ネコブセンチュウ
センチュウ類は、動物の体に寄生する回虫などと同じ 種類の生物です。
作物以外の植物に寄生するものにも多くの種類がいます。
体長は大きくても1㎜程度で、肉眼では見えません。
寄生する場所は種類によって異なりますが、寄生されると植物の成長が衰え、やがて枯死してしまいます。
★ヒトの体内に寄生する回虫と同じ種類の生物であるため、植物にもヒトと同じように寄生虫がつくことを覚えておく必要があります。
さつまいもの連作では、根にネコブセンチュウが発生しやすい。
ネコブセンチュウは土壌中に存在するセンチュウ類の一種で、一般的な土壌には数百から数千種類のセンチュウ類が存在しています。
その内、農作物に被害をもたらすのは主に、ネコブセンチュウ、シストセンチュウ、ネグサレセンチュウの仲間等の仲間に限られます。
さつまいも栽培で最も注意するのがサツマイモネコブセンチュウで、このセンチュウは北海道南部から沖縄まで広く分布し、特に温暖な気候を好みます。
ネコブセンチュウでは、栄養不足などの悪環境下で雌が性転換し、雄の比率が高まる。
サツマイモネコブセンチュウの寄生範囲は700種を超え、サツマイモ、ニンジン、キュウリ、トマト、ナスなどに加害する。
ネコブセンチュウ類は土壌中に卵があるため、一度発生した栽培地では、土壌中のセンチュウ密度を減らす対策として土壌消毒が効果的となります。
太陽熱による土壌消毒も高い効果がありますが、土壌が高温になりにくい時期や栽培地域では効果が望めないので、農薬による土壌消毒が主になります。
有効な農薬として、バスアミド微粒剤、土壌くん蒸剤のダブルストッパー、テロンなどがあり、どちらもかなり多くの作物に適しています。
また、土壌消毒後、播種前には土壌へ殺虫剤を混ぜ合わせると更に効果です。
有効な農薬を播種や定植前の作物ごとに、決められた時期に全面土壌に散布して混ぜ合わせます。
薬剤は栽培する作物に適用登録がなされているのかの確認が必要です。
ネコブセンチュウ類の対抗植物
作物の収穫後、次の作付けまでに対抗植物を植えることでネコブセンチュウ類の土壌中密度を下げ、被害を抑える事ができます。
栽培地の環境に適した対抗植物を選ぶことも大切です。
センチュウに効果を発揮する植物は
イネ科のギニアグラス、ソルゴー
マメ科のクロタラリア、コブトリソウ
キク科のマリーゴールド
★ギニアグラス
暖地型牧草のギニアグラス(ナツカゼ)は、土壌中のネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ等の抑制効果の高いことが立証されている植物です。
また、残存肥料を吸収し、塩類濃度を下げる効果もあることから、野菜栽培地の連作障害回避植物として注目されている。
マメ科のサンヘンプ、クロタラリア、スペクタビリア
★サンヘンプ
マメ科の熱帯アジアの植物で、一般的にはインドが発祥とされる。
麻の代用として紐などを作るため古くから栽培され
、木化繊維の供給源として利用されてきました。
道端に雑草のように生え、本州ではほとんど見かけることがない。
キク科のマリーゴールドなど
★マリーゴールド
マリーゴールドの根からはネグサレセンチュウを殺す成分が出ています。
殺線虫物質の一部、糸状菌、細菌、昆虫等に対しても活性を有する。
ミナミネグサレセンチュウ
被害は成虫、幼虫が細根及び塊根に侵入し、加害する。
塊根(かいこん)とは、植物の根や幹に水分や栄養を蓄えるように進化したもの(貯蔵根、幹)
最初は淡褐色の小斑点になるが、次第に大きな褐色斑点となり、やがて根全体が褐変する。
関東以西ではミナミネグサレセンチュウによる加害が大きく、サツマイモやサトイモで被害が出る。
センチュウの多くは地温10~15℃で活動を始め、最適温度は20~30℃です。
最適条件下で1世代は30~40日程度とされ、暖地では年に3~4世代が繰り返されると考えられ、条件がよければ爆発的に増殖する。
更に、施設栽培やマルチ栽培のような加温条件下では世代交代も一層早くなります。
加温条件下では、初期密度が低い状態でも収穫終了時には高密度となり、被害も大きくなっています。
深さ10~30㎝の土層を中心に生息し、密度がかなり高くなるまで地上部には病状をあまり示さない。
気がついた時にはセンチュウが蔓延した状況であり、亀裂を伴う、奇形、収穫量の減少、品質の低下などすでに作物に影響を与えている。
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