緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/05/17

ヒメリンゴ (姫林檎) No.219

ヒメリンゴ バラ科リンゴ属落葉樹

原産地 日本 中国 別名イヌリンゴ

ズミとリンゴの交配で作られた園芸品種

植物学上の正式和名はイヌリンゴですが、果実がリンゴをそのまま小さくしたようである事から、ヒメリンゴの名で親しまれています。




樹高は6~8㍍になりますが、比較的に整姿しやすいことから、庭木のほかにも鉢植えや盆栽などに幅広く利用されてます。


花はつぼみの時はピンク色で開花するに従って白くなります。

4月から5月中旬にかけて5弁の花が集まって咲きます。

鈴なりの果実は、長い期間鑑賞できるため、盆栽界では実もの盆栽として珍重されています。




自家受粉しにくい傾向があるため、結実を促すには開花期に綿棒などを使って、人工受粉するか、複数の株を植える必要があります。

盆栽では、同じリンゴ属のカイドウを一緒に栽培して受粉させることが多い。

庭木でも近くにカイドウを植えていると、実つきがよくなるようです。

きちんと受粉さえすれば実つきは非常によく、樹高50㎝ほどの盆栽で200個以上の結実が望めます。

果実は、ピンポン玉ほど大きくなるものは食べられますが、それより小さいものは酸味が強く、美味しいとは言えません。

果実酒にするとピンク色になり、ビタミンを豊富に含んだ健康ドリンクとして楽しめます。

◆生育管理

日当たり、風通しのよい腐植質に富んだ場所を好みます。

耐寒性、耐暑性はともに強く、北海道から九州に至る全国で庭植えが可能です。

たくさんの開花を促すには、日照が第1の条件になります。

★植え付け、移植

植え付けの適期は、新芽が芽吹く直前の3月頃ですが、10月から11月にもできます。

植え付けは、大きめに掘った穴に腐植土や完熟堆肥をすき込み、やや高植えにします。

樹高の伸びに比べて、幹の太り方が比較的遅いので支柱で支えます。

◉肥料

2月頃に寒肥として、鶏ふんなどをすき込むか、実つきをよくするために、6月と9月頃に油粕や骨粉などを幹と一番張り出した枝先の中間辺りの周囲に浅くすき込みます。




◆生育環境による病気

植栽環境が悪いと新葉が萎縮する縮葉病や、葉に褐色の小斑ができる炭素病などが発生することがあります。

その場合は、早期のうちに病葉を処分し、ベンレートなどの殺菌剤を散布して防除します。

◉剪定、整姿

基本樹形は一本立ちですが、1㍍ほどの高さで苗木を切り戻し、主枝を3本伸ばしてそこから副枝をたくさん伸ばすと、狭いスペースで多くの結実を促すことができます。

花芽は充実した短い枝につきます。

徒長枝は1月~2月頃に付け根付近の4~5芽を残して切り詰めます。

細い枝や逆さ枝などもこまめに付け根から切り取り、風通しをよくします。

★殖やし方

実生、接ぎ木で殖やします。

リンゴ属の種子は、一度冬の寒さを経験させた方が発芽率がよくなるので、実生は10月頃に完熟した果実から取り出した種子を、乾かないうちに蒔き戸外で管理します。

用土は赤玉土、ピートモスなどの混合土や種まき専用培養土

乾燥に注意しながら管理すると、翌春に発芽します。


接ぎ木は、充実した若枝を10~20㎝に切り、5~10㎝のつぎ穂を2本とります。

ズミ、リンゴなどの台木に切り接ぎにし、活着するまで空気穴を開けたビニール袋をかけて管理します。
接ぎ木の適期は3月です。







2020/05/16

アンネのバラに込められた思い No.218

アンネのバラに込められた思い

「アンネの日記」の著者として知られる
ユダヤ系ドイツ人の少女
アンネリース·マリー·フランク
(1929年6月12日生)

オランダにやって来てドイツによる

占領時に、隠れ家で暮らした日々について

綴った日記、13~15歳までつけていた

日記(アンネの日記)。

五歳になるまで、アンネはフランクフルト

郊外のアパートに、両親と姉(マルゴット)

と共に住んでいました。

1933年ナチスが権力を握った後

仕事上の事で父親オットー·フランクは

アムステルダムに亡命しました。

その後残りのフランク一家も

オットーに続きました。

アンネは祖父母の元に滞在した後

家族の最後の一人として

1934年2月にアムステルダムに到着した。

ドイツ軍は1940年5月にアムステルダムを占領。

ドイツ当局者は、ドイツ軍占領下の

ポーランドにあるアウシュビッツ·ビルケ

ナウ及びソビボル絶滅収容所に

ユダヤ人を移送しました。

アンネとその家族はアパートでの

潜伏生活を余儀なくされ、2年間個人経営

会社の事務所裏にある、秘密の

屋根裏アパートに住んでいました。

このアパートのことを、アンネは日記の中

で「秘密の隠れ家」と呼んでいました。


 
(アンネ·フランク)


父親の友人や同僚は、自らの命を危険にさ

らしながらも、フランク一家のために事前

に、隠れ家の準備を手助けし、食料や衣類

を持ち込んでいました。


1944年8月4日、匿名のオランダ人からの

密告を受けたドイツ秘密警察はこの隠れ家

を発見しました。

1ヶ月後、フランク一家と一緒に潜伏して

いた4名(ユダヤ人)はドイツ占領下のポー

ランドにある、絶滅収容所のアウシュビッ

ツ行きの列車に乗せられました。


まだ若かったアンネと姉は、労働力として

選別され、ドイツ北部のベルゲン、ベルゼ

ン強制収容所に移送されました。

その後、アンネと姉はベルゲン、ベルゼン

収容所を解放するわずか数週間前にチフス

のため、この世を去った。


まだ15歳と言う短い生涯だった。

アンネの父親オットーだけが、家族の中で

ひとり、この戦争を生き延びたのです。

アンネ·フランクは、ホロコーストの犠牲

となった100万人以上の子どもたちの失わ

れた約束の象徴となったのです。



◉ホロコーストとは
ギリシャ語で「すべてを焼き尽くす」と言う意味

ナチス·ドイツ政権と協力者による、ユダ

ヤ人の組織的、官僚的、国家的な迫害及び

大量虐殺(約600万人)を指す。


        ①(アンネのバラ)


自然を愛し、特にバラが好きだった

アンネ·フランクの「形見」として

捧げられたのがアンネのバラである。

ベルギーのバラ育種家であるヒッポ

リテ·デルフォルヘ氏により作出された。


★咲き始めから咲き終わるまでの間

花色が変化する。

生育環境により、七色にも変化するとても美しいバラです。

秋に咲く状態が個人的には好きです。


                         ②(アンネのバラ)

1960年
souvenir  d'Anne Frank(アンネ·フランク

の形見)として品種登録された。

品種名 スブニール·ドゥ·アンネフランク

日本ではアンネのバラ、アンネの思い出と

呼ばれている。


        ③(アンネのバラ)

日本には、1972年のクリスマスの

日にアンネの父親オットー·フラン

ク氏より寄贈された。


◉アンネのバラ教会
世界で唯一のアンネ·フランクを記

念し資料館を運営する教会である。

資料館には、アンネの父親から寄贈

された、アンネの貴重な写真類に加

ほとんど現存していないアンネの

遺品を所蔵している。


                       ④(アンネのバラ)

庭にはアンネ像を囲むようにして

アンネのバラが植えられている。

アンネのバラ教会
兵庫県西宮市甲陽園西山町4-7

世界平和を願うすべての人々の象徴

としアンネのバラが愛されることを願う。

心を込めて世界へアンネの憧れを胸に………

✿年間の記録写真として

         「アンネのバラ3月5日撮影」






酸性化について考えて見よう No.217

酸性化と植物環境

酸性雨

大気中には354ppmの二酸化炭素が含まれている。

これが大気中に浮遊しています。
雲粒や雨粒に溶けると、弱い酸性を呈する。

大気中の二酸化炭素が雨に溶けて、平衡に達した時のpHは5.6~5.7で弱酸性。

ところが、硝酸や硫酸などの汚染物質を含んだ雨は、pHが3~4あるいはそれ以下になることがある。

pHの値が5.6よりも低い雨は、酸性雨と呼んでいる。

酸性雨による被害は、世界各地で森林被害や湖沼の酸性化として現れている。

日本は雨が多いため土壌が酸性化しやすい。

年間降雨量が1000㎜を超える地域では、土壌が酸性化する。

◉酸性ミスト(大気汚染物質)
大気中に浮遊している液体粒子状物質の1成分で、硫酸イオンや硝酸イオンなどを含み、それ自体が酸性になっている大気汚染物質のことをいう。

酸性ミストは、科学的に活性が強いため、人間や動物に有害である。

◆土壌酸性化の原因

アンモニアイオンやカリウムイオンは、作物に養分として吸収されるが、硫酸イオンや塩素イオンは作物にあまり吸収されずに、硫酸や塩酸などの強酸となって、土壌中に残るので土壌が酸性化してくる。


さらに、アンモニアイオンの一部は土壌微生物の硝化作用によって、硝酸イオンに変わる。

この硝酸イオンは、それ自体でも酸性化の要因となる。


また、土壌に吸着されないで水の浸透に伴って根系外へ流亡する。

その時にカルシウム、マグネシウム、カリウムなども一緒に流れ出すので土壌が酸性化しやすくなる。

土壌内部で生産される酸の代表は、土壌生物や植物根からの炭酸及び、クエン酸、ショウ酸、フルボ酸などの有機酸である。

干拓、耕地造成、客土などの際に、その土壌に硫化鉄が含まれていると、酸化されて硫酸が生成、土壌が酸性化することがある。

硫黄温泉や鉱山の廃水を灌がい水として用いた場合や、工場🏭から出る排煙に、酸性物質が含まれている場合に、局地的な土壌の酸性化が起きる。




土壌が酸性になるとアルミニウム、鉄、マンガンなどが活性化して、土壌溶液中に解離してくる。

カルシウム、マグネシウム、ホウ素、モリブデンが不足し、リンもアルミニウムと結合して不溶化する。

※そのために作物の生物は著しく阻害される。

また、土壌の保肥力も小さくなる。

◉酸性肥料

※水溶性が酸性を呈する肥料のことをいう。
①過リン酸石灰(遊離酸)

②重過リン酸石灰(遊離酸)

③リン酸アンモニウム(酸性塩)

④グアニル尿素(強酸と弱塩基の塩)

土壌に施された後、植物に吸収されずに残る副成分などによって、酸性化したりアルカリ性化するものがある。

そのため、すべての酸性肥料が土壌を酸性化させる訳ではない。

また、畑地では肥料に含まれる硫酸根や、硝酸性(態)窒素(速効性窒素)の蓄積によっても酸性化する。

このため畑地では、有機物の補給とともに、酸性改良は重要な管理法である。

★硫酸根
水田の基肥には適さない。
多量施すと濃度障害を起こし、吸湿性が強いので保管には注意がいる。


オリーブ モクセイ科 No.216

オリーブ 常緑樹

和名カンラン(橄欖)

原産地は、地中海東部沿岸から小アジアにかけての地域で、地中海沿岸全域のヨーロッパ、北アフリカに幅広く分布しています。

五千年以上前から栽培されていた、人類と関わりの深い果樹です。

人類最古の栽培植物の一つと言われ、紀元前三千年頃にはすでに、クレタ島やシリアで栽培されていたとの記録がある。

今では、地中海沿岸の他、インド、北米、南アフリカ、オーストラリアなど世界的に栽培されています。

品種の数は1000以上に上ると言われています。

果実や油がヨーロッパ料理に欠かせないほど、多く用いられている。

国連旗のデザインにも使用されるなど、欧米人にとって極めて重要な植物になっている。

樹高(直立)は7~10㍍に達します。

5月から6月に乳白色の小さく可憐な花が咲き、芳香を放ちます。




果実は最初緑色で、10~11月頃に完熟して黒紫色になります。




日本には安土、桃山時代にポルトガル人の宣教師がオリーブ油を持ち込んだのが最初で「ほるとの油」(ポルトガルの油の意)と呼ばれていました。

江戸時代末期に苗が伝わり、明治に入ってから香川県、岡山県などの瀬戸内海沿岸地域を中心に、オリーブ油の採取を目的とした栽培が始まりました。

香川県小豆島や岡山県牛窓町は、オリーブの名産地として知られており、オリーブは香川県の県花、県木に指定されています。

★1年を通して日当たり、水はけのよい場所を好みます。

日照時間が長いほど、開花結実がよくなり、日照が悪いと枝が細り生育もよくありません。

乾燥に強く丈夫な樹種ですが、高温多湿を嫌います。

梅雨期は排水に十分注意して管理します。

耐寒性は比較的強く、乾燥気味に管理して土の凍結を防げば関東地方までは、庭植えで越冬可能です。

◉植え付け

酸性土壌を嫌うため、植え付け時は10日ほど前に石灰を土にすき込み、弱アルカリ性土壌にします。

植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土などを十分にすき込み高植にして支柱で支えます。

植え付けの適期は3月~4月と9月~11月です。

東北、北海道地方では鉢植えにし、冬は室内に取り込みます。


自家受粉出来る品種もありますが、大半が自家不結実性なので、果実を収穫したい場合は、別品種の株を近くに植える必要があります。

◈花粉量の多いネバジロブランコなどを受粉樹として隣植するとよいでしょう。

★ピクルス用の樹木として
マンザニロ、セビラノなど

★オリーブ油用の樹木として
ルッカ、ミッション、ネバジロブランコなど

★ピクルス用の品種には、実が黄緑色の状態で収穫するものと、紅紫色に熟してから収穫するものがあります。


単植でも収穫が望める品種はセビラノ、ミッション

◉肥料
庭植えは、毎年2月根回りに溝を掘り、配合肥料を200~300㌘埋め込みます。

生育状況に応じて、9月頃に同様のものを追肥します。

鉢植えは、4月に玉肥を4~5個置き肥し、収穫するようになったら、果実肥大期の6月と収穫後の10月に2個追肥します。

◆剪定、整姿

◈庭木としてのオリーブは、自然樹形で育てます。

生長は比較的遅いので、苗木を育成中のオリーブは特に切り戻しなどの剪定は行いません。

成木は徒長枝や弱々しい枝を根元から切り落として整姿します。

大きくなると強風などで倒れることごあるので、樹冠の上部が重くならないようにし、必要に応じて支柱をつけます。

込み入った枝も切り取りし、風通しをよくします。

◈鉢植えは樹形が出来るまで切り詰め剪定で枝を出し、主枝ができたら徒長枝、密生枝、弱小枝などを間引き剪定して樹形を保ちます。

◉果実管理

小果が多数けつし、隔年(一年おき)結果の習性があるので、結果数が多い場合は、混んでる場所を適当に摘果してやると大果に育ち、隔年結果も防げます。

◆病害虫

灰そ病の予防のため、発芽前の2月に石灰硫黄合剤10倍液を散布します。

オリーブゾウムシが発生したら、マラソン乳剤1000倍液を散布して駆除します。


✪オリーブオイル
オリーブオイルは、果実から得られる生のジュースのようなものと例えられます。

それだけに果実の状態がストレートに品質に反映されやすく、収穫品質に大きく影響を与えます。

オリーブの実は緑色からだんだんと赤味を帯びて、紫、黒色に熟し、熟せば熟すほど油分は多くなります。

世界的な傾向として近年では、高品質のエキストラヴァージンオリーブオイルを得るために、緑色の若い実を収穫する「早摘み」が主流となっている。








2020/05/15

グミ No.215

グミ グミ科

原産地、日本産13種、ヨーロッパ南部、北アメリカ

落葉性と常緑樹がある。

落葉性は耐寒性が強く全国で庭植えができる。

常緑性は耐寒性が弱いので関東地方以南が適地です。

落葉性のグミはほとんど全国で栽培でき、花は4月から5月に咲き、結実は6月から7月になる。

常緑性のグミは、花が10月から11月に咲き、幼果で越冬して、翌年4月から5月に熟す。


◉落葉性のグミ

トウグミ(別名/ダイオーグミ、ビックリグミ)

ナツグミ、アキグミ、マメグミ、ナツアサドリ、ニッコーグミなど

◉常緑性のグミ

ナワシログミ、ツルグミ、マルバグミなど

日当たり、水はけがよければ土質を選ばず育ちます。

庭植えは、1月から2月に根回りに配合肥料を50~80㌘まき浅くすき込みます。

鉢植えは、赤玉土6、腐葉土3、川砂1の混合土に植え、日当たりのよい場所へ置きます。

3月に玉肥を3~4個置き肥します。
植え付け移植の適期は3月頃



◆剪定

立ち木性の種類は主幹仕立てにしますが、場所が広ければ、双幹仕立てにしてもよいでしょう。

徒長枝や混み合った枝を間引き剪定し、結実する位置が上へいかないように制限します。

ツル性の種類は垣根仕立てにして、ツルかを伸びすぎたり混み合ったりしないように剪定します。


鉢植えは、模様木仕立てにして、4年ぐらいで樹形を仕上げます。

その後は、間引き剪定で結実枝と樹形を保ちます。


①苗木の植え付け
一般に春3月に行います。

排水をよくするために植え穴に堆肥や腐葉土をすき込み、肥料類は混ぜないようにします。

②一年目
1年目の冬に地上50~60㎝の高さで先端を切り詰めます。

③二年目
2年目の冬に、新梢の3分の1程度で切り詰めます。

下枝は元から切ります。

④三年目
3年目の冬に新梢の3分の1程度で切り詰め、残す方の主枝以外は切ります。

⑤四年目
大体の樹形ができてきますので、手入れのしやすいように、高さ2.5~3㍍くらいで主枝の頂点で芯を止め、混み合う枝や下垂枝を切り、日光がよく当たるようにします。

着果の習性は一年枝(新梢)の基部に開花して、そこに実がつきます。






2020/05/14

樹木はなぜ大きくなるの?世界の巨樹巨木No.214

樹木が大きくなる秘密


植物には形成層という組織があり、この部分の細胞が分裂し、古い細胞の上に新しい細胞が次々と積み重なるという特殊な成長様式が巨樹となることを可能にしているのでしょう。

もう1つ巨樹になる秘密は、繊維細胞組織にあります。

細胞を構成するセルロースが強くしているのです。

◉セルロース、セルローズとも言う(cellulose)とは

植物性繊維の主な成分をなす白い炭水化物のこと。

植物細胞の細胞壁及び、植物繊維の主成分で天然の植物質の3分の1を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物(多糖類)で繊維素とも呼ばれる。

木材は昔から建築材料として使われ、その秘密に木材の構造と強度があると言えるでしょう。


◉世界一高い樹木 セコイア=ハイペリオン

世界で最も高い樹は、アメリカ合衆国の国立公園及びカルフォルニア州の州立公園内にあります。

レッドウッド国立·州立公園
(世界遺産)

レッドウッドと言う樹種(スギ科セコイアメスギ属)でその高さはなんと113㍍、こんなに高くなれるのも細胞を構成するセルロースが鉄筋や鉄骨と同様の働きをするからです。

この木の樹齢は六百年以上で幹回りは13.5㍍

         (レッドウッド)

◉世界一体積のある樹木

世界で最も体積のある樹は、アメリカ合衆国西海岸のヨセミテ国立公園内にある、ジャイアントセコイアという樹種(スギ科セコイアオスギ属)でその高さは61㍍

根元の周囲が29㍍もあり、樹齢は約2.700年です。

グリズリー·ジャイアントという愛称が付けられている。

(グリズリー·ジャイアント)

◉長生きの理由と寿命

レッドウッド·ジャイアントセコイアが長生きできる理由は、樹皮の厚さにあると言われています。

レッドウッドは樹皮の厚さが30㎝、ジャイアントセコイアは60㎝以上あります。

この地域では山火事で多くの樹木が焼失してしまうのですが、厚い樹皮が山火事から樹を守っているのです。

他に巨樹として有名な樹種は、ニュージーランドなど南太平洋地域に生息するカウリでナンヨウスギ科の植物てす。

世界一成長が遅い樹木、世界で最も古い樹木とも呼ばれている。

ワイポウアの森にある国内最長樹齢のカウリは、樹齢約二千年、幹の直径は5.2㍍


         (カウリ)

日本では屋久杉(スギ科)が知られていますが、これらの長寿である樹木は針葉樹が多いようです。

それは、針葉樹が出す樹脂に長生きの秘密がありそうです。

広葉樹などでは、枝折れした傷口などから菌が侵入し、心材が腐朽することで、やがて樹が枯死してしまう原因になります。

針葉樹では、その傷口を樹脂ですぐにふさいでしまうので、腐朽できなくなると考えられるからです。

しかし、木は必ず巨樹になるわけではありません。

木材腐朽菌(キノコ)がいるので、このキノコ菌がセルロースなどを分解すると倒木してしまいます。

つまり、多くの樹がこのキノコ菌との戦いに敗れ、やがて枯れて倒木してしまうのです。

この事が樹の寿命を大きく左右していると思います。

◆高い樹木になぜ水は上昇するの?

根から吸収された水は、導管を通り重力に逆らって葉の先端まで昇っていきます。

たとえ100㍍高い樹でも水は昇っていきます。

それには理由があります。

①葉からの水の蒸散によって葉が水不足になる。

②水の凝集力(水の分子の結び付く力)はたいへん強く、どんなに強い力を働かせても、めったに水の流れが切れることはない。

③水が細い管の中を昇っていく毛細管現象。

植物に対しての毛細管現象は、植物が根から水や養分を全身に運ぶ自然の力として存在している。

◉病原菌と戦い続けている樹木たち

材質腐朽病害は微生物により腐朽する被害で、ほとんどの場合は、木材腐朽菌類と呼ばれる一群の菌類によって引き起こされる。

★針葉樹の材質腐朽病害の例として
◈樹幹腐朽として重要なもの
※チャアナタケモドキによるサンブスギの、非赤枯性溝腐れ病

※モミサルノコシカケによるモミ類の溝腐れ病

※カラマツカタワタケやチウロコタケモドキによるカラマツの樹幹腐朽などがある。

◈根株腐朽として重要なもの
※ヒノキのキゾメタケ病、ヒノキなどのナラタケ病

※カイメンタケやハナビラタケによる、エゾマツやコメツガの根株腐朽などがある。


◉溝腐れ病

糸状菌の一種で不完全菌類に属し、赤枯病、羅病苗木が植栽されることによって、林地で発生する病気である。

樹幹を中心にして、巻き込みができず縦溝を作る。

        (溝腐れ病の樹木)

◆赤枯病

小枝に褐色から暗褐色の病斑が形成される。

主軸や小枝では、病斑がその部位を一周すると、その上部が鮮やかな赤褐色に枯れる。


実生苗は病気になりやすいが、挿し木苗は品種により抵抗性に差異がある。

※赤枯病による主軸や小枝の胴枯れ型病斑は、造林後に溝腐病に進展する。

◉セコイア·キングスキャニオン国立公園(カリフォルニア州)


(セコイア公園にあるジャイアントセコイア)