緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/12/04

シャリンバイ No,336

 シャリンバイ バラ科常緑広葉樹

別名=ハマモッコク (車輪梅)

シャリンバイの樹高は2〜4㍍程度幹の下部から枝が分かれ、株立ち状に大きく生長します。

本州宮城県以西、四国、九州、沖縄の海沿いの岩場や山地に自生します。

シャリンバイの名は5月初旬から
6月にかけて、梅に似た5弁の白い小花を車輪状にぐるりと枝先につける所から命名されました。


また、モッコクに似た肉厚の葉をつけることから(ハマモッコク、浜辺のモッコク)と言う別名もあります。

またタチシャリンバイとも呼ばれる。

❆葉の縁はまばらな鋸歯があるもの
と全縁のものとがあります。


生長は遅く萌芽力もあまり強くありませんが、その分管理がしやすい。

耐潮性、耐煙性が非常に強く大気汚染にも強い事から、都市部の庭園樹、公園樹などとして観賞用に
広く用いられています。


10月から12月にかけてブルーベリーの実に似た紫黒色の果実が熟します。

また、黒褐色で滑らかな樹皮は有名な、鹿児島県奄美大島の大島紬の染料として使われる事も知られています。


                          (シャリンバイ)

✪品種

変種が多い。
✭葉先が丸く矮性のマルバシャリンバイ

✭葉が狭いホソバシャリンバイ

✭紅色の花をつけるベニバナシャリンバイ、ヒメシャリンバイなどがあります。

❆スプリングタイムなど外国で改良
された品種も出回っています。

密に枝葉が茂るシャリンバイは、庭の目隠しに利用したり、寄植えにします。

マルバシャリンバイは小ぶりで球状に樹形がまとまりやすいため、単植にして玉仕立てに作ったりします。

洋風の庭にもよく合います。

また、盆栽にも仕立てやすくよく
利用されている樹種です。


                 ( マルバシャリンバイ)

★生育管理、環境

やや砂質の肥沃な土質が理想ですが、日当たりのよい場所であれば
普通の土質なら毎年よく開花します。

日本海側の自生限界は山形県西部と言われており、寒さにやや弱い
傾向があります。

寒地では冬の寒風に当たらないようにし、株元にマルチングするなど管理に気をつけましょう。

◉肥料

2月と9月くらいに、株元に化成肥料を蒔く程度で十分です。

樹勢が衰えた場合は、根元の周囲を掘り、完熟堆肥を十分にすき込みます。

チッ素系の肥料が多いと花つきが
悪くなるので、控えめにします。


❆病害虫
カイガラムシによるスス病が発生する場合があります。

4月から7月にかけて、スミチオン乳剤などを2〜3週間おきに散布しておくと防除に繋がります。

✿せん定、整姿

生長が遅く萌芽力があまり強くないので、極端に手を加えないのが
原則です。

放任していても樹形はあまり乱れずよくまとまりますが、若木の間は伸び過ぎた新梢を切る程度で十分です。

しかし、長時間放置状態になると
ふところ枝などの不要枝が増えて
くるので、2〜3年に一度くらいは間引きせん定を行い、樹形を整える必要があります。

枝が車状に出るので、上手に間引く事が大切です。

大きくなり過ぎた株を小さくしたい場合は、6月から8月に枝の途中で切り戻しますが、基本的に葉のある部分で切り、短い枝と切り替えます。

古枝の部分で強く切り戻すと、樹勢を弱らせる原因になる場合があるので避けましょう。

玉仕立ての場合もあまり強く刈り込まず、若枝の部分を軽く刈り込む程度で樹形を整えます。

✪殖やし方
塾した果実を採り、果肉を除いて

採り蒔きにするか、冷暗所で保存して翌春に蒔きます。

挿し木は活着率が悪く困難です。









2020/12/01

シャクナゲ No,335

 シャクナゲ ツツジ科 常緑低木

別名=卯月花   (石楠花)

中国西南部からヒマラヤにかけての山深い地方が原産と言われています。

園芸品種は日本の高山に自生する、日本シャクナゲ(和シャク)と欧米で改良されて日本に渡った西洋シャクナゲ(洋シャク)に大別されます。

日本シャクナゲの代表的なものには
✪南畿以西、九州、四国の山地に分布するツクシシャクナゲ

✪愛知、長野、富山以西、四国に分布するホンシャクナゲ

✪山形、宮城以南、関東、甲信地方に分布するアズマシャクナゲやアマギシャクナゲ、ヤクシマシャクナゲ、ホソバシャクナゲ、キバナシャクナゲなどがあります。

いずれも高地に自生するため、平野での栽培には高度な技術を要します。

そのため「高嶺の花」として古くから園芸愛好家の憧れの花となっています。




欧米では「アルペン·ローズ」と呼ばれる西洋シャクナゲは、品種改良が繰り返され千種類以上の園芸品種があると言われています。


総じて花が華麗で大きく、色も豊富で一般家庭でも栽培が容易なため、より広く親しまれているのはこの西洋シャクナゲです。

◉生育管理、環境

栽培が難しいと言われるシャクナゲですが環境がきちんと整っていればよく育ちます

開花時期は5月〜6月

基本的には午前中に日がよく当たり午後は日陰になるような所が最も適しています。

シャクナゲは西日を嫌う性質を持っている

ため、強い日差しが一日中当たるような所は生育に適しません。

また、乾燥を嫌うので冬場の北風が避けられるような所で栽培することも大切です。

他の樹木や植物の間に植えるのも
他の樹木や植物が蒸散した水分によって湿度が上がるので良い方法です。

根が浅いので乾燥する季節には敷き藁などで乾燥を防ぐ事も必要です。

✿植え付け、植え替え

2月中旬〜3月、9月中旬〜10月
土質は水はけがよく腐植質を豊富に含んだ酸性土を好みます。

赤土や火山灰質の黒土で腐植質を多く含む軽い土や、鹿沼土、軽石、ピートモスを混ぜ合わせたものなどが適しています。

植え付け、植え替えは根が細かいので根鉢を大きく取り、根についている土はある程度落として新しい土とよく馴染むようにすることが大切です。


❆肥料

寒肥として2月、花後のお礼肥として7月にそれぞれ油粕と骨粉を、等量混ぜたものを株元に蒔く程度でよいでしょう。


✪病害虫

葉枯れ病、褐斑病、カイガラムシなどが発生する場合があります。

葉枯れ病、褐斑病にはマンネブ剤などを散布します。

カイガラムシには発生期にデナポン乳剤を散布します。

越冬期にはマシン油乳剤や石灰硫黄合剤などで防除します。






✿せん定、整姿

5月、10月
放任しても樹形がよく整います。

ただし、花つきの多い種類はすべての花を咲かせると、樹勢が衰え隔年開花の原因になる場合があるので摘蕾します。

シャクナゲは花が付いている内から、新梢が伸びてその先端に花芽が分化します。


そのため、冬の間もつぼみをつけた開花枝ができる事になります。

そこで10月頃にその枝の真ん中のつぼみを取り除いておきます。

残したつぼみは翌春開花し、摘み取った後から伸びた新梢には翌年の花芽がつくので、隔年開花を確実に防ぐ事ができます。


また、花後の花柄摘みも花つきをよくするために欠かせない作業となります。


❆殖やし方

実生は採取したしゅしを冷暗所で保存し翌春に平鉢に入れた水苔に蒔きます。

ガラス板や新聞紙などをかぶせて保温し、日中はガラス板をずらして外気に慣らします。

翌年秋に水苔を切り取り、赤玉土3、腐葉土4、ピートモス3の割合の用土に植え、3年程管理した後定植します。

挿し木は5月頃に鹿沼土とピートモスの用土に挿し、冬場は日当たりの良い窓辺で管理します。








2020/11/30

苔で作ったクリスマスリース No,334-1

 苔リース



リースリングには土が一体化されている。


植物の植え付けができるように

作っています。





2020/11/26

エゴノキ No,334

 エゴノキ エゴノキ科

落葉小中高木 (斉敦果)


北海道から沖縄まで、ほぼ日本全国に自生する。

日本の代表的な樹種のひとつです。

秋に熟す果実の皮にはエゴサポニンと言う有毒物質が含まれており
食べたときにのどを刺激して「エグい」味がする事から「エゴノキ」の名が付いたとも言われています。

この果実や樹脂から★「安息香」と呼ばれる薬剤を作ったり、洗剤の原料などに用いていました。


★安息香=あんそくこうは別名ベンゾインとも言い、精神を落ち着かせてリラックスさせる効果に優れている。

青い果実は、有害のサポニンを含みかつては、その麻酔効果を利用して魚とりなどに使われていた。

この様な効果を含んだ植物はナス科🍆に多く見られる。

★ナス科の同類作用種
※ハシリドコロ

※アトロパ·ベラドンナ
(和名オオカミナスビ)

※チョウセンアサガオ
ダチュラ、マンダラゲ、キチガイナスビ
トランペットフラワー、ロコ草とも言う。

※イヌホウズキ(バカナス)

※ヒョス

◈その他では
ケシ科のケシの実から作るアヘン、麻薬

◈キンポウゲ科のトリカブト
(オクトリカブト)

◈セリ科の毒人参(ハムロック)
毒パセリとも呼ばれる。

昔はエゴノキの木材をロクロで細工して、玩具を作った事から「ロクロ木」と言う別名もあります。

白い木材は堅くて粘りがあり、家の床柱や薪炭材としても利用されます。

5月に桜に似た清楚な白花をこれ以上は無理と言う程、枝いっぱい
雪の様に咲かせます。

生長が早く花が美しい事から、公園樹としても利用されるようになった。

身近な平地や里山の雑木林や沢沿いなどに多く生えている。

全国に分布する樹種のため別名が
多く存在している。

チシャノキ、チャノキ、サボン、イツキなど、各地で様々な通称が使われています


万葉集にも「地左=ちさ」の名で登場しており、古くから多くの人々に親しまれていた樹木である事が
窺い知れる。

樹勢がたいへん強く、庭木としても育てやすい樹種で、園芸品種には枝が垂れるシダレエゴノキ、淡紅色の花が咲くベニバナエゴノキがある。


                          (エゴノキの花)


◉生育管理、環境

一日中日が当たる場所より、午前中によく日が当たり、午後の西日があまり当たらない半日陰の環境が最も適する。

水はけ、排水性、腐植質に富んだ肥沃な土質が理想的です。

樹勢が強いので、大抵の環境でも育ちますが、根元付近が乾燥しやすい場所では乾燥を防ぐ処置が必要です。

✿植え付け、植え替え

11月〜3月までの落葉期に行います。

植え穴は大きめにとり、完熟堆肥を元肥として十分すき込み 、排水が良くなるようにやや高植えにします。

植え付け後は支柱をつけ、倒木を防ぐ。

◉肥料

樹勢をよく観察しながら、必要に応じて2月頃に寒肥として鶏ふんなどを、株の大きさに応じて株元にすき込むとよいでしょう。

❆病害虫

まれにカイガラムシやテッポウムシが発生します。

カイガラムシには冬期にマシン油乳剤や石灰硫黄合剤を散布し、テッポウムシには穴にスミチオンを注にした後練り土で穴を塞ぎます。

✿せん定、整姿

細かい枝や混み過ぎた枝、徒長枝などのふような枝を整理します。

枝は途中で切ると硬い樹形になるので、切る時は必ず付け根で切り取ります。

切り口には必ず保護剤を塗り保護する事が大切です。

シダレエゴノキの場合は、同じ様に枝を切るのではなく、しだれた枝を外に向かって広がるように枝向きを生かして、せん定する事が重要です。

せん定、整姿の適期は葉が完全に落ちた12月から新芽が動き出す前の3月中旬頃までです。


✪殖やし方
秋に熟した果実を取り、果肉をよく取り除いてから蒔きます。

ベニバナエゴノキ、シダレエゴノキは実生3年から4年の苗木を台木にして切接ぎで殖やします。






2020/11/24

トチノキ No,333

 トチノキ  トチノキ科 栃の木

別名=ウマグリ 落葉高木

栃木県の県木として有名ですが、本州四国、九州の各地に自生しています。

深山の渓流沿いなどの湿り気が多い場所生える。

老木になると樹皮が剥がれて模様がより鮮明になる。

5月初旬から6月にかけて、小花の集まりがロウソク状に盛り上がる独特の花を咲かせる。




日本の山野に自生するトチノキは
紅白の花を密につけ、マロニエの名で親しまれているヨーロッパ南部原産のセイヨウトチノキは、淡白色や紅色のやや大ぶりの花をつけます。

パリのシャンゼリゼ通りを模した
セイヨウトチノキの並木道が、日本でも各地で見られます。

北アメリカ原産のアメリカアカバナトチノキは、やや小形で日本ではあまり見られない。

街路樹や公園木としてもよく見かけるのは、セイヨウトチノキとアメリカアカバナトチノキの園芸交配種として、19世紀に作り出された紅色花をつけるベニバナトチノキです。

こちらは日本での歴史が30年余りで、比較的新しい園芸種といえます。

トチノキの「ト」は数字の(十)に由来しており、実が多い木の意味と言われている。

花から「蜜」が、種子からでんぷんが採れ食用とされます。

特に蜜は[トチ蜜]と呼ばれ、最高品質の蜜として珍重されます。

秋に熟す実「トチの実」はすりつぶして渋抜きしたものを[栃餅]にしたり、蕎麦に似た(栃麺=とちめん)を作ります。


縄文時代にはどんぐりなどとともに、重要な主食の一部だった事も知られています。

チョコレート色の模様がある種子は有毒だが長い時間水に晒して、飢饉の時には食料とされた。

木材は家具や楽器などに幅広く用いられます。

◉生育管理、環境
土質は特に選びませんが、日当たりがよく保湿性のある腐植質に富んだ肥沃な場所が最適です。

◉植え付け、植え替え

大木になるのでそれなりのスペースが必要、庭植えに向くのはやや小ぶりのベニバナトチノキですが、枝葉を大きく張るので混植を避け、独立木として広いスペースに植えるようにします。

高さ1メートル程の2〜3年生の接ぎ木苗で開花する「カルネア·ブリオッティ」など小庭向きの矮性の園芸品種もあります。

植え付け、植え替えは11月下旬〜12月及び、2月下旬〜3月中旬に行います。

寒冷地での植え付けは春に行った方が良いでしょう。

◉肥料
やせ地でない限り、通常は必要ありません。

が状況に応じて油粕、鶏ふん、堆肥などを寒肥として2月頃に根元にすき込むと良いでしょう。

❆病害虫

クスサンなどの幼虫がつく場合があります。

幼虫が発生した場合は、捕殺した後ディプテレックス乳剤などを散布して予防します。




✿せん定、整姿

放任しても大きな球状に樹形を整えるので、若木のうちは落葉期にふところの細かい枝を切る程度で、せん定、整姿の必要はほとんどありません。


萌芽力があまり強くないので切る場合は、必ず付け根から切るようにすることが大事です。

ある程度の大きさに育ったら、大きくなり過ぎないように切り詰める必要があります。


花後伸びた新梢の先端に花芽が分化します。

花が終わったらすぐに開花枝を、大きめの定芽の上で切り戻すようにします。

✪殖やし方

園芸によく使われるベニバナトチノキは、あまり結実が良くないので接ぎ木で殖やします。

台木は2年生以上のトチノキの実生苗木を利用し、3月中旬から下旬にかけて切り接ぎにします。

活着率も比較的よい樹種です。

高接ぎ比較的容易に行えるので、
10年~15年生くらいの大きなトチノキの枝に数カ所高接ぎをすると、3年程で立派な苗木ができます。







2020/11/19

葉の部分、形、つき方に関する用語 No,332

 葉の部分に関する用語について

「葉」は植物学的には、根、茎とともに植物の栄養器官を構成し、通常茎のまわりに規則的につき、葉緑体を持ち光合成を行い呼吸、蒸散を行うものを「葉」と言います。


ほとんどの樹種の葉は、偏平な形である。

✿気孔❨きこう❩

気孔は葉の表面にあり、空気が出入りするための孔で開閉できる。

✿鋸齒❨きょし❩

葉の縁[葉縁=ようえん]につくノコギリ状のギザギザのこと。

✿全縁❨ぜんえん、ぜんふち❩

葉縁に鋸歯や切れ込みがないもの。

✿托葉❨たくよう❩

葉の付け根に生じる葉状、突起状
刺状などの構造物。
ドクダミなどに見られる。

✿葉腋❨ようえき❩

葉が茎にくっついている根元の部分のこと。

✿葉茎❨ようけい❩

葉と一体になった茎のこと。
草木類にみられる。

✿葉身❨ようしん❩

葉の本体とも言える部分で、普通は偏平で葉脈がある。

厚さ、光沢、質感、毛の有無や性質が樹種によって異なる。

✿葉枕❨ようちん❩

葉の付け根のやや膨らんだ部分。
内部の圧力を調節して葉を動かすことを可能にする。

✿葉柄❨ようへい❩

葉身と茎を繋ぐ柄のような部分。
葉身を適当な位置に差支える。

葉柄がない場合は無柄ある場合は有柄と言う。

✭図5葉の付き方参照

✿葉脈❨ようみゃく❩

葉身内を走る維管束。

中央の主脈、主脈から出て葉縁へ向かう側脈、網目状に走る網脈などがある。

✪図1=葉の部分


「葉」の形に関する用語について

樹種によって形は多様です。

◉複葉❨ふくよう❩

2枚以上の小葉が集まってできている葉の
事で、全体で一枚の葉と考えられるもの。

複葉がさらに集まっているものを
2回複葉と言う。
✭図2を参照

◉羽状複葉❨うじょうふくよう❩

小葉が軸(葉の中心の軸)の両側に羽のようにつき、全体として1枚の葉を形成しているもの。


◉小葉(しょうよう)

複葉を形成する1枚の葉のこと。

◉鱗片葉❨りんぺんよう❩

魚の鱗(ウロコ)のような形の葉が重なっている形態のもの。
針葉樹に多く見られる。

✪図4=葉の切れ方参照


◉裂❨れつ❩

葉の切れ込んだもの。
切れ込みの形状により浅裂〜深裂などに分かれる。

✪図4参照

✭図=2主な複葉の種類



✭図3=主な葉の形


✪図4葉の切れ方


葉のつき方に関する用語について


❆互生❨ごせい❩

葉が一枚ずつ交互についている状態。

❆対生❨たいせい❩

葉が1つの節から2枚相対して
出るようなつき方。

❆輪生❨りんせい❩

葉が茎の1箇所から3枚以上出ること。

✭図5葉のつき方