
バラは肥料を与え過ぎた土壌では
うまく育ちません。
使用量が多すぎると好ましくない成分も蓄積するのです。
※牛の飼料に含まれる塩分などが蓄積する。
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