緑のお医者の徒然植物記

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月曜日, 10月 29, 2018

イチイ〈一位〉盆栽編 No,12

イチイ


                         「模様木」

◉イチイが自生するのは、関東地方以南で、飛騨産のものが特に有名。

昔の役職で位の高い貴族が持つ笏(しゃく、杖のようなもの)の材料にされたことから、一位の位にちなんで名づけられたと言うことです。

幹の一部が白骨化したものを「シャリ」または「サバ」といいますが、一般には表面のなめらかな場合は「シャリ」落雷などで幹が裂けた風情のものを「サバ」と呼び分けることが多いようです。


                  「双幹、舎利幹」


◉線状の針葉が互生し、整然と水平に配列しているのがイチイの大きな特徴。

同種のキャラボクは変種で葉の並びが不規則なので、容易に区別できます。

生長が極めて遅い樹種。

★大幹の樹木全体に見事なシャリが出ているのが最大のポイント。

自然樹形でこの様な幹ぶりになるには、想像を絶する歳月を要する。

盆栽としてもここまで仕立てるには、何代にもわたる培養が必要です。

単幹や双幹、模様木やシャリ幹など、様々な樹形で楽しむことができます。

雌雄異株で、雌株は秋に美しい赤い実なりを楽しむこともできます。
           
                    「キャラボク」

設置場所
半日陰でもよく育ちますが、基本的には年間を通して日当たりと風通しのよい場所に置くようにします。

真夏はよしずなどで遮光し、葉焼けを防ぐようにしましょう。

耐寒性は非常に強い樹種です。


水やり
多くの水分を好む樹種です。

鉢の表土が乾いたら、樹冠の上からたっぷりと水を与えます。

特に新緑の5月から10月までは、雨の多い梅雨時を除き1日に二回、真夏は1日3回を目安にします。

この時期の水不足は根が干からびる原因にもなるので注意が必要です。

気温が下がる夕方に霧吹きなどで葉水を与えると、芽吹きがよくなります。


肥料
5月から10月の生長期間中は、養分を絶やさないようにすることが大切です。

新芽が伸び出す前の3月下旬頃から10月いっぱいは、梅雨時と真夏を除き、毎月、油粕などの有機肥料を置き肥します。

養分が豊富だと、樹勢の強い枝は不定芽(胴芽)が出やすくなり、早く小枝を吹かせてイチイ独特の細かい葉が密生した樹形を整えることができます。


剪定
小枝を細かく密生させることごがポイントです。

新芽が伸び始めたら、順次芽摘みを行います。

5月の中旬頃から、古葉の先についた新芽が盛んに伸びます。

伸びてくる順番に指の腹で新芽を押さえるようにして先端部を引き抜くように摘み取ります。

芽元は樹勢に応じて二分の一から、三分の一ほど残すようにします。

特に勢いよく伸びている強い芽は、根元から摘み取り、二番芽を出させるようにします。

樹勢に応じて、摘み方を変え、全体の枝のバランスを調整していく。

通常の剪定は、樹形を乱す込み枝、徒長枝などの不要枝を切りますが、太枝を切る場合は、枝元を少し残して樹皮を削り、ジン(樹皮が剥がれて自然に枯れたようにした枝)に仕立てると風情が出ます。


植え替え
鉢中に根が回って鉢穴から根の先が出ていたり、水をやっても鉢土にあまり吸い込まれず、外にこぼらてしまうような状態になったら、植え替え時と判断します。

若木は3年に一回、成木は3年~5年に一回を目安に植え替えます。

時期は3月中旬から4月上旬の春植えが一般的ですが、10月上旬の秋植えもできます。

秋に根詰まりに近い状態になった場合は、春を待たずにこの時期に植え替えた方がよいでしょう。

◉用土は赤玉土8、桐生砂2の混合土が一般的です。

細根が少ないので、植え替え時は濡れた布巾などで根を覆い乾かさないようにし、手早く行います。


★病害虫
丈夫な樹種ですが、根が乾燥したり樹勢が弱まると、カイガラムシが発生することがある。

予防として、カイガラムシの活動が鈍る1月~2月、発生したときはその都度、薬剤を散布します。

石灰硫黄合剤の20~30倍液が効果的です。

初夏に発生した場合は、その都度かきとります。

大量発生の場合はスミチオン乳剤などを散布します。

薬剤は鉢にかかると変色することがあるので、新聞紙などで覆い、必要な部分だけにかかるようにします。

また、鉢を傾けると根に薬剤がかかるのを防ぐことができます。







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