緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/08/22

世界一の樹齢木ブリッスルコーンパイン巨樹 No,253-1

ブリッスルコーンパイン 

世界一の樹齢とされるブリッスルコーンパイン(メスーゼラ叉はメトセラ)と呼ばれる巨木が、ホワイトマウンテンに存在する。


            「ブリッスルコーンパイン」

槇の木の特徴や松の木などの特徴を持っている。

皮が剥き出しになり、見た目は枯れた巨木に見える。

それもそのはず、樹木の9割りが枯れていて、残りの1割で生き続けているのである。

300年前にすでに枯れてしまった巨木が、その姿をそのまま残している不思議な樹木である。


(300年前に枯れたとされる巨木)


樹齢は4000年~5000年

巨木保護のため、詳しい場所は明らかにされていない。

枝先に松ぼっくりをつける。





2020/08/21

マサキ No.253

マサキ ニシキギ科 

(正木、柾)

原産地=日本、中国、朝鮮半島 別名=シタワレ
日本では北海道南部から、ほぼ全国に自生しています。

海岸線に多く自生することからわかるように、塩害に強いのが特徴です。

マサオキ(真青木)が語源で、それがつまったものと考えられている。


海岸付近に自生するものはツルオオバマサキという品種。

強光線、日陰にも耐え、大気汚染
乾燥、暑さ寒さにも強いことから、公園樹や庭木として幅広く利用されています。


                            (マサキ)


6月~7月にあまり目立たない小さな花を咲かせます。

果実は秋から冬にかけて鮮やかに赤く熟します。

また、同じニシキギ属のマユミ等と同様、熟した果実が裂けるとオレンジ色のきれいな種子が顔を覗かせます。

雌雄異株なので、単植株では果実を楽しむことができません。

白や黄色の斑の入った多くの園芸品種があります。

①葉の周囲に黄色い斑の入ったキフクリンマサキ

②中央に黄色の斑が入ったキンマサキ

③淡黄色の斑のギンマサキ
また、同属に茎がツル性で地を這うように伸びるツルマサキがあります。

マサキとよく似た性質を持ち、丈夫なことから壁に這わせたり、グランドカバーなどによく使われています。


この種も白や黄色の斑が入った園芸品種が大きく流通している。

※その他種類として

オオツルマサキ、ナガバマサキ、ウチダシマサキ
ボウシュウマサキなどの変種がある。


                   (ツルマサキ=蔓柾)


◉生育管理

水はけがよく、腐植質に富んだ肥沃な土地を好みます。

日光を好みますが、耐陰性も強くかなりの日陰でも元気に生育します。

◆植え付け、植え替え

(適期は3月~5月)

新葉が伸びる季節や大株の場合は、地上部を切り詰めてから移植します。

◉肥料

生け垣の刈り込みなど、強せん定を行う場合は、油粕や骨粉などの有機肥料を1株につき、2握りほど与えるようにします。

生育の状態に応じて、同様の肥料を寒肥として与えてもよいでしょう。

◆病気

※うどん粉病

マンネブ水和剤(400~600倍液)、カラセン、ベンレートなどを新葉の展開する春から夏の発生期にかけて、月に1~2回散布します。

病変の葉は切り取って処分します。

◉害虫

※ユウマダラエダシャク(マサキの大敵害虫)

黒い体に淡黄色の縦線があるシャクトリムシで、体長2.5㎝くらいで昼間は葉の裏に隠れ、夜になると葉を食害します。

4月~11月に発生し、特に6月~8月に被害が多く出ます。

発生期にスミチオン、ディプテレックス、カルホスなどを月に1~2回散布します。

1度発生した株は再び発生しやすい傾向にあるので、病葉、落葉は丁寧に集めて処分し、再発を防ぐようにしましょう。

◉せん定

生長が早いため裾が空かないように、幼木のうちは上向きの枝を強めに切り戻して、下枝の生育を促します。

夏以降に強く切り戻すと、枝枯れを起こす場合があるので、このせん定は3月~4月までに行います。

萌芽力が強いので年2回の整姿が目安となりますが、結実を楽しみたい場合は、花後のせん定は避けます。

生け垣は刈り込みを行うと、下枝が枯れて裾が空いてしまいます。


一度に強く刈り込まず、数回に分けて軽く何回も刈るのがコツです。

年3回を目安に行います。

◉殖やし方

実生は熟した果実から採種し、そのまま採り蒔きにするか、湿った砂など冷暗所で貯蔵し、翌春3月~4月頃に蒔きます。

✫挿し木

今年伸びた充実した枝を10~15㎝に切って挿し穂とし、赤玉土(小粒)などの一般的な挿し床に挿します。
(春挿し、梅雨挿し)









2020/08/20

クロガネモチ No.252

 クロガネモチ モチノキ科(黒鉄黐)

原産地=日本、中国、インドシナ半島、台湾、東南アジア

日本では主に関東、東海地方以南の暖地の山野に自生しています。

晩秋から冬にかけての結実が美しく、古くから庭木として幅広く親しまれています。

同属のモチノキによく似ています。

特に若枝(葉柄)が濃紫色または、暗褐色で黒みがかって見えることが名前の由来と言われています。

また、モチノキの開花時期は4月ですが、クロガネモチは5月~6月で、果実の大きさもクロガネモチが、一回り小さいなどの違いがある。

花柄が長く、先が放射状に枝分かれし、その一つひとつに花をつける、集散花序であることが特徴です。

雌雄異株で、雌株は結実し11月~2月にかけて紅く熟す。

また、材は器具材や床柱として利用されます。

同属の類似種として、ソヨゴ、ナナメイキ、タラヨウなどがある。

いずれも紅く熟す雌株の果実が美しく、人気の高い樹種です。





◆生育管理
腐植質に富んだ肥沃な湿潤地が適しています。

日光を好む陽樹ですが、比較的耐陰性が強く半日陰でよく育ちます。

暖地性の植物ですが、耐寒性があり、東北地方南部までは庭植えが可能です。

乾燥を嫌うので植え付け、植え替えの時には根鉢を大きく取り、完熟堆肥や腐葉土をすき込み土中湿度を保つようにします。

夏期は敷きワラなどで乾燥を防止します植え付け、植え替えの適期は3月~4月

◉肥料
通常、肥料は特に必要ありません
雌株の実つきをよくしたい場合は、花が咲き始めたりリン酸、カリ成分の多い肥料を与えます。

★害虫
通風、日照が悪くなるとカイガラムシが発生する場合があります。

発生期にスミチオン乳剤、冬期に石灰硫黄合剤、マシン油乳剤などの散布で防除しますが、日頃の枝透かしなどで通風、日照を良好に保つことが一番の防除策になります。

◉せん定
実なりを楽しむ雌株では強いせん定は避けましょう。

通常は弱い枝、樹形を乱す徒長枝や込み枝などを付け根から切り取る程度にします。

側枝の先は、車枝状になって込みやすいので、太い枝を切り取るなどして、整理します。

生長して樹冠が大きくなり過ぎた場合は、枝先を切って樹形を整えます。

クロガネモチは萌芽力が強く、刈り込みもよく耐えるので、散らし玉などに仕立てることもできます。

◆殖やし方
実生は熟した果実を採って果肉を取り除きます。

取り出した種子は湿った砂や土中で貯蔵し、翌春3月~4月に蒔きます。

接ぎ木は充実した1年~2年の枝をつぎ穂として、実生3~4年生の台木に接ぎます。

適期は3月~4月
雌株を雄株に接ぐと実がなります。







2020/08/19

ツバキ NO.251

ツバキ (椿、山茶、海石榴)

日本に自生する野生のツバキには、ヤブツバキ(高木)とユキツバキ(低木)の2種があり、ヤブツバキは北海道と小笠原諸島を除く日本全土、ユキツバキは秋田から琵琶湖北岸の日本海側の山地多雪地帯に分布する。


この2種から生じた園芸品種は日本産が1300余種、海外で発表のものはその数倍もある。

しかもこれら2種のツバキは、世界のツバキ属200余種のうち、最北地帯に分布するため寒さに強く、また葉は照り葉で美しいことから、世界的にも高い評価を受けている。

日本で好まれて栽培されているもの、育てやすく入手可能なものは、4系列に分かれる。

①ヤブツバキ系 ②ユキツバキ系
③ワビスケ系  ④海外の品種

ツバキ園芸は、室町時代に作庭や造園が発達したことや、茶道、華道の※勃興※興隆によって、ツバキの花木としての認識と価値が急に高まった。

※勃興=ぼっこう=急に勢いよく始まって、盛んになること。

※興隆=こうりゅう=勢いが盛んになること。

大阪夏の陣(元和元年、1615年)を境に徳川幕府の基礎が安定して、平和時代が来ると天皇、将軍、武家、僧侶、更に一般庶民の間に、趣味の園芸としてのツバキブームが巻き起こり、江戸の後期、天保(1831年~1845年)までその流行が続いた。


中期にはすでに600品種を収めた極彩色の図譜(宮内庁所蔵)がある事によっても、その熱狂的な様子が窺える。

明治に入ると、西洋花卉に押されて急速にブームは衰退したが、第二次世界大戦後、欧米のツバキ熱に刺激されて、昭和のツバキブームが再来した。




◉代表的な病気
※モチ病=病原体はカビ
文字通り葉が餅を焼いたように、厚くなったり内側にねじれる病気です。

発生初期には、葉が淡黄色に変色します。

やがて葉の表面が白く粉をふいたように、カビの胞子でいっぱいになります。

最後は褐色になり枯れて萎んでしまう。

発生時期はほとんどが4月から5月ですが、まれに9月から10月の秋に発生することもある。

このカビは生きた植物にしか寄生できません。

感染すると新芽の中で菌糸として潜伏し、翌年の発病を待ちます。

感染経路は、葉の表面に白く密生した胞子が、風に運ばれて感染拡大します。

この病気の病原体(カビ)は、葉の細胞の内部で活動するので、薬をいくらまいても効果がありません。

毎年発生するようなら、病葉を取り除いた後で新芽に、銅水和剤(ボルドーなど)を散布しましょう。

最も効果的な予防法は、病葉の徹底的な摘除です。

他には、芽が冬を越している病菌を殺すために、発芽直前に石灰硫黄合剤や、銅水和剤を散布しても効果的です。

◉花腐れ病
10月から3月頃に発生
開花前に殺菌剤のダニコール1000の500倍から600倍液を散布するのが効果的です。

この殺菌剤は残存性に優れ、薬害もほとんどありません。

また、4月頃の萌芽直前にダイセン水和剤1000倍液を10日おきに2回散布する方法もあります。

◉代表的な害虫
※チャドクガ
葉の裏にケムシが群れて、葉肉だけを食べるので表からは葉の色が黄色に見えます。

年に2回、4月と7月頃に発生します。

この虫は毒毛を持ち、触れるだけでなく近寄ってもかぶれるので、他のケムシのように捕殺するのは適切ではありません。

薬剤には、スミチオン、ディプテレックス、DDVPなどが適しています。

成虫も毒毛をまき散らかすので、早期に駆除することが大切です。

◉アブラムシ
5月から9月頃まで月に1回程度、スミチオン、オルトランを散布

◉カイガラムシ
冬期に機械油乳剤30倍液を散布すると効果的です。

◆肥料
1月から2月に根元に溝を掘り、堆肥に少量の鶏ふんを混ぜ、リン酸カリ分の多い化成肥料を与えます。

追肥として、5月と9月に少量の油粕と化成肥料を株元に与えます。

◉植え付け、土壌、土質

ツバキの根はたえず新鮮な空気(酸素)を必要とし、降雨で数日間も根の部分が水浸しになると、幼根は窒息して根腐れを起こしやすくなる。

排水と通気のよい土地、土壌はツバキがよく育つための決定的な要因です。

低地で降雨ごとに冠水するような場所では、排水溝を作り、また盛り土をして植えます。

土質は、重い粘土質よりもやや軽い黒土や赤土などが適しています。

これに腐葉土や完熟堆肥をすき込めば、排水や保水、通気性が高まり、地力もついた理想的な土壌になります。

寒風の通らないことが大切です、なるべく日当たりのよい所を選びますが半日陰でも育ちます。

植え付け時期は3月下旬から4月、8月下旬から10月中旬頃までです。

2㍍以上の成木は、高温期がよいので7月から9月上旬までに植え付けし、乾燥しやすい土質なら敷きわらなどで乾燥防止をします。

※ツバキは幼苗時期に強い日差しを嫌い、高木の下で日陰の生活する陰樹です。

◉せん定
せん定は花の終わった後の4月が適期です。

生け垣のほか、樹形によっては異なりますが萌芽力が強いので、自然樹形の他にも円筒形、散らし玉、スタンド仕立てなど好みに合わせて行えます。

花芽のつく時期が6月中旬から7月中旬ですので、その前にせん定は済ませます。

徒長枝やふところ枝は、日当たりや風通しのために、また見苦しさを解消するためにも切り取りましょう。

※花芽のつく前に徒長枝や伸び枝をきりとる(4月)








2020/08/17

ヒサカキ No.250

ヒサカキ ツバキ科 (姫榊、非榊)

別名=イチサカキ、ヒサキ

原産地=日本(本州、四国、九州)台湾、朝鮮半島 インド、東南アジア

サカキに似て、全体が小形なので姫榊、それが訛(なま)ってヒサカキになったとする説と、榊に似ているが榊ではないと言う意味の「非ず」とする説がある。

主に山地に自生しますが、どのような生育環境にも適応する。

暖地性のサカキは関東地方以北では、ほとんど自生していないためサカキの代用として、関東地方などでは榊として売られ神棚に供えたりする。


※サカキとの違いは、サカキは葉の縁に鋸歯がないがヒサカキの葉の縁には鋸歯がある。


葉もヒサカキの方が小さい。



雌雄異株で雌しべが退化した単性花と、結実する両性花が咲く点がサカキと異なる。

花は3月~4月に咲き、花にはやや嫌な臭いがある。

果実は液果で紫色から黒く熟す。

日陰に強く、春先に刈り込み分枝させるとよい(2月~4月)刈り込みとして点在されると落葉樹を引き立てる。

刈り込みによって小枝を殖やす。

木材は木目が細かく、器具、薪炭などに利用されます。



◉肥料

12月から1月に寒肥として、有機質肥料を与える程度で十分だが、刈り込みを行う場合は4月に化成肥料を追肥として株周りに与える。

◆害虫

小枝が密生し、樹冠内の通風、日照が悪くなるとアブラムシ、カイガラムシなどが発生し、すす病を併発する場合があります。

害虫の発生時に、スミチオン乳剤1000倍液を2~3回散布し防除します。

せん定より通風、日照をよくし病変した葉はすべて取り除いて処分します。

◉せん定

自然樹形で楽しむ場合は、伸び過ぎた枝を切る程度で十分です。

小枝が密生し、雑然となりやすいので思い通りに切り詰めて整姿します。

萌芽力が強く、散らし玉などの仕立て物にできます。

生け垣の場合は初夏と秋の年2回を目安に刈り込みます。

◆生育管理

水はけ、保水ともによい腐植質に富んだやや湿潤地が最適ですが、乾燥にも強く、日光を好みますが、かなりの日陰地にもよく耐えます。

暑さに大変強い樹種です。

◉植え付け、植え替え

4月~5月 8月~10月

植え穴は大きめにとり、完熟堆肥、腐葉土をたっぷりすき込みます。

必要に応じて、冬期に油粕などを一株に対し2握りほど与えるとよいでしょう。

★殖やし方

実が黒く熟したら、種子を取り出してよく洗ってからすぐに蒔くか、湿砂中で低温貯蔵して翌春3月~4月頃に蒔きます。


✫挿し木

(4月~7月)に、2年生枝に葉を2枚から3枚つけて挿し穂にし、小粒の鹿沼土や赤玉土に斜め挿しにする。

※前年枝を3㎝ほど付けた状態で挿し穂を取ると、発根率が高くなると言う報告があります。


定植は翌年の5月に行う。

※類似種にハマヒサカキ(浜非榊)がある。

海岸地帯に生えるのでこの名がある。

ヒサカキによく似ているが葉の先端が丸みを帯びるので区別できる。


また、花が咲く時期が10月~12月で、木を埋め尽くすようにびっしりと下向きに咲くのが特徴です。






2020/08/16

シュロ/トウジュロ No.249

シュロ/トウジュロ ヤシ科

原産地=日本、 中国 「棕櫚」常緑高木
別名=スロ、スロノキ

漢名の棕櫚を音読みした名前である。

円柱形で直立した幹の頂上に、大きな(うちわ)のような葉をつけるシュロは、南国の趣(おもむき)のある常緑樹であるが、非常に耐寒性が強くマイナス10℃ぐらいになる所でも開化結実する。

ヤシ科の中では最も北に分布を広げた種です。

雪の多い東北地方でも野外で越冬できる。

自然分布は九州の南部とされるが、種子を野鳥が食べるため本州の山にも野生化している。
実には鳥がよく集まってくる。





乾燥地や塩分にも強い、枝がないので整枝せん定は必要ないが、枯れ下がった葉は秋に元から切る。


幹の周りのシュロ毛は紐をかけて保護する。

シュロ皮は庭木の手入れ用のシュロ縄作りに利用される。

トウジュロは、やや葉も小形で下垂せず、横に伸ばした形で庭木としても人気がある。

やや耐寒性が弱いので、関東地方より南で植栽できる。

日当たりと排水のよい場所なら土質は選ばない。

単植せず、数本ずつ寄せて植えると本来のよい姿が引き立ちます。

花は5月から6月頃、黄色い大きな房状の穂を下垂し咲きます。

雌雄異株だが雌株には両性花が雑居する。

冬に枯れた葉は見苦しいので春に切り取ります。


          (シュロ)

高木性なので、植え替えはしない方がよいですが、もし植え替える場合は前年のうちに根回しをしておき、高温期の5月から8月はじめに行います。


◉肥料

特別与えなくても育ちますが、3月から4月に株元に鶏ふんと油粕を成木には、スコップ2~3杯程度穴を掘って埋め込みます。

また夏に成木には、庭木用の化成肥料を500㌘ぐらいばら蒔きしますが、多すぎるのはよくありません。

◆殖やし方

3月~4月 9月~10月(実生)
挿し木、取り木、接ぎ木は出来ないが、果皮を腐らせた種を蒔けば容易に殖える。


日本では主に、葉の切り込みが深く古い葉先が折れて下がる(ワジュロ)と葉がやや小さく堅めで、折れ下がらない(トウジュロ)が栽培されるが、両種間の雑種も多く個体差が大きい。