緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/11/09

コダカラベンケイソウ No,328

 コダカラベンケイソウ 

「子宝弁慶草」多肉植物(常緑性)
原産地=マダガスカル
別名=クローンコエ、シコロベンケイ

草丈は15~30㎝程で、多肉植物としては大きく生長します。

主に2月から5月に葉っぱの間から長い茎を伸ばし花を咲かせます。

大きくなった葉の縁にたくさんの小さな子株(新芽)がついて殖えることが特徴。

それぞれの子株は親株と同じ遺伝子を持つ事から「クローンコエ」と呼ばれています。


       (植え付けたばかりの株)


花芽は植え付け後、2年から3年でつくのが一般的で、12月から1月頃に花芽が伸び始め、2月から5月頃までにたくさんの花を咲かせます。

スズランの様な釣鐘状の形をした花で、繁殖力の強さとは裏腹にとても可愛らしい花をつけます。

日当たりのよい場所で、乾燥気味に育てるようにします。

湿度の高い環境だと根腐れを起こして枯れてしまいますが、水が足りないと葉っぱが萎れたりしますので、育てながら水やりのコツを掴むのが重要です。


          (つぼみのつき始め、11月撮影)

◉植え付け、植え替え

寒さに弱いので地植えには不向きです。

4月から6月か9月から10月に株よりも一回り大きな鉢に植え付けます。

植え付け後は、半日陰で水を与えずに管理し、一週間してから水やりを始めるようにします。

植え替えは2年から3年に一回を目安に行い、一回り大きな鉢に腐った根や枯れた根を取り除いてから植え付けます。

植え替えから一ヶ月程は、週に一回程度少量の水やりをして、その後は通常通りの管理を行います。

赤玉土7、腐葉土3の割合で配合した土や市販の観葉植物用の用土に植え付けます。

水はけを良くするために排水性の良い改良材などを混ぜるのも効果的です。


◉水やり

3月から10月頃までは土が乾いたらたっぷり水を与えます。

夏の水やりは少し控えめに行い、水が葉っぱにかからないように注意します。

冬場に水分が少なくなると、葉の全体がピンク色に変色します。

変色してもすぐに枯れてしまうと言う事ではありませんが、水やりをするサインとして覚えておくと良いでしょう。

一般的に多肉植物は冬越しをするために水やりを一切しない場合が多いですが、コダカラベンケイソウは冬場でも一ヶ月に2回程度の水やりを必要とします。


ただ、与え過ぎると根腐れの原因になるので注意しなければいけません。


◉肥料

肥料はなくても育ちますが、春から秋までの間は液肥などを施すと子株がよくつくようになります。


      (11月、葉の縁についた子株)

肥料の与え過ぎはよくないので注意します。

★殖やし方

株わけや葉についた子株がこぼれ落ちて一年中増えます。

葉からこぼれ落ちた子株をそのまま土の上で育てても良いですが、2~3日程水に浸けて発根を促した方が確実に育ちます。



                                (子株の挿し木)


※挿し木
4月から6月、9月から10月頃が適期、茎を10㎝程に切り、土に1㎝程埋めておきます。

一週間に1度少量の水やりをしていくと根と新芽が生えてきます。

★害虫はハダニ、ナメクジが発生見つけ次第、捕殺や薬剤などで駆除します。

コダカラベンケイソウは蒸れに弱い植物なので、特に多湿になりやすい梅雨や夏場には風通しの良い場所に置いて管理します。

暖かい地域に自生する植物なので寒さには弱く、霜に当たると枯れます。

冬場はなるべく、10度以上の気温を保てる暖かくて明るい室内へ移動し管理します。

また、部屋の中でも冬の窓辺などでは夜や明け方に気温が下がるのでなるべく避けるようにします。


        挿し木後3ヶ月が過ぎた子株
        ❨2021年2月21日撮❩



「切り詰めて新芽が出てきた状態」


間延びした場合、上部を切り詰め下部に新芽を出させる。








2020/11/07

アセビ No,327

 アセビ ツツジ科 常緑中低木

原産地=日本

アセビ属の植物は東アジア、北アメリカに10種類程ありますが、日本では本州(山形県以西)四国、九州のやや乾燥した山野に自生しています。

大きなものは5㍍にも達するが、普通2㍍程の樹木が多い。

乾燥が強いと低く、弱いとより高く生長する。

群生して林を形成することも多く、そんな場所では枝が混み合って容易に人を近づけない。


古くから親しまれてきた樹種で、万葉集時代から多くの和歌に詠まれています。

アセビと呼ぶようになったのは、平安時代後期からで、それ以前はアセボ、アシと呼ばれていました。

アセボトキシン、アセボチンなどの有毒成分があるため、馬に食べさせると酒に酔ったように、足を引きずることから、アシヒキ足が痺れるのでアシシビレ等と呼んでいたものがアシビ、アセビに転訛したと言われています。

「馬酔木」と言う漢字もこれに由来します。

★アセボトキシン、アセボチンなどは苦味物質である有毒成分で、
昔から葉を煮出して水で希釈したものを農作物の殺虫剤や、家畜の寄生虫駆除ウジ虫の駆除などに利用されていた。

近年でも特に羊や山羊の中毒が多数報告されている。

トルコでツツジ属の花からとった蜂蜜を食べた人から、中毒事故が起きているとの報告もあります。

2月下旬から4月にかけて、スズランやブランデーグラスを逆さにした様な釣鐘状の白、または紅色のたくさんの小花が房状に下垂して咲きます。

花は下を向いて咲くが、果実は上を向いて熟す。

5月頃の新芽も淡紅色で美しく、
樹形も整えやすいことから庭木として、古くから幅広く利用されている。

その他、盆栽や鉢植えでも楽しまれてきました。




枝葉、花、果実とも有毒物質を含みますが、接触しても食べない限り心配はありません。

江戸時代から園芸品種の改良が行われるようになり、江戸後期には欧米でも観賞用に栽培されるようになりました。

園芸品種には、葉の縁に白い斑がある矮性のフクリンアセビ、淡紅色の花が可アケボノアセビ、小ぶりの花を細長く鈴なりに付けるオナガアセビ、純白で大ぶりの花をつけるリュウキュウアセビ、
桃色の花をつけるクリスマス·チアなど多くの品種が栽培されています。

植え付け、植え替え

排水性、保水性ともによく半日陰の腐植質に富んだ場所を最も好みますが日陰、日向、乾燥地などでよく育ちます。

ただし、西日の強い場所や極端に乾燥する場所への植え付けは避けた方が無難です。

また、他のツツジ科の植物と同様
酸性土壌を好むので、アルカリ土壌での生育には適しません。

移植は比較的容易です。

植え付け、植え替えの適期は3月から4月と7月から10月です。


細い根が横に浅く広がる浅根性なので高植えにし、土はあまり踏み固めないようにします。

高植えにすることで、水はけをよくすることもできるでしょう。

◉肥料

植え付け時に堆肥や腐葉土、ピートモスなどをすき込むだけで、肥料は特に必要ありませんが、花つきをよくするためにはリン酸、カリウムを含む肥料を春先に根元にばら蒔きます。

★病害虫
葉裏にハダニ、グンバイムシなどが発生する事があります。

多数発生すると葉が変形して、美観を損なうので発生初期に、スミチオン乳剤1000倍液を2~3週間おきに数回散布します。

◉剪定、整姿

刈り込みにも強く、仕立て物にする事も出来ますが、自然樹形で楽しむのが一般的です。

生長が比較的遅く、樹冠もしまってよく整うので、あまり強い剪定は必要ありません。

基本的には4月頃に太い枝や長い枝をある程度切り詰め、小枝を出して仕立てます。

胴吹き芽や不定芽は早めに切り取りますまた、花後はすぐに花房を摘み取ります。

花芽分化は7月で夏にはすでに、
花房を形成し始め、冬には今にも花を咲かせることが出来る程の状態になっています。

長い期間をかけて花を準備する植物なので、秋に剪定を行うと花つきが悪くなります。

◉殖やし方
実生、挿し木、とり木で殖やせますが生長が遅いため実生はあまり適さない。

挿し木は前年枝のつぼみを除去して穂木にします。

春さしと、花後に伸びた本年枝を使う夏ざしがあります。

さし床には鹿沼土、ピートモス、腐葉土の混合土を用いて、半日陰で乾燥に注意して管理します。










2020/11/05

盆栽樹形の大きさを調節する No,326

 盆栽樹形の大きさを調節する

盆栽の大きさは、自分のイメージする完成樹形に合われて決めていくのが基本ですが、設置スペースの条件などによっておのずと決まってくる場合もあります。

樹芯(幹の先端)をこまめに切り詰めて、樹高が伸びるのを抑える方法は一般の植木と同様ですが、丹念に切り詰めて枝と枝の間隔を短くしていきます。

ただし、これだけではまだ樹勢が強いので一年に1回、主根(幹から地中に向かって真下に伸びる根、直根とも言う)=主根の先を切り詰めて、植え替えるようにします。


根を切り詰めることで、土から吸収する養分が調整されて、樹高が高くなり過ぎるのを抑える訳ですが、同時に側根、主根から横に分かれて伸びる根が生長して「根張り」の具合がよくなると言う意味もあります。

希望する樹高になったら、樹形を整えて観賞用の鉢に植え替えます。

また、樹形を作る段階までは幹の健全な生育に重点を置き、横枝は伸ばしたままにしておくのが通例です。

これは、樹形を作る時に必要な枝を足りなくなると言う事態を防ぐとともに、幹の生育を促す効果もあります。

※根を切り詰めることで生長を抑える。


2020/11/04

クロッカス No,325

クロッカス アヤメ科 球根草花

別名=ハナサフラン

クロッカスの名は ギリシャ語の「糸」の意味で、その細かい雌しべの様子から名付けられたようです。

原産地は地中海を中心にヨーロッパ、中心アジア

(アフガニスタン産のクロッカス.コロルコウィイ)

など75種を数え、薬用や香辛料として栽培されるものを含め150種以上の園芸品種があります。

黄色、白色、紫色など豊富な花色のクロッカスは春の季語にも使われますが、実はサフランに代表される秋咲きの品種もあります。


春咲きの中でも、2月~3月中旬に咲く寒咲きと、3月~4月上旬に咲く春咲きの2タイプがあります。

※早咲き種は、バルカン半島から小アジアに自生する黄色系の原種から選抜、交配されたものでラベンダー色の「ブルーバード」

※白い花弁と黄色の雌しべのコントラストが可憐な「ミスヴェイン」

※濃い黄色の「ゴールディロック」

※花弁の基が薄茶の「クリームビューティー」などがあり、小輪で変化に富んだ花びらが特徴です。

※春咲き種は、ダッチクロッカスと呼ばれ、ヨーロッパの山岳地帯に自生するものが基になっています。

※白い花弁に紫の筋が入る「ジャンヌダルク」

※ふっくらした「マンモスイエロー」

※紫のストライブの「キングオブストライブ」など大きめの花を咲かせます。

いずれも草丈が8~10㎝と低く、花径は3~5㎝なので、まだらに植えるよりもまとめて植えた方が魅力が発揮します。

同一の品種で群植し、一斉に咲かせるようにします。

クロッカスはやや高温多湿に弱いとされるが、日当たりのよい場所であれば土質は選びません。

また、夏は日差しを遮る場所を選ぶと3年~4年はよく咲きます。

花は日に当たらないと開かない性質があるので、置き場所は日の当たる所を選びます。




◉生育管理、環境、特徴、性質

クロッカスは冬の寒さに当たらないと開花しない。

1ヶ月半以上の低温に遭わせる事が大切です。

早く咲かせる場合はその後に温め
通常に咲かせる場合は、土中に埋めて鉢土の凍結を防ぎます。

※鉢植えの群植を作るには、10号鉢に市販の培養土を入れ、球根同士触れ合うくらい2~3㎝の深さにぎっしり植え付けます。

※庭植えの場合は30㎝程の深さまで耕し、緩効性肥料を1平方㍍当たり100g~130g施し、球根の直径の2~3倍の間隔を空けて8~10㎝の深さに植え付けます。

高音多湿を嫌うので春は日当たりよく初夏は、日陰になるような落葉樹の下で水はけのよい場所に植えます。

また、新しい球根が古い球根の上に出来るので浅植では、球根の生育が不十分になってしまいます。

花後に新しい球根が土から出ていたら上に用土を足します。


更に霜柱で持ち上げられてしまうことがあるので、その場合は植え直します。

その他、ネット植えで楽しむ方法もあります。

ネット袋に水を含ませた水ゴケをゴルフボール大にして複数入れ、そこに球根を入れて袋の切れ目から花の先端を外へ出しておくと、開花した花が球状になって花のボールになります。

特徴と性質
葉は花と同時に開き、花の観賞時にはあまり葉が目立たず、鉢植えに適していると思います。

花後に伸長し球根を肥大させ分球して植えます。

一花の開花期間は短いですが、1球から数個の花を次々に咲かせ、まとまって植えると観賞期間が1ヶ月位あります。

秋咲きの種の葉は、冬を越し梅雨頃までと長いですが、春咲き種は2~3月から梅雨までで葉のある
期間が短い。

その間に球根を太らせ来年の花を作ります。

耐寒性は強いのですが、秋植え球根の場合生育中の乾燥を嫌います。

排水性と同時に、保水性のある土を混ぜた用土を用いれば丈夫に育ちます。

◉肥料

開花期の肥料は、日当たりがよければ月に1~2回カリ分の多い薄めの液肥を与える。

水は1~2日に1回、表土が乾いたら与えます。

花弁が繊細なので水がかからない様にします。

花が終わると葉が伸びて養分を蓄えます。

花柄を基部から抜き取り、そのまま葉を切らずに化成肥料を、ばら蒔いて球根を太らせるようにします。

球根の太りをよくするには、鉢から地面に植えて肥培します。




◉植え付け、時期、栽培のポイント

6月頃葉が茶色く変色してきたら引き抜きます。

路地植えは植えたままで自然に球根が殖えますが、殖えすぎてスペースがなくなったり花の数が減る。

花が小さくなるなどの現象が起きたら、堀り上げの時期です。

葉が枯れた頃に球根を掘り上げ、枯れ葉と根を整理して日陰で2~3日乾燥させます。


その後ネットなどに入れ、風通しのよい冷暗所で秋まで保存します。

植え付けの時期として、秋咲き種は8月下旬から9月下旬までに行う。

冬、春咲き種は10月中に植えると結果かよく12月に植えても花は咲きますが、球根の肥大はよくありません。

クロッカスは連作を嫌うので、アヤメ科の植物の跡地は避けるようにします。

球根は大球になると分球しやすくなり、分かれた球根は1~2年肥培しないと花数が少ないか、もしくは咲きません。


1つの球根を毎年咲かせるのは難しく、肥培養成と観賞を繰り返すようになります。

芽が出るまでは日陰でもよいが、芽が出たら日向に置きます。

つぼみが出たら必ず日に当てます。

◉殖やし方
球根が分球して殖えます。

球根を掘り上げた時、親球に子球が付いている事がありますが、外さないでそのまま保管します。

この子球は植え付ける時に手で軽く引っ張って取れるものだけ外します。

この時、小さな球根は思い切って整理します。









2020/11/03

盆栽の樹形 (9) 筏吹き No,324

 筏吹き(いかだぶき)樹形

自然災害で幹が横倒しになり、枝が新たに幹として生長した様子を表した樹形です。

横倒しになった幹が根の働きをします。



         (筏吹きの樹形)





盆栽の樹形 (8) 斜幹 No,323

 斜幹樹形

幹が斜めに傾いている樹形です。

海岸の傾斜地などで強い横風に耐えながら、生長した樹木の様子を表現しています。


          (斜幹樹形)