緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/07/29

ゲッケイジュ No.238

ゲッケイジュ (月桂樹)クスノキ科

別名ローレル 常緑広葉樹

原産地=地中海沿岸とカナリア諸島に一種ずつ分布。

濃緑色で革質(ひしつ)の葉をつけ、枝と葉が芳香を発し、葉は料理の香り付けに使われます。

日本には、明治時代に渡来しました。

雌雄異株で日本には雌株は少ない。

耐寒性を考え、北関東より南の方が育てやすい。

春には黄色く小さな花を多くつける。




果実は秋に熟して黒紫色(こくししょく)になり、薬用にもなる。

地中海原産なので、暖地性の気候を好みます。

日当たりのよい場所を好み、冬の乾燥には弱いので注意しましょう。

特に北風の当たる場所では、関東地方でも枝先が枯れる事があります。

いろいろな樹形に仕立てやすく、自然樹形の円錐形だけでなく、円筒形に仕立てたり生け垣にもできる。

◉病気
うどん粉病
うどん粉病は、白いカビが若い葉や若い茎、新芽などの表面にうどん粉をまぶしたようにびっしり生える病気の総称です。

病原体の種類はたくさんあり、そのほとんどがカビです。

カビの種類により寄生する樹種が決まっていて、そのカビが他の種類の樹に寄生することはありません。

感染経路は空気による感染がほとんどです。

発生する時期は植物によって異なりますが、高温(20度前後)多湿を好み4月から10月に発生します。

病気は見つけ次第10日毎にモレスタ、トップジンM、ベンレート、水和硫黄剤などを散布しましょう。

うどん粉病は、チッソ肥料を与え過ぎると発生しやすくなります。

チッソ肥料を減らし、カリ肥料を多めに与えましょう。

※カリ肥料=塩化カリウム、硫酸カリウム等その他。

※樹木の場合は、枝で越冬している菌糸を殺すため、1月から2月に石灰硫黄合剤を月に1~2回散布するのも効果的です。

◉スス病
ゲッケイジュは香りのせいか害虫が多くつきます。

特にカイガラムシ類は複数の種類が発生し、スス病を併発するので注意が必要です。

スス病は、アブラムシ類やカイガラムシ類などの、吸汁性害虫の排泄物を栄養としているので、植物に直接影響を与えることはありません。

しかし、カビの繁殖が進み葉や幹の全体が、真っ黒に覆われてしまうと、植物の呼吸作用が妨げられます。

病状の酷いときは、薬剤による治療をした方がよいでしょう。

スス病にはダイセン、ダイファー、トップジンM等を散布しましょう。

しかし、スス病の原因となる害虫を、退治しないと再発してしまいます。

スミチオン、オルトラン、マラソンなどを散布して害虫を退治しておきましょう。

予防法は、植物に寄生する害虫を発生させないような、環境を作ることです。

そのためには、日当たりや風通しをよくすること、冬に落葉した葉を処分することが大切です。

また、冬の間に石灰硫黄合剤を1~2回散布すると効果的です。


◉害虫
※アブラムシ
薬剤を散布して駆除しますが、樹木では適度なせん定をして風通しをよくする。

※カイガラムシ
スス病を併発します。
幼虫の時期なら殻がまだ出来上がっていないので、スミチオンなどを散布します。

成虫になると、薬剤は浸透しにくいので、効果があまりないので捕殺します。

また、冬場ならマシン油乳剤が使えますので、成虫でも駆除できます。

風通しが悪く、日当たりの悪い所を好むので普段から、適度に枝の手入れをして、風通しをよくしてやると発生が減ります。

※ハマキムシ
どの種も葉を巻いたり、何枚かを綴り合わせて葉の中に隠れ、中から葉を食害します。

4月から10月頃に発生して、7月から8月に最も多くの被害がでます。

この虫は巻かれている葉の中にいるので、被害を受けた葉を見つけ、葉を開くか葉ごと除去して捕殺します。

常緑樹では、冬の間に綴られた葉を見つけ、幼虫を駆除しておきます。

※テッポウムシ (カミキリムシの幼虫)
カミキリムシの幼虫は別名テッポウムシと呼ばれます。

成虫は見つけやすいので捕殺します。
成虫が産卵するときに幹に傷をつけるので、傷跡を探してその部分を切り出すか叩いて圧殺します。

食入口を見つけた場合は、穴にスミチオンなどを注入して穴を塞ぎます。

4月の発生時期に、サッチューコートやスミバークなどの薬剤を散布すると効果的です。

しかし、大部分は健全木には加害しないので、樹木の健康を保つ事が一番の予防となるでしょう。

※チャミノガ
代表的なミノムシのひとつです
幼虫は7月頃に現れて、10月頃まで葉や枝を食害します。

ミノムシのまま越冬して、翌年の4月から5月に再び食害してから成虫になります。

雌は成虫になっても蛾にはならずに、一生をミノの中で過ごします。

越冬中の見付けやすいは目につきやすいので、見つけたらこまめに捕殺して、春からの被害を少なくしましょう。

発生量が多い時は、薬剤を使用しますがミノがあるため、効果が低くなるので、なるべく幼虫が小さい時期に散布しましょう。

薬剤は、ディプテレックス、カルタップなどが適しています。




◉植え付け
4月下旬から5月と7月から10月が植え付けの適期。

植え穴には堆肥などをよくすき込んで、大株の時には枝を切り詰め、支柱があると後の手入れが楽になります。

接ぎ木もできますので、その場合は7月から8月上旬に行います。

◉肥料
元肥として、1月から2月に油粕と化成肥料を混ぜて、株回りにばら蒔くか埋め込みます。

追肥として、8月中旬から9月中旬に元肥と同じように与えます。


◉せん定
6月下旬から7月に行います。
萌芽力の強い樹なので、少し強く切っても平気なにで、刈り込みは比較的容易です。

徒長枝や混み合った枝、ヤゴ(ひこばえ)を中心に、日当たりや風通しが良くなるようにせん定します。

また、暖かい地方の場合は、10月から12月上旬の晩秋にも行えます。








2020/07/27

デンドロビューム 洋ラン No.237

デンドロビューム  

洋ラン





一般に園芸店でよく見かける種類は、ノビル系というインド北部から、タイ北部に自生している種類を主にして交配したものです。

この種類の特徴は、他のランに比べて原種が多くこれらを、交配してたくさんの園芸品種ができていることです。

小型から大型まであり、花色も黄色、ピンク、赤系と豊富です。

開花期間も長く主として、秋の終わりから冬~春まで咲くものが多くあります。

※一部の品種で夏咲きのものもある。

原産地は東南アジア、オーストラリアで、日本にあるセツコクもこの仲間です。

他のランに比べてやや低温で育ち、乾燥に強い着生種ですから鉢も小さめで育て、一部の品種を除けばふつう家庭でも育てられます。

◉病気

黒斑病
秋の長雨など低温で多湿になると、黒い斑点ができやがて大きくなって見苦しい葉になります。

風通しをよくし、雨などを当てないようにして、鉢を乾燥気味にさせます。

また、屋外から室内に急に取り込んだりしても黒斑病になります。

少しずつ室内環境に近づけるよう、ならしてから取り入れるようにしましょう。

梅雨時にウイルス病が発生したら他の株と離しましょう。

◆害虫

★ナメクジは屋外で生育中に新芽をよく食害します。

なるべく棚上など風通しのいいところに置き、夜間に出てきた時捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治します。

日中では、鉢底に潜んでいる事があるので、見つけたら駆除します。

★生育期に風通しが悪いと、カイガラムシ類が発生します。


オルトラン水和剤やスミチオンなどを、5月から8月にかけて月に1~2回散布します。

薬剤の効果がない場合は、捕殺します。

★高温期ではハダニ類が発生します。


乾燥が激しい時は、葉に水をかけたりハダニ退治専用のケルセン水和剤などを散布して駆除する。

◉置き場所

春から秋にかけて屋外で育てます。

強い日光に当たる方が丈夫なバルブが育ちます。


7月から8月の暑さにも強いですが、強い西日は避けるようにしましょう。

着生ランなので、木に吊るしたり、地面に直接鉢を置かないようにし、通気性のよい棚などに置きます。

10月頃になったら水を控えめにして、雨水に当たらないように軒下などに移し、徐々に低温に慣らしてから11月下旬には室内に移します。

冬の最低越冬温度は5℃前後ですが、8℃~10℃が理想的です。


◉水やり

5月から9月は屋外で雨に当て、晴天の続く時は毎日一回水を与え、曇っている日が多ければ、株の具合を見ながら与えるようにします。

10月から11月は週に一回程度、冬から4月の開花中または室内温度が10℃以下の時は、軽く霧吹きするか、暖かい日を選んで午前中に少量与えます。

新芽が成長し始める3月末頃からは、週に1~2回、株の生育を見て与えます。

◉肥料

新芽が伸びる4月から6月には、油粕と骨粉を同じ量に混ぜ置肥します。

または、ラン用の粒状化成肥料やマガンプKなど、リン酸カリ分の多い肥料を与えましょう。

7月以降は花芽をつけるので、秋から冬にかけては肥料は必要ありません。

よく生育する4月から6月を除き、小さめの鉢で育てるため肥料の与え過ぎは根の生育によくありません。

※与え過ぎないように注意しましょう。

◉繁殖

株分け、高芽とり、バルブ伏せなどができます。

株分けは大鉢になりすぎたとき、花が終わり暖かくなった春に3~4本ずつに分けます。

根を傷めないようにして、古い水ゴケを取り除き株分けします。

植え付け後は半日陰で育てます。

1週間前後は水を与えず、株分けにより傷んだ根を乾燥させ、回復するまで待ちます。

その後水あげをし、徐々に定期的な水やりを行っていきます。


※デンドロビュームの各部の名称              





★高芽とりは、古いバルブの高いところに新芽が出て小さなバルブができます。

これを丁寧に切り離し、小さな鉢に1本ずつ水ゴケなどで植え込みます。

2年ぐらいすると一人前の株になります。

これはデンドロビューム特有の殖やし方です。

★バルブ伏せは、高芽の出る性質を利用した殖やし方の応用で、茎を1~2節ずつ切り、鉢やパレットに水ゴケを敷きそこに伏せ、または、挿し木をする要領で新芽を出させます。

成長してきたら鉢に植え替えます。







2020/07/26

チッソも自然界で循環   No.236

植物とチッソ



チッソは空気中に体積で約80%含まれる。
常温ては不活性であるが、高温では他の元素と直接化合してチッソ物を作る。アンモニア合成の原料として重要。

化合物は肥料、火薬など用途が広い。

アミノ酸やタンパク質は、生物の体を作っている重要な要素ですが、このアミノ酸やタンパク質を作るためには、炭素とともにチッソが必要です。


ところがチッソは空気の約80%を占めているにも関わらず、ほとんどの生物はチッソを空気から、直接取り入れることができません。

ラン藻植物の一部と、マメ科の植物の根に共生する根粒菌(こんりゅうきん)だけが、空気中のチッソを利用してアンモニアを作ることができます。

これは植物が吸収できる化合物です。

動植物の遺骸(いがい)などによって、含まれているチッソの化合物は、地中の細菌によって植物の栄養となりやすい無機化合物に変えられたり、チッソガスに分解されて大気中に放出されたりします。

植物は、根から吸収した無機チッソ化合物から、アミノ酸やタンパク質などの有機チッソ化合物を作ります。

動物は自分ではこれらの化合物を作り出せないので、植物が作ったタンパク質を取り込んで、いったんアミノ酸に分解し、それぞれ自分に必要なタンパク質に合成し直します。

植物が利用できる無機チッソ化合物という形に変えて、肥料が作られ、チッソ肥料として土壌に与えられているのが、化学肥料です。


チッソ肥料(化学肥料)

※硫酸アンモニア 速効性
アルカリ性の肥料、石灰、草木灰などと混ぜて使用しない。
日数をおく。

※硝酸アンモニア 速効性
他の肥料と混用しない。
貯蔵中は、火気に注意する。

※尿素(ウレア) やや速効

大豆かすと混用しない。

※石灰窒素  速効性
カルシウムを含む。
アンモニア系の肥料と混用しない。
作物に直接接触すると障害が発生するので、追肥としては用いない。
※IBチッソ (イソブチル縮合尿素) 暖効性
科学的に暖効性を持たせた肥料
IBDUともいい、窒素全量28%以上を含む、暖効性窒素肥料である。

粒効果が大きく、大粒ほど肥料効果が遅くなり、細かく粉砕すると尿素とあまり変わらない肥料効果となる。

芝用などでは単肥で使われるが、ほとんどが化成や配合肥料の原料になる。
水稲、畑、果樹など幅広く使用される。




炭素も循環している自然界  No.235


炭素も循環している自然界


動物や植物が吸収して放出した二酸化炭素は、植物の光合成によって糖という有機物に合成されます。

有機物とは、炭素を構造の中心にした物質のことです。

糖は炭素と水素と酸からできている簡単な構造のもので、エネルギーとして利用されます。

これにチッソやリン酸などが加わって、アミノ酸やタンパク質などの複雑な有機物になると、体をつくるのに使うことができます。

小さな節足動物(せっそくどうぶつ)やミミズなどの小動物、またはカビやバクテリア(さいきん)などは、地中で有機物を分解しながら生きています。

中でも、ミミズの役割は重要です。

最初に死んだ植物を食べ、糞として出しますが、この事で有機物が微生物に利用されやすい形に変わり、土に活力がつくとされています。

また、ミミズが土を食べることで、団粒を作るという作用もあるのです。

また、昆虫の幼虫は死んだ植物をかみ砕き分解してくれます。

動物の遺体や糞などの排出物、枯れた植物などに含まれる炭素化合物は、これらの地中の微生物や、小動物の活動によって分解されます。

この時、分解によって二酸化炭素や炭酸塩が作り出され、これがまた循環を続けるのです。


石炭や石油は過去の植物が、光合成によって作り出したものが、化石になって地下に保存されてきたものです。

人間がこれをエネルギー源として燃やすと、二酸化炭素が発生し環境中をめぐるようになります。

一年を通して見ると、植物による二酸化炭素の吸収量と、生物全体の呼吸による二酸化炭素の放出量は、だいたい釣り合いますが、この100年以上に渡る化石燃料の大量消費と、森林の伐採などによって大気中の二酸化炭素は徐々に増加し続けています。

石油、石炭、天然ガスを大量に利用することにより、大気中に二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化イオウ、チッソ酸化物、粉塵などが放出され続けています。

その結果、人間には、気管支炎、ゼンソクなどの呼吸器系の病気が増加しています。

植物への影響は、葉の気孔から有害物質が侵入し、葉の内部構造が破壊されます。

大量の化石燃料の消費と、大規模な森林の伐採により、二酸化炭素の吸収と放出のバランスが崩れて、二酸化炭素が大気中に増え続けているのです。

その温室効果のため、地球の温暖化現象が懸念されています。

空気に混ざっている、イオウ酸化物やチッソ酸化物が大気中で水に溶けると、酸のしずくになります。

これが酸性雨や酸性霧(さんせいむ)として地上に降り、植物の葉に被害をあたえたり、土壌の化学的状態を変化させます。

酸性雨によって、森が枯れるなどの大きな被害が地球規模で、急速に進み全ての生き物に、深刻な状態が起きているのです。






水と植物の関係 No.234

水は移動する資源

地表にある水は、海、湖、川、氷冠(ひょうかん)、氷河、地下水、及び大気中に含まれているものも合わせて、全部で1.9×10の18乗㍑と言われています。

この他に地殻(ちかく)や、マントルに閉じ込められている水があります。

これらの水は、地球が誕生した時から存在してきたものです。

この内の97%が海水で、氷河などの凍った水が2%、残りの1%が陸上生物にとって利用可能な淡水なのです。

降水する水はそのまま蒸発していくわけではなく、土壌に浸透するものや湖や川に入るものもあります。

全体の99%以上は、地下に染み込んで地下水の一部になります。

地下水は何千年もかかって地下の帯水層を満たし、やがて地表にしみ出して、また生物の利用可能な水となるのです。

大気中から降った水は、土壌に染み込み、植物を育てるための必要なものになります。

植物は根から吸った水に、栄養分を溶かして体内に送り、光合成でできた糖分を溶かして、いろいろな部分に送るためにも水を使います。

水分の蒸散によって体温の調整も行っています。

植物は根から吸い上げた水の5%程度しか光合成に利用せず、残りの95%は葉からの蒸散によって、空気中に出ていってしまうのです。

このようにふつう植物は、水の少ないところではよく育ちません。
植物が水不足になると、細胞が大きくなれなかったり、光合成がうまく行われなかったりします。

砂漠に生きるサボテンは枝葉をトゲにかえて、水分の蒸散を抑え茎に水分を蓄えています。

昼間は気孔を閉じて光合成に使う
二酸化炭素は昼間に取り込むなど、環境に適応しています。

植物が生きて行ける環境が壊される事は、人類が生きて行くため必要な水源まで壊してしまう事に繋がって行くのです。






2020/07/25

シンビジューム No.233

シンビジューム

東南アジアやオーストラリアの熱帯や亜熱帯地方が原産地。

中には東洋ランとの交配によって生まれた、小型で寒さに強いものや、芳香性のあるものもあります。

開花期は主として冬から春ですが、一部に秋咲きもあります。

地生種がほとんどですが、熱帯の樹木上で着生し、下に垂れ下がって小輪の花が無数につく種類もあります。

また、花茎は直立が一般的ですが、弓形になるものもあります。

品種は大きく分けて、大輪系、中輪系、小輪系があります。

★代表的品種

◉大輪系 花径10㎝以上 草丈100㎝

センセーション、クリフマスローズ、グレートフラワー
バレリーナ、マイフェアレディ、ホワイトクリスタル
ブリジッドバルドー、ハンタースポイント

◉中輪系 花径8㎝ぐらい 草丈60~70㎝前後

エイコウ、ケニーワインカラー、センハート、ラッキーカワノ
アンミツヒメ、ウララ、ガリガ、ゴールデンカラー
ゴールデンカラーセブン

◉小輪種 花径6㎝ぐらい 草丈60㎝前後

サザナミ、ミネッケン、ショーガール、ハスキーハニー
ミニドリーム、ワカクサ

シンビジュームの花の色は豊富です。

開花期12月から4月、3月から4月が開花のピーク。

冬季で花の少ない時期に花を咲かせ、開花期間が長いのが特徴です。

寒さに強く丈夫な、鉢花の代表種です。


(花言葉=深窓「しんそう」の麗人、高貴な女性)


◆病気
ウイルス病にかかってしまうと手遅れで、ほとんど治りません。

普段から管理に気をつけましょう。

株分けや植え替えの時は、刃物類など消毒し、鉢も新しい物を用意して、手もよく消毒して作業を行いましょう。

◆軟腐病(なんぷびょう)
一度発生するとこの病気は、なかなか止められません。

風通しをよくし、水やりの量を控え目にして、チッ素質の多い肥料は与え過ぎないようにします。

★薬剤散布で予防
水1㍑にベンレート水和剤1㌘、トップジン1㌘、オルトラン水和剤1㌘を混ぜて散布し、病害虫の防除を同時に行います。

★害虫
空気が乾燥しているときにハダニが発生します。

水やりの時に、葉の裏側にも霧のように吹いて、少し湿気を与えます。

発生した場合は、ケルセン乳剤の1000倍液で退治します。

ナメクジは夜間に活動し、新芽や花を食害するので見つけ次第捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治しましょう。

ナメクジは、日中は鉢底に潜んでいることがあるので、見つけ次第駆除します。

◆管理場所
11月から4月までは、屋外の寒さが株の生育や開花に適していません。

年末から2月にかけて開花するものが多いので、室内で育てます。

冬はよく日の当たる室内で、最低温度が7℃~8℃を保てる場所。

5月から10月までは屋外で育てますが、真夏の7月~8月の直射日光は、葉焼けを起こすので半日陰の場所に移動して管理します。

◉水やり
花が終わった後の4月から10月までは、屋外で自然の雨や日光に当ててください。

晴天が続く場合では、鉢の底から水が流れ出るくらい与えます。

バケツに水を汲み、一時間ほど浸すのもいいでしよう。

生育期の水不足は、株の生育が十分にできず、のちの開花まで影響してしまいます。

11月から3月頃までは、部屋の室温に合われて調整します。

温度の低い場合は、水分を控え目にして4~5日おきぐらい。

10℃以上の温度がある場合は、2~3日おきぐらいに与えます。

乾燥し過ぎると、花も咲ききれずに終わってしまいます。

温度の低い日が続いた時は、葉に霧吹きしたり、室温を少し高めにして水を与えるようにします。

★肥料
他のランに比べて多めに与えるようにします。

新芽の出る4月から6月にかけて、油粕に骨粉を等量混ぜ置肥します。

5~6号鉢で大さじ一杯を、月に1回程度与えます。

8月末から9月には、骨粉のみ1回与えます。

臭気などが問題になる場合は、粒状化成肥料か洋ラン専用の肥料を与えましょう。

与える時期を間違えないように注意しましょう。


◉植え替え

花が咲き終わり、株が鉢からはみ出しそうになったり、植え込み材料(水ゴケなど)が古くなったものは、植え替えを行いましょう。

鉢の大きさの目安として、5号から6号鉢、大きくても7号鉢ぐらいを使用します。

今まで植えていた鉢より、一回り大きいサイズにするか、もしくは株分けをして調整します。


◆シンビジュームの各部の名称           




バルブを2~3株に分けて植え込みします。

時期は4月頃が適しています。

植え込み用土は水ゴケだけでもよいし、軽石やバークなど排水の良いものでも構いません。

★植え替え時期が遅れると、その年の生育が遅れ、翌年花をつけない原因にもなるので注意する。

植え替え後は半日陰に置きます。
水やりは2~3日待ち、傷口をよく乾かしてから行います。

根が動き出すまでに約2週間ほどかかります。

それ間の水やりは葉水程度の軽めにします。 

根が動き出したら、日光によく当て水もたっぷり与えます。

◆株分けの目安
開花株から3年~4年以上経ち、中心に葉のないバルブ(リーフレスバルブ)が多い状態の株、バルブが6個以上あり、株分けで殖やしたい時、白い根を残し、古い根や腐った根は取り除きます。

根の量に応じて、鉢の大きさを選び、新芽の伸びる方向に余裕(スペースをあける)を持たせて配置し用土を鉢に詰める。

◉シンビジュームの芽摘み
次の年も花を楽しむためには、体力を消耗させないよう、花茎の一番下の花が萎れたらすぐに切り取ります。

日当たりのよい場所で管理すると、1月から2月にかけて株元から新しい葉芽が出てきます。

全て育てると十分に大きくならないので、1株(茎)に1芽、鉢全体で3~4芽になるように、小さいうちから余分な葉芽を摘み取るようにします。

葉芽の数を調整すると大きく育ち、秋から冬にかけてふっくらとして中がかたい花芽と、細く尖っている葉芽が株元につくので、葉芽を全部摘むと、充実した花を楽しむことができます。