緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2020/07/23

カトレア NO.232

カトレア 洋ラン

洋ランを代表するカトレアは、花も大輪から小輪まで、花色も多数あって豊富です。

交配によって多くの品種が作られ、春咲き、夏咲き、秋咲き、冬咲きと一年中楽しむ事ができます。

カトレアは中南米産が多いため、性質も中、高温性のものが中心です。

四季のはっきりした日本で育てるためには、ある程度の設備が必要です。

原産地とは異なる温度や湿度、日差しの強弱を調整するため、ハウスか温室が必要になります。


カトレアには4つの属があり、それらを含めてカトレアと一般に言っています。

カトレア(C) ブラサボラ(B)  ソフロニチス(Soph)   レリア(L)
これらは、それぞれ特徴がある中南米原産品種です。

※それぞれの種類の頭文字で略して記号で表す。
例 C=Cattleya



大輪花は20㎝近いものから、小輪花は3~4㎝ぐらいまであります。

高い木の幹や枝、岩などに着生しています。

この属では属間交配を行い、新しい品種が作り出されています。

また、この中で大輪花の咲く種類を一般種といい、ソフロニチス、ロックレリヤのように、低温で育ち小輪花が咲く種類を、小輪種と呼んで分けています。

◉病気

一番怖いのはウイルスです。


これにかかってしまうとほとんど治りません。


株分けや植え替えの時は、刃物類を消毒し、鉢は新しい物を用意して、手もよく消毒してから作業を行います。

風通し、日照、湿度など一般的な事ですが、これが一番大事です。

花が咲く前後に温度が下がり湿度が高いと、花弁に小さなシミが発生します。


これは(ボトリジス)と呼んで、せっかく咲いた花が台無しになってしまいます。

湿度を高めにし、乾燥気味にして防ぎます。

◆軟腐病 (なんぷびょう)

病原体はバクテリア、傷口から侵入し、導管部で繁殖して養水分が地上部に行き渡らなくなり、青枯れ状態になる。

一度発生するとなかなか治療できません。


風通しをよくし、水やりを控え目にして、チッ素の多い肥料は避ける。

※チッ素肥料の与さ過ぎは多発の原因となる。


高温多湿を好む5月~9月頃に発生する。

薬剤散布も予防に重点をおきます。

散布液は、水1㍑に対しベンレート水和剤1㌘、トップジン1㌘、オルトラン水和剤1㌘を混ぜたものを散布し、病害虫の予防と同時に行いましょう。

★害虫類

空気が乾燥している時に発生する、ハダニに注意します。

水やりの時、葉の裏側にも霧のように吹いて少し湿気を与えます。

※発生した場合は、ケルセン乳剤の1000倍液で退治します。

※ナメクジは夜間に活動し、新芽や花を食害するので見つけ次第捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治します。


日中は鉢の底などに潜んでいるので、見つけたら駆除します。

◉管理と手入れ

一般種は、冬期の最低温度が15~16℃以上で育て、5月から10月までは屋外の半日陰(寒冷紗などを利用して50%ぐらいの遮光)の場所で育てます。

11月から4月、5月までは温度の保てるハウスや温室で育てます。
5月に入って、夜の温度が15℃以上になったら屋外へ出します。

約一週間で、徐々に外の環境に慣らしていきます。


小輪種は、冬期の最低温度が10℃前後で、一般住居の日当たりの良い場所でも育てられますが、夏は半日陰の場所で冬は保温設備のある場所で育てます。



(カトレアの花言葉は、優美な貴婦人、成熟した大人の魅力)

◆水やり

5月から10月の間は、屋外で雨に当てるか、晴天が続いて乾燥気味の時は、3日から5日おきに与えます。

梅雨時や台風シーズン、秋の長雨が続く時は、軒下やベランダなどあまり雨が多く当たらない所に置きます。


11月から3月の間は、温室内で14℃~15℃に保てる場合は、新芽が出始めるまでは、週1回、土が乾いてきたらたっぷりと水を与えます。

新芽が出始めたら、2日から3日おきぐらいに与えます。

普通の部屋で10℃以上の温度が保てない場合は、軽い霧吹き程度にして、鉢の表面が乾いてきたら軽く与え、多すぎない様にに注意します。

★肥料

基本的に、根がよく伸びる生育期に与えましょう。

新芽が伸び★バルブが肥大して根がよく活動する4月から6月に、油粕と骨粉を半々に混ぜ玉状にして鉢に置肥します。

固形肥料は7月上旬まで与え、その後は一切与えません。


★バルブ

ラン科の植物で茎が肥大したもの
熱帯地域の雨期や乾燥など、落差が激しい自然環境から身を守るため、水分や養分を蓄えている肥大部分。

着生ランは、バルブから根を出し、繁殖する。

また、生育中の春から秋には洋ラン用の液体肥料を薄めて、月に1~2回水がわりに与える。

油粕、骨粉など有機肥料は臭気が発生し問題になるので、清潔で臭気もない無機質肥料の液体肥料や、粒状化成肥料を使う。

その時、与え過ぎや濃度を間違えないように注意します。

また、花芽が出ている時は与えません。

◉植え替え

春咲きの品種や冬期咲きの品種など、咲く時期によって新芽の伸びる時期が違います。

植え替えをする時は、新芽が伸び始める頃の春が適期です。

水ゴケが傷む前に行うのが目安で、2年おき程度で植え替えを行います。

※新芽の伸びるスペースがないものや、生長が健全でないものは植え替える様にします。


鉢は通気性を考えて、素焼き鉢がいいですが、全体の株の大きさから考えてやや小さめの鉢を使います。

鉢の底には軽石などを入れて植え込みます。

★植え替えの手順として

①支柱を外して、ナイフで鉢と根鉢(根とそのまわりの土)をそっと離します。

株を中央に寄せる感じで行う。

②株を取り出したら、中心から徐々に古い水ゴケを取り除いていきます。

続いて、外側から上に向かって腐った根や古い水ゴケを取り除きます。

③葉のついているバルブを最低でも2~3株ずつつけて、切り離し鉢に植え込みます。

この時、株分けもできますが、新芽を痛めないように注意します。

ウイルス病の原因になります。

④バルブを保護している薄皮を取り除き、カイガラムシを予防します。

⑤新しい水ゴケを根の下からまわし、新芽のすぐ下まで丁寧に包み込みます。

⑥鉢底に軽石などを入れて、根の下から鉢の中に押し込み支柱を立てる。水ゴケは表面を固くし、底は柔らかくするのがコツです。

★植え替え後、株分け後は発根を待つ約2週間から20日は水を与えません。

根が出始めたら、水や固形肥料、液肥などを与えていきます。

★株分けの手順として

株分けは植え替えと同時にできます。

①鉢の中が二股に分かれ、最低でも3バルブずつを取り分けられるものが、株分けできる株になります。

②植え替えと同様に支柱をはずし、鉢から株を取り出します。

3つのバルブを残して、消毒したハサミで2つに切り分けます。

③水ゴケを中心部からほぐし、古い根や腐った水ゴケを取り除きます。

切断した部分には殺菌剤をつけましょう。

④株分けした株をそれぞれ、植え替えの時と同様に水ゴケを巻き、根を包み込んで、鉢底には軽石などを入れ鉢植えします。

※植え替えと同様に株分け後、約2週間は水を与えず、半日陰で管理します。


◆カトレアの各部の名称               



◉カトレアをはじめてする洋ランは、1~2年で徐々に周囲の環境に慣れるため、通常の管理温度より低くても栽培は可能です。

冬の間は乾かし気味に管理するのが基本ですが、つぼみがついたら極端に乾燥させないようにします。

毎日たっぷり水を与えます。(用土により調整する)

通常、1回に与える水の量は鉢の大きさと同じ容量ですが、寒いうちは鉢の半分ぐらいにします。

水不足のカトレアはつぼみが黄色くなり、そのまま萎んでしまいます。

日照時間が短い場合も花は咲きません。

一見よく育っているように見える場合も、バルブが衰えています。

注意が必要なのは暖房機、温風に当たるとつぼみが落ちてしまうことがあります。

更に、カトレアは小さい鉢で育てるのがコツです。

大き過ぎる鉢に植えると、根が張らず株の育ちが悪くなります。

シース(名称参照)からつぼみが伸びていて、花の重みで花茎に負担がかかっている時は、支柱を立てます。

シースもつぼみもできないという場合は、日照不足や肥料不足と思われます。








0 件のコメント: