緑のお医者の徒然植物記

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2021/08/16

葉の働き(葉総合) No,541

葉の働きは全ての生物のエネルギー源

あらゆる生物のエネルギー源は「緑色植物」の葉にある葉緑体(クロロフィル)という緑色の粒によって作られたものです。

葉緑体(ようりょくたい)のこの働きを「光合成」といいます。

光合成のしくみ

植物の大事な働きの一つに糖を作ることがあります。


植物は動物と違ってエサを食べないので、そのため自分の体を作ったり、生命を維持するための栄養分を自分自身で作り出しているのです。

光合成のエネルギーを利用して、植物の葉の中にある「葉緑体」と言う粒によって行われます。

1、光合成を行う細胞内小器官の葉緑体は、根から送られてきた水を酸素と水素に分解します。

2、酸素は気孔から外に出します。

3、気孔から取り入れた二酸化炭素と水素を結びつけて、糖を作ります。

4、できた糖は、葉脈から導管を通って植物の茎や根に蓄えられます。


        「葉の働き」

光合成は春から秋にかけて盛んに行われ、冬は非常に少なくなります。

これには日照時間と気温が重要な役割を果たしています。


植物も呼吸しています。

光合成によって作られた糖と、気孔から吸った酸素を結びつけてエネルギーに変え、二酸化炭素を放出、これを植物の「呼吸」といい、これは光合成と全く逆の反応です。


葉の内部では気孔を通して、光合成による二酸化炭素の吸収と、呼吸による二酸化炭素の放出が同時に行われますが、呼吸は光と関係なく一日中行われます。


光のエネルギーを利用して糖を作るので光合成は夜間には行われません。

夜間には呼吸による糖の消費だけが行われています。

日の出とともに光合成は始まって、すぐに呼吸による二酸化炭素の放出より、二酸化炭素の呼吸の方が上回るようになります。

光合成による二酸化炭素の吸収が呼吸による放出よりも多い時は、作られた糖が枝や茎に蓄えられていくので植物は成長してゆきます。


反対に、二酸化炭素の放出が吸収よりも多い時は、糖を蓄えるよりもエネルギーとして使われている方が多いので、植物は衰弱して行きます。

気温が高過ぎると光合成の働きは落ちることがあります。

これは、高温になると呼吸量が増えることや、葉からの蒸散量が多くなって体内の水分が低下するため、気孔を閉じてしまうからです。

展開したばかりの新しい葉は、まだ葉緑体の発達が完全でないことと、成長するために呼吸が盛んに行われるので、光合成でできた酸素よりも消費する酸素の方が多くなります。


葉が成熟するに連れて光合成の機能も高くなりますが、葉が老齢化すると機能は低下してしまいます。

針葉樹の葉

松のように針のような葉を持つ針葉樹でも、葉緑体があり、光合成が行われ気孔もあります。

たった一本の葉脈の中には、水と養分を運ぶ管(仮導管)と光合成で作った養分を運び出す管(師管)が通っています。

厚い表皮に守られた針状の葉は、環境への適応能力が高く、そのため針葉樹は熱帯から極寒地方まで広く分布しています。


蒸散作用

蒸散は植物の表皮の外側、植物によっては裏側から行われますが、ほとんどは葉の気孔を通して行われます。

蒸散により水分が放出され、葉が水分不足になることで植物が、根から水を吸い上げる力となっている。

落葉樹は春から秋にかけて非常に高い光合成能力を持っていますが、蒸散も盛んに行われます。

冬になると根の活動が鈍って吸水量が少なくなります。

この時、葉が春や夏と同じように蒸散を続けていると体内の水分が不足して、樹が衰弱してしまいます。

落葉樹は、それを防ぐために落葉すると考えられています。


 葉の気孔について

気孔は高等植物の葉に分布し、植物体と大気とのガス交換を行う器官で、一般には葉の裏側に多く分布するが表側にも分布する。

イネ科のような植物では、表裏に大差なく分布する植物もあるが、裏側のみ気孔の分布する植物もある。

イネ科は古くは禾本科(かほんか)又はホモノ科や揺れる草とも呼ばれ、おおよそ700属と8000種が属する被子植物です。


         「気孔のしくみ」


気孔は孔辺細胞=こうへんさいぼう(植物の気孔の周囲にある表皮細胞)と呼ばれる半月状の2個の細胞が向き合った孔(突き抜けた穴)をつくり、それに隣接する副細胞の働きとともに孔隙(こうげき=すきま)の大きさを変化(開閉)させる事で大気とのガス交換を調節している。


気孔の開閉は、大気と気孔腔内(呼吸室)におけるガスの拡散経路に当たって、大きな抵抗となるので「気孔抵抗」と呼ばれる。

気孔を通じて大気から二酸化炭素(CO2)が、光合成の原料として植物体に取り込まれるのに対し、多くの水蒸気が大気中に排出される。


★二酸化炭素は、炭素の酸化物の一つで化学式がCO2(シーオーツー)と表される無機化合物である。
温室効果ガスであり、地球温暖化対策の文脈では本来、炭素そのものを指す「カーボン」と略される場合もある。
気孔が葉の面積に占める割合は0.3〜3%と言われています。




葉の面積の1%に相当する気孔を通じて、大気に放出される水蒸気の量は、葉全体が濡れている場合の27%に当たることが試算されています。

また、葉が揺れているとこの値は更に大きくなる。

葉の大部分は水分であり、比熱は水と大差ないが葉が薄いため熱容量は小さく、太陽放射を吸収すると短時間に周辺大気より数℃葉の温度が上昇する。


葉温が上昇することにより、気孔腔内の飽和水蒸気圧は高まりこれにより、蒸散量は更に増大する。


★飽和水蒸気圧とは、空気中の水蒸気が最大限まで満たされた時の水蒸気が占める圧力のことで、温度が上がると大きくなる。

日射のない状態の夜間では気孔が閉じて蒸散量は激減する。

日の出後、葉は太陽放射をうけ光合成を開始すると、葉肉内の二酸化炭素濃度が低下するため、大気中から二酸化炭素を採り入れるために気孔開度を大きくする。

この時点で太陽放射を吸収し、葉温が上昇しているので、気孔腔内における水蒸気圧と大気の水蒸気圧との差が拡大し、蒸散速度は大きくなる。


気孔を通じて放出される水蒸気量に相当する水分は、根から葉脈を通じて供給されていますが、強い日射があり続けると葉肉内での水分の供給が不足気味になり、水分ストレスが生じると気孔は閉じてくるので、光合成の原料である二酸化炭素の供給も制限される。


この結果、太陽放射をが十分あるにも関わらず、午後になると植物の光合成速度は低下することがあり、これを「植物の昼寝現象」という。


一般の植物において、気孔開度は葉の水分の潜在する力と平行している場合が多いが、乾燥地帯の植物であるサボテン、パイナップル、ベンケイソウなどの肉厚葉を持つ多肉植物は、光合成に必要な二酸化炭素の供給を、太陽放射の強い昼間に気孔を通じて行っていたのでは、気孔からの水分損失が大きいため生存が不可能となる。

そこで、このような植物は蒸散速度が比較的低い夜間に気孔を開き、二酸化炭素を気孔腔内から葉肉に取り込むなどの、二酸化炭素の固定回路を備えている。

これを「CAM型光合成回路」という。

植物にとって気孔開閉による体内水分の調節は、その生存に関わる重大なことと言えるが、これは孔辺細胞の膨圧の変化によることが明らかにされている。

★CAM型光合成回路とは、砂漠などの多肉植物や同様に水分ストレスの大きな環境に生息する、着生植物に多く見られる光合成の一形態である。


        「ベンケイソウ」


多肉植物のベンケイソウは元々日本で自生していた植物であるが、しかし現在は「オオベンケイソウ」と呼ばれる中国産の品種を指すのが一般的です。


植物と動物の共存

植物の葉は水と二酸化炭素を原料にして、糖と酸素を作り出しています。

人や動物はこの酸素を呼吸して、二酸化炭素を吐き出して生きています。

そして、糖は全ての生命が活動するためのエネルギーとなります。

植物の葉は、地球上で動物が生きて活動して行くために最低限必要な条件を作り出すと言う、大変重要な働きをしています。

植物にとっても動物は、呼吸によって光合成に必要な二酸化炭素を放出してくれるのですから、互いに無くてはならないものなのです。

いま、地球規模で環境破壊や温暖化など自然環境の問題が深刻ですが、人間以外の生物の存在は必要不可欠であり、環境破壊をする事は人類滅亡の危機でもあると言えるだろう。

この事を更に認識し、人類は行動を改めなければならない所に来ているのではないでしょうか。