緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2021/01/27

主な園芸用土、土壌改良材 No,355

 ✿主な園芸用土

✭黒土

火山灰土壌の表層の土で、有機物を多く含んだ黒色の土で、特に保水、保肥性に優れている。


pHの調整とリン酸質肥料の施肥によって、保水、保肥力もある。


✭赤玉土

赤土を乾燥させて粒状にしたもので、用途によって大粒、中粒、小粒を使い分けます。

特に保水、保肥性に優れている。

赤玉土7、腐葉土3の割合で配合するのが最も一般的。

✭鹿沼土

水分と容気の含有率が理想的といわれている土です。

特に排水、通気性に優れている。

火山性の砂礫(されき)が風化した黄色い土で、肥料分をほとんど含まない土。

肥料成分を蓄えてしまう土で、植物によっては用途に相応しくない品種もある。
ゼラニウムなど

✭荒木田土

水田の下層や河川敷に多い中積土で粘土質ですが、養分に富み団粒構造の土で、特に保水、保肥性に優れている。

排水性や通気性は劣る。

腐葉土やピートモスと配合して使用する。

✭川砂

盆栽や山野草の寄植えなどによく使われる土で、特に通気性に優れている。

✭桐生砂

水はけの良い土で、ランや山野草の栽培によく使われる。

特に通気性に優れている。

✭富士砂、浅間砂

火山性の砂で特に通気性に優れている。


✿主な土壌改良材

✪腐葉土
広葉樹の落葉を発酵させたもので、主として通気性を高めるために用いる。

土を団粒化させ、保肥力を高める効果もある。

❨注❩葉の種類や腐植化の進み具合で、葉の形がそのまま残っている未熟なものの使用は避ける。

✪ピートモス

湿地が泥炭(でいたん)化したもので、保水性を高める時などに使用します。

✪バーミキュライト

鉱物を加工したもので、苗床や挿し床によく使われる。
保水、保肥、通気性に優れている。

❢バーミキュライトはカリウム、アンモニウムを固定する。

✪パーライト

火山岩などの鉱物を焼成した用土で、バーミキュライトと同様に通気、保水性に優れている。

✪苦土石灰

土の酸度調整や団粒構造化に用いる。

特に通気性に優れている。

✪ゼオライト

沸石(ふっせき)を含む多孔質の石で、保水性、保肥力を高める事に優れている。

✪ヤシ殼活性炭

有害物質を抑え、必要な成分を蓄えておく働きがある。

✪バーク堆肥

厚い樹木の樹皮を砕き、発酵させたもので、腐葉土などと同じ性質を持っている。



2021/01/26

さまざまな土質に耐える樹木 No,354

 さまざまな土質に耐える樹木


樹種によって生育に適した土質の

条件は異なります。


養分が豊富でない、痩せた土地や

水はけのあまり良くない土質でも

それらの条件によく耐え、適応できる樹種を選べば、庭木として楽しむことができます。


✿やせ地に耐える樹種

クロマツ、アカマツ、ヤマモモ、エンジュ、ニセアカシア、ハギ

ネムノキ、タマイブキ


                         (ヤマモモ)

✿粘土質の土地に耐える樹種
モミ、トウヒ、クヌギ、コナラなど


✿海岸砂地によく育つ樹種
クロマツ、シャリンバイ、ハマヒサカキ、イヌマキ、キョウチクトウ
クスノキ、トベラ、ネズミモチ

                         (ネズミモチ)

✿湿地帯を好む、またはよく耐える樹種
ラクウショウ、シダレヤナギ
ハンノキ、ミズキ、カツラ、シンパク、ユーカリ、ムクゲ、タイサンボク、トチノキ、サンゴジュ、アオキ、ヤツデ

                            (ヤツデ)

✿乾燥した土地を好む、または
よく耐える樹種

アカマツ、カラマツ、ニセアカシア
カイズカイブキ、クロマツ、ウメ、アセビ、ウバメガシ、ハイビャクシン、ソテツ、ヤシ類

                   (カイズカイブキ)






2021/01/25

樹木による炭酸ガスの吸収と貯蔵 No,353

 地球温暖化緩和に役立つ樹木

近年世界的に問題になっている、地球温暖化に繋がるとされる石油や石炭などの、いわゆる化石燃料を燃やすことによって発生する。


大気中の炭酸ガス(CO2)排出量は現在も増え続けています。


樹木は太陽のエネルギーを利用し、光合成という作用によって、水や炭酸ガスから糖を合成するという、素晴らしい能力を持っています。


植物が炭酸ガスを吸収するという事は、理解できると思いますが、炭酸ガスを貯蔵することはどういうことなのでしょうか。


それは、樹木によって吸収された、炭酸ガスは糖に変えられ、更に木材を構成する成分である「セルロース」などに作り変えられて、最終的に木材という形で貯蔵されると言う事である。


樹木が草花と大きく異る点は、木材を生産することにあります。


樹木の寿命は長い事、木材として長期に渡り使用される事、これが炭酸ガスの貯蔵という意味において重要なのです。


草花も樹木同様に一時的には、炭酸ガスを吸収し、貯蔵しますが枯れると微生物にすぐに分解されます。


最終的には水や炭酸ガスになって、再び大気中に放出されてしまいます。


しかし樹木は、成長している間はもちろんですが、木材になってからも腐朽、或いは焼却されない限り、炭酸ガスの貯蔵庫としての機能を、持ち続けます。


紙の主原料も木材から取ったセルロースですから、紙も重要な炭酸ガスの貯蔵庫なのです。


関連参考ブログNo,9

植物の大気吸収のメカニズム






2021/01/24

大気汚染物質に抵抗力のある樹木 No,352

大気汚染に対する抵抗力の高い樹木


大気汚染に対する抵抗力が強い植物は、汚染物質を余り吸収しない事が要因と考えられ一般に、落葉樹より常緑樹の方が抵抗力は強い傾向があります。


❆常緑樹では

クロマツ、カヤ、クスノキ、ウバメガシ、モッコク、タイサンボク、キョウチクトウ、アオキ、ピラカンサスなど、多くの樹種が強い抵抗力を持ちます。



(カヤノキ )


❆反対に、抵抗力が弱いのは、シラカシ、モクセイ、アカマツなど、一部の樹種に限られます。


✺落葉樹では、プラタナス、ニセアカシア、エンジュ、イチョウ、レンギョウなどは抵抗力が強い。


✺弱いのはケヤキ、ヤマモミジなどです。

✺タケ、ササ類も抵抗力は余り強くありません。


✺植栽を選ぶ時に注意すること

⑴庭園樹

一般の住宅地では、大気汚染の濃度は樹木の生育が阻害される程、高くないと考えられます。

その事から、植栽を選ぶ時は余り

大気汚染に対する抵抗力に

こだわる必要はないと考えて

良いでしょう。

庭の広さに応じて、落葉樹、常緑樹をバランス良く組み合わせて、植栽すると良いでしょう。


例えば、サクラ類は単に花が美しいだけでなく、優れた大気浄化能力を持っています。

広いスペースがあれば、庭木として活用したい樹種です。

尚、サクラ類には大木にならない中低木種もある。


        (大気浄化能力もある桜樹)


⑵街路樹、工場緑化樹など

工場が建ち並ぶ周辺や交通量の多い幹線道路沿いなどでは、汚染物質な濃度が高い事が考えられます。


植栽も大気汚染に対する抵抗力を考えて、選ぶ必要があります。

大気汚染の強い地域では、工場の煙突や自動車の排気ガスに含まれる、煤煙などの浮遊する粉塵が葉面に付着するなどし、光合成を妨げ、葉裏の気孔を塞いだりして、葉の呼吸を妨げたりするため、樹木の生育条件は悪化し続けます。


街路樹や中央分離帯の植栽や工場緑化樹は、大気汚染に強い樹種を中心に選ぶ必要があります。


✪樹木に大気汚染に対する抵抗力

✭落葉樹(抵抗力大)
アキニレ 、イチョウ、エンジュ
オオシマザクラ、ガクアジサイ
カシワ、ニシキギ、ニセアカシア
ニワウルシ、ネムノキ、プラタナス
ポプラ、レンギョウ

✪落葉樹(抵抗力小)

ケヤキ、ヤマモミジ

❆常緑樹(抵抗力大)

アオキ、イヌツゲ、ウバメガシ
キョウチクトウ、クスノキ
クチナシ、クロガネモチ
ゲッケイジュ、サンゴジュ
シャリンバイ、シロモダ
タイサンボク、タブノキ
チャイニーズホーリー、トベラ
ネズミモチ、ヒイラギモクセイ
ピラカンサス、マサキ、モッコク
ヤツデ、ヤマモモ

❆常緑樹(抵抗力小)

アカマツ、シイノキ、シラカシ
ダイスキ、モクセイ

❆関連参考ブログNo,9

植物の大気吸収のメカニズム








2021/01/23

学名と和名のはなし No,351

 学名と和名

植物は数多くの種類があり、名前を持っています。

雑草や雑木と言ったような呼び方もありますが、これは人間にとっての用途から見て、まとめて呼ばれるものです。


植物に限らず生物の名前は、ある特定の種に対して、世界共通である事が大切です。

国ごとに或いは、地方ごとなどで名前が異なっていては、混乱を招いてしまいます。

そこで世界に共通する名前として、一定の規則に基づいて付けられた名前があります。

これが「学名」と呼ばれるものです。

ラテン語、或いはラテン語化した表現を用いるため、ラテン名と呼ばれカタカナで表記されます。

図鑑などで、植物名を表す場合、この2つが表記されています。


✿学名

学名が付く基本的な単位の「種」は植物分類に基づいています。

その分類によって、種が属する属名と、含まれている属の中で種を示す種小名との2つにより表します。

これに命名者名を示して表記します。

例えば和名がクロマツの場合

学名pinus   thn berugii      parl
             ↑                ↑                  ↑
         属名         種小名         命名者

このような命名法は、属名と種小名の2つを一組として表されることから、「ニ命法」と呼ばれます。

学名は、植物の特徴を表現しているものもあり、意味を調べてみるのも楽しい事でしょう。

尚、種小名のあとにvarとかform
または、fと続く事があります。

これはそれぞれ、変種と品種を意味しています。

学名をつける規則は「国際植物命名規約」によります。

この規約が作られたのは1867年の事で、その後改訂が重ねられ現在に至っています。


✿和名

日本国内で共通して使われる名前が和名です。

和名は学名の構成と異なり、普通名詞で呼ばれます。

和名の付け方には特別な規則があるわけではないので、図鑑や植物関係の本によっては、名前が重複したり、地方名などで表記される事もあります。

植物図鑑などで、共通して使われる和名は「標準和名」と呼ばれます。

その他、和名以外の名前は俗名と呼ばれ、地方ごとに使われている地方名などはこれに当てはまります。

和名表記の例としてクロマツの場合、和名    クロマツ (漢字では黒松)カタカナで表します。



2021/01/22

阿弥陀杉( アミダスギ)No,350

 阿弥陀杉

阿弥陀杉は推定樹齢1300年と言われているスギです。

かつては地上5㍍程から10数本の
幹に分かれていて、樹高は約40㍍
枝幅は約30㍍と雄大な樹形でした。

名前がついた由来は卵球形の樹形によるとされ、その様子が阿弥陀仏の光背に似ているとされる事からです。

平成11年の秋に発生した台風18号
によって、全体の約3分の2が倒れる大きな被害を受けました。

その後倒れた枝部分は、町図書館のあみだ杉の館にオブジェとして
飾られています。



       (台風被害を受ける以前の樹形)

杉は林業で植林され、細い円錐形の樹形をしていますが、この様な樹形は、林業として材として、真っ直ぐなものが求められることから植栽間隔を狭くした結果、生まれたものです。

自然の中にあるスギは、植林地に
あるような樹形は少なく、枝を横に広げて卵球形或いは、半球形の
樹形を形作っています。


        (台風被害を受けた阿弥陀杉)


スギは樹木の中では長寿の部類に
属しますが、推定でも千年を超える様な大木は稀少です。

長い年月の中で風雪や落雷などの
自然の厳しさに耐え、また材として有用なことから伐採される事も
多くあります。

この阿弥陀杉もかつては明治時代に売却され、伐採される予定があった経歴があり、当時それを知った村人が買い戻し、伐採を免れて
現在に至っています。



阿弥陀杉 (自然樹)
国指定天然記念物

所在地=熊本県小国(おぐに)町大字黒渕99