熱帯雨林の土壌と植物
ブラジルの土壌は、『ラテライト』と呼ばれる粘土質の鉄やアルミニウムが多く残留している赤色の土壌で、日本語では紅土(こうど)という。
『ラテライト』とは、地表の風化物として生成された「膠結(こうけつ)物質」である。
軟らかい未団結の堆積物で、その沈殿物を膠結物質という。
また、セメントを膠結物ともいう。
ラトソルやラトゾルとも呼ぶ。
脱水すると吸湿しにくくなるなどの特徴を持っており、堆積物は団結して硬くなり石化する。
植物にとって肥沃な土壌とは言えません。
アマゾン熱帯雨林の肥沃な土壌での、熱帯の樹木は生長に従って「板根」という特殊な板状の根や、ガジュマルのような「支柱根」と言われる根を伸ばし、地上にその姿を現します。
◉板根(ばんこん)
熱帯雨林では多雨による土壌の流出により、土壌がほとんど存在しません。
そのため大木は、幹を安定されるために根を横方向に生長させ、板根を形成しています。
✿サキシマスオウノキ(先島蘇芳の木)
先島地方で、材からスオウのような赤色の染料を採ったのでこの名がある。
板根の高さは2㍍以上もあり、根元まで海水が押し寄せてくるような海辺に生え、樹高は10㍍程になる。
果実は堅い木質で軽く、海水に浮かんで分布を広げる。
❄支柱根(しちゅうこん)
大木になると枝から気根を垂らし、地面に着いた気根は支柱根となって木を支える。
◉ガジュマル(榕樹=ようじゅ)
枝から多数の気根を垂らすので独特の景観になる。
海岸の隆起珊瑚の上などに生えるが、海辺に自生する多くは、地面を這うように伸び、一見すると草のようである。
熱帯雨林では地力を失い、そこに生える牧草には栄養素がなく、このような牧草では牛が肥えることもできません。
同様に農地としても作物が育ちにくい。
地力を失った所では、施肥をしながら地力維持を続ける必要がありますが、経費もかかるので継続的な管理も難しい。
地力のある熱帯雨林の開拓、開墾を続けて広げて行くことは、放置される土地も増え、荒廃となり、やがては森林破壊へと繋がっていきます。
酸性土壌は、熱帯や亜熱帯地域を中心に広く分布し、世界の耕地面積の3〜4割を占める典型的な問題のある土壌である。
酸性土壌での主な作物阻害因子は、アルミニウムイオン毒性です。
アルミニウム(Al)は地殻中に酸素、ケイ素に次いで3番目に多い元素であり、土壌中に広大に存在しています。
アルミニウムは、中性土壌では土壌鉱物に安定に保持されるため無害ですが、酸性土壌PH5.5以下ではアルミニウムイオンとして溶け出し、微量でも植物の根の伸長を速やかに阻害します。
その結果、植物の養分や水分の吸収に影響し、乾燥ストレスなどにも弱くなり、作物生産性の低下を招くことになります。
酸性土壌は世界各地に広く分布していることから、酸性土壌における生産性の向上は今後、食糧不足問題を解決するための鍵とされています。
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