緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2025/01/27

菌根菌の種類 No,756

 菌根菌(カビ、糸状菌)

真菌は酵母、糸状菌でいわゆるカビ、キノコを含む生物群です。

動物の次に進化した高等な生物と言われています。

真菌類は更に、その菌糸が植物細胞内に侵入するかどうかにより、内生菌根菌、外生菌根菌、疑菌根菌(共生関係の不明瞭なもの)に区分されます。

かつて、VA菌根菌と言われた菌根菌は内生菌根菌に属する。

菌根のできる根はいずれも若い根で、菌糸は表皮から皮層まで侵入し、中心や根の先端には入らない。

全植物の80%以上が何らかの形で真菌類と共生し、菌根を形成していると考えられています。

菌根菌は植物の根に付着し、植物が養分(リン酸など)や水分を吸収するのを助けています。

菌根菌は光合成で作られた糖(炭素化合物)を樹木から貰う代わりに、窒素やリンなど必要な栄養を樹に与えています。

炭素化合物とは、炭素を成分として含む化合物で、有機化合物はすべて炭素化合物です。

炭素化合物には炭素、水素、化合物によっては酸素、窒素やリンなどの「ヘテロ原子」を含む。

ヘテロ原子とは

ヘテロとは異質という意味で、有機化学の分野において、分子構造中に含まれる炭素と水素以外の原子のことを指します。

典型的なヘテロ原子として窒素、酸素、硫黄、リン、塩素、ヨウ素、臭素などが挙げられます。

森林体系において土壌微生物は、多様な役割を担っているが、その土壌微生物の最も重要なグループのひとつが菌根菌なのです。

アーバスキュラー菌根菌

この菌根菌が共生するサクラの周囲には病原菌が蓄積して、サクラの「実生」の成長を阻害している。

実生(みしょう)とは、種子から発芽したばかりの植物のこと


その結果、多様な樹木がサクラの周囲に育つことになり、松林のように自然にサクラが桜林になって行くことはありません。

アーバスキュラー菌根菌(AM菌)は、植物の根と共生してリン酸などのミネラルと水分を供給するカビで、この菌根菌は陸上植物の約80%と共生できると言われています。

土壌中のリン酸養分が少ない時のみ活動するため、リン酸を施肥し過ぎると活動できず、植物との共生関係を結ぶことが難しくなります。

また、植物と共生しないと生育できない性質を持っています。

しかし近年、脂肪酸を添加した培地で、アーバスキュラー菌根菌を単独で培養することに成功した研究発表が報告されています。

それでも地球上に存在する微生物の中で、人間が培養できるのは全体の1%に過ぎません。

つまり、99%の微生物は培養できていないということです。

しかも日本に存在する微生物は、その種類も多いとされます。

微生物同士が共生関係にあることは、最初に日本の研究者によって発見されました。

元々微生物と発酵に関する研究は、日本が最初だったと言えるのです。

アーバスキュラー菌根菌の種類は、300種以上が確認されていますが、人間が利用できる形で培養できるのはまだわずかです。

アーバスキュラー菌根菌と外生菌根菌

アーバスキュラー菌根菌は、根の細胞内に入り込んで共生するため、根の表面はツルツルしていてキノコとなって地上に現れることはありません。

一方、外生菌根菌はきんしが根の周囲に伸び、絡み合って形成されています。

外生菌根菌はキノコを形成する菌根菌のことで、主にマツ科、ブナ科などの樹木の根に共生しています。

マツタケやトリュフなど多くのキノコは外生菌根菌に属し、1本の成木に共生する菌根菌は、10〜100種類を超えるとも言われ、森林地下には様々な外生菌根菌が広がっている。

その種類は5000種から6000種と言われています。

その中に食用菌も多数含まれています。

菌根には、大きく2つに分けて内生菌根と外生菌根があり、内生菌根は根の表皮細胞の内側にある皮層組織にまで侵入します。

一方、外生菌根は根の内部まで奥深く侵入することはありません。

マイコス菌根菌

植物の根に感染して「菌根」を形成し、互いに共生しながら増殖します。

土壌改良材として水稲や大豆、麦、牧草、野菜など幅広い作物に使用できます。

マイコス菌根菌の効果は、収穫時期を早めたり収穫時期を延ばす効果がある。

収穫作物の品質を高める効果があり、病害虫に対する抵抗性を高める。

リン酸などの養分吸収を促進し、水分の輸送機能を高めます。

また、活力剤として使用されることもある。









2025/01/26

松の菌根菌 No,755

 菌根菌について

何年も松の枯れ葉が堆積している健全な松林や造成林地から、古い松葉に付いている白い菌糸状のものを移植します。

松葉には松の「菌根菌」がいます。

松葉以外の枯れ葉では駄目です。

松には松の菌根菌、この菌根菌が枯れそうな松を救う最後の手段かも知れません。

菌根菌とは、菌根を作って植物と共生する菌類のことです。

土壌中の糸状菌が植物の根の表面、または内部に着生したものを菌根といいます。

松の菌根菌は、マツの根と共生する糸状菌の一種で、マツの根の吸収機能を拡張し、土壌養分の吸収や土壌病害の防御(ぼうぎょ)に役立っています。

松は代表的な菌根性樹種で、土壌養分吸収のほとんどが菌根菌を介して行われています。

松と菌根菌の共存関係は、劣悪な土壌環境でもマツを育てることができるという観点から注目されています。

マツタケはアカマツなどのマツ科に共生した「外生菌根菌」で形成されたキノコですが、生きている樹木と共生関係を結び生活する。

樹木細胞の内部には侵入しない菌類です。

多くの植物には菌根が存在しますが、日本ではどの樹木がどんな菌根を持っているのか、よくわかっていません。

菌根菌の役割

①土壌養分の吸収を促進する。
②土壌病害から根を守る。
③根の機能を拡張する。
④植物の成長を促進する。


菌根菌の移植

根鉢の上に菌根菌付きのマツの古葉を敷いて、たっぷり水を張ってやる。

半分くらい浸けて置くくらいでも構いません。

松は水を嫌うなどと言う人もいますが、弱っている松にはたっぷりの水が効果的で庭木も同様です。

菌根菌と炭

松の菌根菌、赤玉土、桐生砂、軽石、炭を松の根に配置します。

適度な根を選び出し施工しますが、健全な根や発根の期待できる根の本数は限られるので、丁寧に掘り出して作業します。









2025/01/25

マツの樹勢回復 No,754

 黒松の黄化などの状態樹勢回復

スーパーバイネ、プラントストライク(緩効性肥料)と一緒に使用することで回復力が強くなる。

松葉が黄緑色になり、新芽の勢いが悪い状態





①高さ5㍍、目の高さ部分の幹の太さ45㌢の松の木1本
スーパーバイネ0.5kg、プラントストライク2本

②高さ6㍍、幹の太さ50㌢の松の木1本
スーパーバイネ2kg

③高さ2㍍、幹の太さ15㌢の松の木1本
スーパーバイネ500g
有機入肥料500g

✼天然活力剤スーパーバイネ

✼打ち込み型棒状肥料
プラントストライク
グリーンパイル

グリーンパイルによる肥料の打ち込み(土壌)
1年間肥料が持つ

HB101による活力剤の使用
HB101液体=葉に散布/根に注入
HB101個体=土壌埋め込み

ヒューメイトは生産中止
ヒューマメイトに変わる代替品として「腐植パワー」

腐植パワー(植物活力剤)
発根促進作用が抜群で、養分吸収力を高める効果がある。

水に溶けた腐植酸が素早く根まで届く。
活力剤で根を元気にし、肥料の栄養をより多く吸収させることが目的。

くん炭(土壌改良材)
土がふかふかになり、雑菌が増加しにくくなって土壌環境を良質に整えてくれます。

ほとんどの作物に使うことができる。

日向土(ボラ土とも呼ばれる)
軽石の一種で、通気性や排水性に優れている。

無菌、無肥料の衛生的な土であり、病虫害発生の心配もありません。

鹿沼土より硬く軽石より柔らかい、崩れない、根腐れの原因となるミジン(粉塵)が少ない。

キノンドー水和剤40(500g)殺菌剤
キノンドーは、発生初期から1〜2週間おきに予防的に散布することで、病害の多発時の効果を低下させることなく、細菌性病害を含む広範囲の病害を予防できます。

連続散布しても、効力の低下がなく、耐菌性が生じにくいという特徴があります。









2025/01/24

マツの害虫④No,753

 マツの枝や幹につく害虫

シンクイムシ

心喰虫と呼ばれるハマキガ類やメイガ類の幼虫は、マツなどの梢に穴を開けて侵入食害して、そこから上部を枯死させます。

キクイムシ

成虫そのものが樹幹内部に巣を作り、そこで産卵する。

幼虫は樹木の中で育ち成虫になると外に出ます。

樹木の形成層を食糧として食い荒らすものと、芯材部にトンネルを掘り、そこで菌を育てて食べる2種類がいます。

樹は食害や菌のために樹勢が衰え枯れる。

治療、予防

枝に被害を見つけた場合はその枝を切り取り処分。

幹に被害を見つけたらスミチオン、オルトランなど穴から注入します。

薬剤の濃度は500〜1000倍液

なお、衰弱した樹は薬害を起こすことが多いので、濃厚液の注入には十分注意が必要です。


シラホシゾウムシ(マツ類加害)

幹の樹皮の下に幼虫が侵入し、中を食害します。

そのため、樹勢が衰えてマツ類の葉が黄色くなります。

症状が進むと葉は褐色になり、やがて枯死します。

他にも枝などに穴を開けて産卵する種類があります。

成虫は4月頃から活動を始め、根元付近の樹皮の下に産卵する。

治療、予防

4月頃にスミチオン、オルトランなどを散布して成虫を防除し、枯れた樹は伐採します。

他の樹に影響するので付近の枯れ木、枯れ枝は処分します。









2025/01/22

マツの害虫③ No,752

 マツの害虫 カミキリムシ類

衰弱した樹に被害が集中

無理な移植や台風被害、大気汚染などで弱っていたマツ類にカミキリムシ(甲虫目)が寄生すると、急激に衰弱して立ち枯れ状態となります。

「松くい虫」と呼ばれるカミキリムシは24種類ほどいますが、その中で多いのはマツノマダラカミキリによるもので、この虫はマツノザイセンチュウを媒介することでマツ類に深刻な被害をもたらします。

カミキリムシ一匹に、平均15000匹のセンチュウが必ずいると言われています。

シイ、カシ、クリ、クヌギ、コナラ、ポプラ、ヤナギなどの広葉樹は健全樹であってもカミキリムシの食害をうけます。

シロスジミヤマゴマダラなどのカミキリムシの仕業で、幹の中にテッポウムシ(カミキリムシ類の幼虫)がトンネルを掘って食害します。

この食害によって樹が衰退すると、「木材腐朽菌」の侵入を招くこともあり、大きな被害となります。

マツノマダラカミキリムシは年1回の発生で、5月下旬頃から7月にかけて成虫羽化し、サナギから脱出した成虫は若い枝をかじり、カミキリムシに侵入していたセンチュウがこの時に、かじった所からマツに侵入します。

センチュウが寄生したマツは急激に衰弱します。

衰弱した樹はカミキリムシにとって絶好の産卵場所となります。

メス成虫は脱出から20日後に樹皮の下に産卵します。

孵化した幼虫は食害を続け、翌年5月頃にサナギになります。


センチュウはカミキリムシが羽化した直後に気門から気管の中に侵入して取り付きます。


カミキリムシとセンチュウの関係

カミキリムシは、センチュウがすでに寄生しているマツにしか卵を産みません。

産み付けられた卵は羽化し、マツの中に潜り込んでサナギになる部屋を作ります。

この部屋にセンチュウが集まり、カミキリムシがサナギから羽化する時に、カミキリムシに寄生するようになっています。

シロスジカミキリ

シロスジカミキリの一世代は2〜3年かかります。

5月下旬頃に成虫が現れ、メス成虫は地上から約50㌢の樹皮にはっきりした円形(直径約15㍉)の噛み跡をつけて産卵(産卵痕)します。

産卵の跡を木槌などで卵を叩きつぶして駆除します。

被害は壮齢(そうれい)から老齢樹に多く、幼虫による深材部への食害が進むと、樹皮に繊維状の虫糞を排出します。

一世代に3年かかるミヤマカミキリムシは、幼虫が健康樹の辺材部を食害するため、その跡が溝状に裂けて樹皮に大きな傷をつけます。

このカミキリムシは産卵の跡を残しません。

4月頃の発生時期にサッチューコートやスミバークなどの薬剤を散布すると有効です。

大部分は健全木には加害しないので、樹の健康を保つことが一番の予防です。

春と秋の手入れは欠かさないように注意することです。

穿孔穴から針金を入れて刺して駆除します。

ゴマフボクトウ

成虫が現れる7月中旬から8月下旬頃に枝や幹に塗布剤(サッチューコート、スミバーク)を塗っておく

赤い虫糞が目印

コウモリガ

発生は1年か2年に1回
成虫は9月頃に発生し、幼虫は5月頃に羽化します。

木くずと虫糞で作られたフタが侵入口に付いているのが目印です。









2025/01/21

マツの害虫② No,751

 マツ材線虫病

マツ材線虫病(英名:pine wilt diseasc)とは、マツ属(学名:pinus)を中心としたマツ科樹木に発生する感染症である。

病原体は北米原産で、日本を含むアジアやヨーロッパのマツ類に枯死を伴う激害をもたらしています。


日本における病害の汚染地域は徐々に拡大し、2010年以降は北海道を除く本州以南の46都府県すべてで確認されています。

関係者の間では「松枯れ」と呼ばれることが多い。

行政用語として「松くい虫」が用いられています。

世界三大樹木病害とされるニレ立枯病、クリ胴枯病、五葉松類発疹サビ病にマツ材線虫病を加えて、世界四大樹木病害と呼ぶことがあります。

また、外見上類似した病害として、ナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病)がある。


症状と診断

典型的な症状としは、真夏から秋にかけてそれまで正常であったマツの針葉が、急速に色あせて最終的に褐変する。

針葉の褐変は症状の最終段階であり、それに先立って外見は正常のまま樹脂(いわゆる松脂=まつやに)の滲出(しんしゅつ)が減少する。

線虫病

健康なマツは、幹に傷をつけると大量の樹脂を傷口に分泌するが、この病気を発病したマツは樹脂の量が著しく減少し、全く出ないことが多い。

このため、早期の診断には幹にピンを刺したり、ポンチで穿孔(せんこう=穴をあける)したりして、樹脂滲出異常の有無を調べます。

この簡易判定方法は、発見者の「小田久五」に因み「小田式判定法」「小田式健全度判定」などと呼ばれています。

発病した個体の幹には多数の穴が見られることが多い。

これはこの病気に限ったことではないが、マツが衰弱してくるとキクイムシとカミキリムシが集まってくるためです。

条件によって典型的な経過とならず、樹脂滲出が止まっても外見が正常のまま、翌年まで生存することがあります。

冷涼な地方ではこのような過程を辿る個体が温暖な地方より多い。

これらの個体は翌年の春から初夏に枯死して「年越し枯れ」と呼ばれたり、更に遅れて通常のマツ枯れシーズンに至って枯れて「潜在感染木」と呼ばれることもあります。

仮道管の閉塞が原因で枯死

仮道管の閉塞の原因は、線虫や細胞による物理的な管の詰まりではなく、「キャビテーション」と言う現象によって細い管内に気泡が発生するすることによって、管内部に空洞が形成されてこの空洞が栓の役割を果たして樹液の流れを妨げることで起きる。

針葉樹には道管がなく仮道管だけが水の通路となっています。


ガスエンボリズム=気体塞栓症が、継続的に発生していることが明らかになっています。

キャビテーションによる仮道管の閉塞自体は健全な個体でも乾燥時などに見られますが、症状が一時的であればそれは可逆的なことです。

可逆的とは、一度変化した状態を元の状態に戻すことができる性質、機能のことで、キャビテーションは液体中に圧力が低下して気泡が発生する現象をいう。

なぜ、継続的なキャビテーションが発生してしまうのかは分かっていません。

キャビテーション、エンボリズムの診断方法として、着色溶液をマツに吸わせてから切断して、断面を観察するという古典的方法の他にも、水が途切れる際に発生する音の一種「アコースティック·エミッション」を観察するという、「非破壊的方法」が提案、実用化されており、蒸散速度や光合成速度の低下を観察するという従来からの「非破壊的方法」に加えて、このような面からも樹木の水分異常を観測できるようになっています。

線虫は病原性を持ち、松を枯らすことができますが、他のマツへの移動手段を持っていません。

移動を手助けしているのがヒゲナガカミキリ属のカミキリムシです。

線虫は蛹(さなぎ)室内にいる新成虫カミキリムシの気門に侵入し、蛹から脱出したカミキリムシと共に他のマツに移り線虫も移動出来る。


松くい虫に効く薬

①樹幹注入剤グリーンガード
②ベニカマツケア
③マツグリーン液剤2