緑のお医者の徒然植物記

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2020/02/17

桃 No.183

桃🍑


バラ科サクラ属の落葉樹
同属のウメやサクラと並んで日本の春を代表する花木の一つですが、原産地は中国北部です。

日本に渡来したのは非常に古く、弥生時代の遺跡からモモの種子が発掘されています。

名前の由来には諸説ありますが、原生種の赤い実を例えた「燃え実」が転訛したたいう説が有力です。

◉3月から4月にかけて、淡紅色、白色、紅色の5弁の花を咲かせます。

葉の展開前に開花し、花は直径2.5~3.5で、芳香がある。
花柄はほとんど無い。



ウメの花によく似ていますが、ウメは節に一つだけ花芽がつき葉芽がないのに対し、モモは節の中央に葉芽がつき、その両脇に2つの花芽がつきます。

また、幹にはサクラのような横線が入ります。

一般に、関東地方以西では2月~4月にかけてウメ、モモ、サクラの順に花が咲き、東北地方では4月中旬頃に3種がほぼ同時に開花します。

北海道ではもっと遅れて、サクラ、モモ、ウメの順に開花するようです。

★モモは桃の節句の花として知られますが、これは旧暦3月の最初の巳の日にモモの枝で厄払いをする5節句のひとつ「上巳」(じょうし、じょうみ)と、女子が人形で遊ぶ「ひいな遊び」の風習が室町時代頃に融合したものと言われています。


古来、桃には邪気を払う霊気あると信じられ、イザナギノミコトがモモで雷神を追い払う古事記の逸話や桃太郎の鬼退治伝説もこれに由来しています。

また、多産、繁栄を表す女性のシンボルとも考えられていたようです。

尚、新暦3月にモモはまだ開花していないため、現代のひな祭りで使われるのは温室で促成栽培したものです。

◆観賞用、食用として本格的な栽培、品種改良が始まったのは明治時代に入ってからです。

食用は岡山県など、各地で風土にあった品種が多数開発された他、園芸種も八重咲きのものや、ピンク、紅、白など多彩な花色のもの、鉢植えに向くものや枝垂れ性のものなど、多くの品種が作られています。

園芸用語では、食用のモモに対し、特に観賞用に栽培する品種をハナモモと呼んで区別しています。

◉生育管理

日当たり、水はけの良い腐植質に富んだ肥沃な場所を好みます。

日陰ではほとんど育ちません。

耐寒性は強く、ほぼ全国で庭植えが可能です。

乾燥には比較的つよく、逆に過湿に弱い傾向があります。

植え付けには大きめに植え穴をとり、堆肥、腐葉土を十分にすき込み、やや高植えします。

3月~4月、10月~11月が植え付けの適期です。

移植にはあまり強くないので、植え替えは慎重に行うようにします。

生長が速く、苗木を植え付けて2年~3年で開花、結実します。

ただし、寿命は短く20年~25年で老木となり衰えます。

◉肥料

冬期に元肥として、有機質を主体にした堆肥にけい糞、油粕、骨粉を混ぜ、少量の化成肥料を加え、根元まわりに溝を掘り埋め込みます。

花後にお礼肥を与え、秋口に追肥とした、リン酸カリ分の多い化成肥料を成木で500㌘~1㎏ばら蒔きます。

早生種では、少し早めに5月中旬頃に行い、また晩年種では、6月~7月初旬が作業時期です。

同じ種類の肥料を与えるよりも、有機肥料と化成肥料を交互に与えるようにすると、花つきがよくなるようです。


◆病害虫

代表的な病気は縮葉病、黒星病や、果実に出る灰星病などがあります。

縮葉病
新葉に発生し、病気にかかった葉は縮れてウェーブをかけたようになり、葉の色も悪くなるので、葉をよく観察し発見します。

灰星病
果実が大きくなり、収穫が間もなくという時期に発生し、表皮が変色し果実が腐ってきます。

もちろん、果実は食べられなくなります。

★害虫は特にコスカシバ、カイガラムシ、アブラムシ、モモシンクイガ、モモゴマダラノメイガなど発生しやすい。

全体の防除として、花後に殺虫剤や殺菌剤を3~4週間おきに2~3回、さらに冬期に石灰硫黄合剤(冬期にしか使ってはいけない薬剤)を2~3回散布すると効果的です。

★剪定

樹勢が強く、徒長枝がよく発生します。

込み合ったふところ枝などの不要枝やひこばえと共に早めに切り取るようにします。

剪定の適期は、落葉期の1月~2月か花後にすぐです。

夏期も伸びすぎた枝は随時切るようにします。

ただし、老木になるのが早いので、年と共に強い剪定は控えめにしていきます。

※モモの殖やし方
実生、接ぎ木で殖やします。

実生は夏に取りまきにするか、低温湿砂で貯蔵し、翌春に赤玉土、川砂などの用土にまきます。

種子は完熟した実が腐りかける頃によく水洗いして取り出します。

接ぎ木は、充実した前年生枝をつぎ穂として春に2~3年台木に切り接ぎするか、新梢を夏に芽つぎして殖やします。

参考ブログNo.157
桃の幼果が落果するのは?