緑のお医者の徒然植物記

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2021/03/16

シナノキ No,406

 シナノキ シナノキ科

科の木
原産地=日本

北海道から九州にかけて山地に分布する。


落葉高木で、ヨーロッパなどに自生するボダイジュ類と混同して、「菩提樹」と呼ばれる事がありますが、和名としては「シナノキ」が使われます。

名前の由来は、樹皮が「シナシナしている」からとする説と、アイヌ語で「縛る、結ぶ」を意味する「シナ」からとする2説などがある。

長野県の古名である信濃は古くは「科野」と記したが、シナノキを多く産出したからではないかとも言われている。

よく似たボダイジュと同じく蜜源植物で、香りの良い花からハチミツが採れる。

山地に生え大木になるが、15年ほどのサイクルで伐採され、古くから樹皮の繊維などが利用されていた。

樹皮の繊維質が強いので昔は布を織ったり、縄を編んだりするのに使われた。

シナノキの樹皮は、古くから野良仕事着など、生活用品として利用され、古くは全国で生産された「しな布」の原料です。

三大古代織り布の1つで、その他に「芭蕉布」と「葛布」がある。

現在は、帯、のれん、バック、帽子など、工芸品として生産されている。

現在、主な「しな布」の生産地は、新潟県村上市や山形県鶴岡市の2地域のみとされる。


                          「シナノキ」


                                  「しな布」


✣芭蕉布(ばしょうふ)
芭蕉布は多年草「イトバショウ」から採取した繊維を使って織られた布で「蕉沙」とも呼ばれる。

沖縄県及び奄美群島の特産品。

                            「イトバショウ」

                                    「芭蕉布」

✣葛(くず)布
植物のクズの繊維を紡いだ糸から作られた織り布。

静岡県掛川市の伝統工芸。

                                       「クズ」

                                       「葛布」


✫類似種

オオバボダイジュは葉の径が10cmを超える大型の葉で、山地で見られます。

ヨーロッパ原産のフユボダイジュ、ナツボダイジュ類は、数品種が日本に導入されています。


✻生育環境

若木は日陰に耐えますが、高さ3㍍前後を超えると、日当たりの良い事が大切です。

やや湿り気がある土壌が最適で、水はけが良いことが大切です。

寒さに強い樹種で寒冷地にも適します。

風当たりが強い所では、葉が傷んで秋の黄葉が楽しめません。


❆病害虫

暖地では、カミキリムシ類に幹や枝を食害されやすい傾向があります。

ヨーロッパ系のボダイジュ類では、葉を傷めるハマキムシに注意します。

実生、挿し木で殖やします。