緑のお医者の徒然植物記

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2021/03/12

ヤマグルマ No,402

 ヤマグルマ 

ヤマグルマ科 別名=トリモチノキ

✻分布地
本州(山形県以南)四国、九州
沖縄、朝鮮半島南部、中国南部
台湾

ヤマグルマは常緑広葉樹の1属1種山形県以南の岩場や急な斜面に自生する。

植栽への利用としては北海道南部以南です。

名前は、葉が枝先に車輪状に集まって付くことに由来し、樹皮から鳥もちを作っていた事から「トリモチノキ」とも呼ばれる。

普通の被子植物は道管と仮道管を持っているが、ヤマグルマ科は道管を持たず、仮道管だけで水分を運ぶ「無道管被子植物」として知られている。

無道管被子植物は、裸子植物やシダ植物と同様に仮道管だけを持つ。

被子植物のうちでも原始的な仲間であると考えられている。

静岡県中伊豆町天城山中の、登山道の脇にある急斜面の岩場に生育するヤマグルマは、根が大きな岩を掴むように張り、幹は立つと言うより大枝ごと曲がりながら、ほとんど水平の方向に伸びている。


     「天城山中のヤマグルマの樹」

幹の直径は1㍍をゆうに超え、巨樹によく見られる独特のうねりがあります。

常緑樹の中では「アオキ」と同様に耐寒性が強いので、常緑広葉樹の少ない地方では利用したい樹種の1つである。

南の島では大木になるものが多く、太さが1㍍を超えるものも珍しくない。

樹皮は老木になるとコブ状のゴツゴツとした木肌となる。

花は黄緑色だが、多数が穂のように咲くのでよく目立ちます。




✻ヤマグルマ(屋久島)

屋久島では、沖縄のガジュマル、五島列島のアコウ同様に、「絞め殺しの木」として知られる。


              「沖縄、ガジュマルの木」


      「五島列島、奈良尾のアコウ」


屋久島は、ブナ林のような落葉樹を主とした、森林になるような気候である。

だが、屋久島ではブナの木が見られず、屋久杉と常緑広葉樹のヤマグルマが優勢で、冬も緑の森が広がる島です。

屋久島では「倒木更新」と呼ばれる現象で、光が当たりやすい倒木の上に若木が成長していく。


                 「屋久島のヤマグルマ」

老木ばかりで死に絶えてしまう様な事はなく、世代交代が繰り返されて森林が維持されている。

60mを超える風や、1日1000ミリもの雨が降る事もある屋久島では、倒木や土砂崩れが頻繁に起きます。

災害と言える森林破壊ですが、この現象(倒木更新)が若い命を生み、森林生態系を作り出しています。


江戸時代に伐採された切り株も多く、その切り株から次の世代の屋久杉が生まれている。

この現象は「切り株更新」と呼ばれているものです。


  「江戸時代に伐採された切り株」


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