菌根菌(カビ、糸状菌)
真菌は酵母、糸状菌でいわゆるカビ、キノコを含む生物群です。
動物の次に進化した高等な生物と言われています。
真菌類は更に、その菌糸が植物細胞内に侵入するかどうかにより、内生菌根菌、外生菌根菌、疑菌根菌(共生関係の不明瞭なもの)に区分されます。
かつて、VA菌根菌と言われた菌根菌は内生菌根菌に属する。
菌根のできる根はいずれも若い根で、菌糸は表皮から皮層まで侵入し、中心や根の先端には入らない。
全植物の80%以上が何らかの形で真菌類と共生し、菌根を形成していると考えられています。
菌根菌は植物の根に付着し、植物が養分(リン酸など)や水分を吸収するのを助けています。
菌根菌は光合成で作られた糖(炭素化合物)を樹木から貰う代わりに、窒素やリンなど必要な栄養を樹に与えています。
炭素化合物とは、炭素を成分として含む化合物で、有機化合物はすべて炭素化合物です。
炭素化合物には炭素、水素、化合物によっては酸素、窒素やリンなどの「ヘテロ原子」を含む。
ヘテロ原子とは
ヘテロとは異質という意味で、有機化学の分野において、分子構造中に含まれる炭素と水素以外の原子のことを指します。
典型的なヘテロ原子として窒素、酸素、硫黄、リン、塩素、ヨウ素、臭素などが挙げられます。
森林体系において土壌微生物は、多様な役割を担っているが、その土壌微生物の最も重要なグループのひとつが菌根菌なのです。
アーバスキュラー菌根菌
この菌根菌が共生するサクラの周囲には病原菌が蓄積して、サクラの「実生」の成長を阻害している。
実生(みしょう)とは、種子から発芽したばかりの植物のこと
その結果、多様な樹木がサクラの周囲に育つことになり、松林のように自然にサクラが桜林になって行くことはありません。
アーバスキュラー菌根菌(AM菌)は、植物の根と共生してリン酸などのミネラルと水分を供給するカビで、この菌根菌は陸上植物の約80%と共生できると言われています。
土壌中のリン酸養分が少ない時のみ活動するため、リン酸を施肥し過ぎると活動できず、植物との共生関係を結ぶことが難しくなります。
また、植物と共生しないと生育できない性質を持っています。
しかし近年、脂肪酸を添加した培地で、アーバスキュラー菌根菌を単独で培養することに成功した研究発表が報告されています。
それでも地球上に存在する微生物の中で、人間が培養できるのは全体の1%に過ぎません。
つまり、99%の微生物は培養できていないということです。
しかも日本に存在する微生物は、その種類も多いとされます。
微生物同士が共生関係にあることは、最初に日本の研究者によって発見されました。
元々微生物と発酵に関する研究は、日本が最初だったと言えるのです。
アーバスキュラー菌根菌の種類は、300種以上が確認されていますが、人間が利用できる形で培養できるのはまだわずかです。
アーバスキュラー菌根菌と外生菌根菌
アーバスキュラー菌根菌は、根の細胞内に入り込んで共生するため、根の表面はツルツルしていてキノコとなって地上に現れることはありません。
一方、外生菌根菌はきんしが根の周囲に伸び、絡み合って形成されています。
外生菌根菌はキノコを形成する菌根菌のことで、主にマツ科、ブナ科などの樹木の根に共生しています。
マツタケやトリュフなど多くのキノコは外生菌根菌に属し、1本の成木に共生する菌根菌は、10〜100種類を超えるとも言われ、森林地下には様々な外生菌根菌が広がっている。
その種類は5000種から6000種と言われています。
その中に食用菌も多数含まれています。
菌根には、大きく2つに分けて内生菌根と外生菌根があり、内生菌根は根の表皮細胞の内側にある皮層組織にまで侵入します。
一方、外生菌根は根の内部まで奥深く侵入することはありません。
マイコス菌根菌
植物の根に感染して「菌根」を形成し、互いに共生しながら増殖します。
土壌改良材として水稲や大豆、麦、牧草、野菜など幅広い作物に使用できます。
マイコス菌根菌の効果は、収穫時期を早めたり収穫時期を延ばす効果がある。
収穫作物の品質を高める効果があり、病害虫に対する抵抗性を高める。
リン酸などの養分吸収を促進し、水分の輸送機能を高めます。
また、活力剤として使用されることもある。