緑のお医者の徒然植物記

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ラベル #マツの害虫、#マツ材線虫病、#線虫病 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025/01/21

マツの害虫② No,751

 マツ材線虫病

マツ材線虫病(英名:pine wilt diseasc)とは、マツ属(学名:pinus)を中心としたマツ科樹木に発生する感染症である。

病原体は北米原産で、日本を含むアジアやヨーロッパのマツ類に枯死を伴う激害をもたらしています。


日本における病害の汚染地域は徐々に拡大し、2010年以降は北海道を除く本州以南の46都府県すべてで確認されています。

関係者の間では「松枯れ」と呼ばれることが多い。

行政用語として「松くい虫」が用いられています。

世界三大樹木病害とされるニレ立枯病、クリ胴枯病、五葉松類発疹サビ病にマツ材線虫病を加えて、世界四大樹木病害と呼ぶことがあります。

また、外見上類似した病害として、ナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病)がある。


症状と診断

典型的な症状としは、真夏から秋にかけてそれまで正常であったマツの針葉が、急速に色あせて最終的に褐変する。

針葉の褐変は症状の最終段階であり、それに先立って外見は正常のまま樹脂(いわゆる松脂=まつやに)の滲出(しんしゅつ)が減少する。

線虫病

健康なマツは、幹に傷をつけると大量の樹脂を傷口に分泌するが、この病気を発病したマツは樹脂の量が著しく減少し、全く出ないことが多い。

このため、早期の診断には幹にピンを刺したり、ポンチで穿孔(せんこう=穴をあける)したりして、樹脂滲出異常の有無を調べます。

この簡易判定方法は、発見者の「小田久五」に因み「小田式判定法」「小田式健全度判定」などと呼ばれています。

発病した個体の幹には多数の穴が見られることが多い。

これはこの病気に限ったことではないが、マツが衰弱してくるとキクイムシとカミキリムシが集まってくるためです。

条件によって典型的な経過とならず、樹脂滲出が止まっても外見が正常のまま、翌年まで生存することがあります。

冷涼な地方ではこのような過程を辿る個体が温暖な地方より多い。

これらの個体は翌年の春から初夏に枯死して「年越し枯れ」と呼ばれたり、更に遅れて通常のマツ枯れシーズンに至って枯れて「潜在感染木」と呼ばれることもあります。

仮道管の閉塞が原因で枯死

仮道管の閉塞の原因は、線虫や細胞による物理的な管の詰まりではなく、「キャビテーション」と言う現象によって細い管内に気泡が発生するすることによって、管内部に空洞が形成されてこの空洞が栓の役割を果たして樹液の流れを妨げることで起きる。

針葉樹には道管がなく仮道管だけが水の通路となっています。


ガスエンボリズム=気体塞栓症が、継続的に発生していることが明らかになっています。

キャビテーションによる仮道管の閉塞自体は健全な個体でも乾燥時などに見られますが、症状が一時的であればそれは可逆的なことです。

可逆的とは、一度変化した状態を元の状態に戻すことができる性質、機能のことで、キャビテーションは液体中に圧力が低下して気泡が発生する現象をいう。

なぜ、継続的なキャビテーションが発生してしまうのかは分かっていません。

キャビテーション、エンボリズムの診断方法として、着色溶液をマツに吸わせてから切断して、断面を観察するという古典的方法の他にも、水が途切れる際に発生する音の一種「アコースティック·エミッション」を観察するという、「非破壊的方法」が提案、実用化されており、蒸散速度や光合成速度の低下を観察するという従来からの「非破壊的方法」に加えて、このような面からも樹木の水分異常を観測できるようになっています。

線虫は病原性を持ち、松を枯らすことができますが、他のマツへの移動手段を持っていません。

移動を手助けしているのがヒゲナガカミキリ属のカミキリムシです。

線虫は蛹(さなぎ)室内にいる新成虫カミキリムシの気門に侵入し、蛹から脱出したカミキリムシと共に他のマツに移り線虫も移動出来る。


松くい虫に効く薬

①樹幹注入剤グリーンガード
②ベニカマツケア
③マツグリーン液剤2