エニシダ マメ科
「金雀枝、金雀児」
常緑~半落葉~落葉種あり
原産地=ヨーロッパ地中海沿岸一帯
日本には江戸時代初期(17世紀後半)にオランダから渡来しました。
名前はオランダ語、ヘニスタ(ゲニスタ)の発音がエニシダと聞こえた事に由来します。
原産地の土壌は石灰質の中性土壌ですが、マメ科の植物は空気中の
チッ素を固定する能力があり弱酸性の強い種も多く、今日では九州から北海道に至る各地で庭園樹や公園樹、環境緑化樹として栽培されるほか、切り花としても利用されています。
葉は小さく目立たず、花のない時期は細い枝が多数集まって生えて
いる様子がほうきを思わせる。
実際、英語名はほうきを意味する。
ブルームでかつては、エニシダの枝を束ねてほうきを作っていた地方もあったと言われています。
また、ヨーロッパの魔法使いが空を飛ぶ時に使うほうきも、エニシダ製だと言われています。
枝は葉緑素を含み冬でも緑色をしています。
❆品種
園芸種、近縁種は非常に多く、中でも特に名高いのが19世紀末に、
フランスのノルマンディー地方で発見された花弁の一部に、赤いボカシの入ったホオベニエニシダ(ニシキエニシダ)です。
❆白花が咲くシロバナエニシダ
❆黄白色または白色の花が数輪ずつ
群生して咲くシロエニシダ
❆花が小さく株自体も矮性で鉢植えに向くヒメエニシダ
❆シロエニシダの改良種で硬化して、帯状に幅広くなった枝に白色花をつけ、生け花、切り花によく利用されるセッカエニシダが人気の品種として知られています。
◉生育管理、環境
日当たり、水はけがよいと言う条件さえ揃えば、他の植物の生育に
適さないやせ地でもよく育ちます。
根が粗いので、植え付けは地上部の枝を少し切り詰め、水分の蒸散を防ぐようにします。
植え付け後は支柱を立て、株が動かないように固定します。
大株の移植はかなり困難になります。
マメ科の植物は移植を嫌います。
移植する場合は(3月~4月)半年程前から根回しを行い、地上部を思いきって切り詰めれば可能ですが
高度な技術を要します。
❆肥料(2月)
よほどのやせ地でない限り肥料は必要ありませんが、与えると場合は寒肥として、鶏ふん、油粕など有機肥料を株元にすき込みます。
ごく小さい苗を植えた時には、少量の油粕を混ぜ、根元に埋め込ん
でやりますが、多過ぎには注意!
✪病害虫
ごくまれにコガネムシの幼虫や、
テッポウムシがつくことがあります。
捕殺や殺虫剤を虫穴に注入して駆除します。
✿せん定
萌芽力が強いので生け垣仕立てにすることもできますが、自然樹形で楽しむのが一般的です。
株元から新枝が次々に伸びほうき状の株立ちになります。
放任しても樹形は整いますが、樹冠が大きくなりすぎると倒れる危険があるので、樹芯を適当な高さで止め、必要に応じて支柱を添えます。
「エニシダのせん定」
通常のせん定は、混み枝や不定芽などの不要枝を間引くようにします。
4年から5年になった古枝は株元から切り、新枝に更新します。
また、夏場から秋にかけて暗褐色のさやがなり、次第に実が黒く熟しますが、見栄えが悪いだけでなく、樹勢が衰える原因にもなる。
実生で繁殖する予定がない限り、花後早めに切り取るようにします。
✭殖やし方
挿し木は春に充実した前年枝を、10〜15cmに切って挿し穂とし赤玉土や鹿沼土に挿します。
実生は、10〜11月に塾した種子を採り、冷暗所で貯蔵し、翌春に蒔きます。
70~80℃のお湯に入れ、そのまま一昼夜放置してから蒔くと発芽、率が高くなります。