緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/07/31

カナメモチ (要黐) No.240

カナメモチ バラ科



アジアとアメリカに60種ほど分布し、日本には3種が自生する。
別名アカメモチ

本州の静岡県以南から四国、九州地方生け垣などによく植えられているレッド·ロビンはカナメモチとオオカナメモチの雑種




自生の木を見る機会は少ないですが、山地の沢沿いなどに生えている。

小さな白い花が集まって泡立つように咲く「枕草子」に出てくるソバノキは本種で、花をソバの花に見立てたものという。

花期は5月から6月果実は12月頃に熟す寒さに弱いので関東地方より北では成育は困難です。

◉肥料
肥料はあまり多すぎないように与えます。

2月頃、鶏ふんか油粕に骨粉を2~3割混ぜたものを、根元に埋め込むか!リン酸カリ分の多い化成肥料を、根元に穴を掘って埋め込む程度で十分です。

肥料を与える時には、その分量や場所に注意が必要です。

肥料の成分が多すぎたり強すぎたりすると、肥料焼けを起こします。


◆植え付け、移植
日当たりがよく乾燥しない土質が適しています。

特に乾燥には弱いので、土質には注意が必要です。

根づきが悪く寒さにも弱いので、幼木のうちは風よけを立てて寒風を防ぐことが必要です。

垣根に新しく植え付ける場合には、ポット仕立ての苗を購入し、スコップで植え穴を掘り、腐葉土をよく混ぜて2年生の苗ならば、約30㎝間隔くらいで植え込みます。

また、長年植えたままの成木を移植する時は、前年に根回しをしておき、細根を出させてからでないとうまく根付きません。

前年に根切りをして細根を出させます。

この場合もよく腐葉土類をすき込んで、大きめの植え穴に水ぎめで植え込みます。

植え穴に水をたっぷり入れて、土を埋め戻してからさらに水を注ぐ
枝葉も全体に切り詰めて、樹勢の衰えを防ぎます。

時期としては4月から5月が最も適しています。9月から10月中旬も行えます。


(オオカナメモチ、葉や花序がカナメモチより大きい)

◉病気
※褐斑病
葉に褐色から黒褐色な斑紋ができる病気の総称です。

はじめは葉に褐色から黒褐色の小さな斑点が生じ、これが次第に大きくなり5ミリくらいの病斑に拡大します。

病気が進むと樹の下の方から葉が枯れ、落葉することもあります。

発生する時期は5月から10月で、特に夏の初めの高温多湿時に多発する。

病原体のほとんどはカビです。

デンドロビウム(洋ラン)の褐斑病だけは、病原体がバクテリアです。

病原体は病気にかかった葉や、病気になって落ちた葉の上で越冬し、翌年の春に風や風に含まれる水滴などに運ばれ、他の植物に感染します。

他に水媒感染のように雨水に病原体が溶け込み、その水が跳ね返ることによって、感染することもあります。

★治療
病気にかかった葉を見つけたら取り除きましょう。

また、病葉に直接水をかけないように気をつけます。

薬剤は発生期の5月頃から10月まで、ダイセン、ベンレートなどを月に2回くらいの割合で散布しましょう。

この病気は連作したり、管理を怠ると発生しやすくなります。

多湿を防ぐために、要らない古株を冬の間に処分をし、せん定して風通しをよくし、日がよく当たるようにしましょう。

◉ゴマ色斑点病
葉、果実、枝などに直径2~5ミリのゴマ色(黒から黒褐色)の病斑を生じます。

病気が酷くなると葉が落ちてしまい、病気にかかったあとにできる葉も次々に発病します。

葉の裏側には、黒色の分生子層(ふんせいしそう)=発芽のもとになる胞子の塊ができます。

発生時期は4月から9月です。

病原体はカビで、分生子を作るのが特徴です。

このカビは1本の剛毛が生えていて、一見したところ虫のように見えます。

病斑の上で冬を越した分生子が春になると発芽して、空気感染や水媒感染します。

★治療
被害部を見つけたらすぐに除去して処分します。

4月から6月にかけてトップジンMやベンレートを数回散布しましょう。

前の年に病気の発生した場所での連作はなるべく避けましょう。

水媒感染を防ぐために、敷きワラや風通しをよくすることも大切です。

◉害虫
※アオバハゴロモ
葉に綿のようなものがつきます。

綿状の長い毛のようなロウ質物を体につけた虫がいて、脱落したロウ質物が樹幹を白く汚します。

年1回の発生で、枯れた枝に産み落とされた卵で越冬し、5月頃に幼虫が発生します。

成虫は7月頃から現れ、9月頃まで成虫、幼虫が混生しています。

※ダイアジノン、ディプテレックス、デナポンなどの薬剤を散布する。

密植された垣根や、枝の混んだ樹木に多く発生、風通しの悪い庭にもよく見かける。

高温、乾燥の時に多発しやすい。

※アブラムシ
4月から9月に多く発生、薬剤を散布して駆除します。

薬剤には弱いので、ほとんどの殺虫剤が効きます。

※ハマキムシ
5月から8月に発生、葉を巻いて中に隠れているので、葉を開くか葉ごと除去して捕殺します。

薬剤がかかりにくいので、効果は低いですがスミチオン、アセフェートなどは多少効果があります。

※トビモンオオエダシャク
大型のシャクトリムシで色は灰褐色、姿は枯れ枝によく似ています。

老熟幼虫は9㎝くらいの大きさになります。

1年に1回の発生で、幼虫は4月から8月に葉を食害します。

枯れ枝とよく似ているので見つけにくい害虫です。

発生量が多い時は、発生初期にディプテレックス、スミチオンなどを散布しましょう。

※ミノムシ
ほとんどすべての樹木に加害します。

幼虫は7月頃に現れて、10月頃まで葉や枝を食害します。

ミノムシのまま越冬して、翌年の4月から5月に再び食害してから成虫になります。

メスは成虫になってもミノの中で一生を過ごします

発生量が少ない時は捕殺します。

発生量が多い時には、薬剤を散布しますが、ミノがあるため効果が低いので、なるべく幼虫がチイサイ時期に散布しましょう。

薬剤はディプテレックス、カルタップなどが適しています。

越冬中のミノムシは目につきやすいので、見つけたらこまめに捕殺して、春からの被害を減らしましょう。




◉せん定
生け垣として活用されることが多く、年に3回、3月、6月、9月に刈り込みます。

9月に刈り込むことにより、秋にも新芽の赤い色が楽しめます。

樹形が出来上がっている木や生け垣は、軽く頻繁にせん定します。

誤って10月以降に行うと、冬までに充実できず、寒さに負けてしまうことがあるので、注意が必要です。







2020/07/30

モッコク (木斛) No.239

モッコク ツバキ科 常緑広葉樹

モチノキ、モクセイとともに3大庭木の一つに数えられます。

沿岸の山地に生え高さ15㍍ほどになる。

6月~8月に黄色の花が咲きますが、ツバキ科の植物なのに花は小さくあまり見栄えはしません。

秋に赤い実がなり小鳥がよく集まります。

庭木として栽培されることが多い樹種です

日当たりがよく、排水のよい肥沃な土地が適しています。

ただし、強い直射日光の当たる場所は避けてください。

大気汚染や潮風にも強い庭木で、成木は寒さにも耐えますが、幼木は寒さに弱いので防寒対策をしてください。




★樹勢が衰え葉に元気がない
樹勢が衰えている時には、根に注意し、根詰まりを起こしているようであれば、細根の更新が必要です。

根元に放射状の溝を4本くらい掘り、堆肥などを埋め込みます。

★花が例年と比べて多く咲く

多くの樹木で、樹勢が衰えた時まるで最期を飾るように、花を咲かせる事があります。

原因は不明ですが、種を残すために花を咲かせ、実をつけるのだと言われています。

モッコクはあまり花をつける樹ではありませんから、花が例年より多すぎるときは、樹勢が衰えていないか確認し、肥料を与えましょう。

◆肥料
寒肥として、2月に鶏ふんか油粕を根元に埋め込みます。

◉病気
※炭素病
葉の症状は、初めに暗黒色の円形の病斑が現れ、病状が進むと灰白色となり病斑に小さな黒い粒を生じます。

雨が降った後や湿度が高い時に、この黒い粒から鮭肉色(けいにくしょく)の粘液(胞子粘塊)を出します。

病気にかかった葉や枝は見つけ次第処分、発生の多い6月~7月  9月~10月には月に1~2回の割合でダイセン、マンネブダイセン、ベンレートなどを散布。

樹勢を弱めると発病するので、寒害、日焼けなどに気をつけ、樹勢を強く保つようにする。

また、風通しが悪いと病気になりやすいので、せん定して風通しをよくする。

※スス病
アブラムシ類やカイガラムシ類などの害虫な排泄物を栄養として繁殖する病気で、病原体はカビです。

一年を通して発生しますが、特に虫の繁殖期である4月から10月によく発生します。

カビの繁殖が進み葉や幹の全体が真っ黒く覆われて、植物の呼吸作用が妨げられます。

病状の酷いときは薬剤による治療を行う方がよいでしょう。

ダイセン、ダイファー、トップジンMを散布。

スス病の原因となるカイガラムシなどの、害虫を退治しないと再発しやすい。

日当たりや風通しをよくし、害虫を発生させないような環境を作ることが予防になります。


◉害虫
※カイガラムシ
スミチオン、オルトラン、マラソンなどの薬剤を散布。

成虫になると薬剤が浸透しにくいので、捕殺する。

風通しが悪く、日当たりの悪い所を好むので、適度に枝のせん定を行い、風通しをよくしてやると発生が減ります。

樹勢が衰えるので早めに駆除しましょう。


※アブラムシ
薬剤を散布して駆除しますが、アブラムシは薬剤には弱いので、ほとんどの殺虫剤が効きます。

アリと共生関係で、アブラムシを運ぶ。

適度なせん定をして風通しをよくすることも予防。

※ハマキムシ(モッコクハマキ)
6月から10月にかけて発生し、被害は9月頃が多くでます。

葉を巻いて中に隠れているので、直接薬剤がかかりにくいので効果は低いが、スミチオン、アセフェートなどは多少効果がある。

被害を受けた葉を見つけ、葉を開くか、葉ごと除去して捕殺します。

冬の間に綴られた葉を見つけ、幼虫を駆除しておきます。


◉せん定
せん定時期は6月から7月、10月から11月頃。

幼木のうちはせん定せずにそのまま育てます。

樹高が2㍍ほどまで生長したら、不要な枝を落として樹形を整えます。

あとは、年に一度枝先をせん定して、日照や風通しをよくし、中まで日が入るようにします。

枝先が車枝になりやすいので、車枝を見つけたら2~3本残して整理します。

一般的なせん定は6月から7月に行い、秋は古葉を取り除く作業を中心に行います。






2020/07/29

ゲッケイジュ No.238

ゲッケイジュ (月桂樹)クスノキ科

別名ローレル 常緑広葉樹

原産地=地中海沿岸とカナリア諸島に一種ずつ分布。

濃緑色で革質(ひしつ)の葉をつけ、枝と葉が芳香を発し、葉は料理の香り付けに使われます。

日本には、明治時代に渡来しました。

雌雄異株で日本には雌株は少ない。

耐寒性を考え、北関東より南の方が育てやすい。

春には黄色く小さな花を多くつける。




果実は秋に熟して黒紫色(こくししょく)になり、薬用にもなる。

地中海原産なので、暖地性の気候を好みます。

日当たりのよい場所を好み、冬の乾燥には弱いので注意しましょう。

特に北風の当たる場所では、関東地方でも枝先が枯れる事があります。

いろいろな樹形に仕立てやすく、自然樹形の円錐形だけでなく、円筒形に仕立てたり生け垣にもできる。

◉病気
うどん粉病
うどん粉病は、白いカビが若い葉や若い茎、新芽などの表面にうどん粉をまぶしたようにびっしり生える病気の総称です。

病原体の種類はたくさんあり、そのほとんどがカビです。

カビの種類により寄生する樹種が決まっていて、そのカビが他の種類の樹に寄生することはありません。

感染経路は空気による感染がほとんどです。

発生する時期は植物によって異なりますが、高温(20度前後)多湿を好み4月から10月に発生します。

病気は見つけ次第10日毎にモレスタ、トップジンM、ベンレート、水和硫黄剤などを散布しましょう。

うどん粉病は、チッソ肥料を与え過ぎると発生しやすくなります。

チッソ肥料を減らし、カリ肥料を多めに与えましょう。

※カリ肥料=塩化カリウム、硫酸カリウム等その他。

※樹木の場合は、枝で越冬している菌糸を殺すため、1月から2月に石灰硫黄合剤を月に1~2回散布するのも効果的です。

◉スス病
ゲッケイジュは香りのせいか害虫が多くつきます。

特にカイガラムシ類は複数の種類が発生し、スス病を併発するので注意が必要です。

スス病は、アブラムシ類やカイガラムシ類などの、吸汁性害虫の排泄物を栄養としているので、植物に直接影響を与えることはありません。

しかし、カビの繁殖が進み葉や幹の全体が、真っ黒に覆われてしまうと、植物の呼吸作用が妨げられます。

病状の酷いときは、薬剤による治療をした方がよいでしょう。

スス病にはダイセン、ダイファー、トップジンM等を散布しましょう。

しかし、スス病の原因となる害虫を、退治しないと再発してしまいます。

スミチオン、オルトラン、マラソンなどを散布して害虫を退治しておきましょう。

予防法は、植物に寄生する害虫を発生させないような、環境を作ることです。

そのためには、日当たりや風通しをよくすること、冬に落葉した葉を処分することが大切です。

また、冬の間に石灰硫黄合剤を1~2回散布すると効果的です。


◉害虫
※アブラムシ
薬剤を散布して駆除しますが、樹木では適度なせん定をして風通しをよくする。

※カイガラムシ
スス病を併発します。
幼虫の時期なら殻がまだ出来上がっていないので、スミチオンなどを散布します。

成虫になると、薬剤は浸透しにくいので、効果があまりないので捕殺します。

また、冬場ならマシン油乳剤が使えますので、成虫でも駆除できます。

風通しが悪く、日当たりの悪い所を好むので普段から、適度に枝の手入れをして、風通しをよくしてやると発生が減ります。

※ハマキムシ
どの種も葉を巻いたり、何枚かを綴り合わせて葉の中に隠れ、中から葉を食害します。

4月から10月頃に発生して、7月から8月に最も多くの被害がでます。

この虫は巻かれている葉の中にいるので、被害を受けた葉を見つけ、葉を開くか葉ごと除去して捕殺します。

常緑樹では、冬の間に綴られた葉を見つけ、幼虫を駆除しておきます。

※テッポウムシ (カミキリムシの幼虫)
カミキリムシの幼虫は別名テッポウムシと呼ばれます。

成虫は見つけやすいので捕殺します。
成虫が産卵するときに幹に傷をつけるので、傷跡を探してその部分を切り出すか叩いて圧殺します。

食入口を見つけた場合は、穴にスミチオンなどを注入して穴を塞ぎます。

4月の発生時期に、サッチューコートやスミバークなどの薬剤を散布すると効果的です。

しかし、大部分は健全木には加害しないので、樹木の健康を保つ事が一番の予防となるでしょう。

※チャミノガ
代表的なミノムシのひとつです
幼虫は7月頃に現れて、10月頃まで葉や枝を食害します。

ミノムシのまま越冬して、翌年の4月から5月に再び食害してから成虫になります。

雌は成虫になっても蛾にはならずに、一生をミノの中で過ごします。

越冬中の見付けやすいは目につきやすいので、見つけたらこまめに捕殺して、春からの被害を少なくしましょう。

発生量が多い時は、薬剤を使用しますがミノがあるため、効果が低くなるので、なるべく幼虫が小さい時期に散布しましょう。

薬剤は、ディプテレックス、カルタップなどが適しています。




◉植え付け
4月下旬から5月と7月から10月が植え付けの適期。

植え穴には堆肥などをよくすき込んで、大株の時には枝を切り詰め、支柱があると後の手入れが楽になります。

接ぎ木もできますので、その場合は7月から8月上旬に行います。

◉肥料
元肥として、1月から2月に油粕と化成肥料を混ぜて、株回りにばら蒔くか埋め込みます。

追肥として、8月中旬から9月中旬に元肥と同じように与えます。


◉せん定
6月下旬から7月に行います。
萌芽力の強い樹なので、少し強く切っても平気なにで、刈り込みは比較的容易です。

徒長枝や混み合った枝、ヤゴ(ひこばえ)を中心に、日当たりや風通しが良くなるようにせん定します。

また、暖かい地方の場合は、10月から12月上旬の晩秋にも行えます。








2020/07/27

デンドロビューム 洋ラン No.237

デンドロビューム  

洋ラン





一般に園芸店でよく見かける種類は、ノビル系というインド北部から、タイ北部に自生している種類を主にして交配したものです。

この種類の特徴は、他のランに比べて原種が多くこれらを、交配してたくさんの園芸品種ができていることです。

小型から大型まであり、花色も黄色、ピンク、赤系と豊富です。

開花期間も長く主として、秋の終わりから冬~春まで咲くものが多くあります。

※一部の品種で夏咲きのものもある。

原産地は東南アジア、オーストラリアで、日本にあるセツコクもこの仲間です。

他のランに比べてやや低温で育ち、乾燥に強い着生種ですから鉢も小さめで育て、一部の品種を除けばふつう家庭でも育てられます。

◉病気

黒斑病
秋の長雨など低温で多湿になると、黒い斑点ができやがて大きくなって見苦しい葉になります。

風通しをよくし、雨などを当てないようにして、鉢を乾燥気味にさせます。

また、屋外から室内に急に取り込んだりしても黒斑病になります。

少しずつ室内環境に近づけるよう、ならしてから取り入れるようにしましょう。

梅雨時にウイルス病が発生したら他の株と離しましょう。

◆害虫

★ナメクジは屋外で生育中に新芽をよく食害します。

なるべく棚上など風通しのいいところに置き、夜間に出てきた時捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治します。

日中では、鉢底に潜んでいる事があるので、見つけたら駆除します。

★生育期に風通しが悪いと、カイガラムシ類が発生します。


オルトラン水和剤やスミチオンなどを、5月から8月にかけて月に1~2回散布します。

薬剤の効果がない場合は、捕殺します。

★高温期ではハダニ類が発生します。


乾燥が激しい時は、葉に水をかけたりハダニ退治専用のケルセン水和剤などを散布して駆除する。

◉置き場所

春から秋にかけて屋外で育てます。

強い日光に当たる方が丈夫なバルブが育ちます。


7月から8月の暑さにも強いですが、強い西日は避けるようにしましょう。

着生ランなので、木に吊るしたり、地面に直接鉢を置かないようにし、通気性のよい棚などに置きます。

10月頃になったら水を控えめにして、雨水に当たらないように軒下などに移し、徐々に低温に慣らしてから11月下旬には室内に移します。

冬の最低越冬温度は5℃前後ですが、8℃~10℃が理想的です。


◉水やり

5月から9月は屋外で雨に当て、晴天の続く時は毎日一回水を与え、曇っている日が多ければ、株の具合を見ながら与えるようにします。

10月から11月は週に一回程度、冬から4月の開花中または室内温度が10℃以下の時は、軽く霧吹きするか、暖かい日を選んで午前中に少量与えます。

新芽が成長し始める3月末頃からは、週に1~2回、株の生育を見て与えます。

◉肥料

新芽が伸びる4月から6月には、油粕と骨粉を同じ量に混ぜ置肥します。

または、ラン用の粒状化成肥料やマガンプKなど、リン酸カリ分の多い肥料を与えましょう。

7月以降は花芽をつけるので、秋から冬にかけては肥料は必要ありません。

よく生育する4月から6月を除き、小さめの鉢で育てるため肥料の与え過ぎは根の生育によくありません。

※与え過ぎないように注意しましょう。

◉繁殖

株分け、高芽とり、バルブ伏せなどができます。

株分けは大鉢になりすぎたとき、花が終わり暖かくなった春に3~4本ずつに分けます。

根を傷めないようにして、古い水ゴケを取り除き株分けします。

植え付け後は半日陰で育てます。

1週間前後は水を与えず、株分けにより傷んだ根を乾燥させ、回復するまで待ちます。

その後水あげをし、徐々に定期的な水やりを行っていきます。


※デンドロビュームの各部の名称              





★高芽とりは、古いバルブの高いところに新芽が出て小さなバルブができます。

これを丁寧に切り離し、小さな鉢に1本ずつ水ゴケなどで植え込みます。

2年ぐらいすると一人前の株になります。

これはデンドロビューム特有の殖やし方です。

★バルブ伏せは、高芽の出る性質を利用した殖やし方の応用で、茎を1~2節ずつ切り、鉢やパレットに水ゴケを敷きそこに伏せ、または、挿し木をする要領で新芽を出させます。

成長してきたら鉢に植え替えます。







2020/07/26

チッソも自然界で循環   No.236

植物とチッソ



チッソは空気中に体積で約80%含まれる。
常温ては不活性であるが、高温では他の元素と直接化合してチッソ物を作る。アンモニア合成の原料として重要。

化合物は肥料、火薬など用途が広い。

アミノ酸やタンパク質は、生物の体を作っている重要な要素ですが、このアミノ酸やタンパク質を作るためには、炭素とともにチッソが必要です。


ところがチッソは空気の約80%を占めているにも関わらず、ほとんどの生物はチッソを空気から、直接取り入れることができません。

ラン藻植物の一部と、マメ科の植物の根に共生する根粒菌(こんりゅうきん)だけが、空気中のチッソを利用してアンモニアを作ることができます。

これは植物が吸収できる化合物です。

動植物の遺骸(いがい)などによって、含まれているチッソの化合物は、地中の細菌によって植物の栄養となりやすい無機化合物に変えられたり、チッソガスに分解されて大気中に放出されたりします。

植物は、根から吸収した無機チッソ化合物から、アミノ酸やタンパク質などの有機チッソ化合物を作ります。

動物は自分ではこれらの化合物を作り出せないので、植物が作ったタンパク質を取り込んで、いったんアミノ酸に分解し、それぞれ自分に必要なタンパク質に合成し直します。

植物が利用できる無機チッソ化合物という形に変えて、肥料が作られ、チッソ肥料として土壌に与えられているのが、化学肥料です。


チッソ肥料(化学肥料)

※硫酸アンモニア 速効性
アルカリ性の肥料、石灰、草木灰などと混ぜて使用しない。
日数をおく。

※硝酸アンモニア 速効性
他の肥料と混用しない。
貯蔵中は、火気に注意する。

※尿素(ウレア) やや速効

大豆かすと混用しない。

※石灰窒素  速効性
カルシウムを含む。
アンモニア系の肥料と混用しない。
作物に直接接触すると障害が発生するので、追肥としては用いない。
※IBチッソ (イソブチル縮合尿素) 暖効性
科学的に暖効性を持たせた肥料
IBDUともいい、窒素全量28%以上を含む、暖効性窒素肥料である。

粒効果が大きく、大粒ほど肥料効果が遅くなり、細かく粉砕すると尿素とあまり変わらない肥料効果となる。

芝用などでは単肥で使われるが、ほとんどが化成や配合肥料の原料になる。
水稲、畑、果樹など幅広く使用される。




炭素も循環している自然界  No.235


炭素も循環している自然界


動物や植物が吸収して放出した二酸化炭素は、植物の光合成によって糖という有機物に合成されます。

有機物とは、炭素を構造の中心にした物質のことです。

糖は炭素と水素と酸からできている簡単な構造のもので、エネルギーとして利用されます。

これにチッソやリン酸などが加わって、アミノ酸やタンパク質などの複雑な有機物になると、体をつくるのに使うことができます。

小さな節足動物(せっそくどうぶつ)やミミズなどの小動物、またはカビやバクテリア(さいきん)などは、地中で有機物を分解しながら生きています。

中でも、ミミズの役割は重要です。

最初に死んだ植物を食べ、糞として出しますが、この事で有機物が微生物に利用されやすい形に変わり、土に活力がつくとされています。

また、ミミズが土を食べることで、団粒を作るという作用もあるのです。

また、昆虫の幼虫は死んだ植物をかみ砕き分解してくれます。

動物の遺体や糞などの排出物、枯れた植物などに含まれる炭素化合物は、これらの地中の微生物や、小動物の活動によって分解されます。

この時、分解によって二酸化炭素や炭酸塩が作り出され、これがまた循環を続けるのです。


石炭や石油は過去の植物が、光合成によって作り出したものが、化石になって地下に保存されてきたものです。

人間がこれをエネルギー源として燃やすと、二酸化炭素が発生し環境中をめぐるようになります。

一年を通して見ると、植物による二酸化炭素の吸収量と、生物全体の呼吸による二酸化炭素の放出量は、だいたい釣り合いますが、この100年以上に渡る化石燃料の大量消費と、森林の伐採などによって大気中の二酸化炭素は徐々に増加し続けています。

石油、石炭、天然ガスを大量に利用することにより、大気中に二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化イオウ、チッソ酸化物、粉塵などが放出され続けています。

その結果、人間には、気管支炎、ゼンソクなどの呼吸器系の病気が増加しています。

植物への影響は、葉の気孔から有害物質が侵入し、葉の内部構造が破壊されます。

大量の化石燃料の消費と、大規模な森林の伐採により、二酸化炭素の吸収と放出のバランスが崩れて、二酸化炭素が大気中に増え続けているのです。

その温室効果のため、地球の温暖化現象が懸念されています。

空気に混ざっている、イオウ酸化物やチッソ酸化物が大気中で水に溶けると、酸のしずくになります。

これが酸性雨や酸性霧(さんせいむ)として地上に降り、植物の葉に被害をあたえたり、土壌の化学的状態を変化させます。

酸性雨によって、森が枯れるなどの大きな被害が地球規模で、急速に進み全ての生き物に、深刻な状態が起きているのです。