緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2018/11/11

キノコはなぜ樹に出るの? No,33

キノコは木の子?


木とキノコは友達?なぜキノコは樹に生えるのでしょうか。

キノコの役目は?
キノコは子実体(しじつたい)と呼ばれ、胞子を作り飛散させる機能を持った菌類の器官なのです。

つまり、キノコ菌類であり正確には、糸状菌(カビ)の菌体の1器官の名称に過ぎません。

サクラなどの樹幹の根際に塊となって群生し、根や幹を枯らすことからベッコウタケ病と呼ばれる。


キノコが樹を腐らせる訳
キノコが生えてる樹は、多くの場合幹の内部が腐っています。

どうやってキノコは樹の材を腐らせているのでしょうか。

この謎を解く鍵は、木材を形成している成分にあります。

*木材にはセルロース50%ヘミセルロースが20~30%リグニンが20~30%の割合で含まれています。

*セルロースはデンプンと同様にブドウ糖が鎖状につながってできています。

身近なものでは、紙の主成分がセルロースで、これは人間が食べても消化することができません。

つまり、セルロースの長鎖を切断してブドウ糖に分解できないからです。

ところが、キノコの菌は、特殊な機能や分解酵素を持っていて、他の生物がほとんど分解できないセルロース、リグニンなどを簡単に分解してしまいます。

菌はセルロースをセルロースを糖に分解し、栄養源として使っているのです。

このため、リグニンやセルロースを分解された材は、軟腐状になりぼろぼろになります。

菌にとっては樹木は、生育空間、温度、酸素、水分、栄養の供給源となります。

菌は、セルロースなどの分解機能を獲得して、樹木に対して優位で安定した生態的機能を持つことになったのです。


                            「コフキタケ」

一年を通して、木の幹の地際から枝にかけて発生し木を腐らせる。


キノコは自然の掃除屋さん

一見これは樹にとって厄介なことですが、生態系にとっては重要で、キノコは死んだ樹を含む植物の掃除屋です。

*もしこの掃除屋がいなかったら、地球上は死んだ植物の残骸で埋もれてしまうかも知れません。


*菌により植物が分解されてできた、無機物が地中に染み込みこれが、別の植物の栄養源になり、また植物が成長するという生態系が出来上がっているのです。
自然はとても上手く出来ているのです。

◉セルロース=繊維素
◉リグニン=高等植物の木化に関与する高分子のフェノール性化合物であり、木質素とも呼ばれる。








2018/11/10

盆栽、杜松(トショウ) No,32


◉樹形

模様木、舎利幹 分類=ヒノキ科
トショウには、幹がほぼ直立する「おきあがりねず」と横に広がる「はいねず」があります。

「おきあがりねず」は静岡、三重の両県に多く、「はいねず」は全国の海岸沿いの地域に自生しています。


◉樹形

双幹、舎利幹
樹木はやや赤みを帯び、とげ状の葉が3枚づつ輪生します。

和名は「ネズ」暖地性で、関東地方以南の西日本に自生しています。

                       (ハイネズの幼苗)

◉管理場所

暖かい春から秋までのシーズンは日当たりと、風通しのよい場所で管理します。

比較的、寒さに弱いので冬は冷たい風が当たらない場所に置いて保護する。

〇水やり

水を好むので、通常は朝夕二回、夏は三回、樹芯の上から十分に与えるようにします。

特に、春から夏は夕方に葉水をたっぷり与えると、芽出しがよくなり、効果的です。

〇整姿のポイント

トショウの葉は細かく、新芽は5月~10月まで出ますが、伸びる長さは1㎝ほどです。

これらは、根元の部分を少し残して摘み取り、小枝が密集しすぎている部分を整理します。

◉施肥

3月から10月くらいまで、梅雨時を除いて毎月二回与えます。

他の植物と同様に、油粕などの有機肥料を施肥します。

〇植え替え

若木の場合は2年、成木の場合は3年から4年ごとの植え替えが目安です。

植え替えの時期は4月から6月、9月から10月のシーズンが適しています。いずれも、葉色が本来の濃い緑色になる季節です。

新芽がまだ伸びている時は、芽摘みを行ってから植え替えるようにしましょう。

〇病害虫対策

比較的丈夫な樹種で、病害虫の心配はありません。

冬に石灰硫黄合剤で消毒しておけば万全です。

◉盆栽の防寒対策

寒さに弱い樹種や、北陸、東北地方や山間部などの寒冷地では、冬の寒さから盆栽を保護する対策が必要になります。

日中以外は、室内で管理できれば理想的です。

そうでない場合は、鉢の上に小石などを並べて鉢土を覆うマルチングを施すと、霜が降りたり、凍結するのを防ぐことができます。

また、冬の間だけ鉢の部分を地中に埋めておく方法も同様の効果が期待できます。








2018/11/09

植物ホルモン(サイトカイニン) No,31

サイトカイニン

取り出した植物(トウモロコシ)


主に、植物の細胞分裂を促進するホルモン

*ジャガイモを切った切断面で細胞分裂が始まることから、切り口にできた何かの物質により、細胞分裂が引き起こされるのだろうと、考えられ発見されました。

サイトカイニンを与えてやると、頂芽と側芽の区別がなくなってしまい、両方で成長を始めます。

            「活力剤」


サイトカイニンには、頂芽優勢を解除する作用があります。

天狗巣病
桜の樹に多い病気ですが、この病気は何らかの作用によって、サイトカイニンが生産され頂芽優勢が解除されるため、起こると考えられています。

ポインセチア、バラ、グラジオラスなどを栽培するときに、サイトカイニンを側芽に散布しています。

こうすることで、多くの花を咲かせることに役立たせています。









植物ホルモン(ジベレリン)No,30

植物ホルモン(ジベレリン)


ジベレリンを取り出した植物(ベニバナインゲン)

主に成長を促進するホルモン、日本人によって発見された。


*オーキシンの作用を増大させるはたらき。

*オーキシンが細胞を横方向に伸長させるのに対して、ジベレリンは細胞を縦方向に伸長させる。

植物をスリムに伸ばす。


成長促進作用の因子(原因となる要素)には、オーキシンの他にももうひとつあります。

この因子となる微量の物質をジベレリン供給する働きを持っている。

このため効果が増大する。

果実の改良といえばジベレリンが代表です。 

果実を大きくする。

果実の付く数を増やす、成熟を早める。

ジベレリンの作用として、実がなる時種を作らないで果実の成長を促す作用があります。

ジベレリンの作用によって、ブドウのデラウエア種などで種無しブドウが作られています。




ジベレリンの利用例

  1. ジベレリンの使用目的
  2. 着果数の増加=イチゴ、ナス、カキ、ネーブル
  3. 果実の増大=キュウリ、ブドウ(デラウエア、マスカット)
  4. 成熟期を早める=イチゴ、日本ナシ、ブドウ(デラウエア、マスカット)
  5. 種無しの果実を作る=ブドウ(デラウエア、巨峰)
  6. 茎の伸長促進=サツキ、夏菊、ミヤコワスレ
  7. 開花の促進=シクラメン、チューリップ
  8. 開花の抑制=サツキ
  9. 休眠打破=テッポウウリ

*ジベレリンの合成阻害剤
成長抑制剤

果実を収穫することを目的とする植物の場合、背丈を小さくした方が収穫や品質の管理に対して有利。

植物が上に伸びる。

栄養が側枝を伸ばし果実をつけることになります。


背が低い方が、なった実の位置が低いので注意して管理をする。

ユリ、キク、チューリップなどの草花も花茎の長さが短い方が、きれいなので同じように、成長抑制剤を用いて、花茎の長さを調整してます。






植物ホルモン(オーキシン)No,29

植物ホルモン(オーキシン)

オーキシンが取り出された植物
(オート麦)

オーキシンは植物のもつ屈性という性質が発見のきっかけとなりました。

植物は刺激を受けた部分と実際に屈曲する部分が違うことが分かりました。

すると、受けた刺激を伝える物質が必要です。

この物質がオーキシンなのです。

オーキシンは主に成長を促進するホルモンで農業や園芸にもよく用いられます。

①植物の伸長成長を促進します。

②植物の細胞壁を伸びやすくしている。

③植物の細胞壁はセルロースという繊維が束ねられた構造をしている。

このつながりは強固でなかなか離れません。

オーキシンにはこのつながりを弱め、繊維どうしを離れやすくする作用を持っている。

このため、細胞壁が伸び、細胞自体が大きくなり、植物は大きくなっていきます。

細胞を横方向に伸長させる。

植物を太らせる。

*オーキシンは高濃度では、エチレンを生成して成長を抑制する。

成長を促進する濃度は植物の種類によって違っています。

このことを利用してオーキシンは除草剤として用いられている。









2018/11/08

家庭果樹(10月~11月)No,28

家庭果樹の管理10~11月


収穫・貯蔵
秋は多くの果樹収穫のシーズンを迎えます。

10月から柿、温州みかんの早生種やりんご、栗、葡萄など。

*11月は、収穫の最盛期になり、良質の甘がき、キウイ、ブドウ、カリン、みかん類、フェィジョァなど。

フェイジョァの収穫は、熟して自然落下したものを食べると香り、味ともによいようです。

また、温州みかんは、収穫後しばらく置いて水分を少し減少させてから、食べた方が美味になります。

は、干し柿にはビニール袋などに入れて冷暗所で保存すると、長期間の保存ができます。

カリン・マルメロの収穫
近緑種のカリンとマルメロは、どちらも果実が黄色く色づき、芳香が漂い始めた頃が収穫時期です。

果肉が硬く生食には適していません。

特有の芳香を生かして果実酒、砂糖(ジャム)ゼリーなどに加工して用いる。


カリン・マロメロ酒の作れ方

1:表面が傷ついていない熟した果実をよく水洗いします。

2:水分を十分に切ってから2cm前後の厚みで輪切りにします。

3:容器に入れ、氷砂糖、焼酎を加えて密閉し、冷蔵庫などの冷暗所で熟成させます。

4:3ヶ月ほどで出来上がりますが、長く熟成させるほど風味が増します。

*また、カリンとマルメロの輪切りと一緒に、レモンの果肉だけを少量加えると、一味違った風味を楽しむことができるでしょう。

◉カリン酒(マルメロ酒)

*カリン1kg・砂糖200g・原酒1.8ℓ

6ヶ月で果実を取り出しますが、出した果実は砂糖で煮詰めて咳止め薬にします。


キウイの追熟

*樹上で成熟しにくい性質をもつキウイについては、収穫した後に追熟を施します。

小さな穴を開けたビニール袋に果実を入れ、これを20℃に保ち、2週間ほど置いておくのが最も手軽な方法です。


収穫してすぐに食べたい場合は
キウイ3~4個あたり、りんご1個をビニール袋に入れておくと、りんごから出るエチレンガスがキウイの追熟を促進します。
適期は11月



植え替え・植え付け

関東地方以西の暖地では落葉果樹の植え替え、植え付の適期です。

寒冷地では、冬の厳寒期を避けて春植えるようにします。

果樹は根がよく広がるので、植える穴はかなり大きめにとりましょう。

*完熟堆肥、腐葉土、油粕などを
元肥として土に混ぜ接木苗の接木部分が地表にでるように、かなり高植えにし盛り土をします。


温度管理
マンゴウやパパイヤなど、熱帯性の果樹は寒さに弱いため、夜の最低気温が15℃下回るようであれば、日の当たる室内に移動します。

温暖な気候を好む柑橘類などの幼木11月以降、冬に向けて防寒対策しておきましょう。

特に、冬に入り気温が急に下がると晩生の柑橘類では実が落ちたり
、幼木が枯れたりすることもあります。

*木全体を厚手の毛布などで覆ったり幹にビニールシートを巻くなどしてあげましょう。

*このシーズンに収穫期のザクロは、寒さに強く半日陰でも丈夫に育つので安心です。


剪定

多くの落葉果樹の剪定、整姿は、
収穫が終わった後の冬期に行います。

ブドウやりんごなど、品種によって収穫の終わる11月中旬頃から、剪定を行うことができます。

◉ブドウの剪定
家庭で楽しむには、長く伸びたツル1~1.5㍍ほど残して切ります。

短くなったツルから、翌年新梢が伸そこに開花結実します。

◉肥料
生育状況に応じて、秋の追肥を与えます。

基本的には、幹を中心に枝張り(枝先)がいちばん広がった部分の下までの円内に全面施肥します。

*化成肥料など50g~100gを目安に与えます。