猛毒草と山菜⑴~⑷まとめ
セリを食べたらお腹をこわしたという話を、毎年聞く事がありますが、これはセリの群生に混じっている、「キツネノボタン」類を誤食したと考えられます。
✻セリと混生している事が多い。
茎に柔らかな白髪をたくさん生やし、無臭。花は黄色。
✺セリの新芽は茎の毛がなくツルっとしていて、独特の芳香がある。
花は白色。
キツネノボタン類は、プロトアネモニンなどの刺激物質を持ち、粘膜に激しい炎症を起こします。
被害の実態がつかめない隠れた有名毒草です。
身近な雑草にも有毒種が多数ありますが、ガーデニングで利用される園芸種や野菜類でも、中毒事故が多発しています。
植物を知っているから安全とも言えない事実が多く、それとコレを間違えるのかと、驚くような内容です。
自然のものは身体に良いと言う様な、風潮も中毒事故を助長していると言えるでしょう。
植栽計画を進める時は、混同をきたす毒草は勧めるべきではないと思います。
もし利用する時は、配置や名札などの目印をするなどの管理が必要です。
トリカブトの根や地上部に含まれる猛毒成分は、植物界最強と言われ微量でもヒトを死に至らせます。
しかし、猛毒とされる植物には別の用途があります。
あらゆる薬効として知られ、極めて重要な製薬原料として利用されています。
そう言っても、特殊な減毒加工が必要であり、家庭では使えないのも当然です。
✻トリカブトの塊根(かいこん)を干した物を附子(ぶし)といい、猛毒があるが漢方薬として使われる。
ハシリドコロは人が大量に摂取すると、中枢を麻痺させ、瞳孔の散大や激しい腹痛を経て、✭狂騒、麻痺、痙攣(けいれん)心臓麻痺に至ります。
✭狂騒(きょうそう)
理性を失ったさわぎ
一方で、イモのように太った根は重要な生薬で、胃腸に生じる多様な異常を調整したり、痛みを取り除く作用があるため、胃腸薬や鎮痛薬で活躍しています。
例えば、生き物として猛毒草を見た場合、興味深い事が分かります。
ハシリドコロの猛毒なのは根だと言われていますが、春先の場合、多くのアルカロイドが蓄積されているのは、根より地上部の方です。
トリカブトの猛毒アコニチン含有量は、晩春がピークで秋がその半分と言うように、季節によってまるで違うのです。
しかし変わらない成分もあります。
研究の結果から見えてくるのは、同じ環境で育っても成分の含有量に著しい個体差があるという事と、栽培するとこの差は一層すごくなると言う事です。
また、見た目は大きく育っても、有効成分は減少しがちなのである。
漢方薬の原料の多くは輸入に頼り、その大半が中国産です。
日本国内での栽培法の確立は急務であるが、思い通りにならないのが植物です。
やんちゃな植物たちにてんてこ舞いなり。
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