緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/04/15

生物群系の種類(バイオーム)No,436

 バイオームとは

植物を外から見たときの外観上の特徴を相観と言い、相観の特徴を分類したものを「バイオーム」と呼び、生物群系とも言う。


バイオームは気温と降水量によって決まる。


                               A図「降水量と平均気温」

熱帯多雨林の代表的植物

つる植物、ヒルギ、マングローブ林
年間平均気温20℃以上
年間降水量2000㍉以上の高温地帯


                               「オヒルギ」

ヒルギ科マングローブ植物、マングローブという名前の植物はいません。

マングローブというのは、熱帯の海や川が繋がる気水の干潟のような場所に生息する植物の総称です。

マングローブの代表的な種類はヒルギ類で、国内に生息するのは全部で3種の①ヤエヤマヒルギ②メヒルギ③オヒルギです。

主な生息地は沖縄です。


亜熱帯多雨林の代表的植物

ビロウ、ヘゴ、ソテツ、アコウ、ガジュマル
年間平均気温18℃以上
年間降水量1300㍉以上


                                     「ヘゴ」

ヘゴ科の常緑性大形の木性シダで、世界の熱帯から亜熱帯に約800種類が分布し、大きなものは野生では高さが最大7〜8㍍にも達します。

山仕事で、弁当のお箸を忘れた時によく代用としてヘゴ箸を作っていたものです。


雨緑樹林の代表的植物

チーク、タケ
雨季には葉をつけ、乾季には落葉する。
雨季と乾季のある熱帯、亜熱帯地域である。


                              「チーク」

チークはクマツヅラ科の落葉広葉樹で、チークはマホガニーと並ぶ優良高級材として、様々な用途に用いられる。

病害虫にも強く、天然の油性分があり、オイルやニスで手入れしなくても耐久性がある銘木です。

タイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジアの地域に分布しています。

チーク(teak)というのは英名で、タイではマイサック(maisak)ミャンマーではチューン(kyun)フランスではテック(teck)と呼ばれるなど、広い地域で親しまれていることがわかる。

マホガニー、チーク、ウォールナットは世界三大銘木とされている。


硬葉樹林の代表的植物

オリーブ、コルクガシ
夏に雨が少なく、冬に雨が多い地中海沿岸地域
葉が小さく硬いのが特徴である。

硬葉樹林は非常に微妙な位置にあり(A図)だいたい照葉樹林と夏緑樹林の間の下の辺りである。


                                    「オリーブ」


オリーブはモクセイ科の常緑高木で、実が食用油の原料や食用、化粧用になるため広く栽培されている。

海外ではイタリア、日本では小豆島がオリーブの産地として知られている。

夏緑樹林の代表的植物

ブナ、ミズナラ
夏に葉をつけるが秋には落葉する。
年間平均気温5〜15℃
年間降水量1000㍉の冷温帯


                                   「ミズナラ」

ミズナラはブナ科コナラ属の落葉広葉樹
温帯の落葉広葉樹林の代表的な樹種である。

材に水分が多く含まれ、燃えにくいことから水楢と呼ばれる。


針葉樹林の代表的植物

シラビソ、コメツガ、トウヒ、エゾマツ
トドマツ

年間平均気温、−5〜5℃
年間降水量1000㍉前後の亜寒帯


                                「コメツガ」

コメツガはマツ科ツガ属の常緑高木
小さな葉を米に見立ててこの名がある。

亜高山帯では純林を作り、背丈が高いが高山帯では、ハイマツなどとともに1㍍程にしか育たない。


サバンナ(熱帯草原)の代表的植物

イネ科の草本、木にならない植物。
樹林は点在し、大木も存在する。


イネ科はおおよそ700属と8000種が属する被子植物単子葉類の大きな科である。

世界中で広く分布し、古くは禾本(かほん)科
又は、ホモノ科とも呼んだ。


オオムギはイネ科の穀物、中央アジア原産で世界で最も古くから栽培されていた作物の1つです。

小麦よりも低温や乾燥に強いため、ライ麦と共に小麦の生産が困難な地方において、多く栽培される。


                                「燕麦、エンバク」

エンバクはイネ科カラスムギ属に分類される一年草で、その種子は穀物として扱われる。

「円麦」という漢字や「えんむぎ」という読み方は誤りで、英語名の「oat」からオートムギ、オーツ麦、オートとも呼ばれ猫草、ウサギなどの食草にも利用されている。




ステップ(温帯草原)の代表的植物

イネ科の草本
夏は乾燥し、冬は低温になる温帯。
草本が主で大木はない。

砂漠(乾燥荒原)の代表的植物

サボテン 多肉植物
年間降水量200㍉以下の極端に乾燥している地域


                           「サボテン」

サボテンはサボテン科に属する植物の総称。
北アメリカと中央アメリカを中心に200種以上ある。

その多くは多肉植物であるため、多肉植物の別名として使われることがあるが、サボテン科以外の多肉植物をサボテンと呼ぶのは誤りである

棘(とげ)の部分は葉や茎が変化したものであると考えられている。


ツンドラ(寒冷荒原)の代表的植物

地衣類(ちいるい)、コケ類


                                         「コケ」

コケの体には根がなく、水分や養分は体の表面から吸収します。

コケは普通、たくさんの個体が集まって生えており、それが水分を保持するのに役立っている。

体の作りは簡単で水分や養分を運ぶ構造や水分の蒸発を防ぐクチクラはない。

地球で地上に最初に誕生した植物とされる。



照葉樹林の代表的植物

シイ、カシ、クスノキ、ツバキ、タブノキ
年間平均気温13〜20℃
年間降水量1000㍉以上の温暖地
✫クチクラ層が発達した光沢のある葉を持っている。

✫クチクラ層とは
一般的に動植物の表面を覆う層(丈夫な膜)で、水分の蒸発を防いだり内部の保護の役割を果たしている。

英語でキューティクル、日本語で角皮とも言う。


                                       「ツバキ」

多くの園芸品種はヤブツバキが基本種となっていて、ツバキと呼ばれることも多い。

日本の照葉木を代表する樹木の1つで、主に東北地方以西の海沿いの地域や、山地に幅広く自生している。   


   


             

2021/04/14

エゾマツ、アカエゾマツ No,435

 エゾマツ、アカエゾマツ

マツ科トウヒ属  (蝦夷松 )常緑針葉高木
原産地=サハリン、千島
日本(北海道、本州)シベリア

蝦夷(エゾ)とは北海道の古称、北海道に多いのでこの名がある。

代表的な針葉樹で、アカエゾマツと共に北海道の木に指定されている。

山地に生えるが沢沿いなどに多く、寒冷地では庭木として植えられることがある。

樹高は40㍍にも達し、細長い枝が密生し、左右の枝を斜め下におろしたような傘形の樹形となる。

葉は線状で長さ2cmほどで、先端が尖っている。

5月から6月頃に花が咲き、球果は秋に熟して垂れ下がる。


                                                 「エゾマツ」


✣生育環境

土質は選ばないが、水はけの良い所が理想的である。

空中湿度の高いことが大切で、根が浅いので風に弱い。
実生で殖やす(時期は3月頃)

✻肥料

油かす、化成肥料などの寒肥を施す。

✫害虫

ハバチ、アブラムシ、カイガラムシなどが発生する。

対策としてスミチオン、カルホス、デナポンなどを散布する。

❆種類

 変種にトウヒがある。本州中央部と紀伊半島に分布する。

類似種にアカエゾマツがあり、庭園や公園樹として利用されている。

✣せん定は不敵である。

✿アカエゾマツ

エゾマツに似て幹の赤みが強いのでこの名がある。
樹林の中では、スラリと伸びたものがあるが、曲がったり、幹が曲がりくねったり、風に傷めつけられて変形したりと言った樹形のものが目立つ。


エゾマツの葉は長く柔らかいが、アカエゾマツは葉が短く、やや曲がりびっしりとつく。


                                                「エゾマツの葉」


                                              「アカエゾマツ」






2021/04/13

アワブキ No,434

 アワブキ アワブキ科  アワブキ属

別名=アブクタラシ、ヤマビワ、トーフノキ
原産地=日本(本州、四国、九州)
朝鮮半島、中国

インドから日本にかけてのアジア地域と中南米の熱帯にかけて分布しており、日本にはアワブキ属の①アワブキ②ヤマビワ③ミヤマハハソ④フシノハアワブキ⑤ナンバンアワブキの5種と、アオカズラ属のアオカズラの2属6種が自生する。

また、伊豆諸島には、フシノハアワブキの変種である「サクノキ」が分布している。

アワブキやミヤマハハソのような「落葉性」は稀で、多くの種類は常緑性である。





この木を燃やすと、切り口から盛んに泡を出すのでこの名がある。

産地に生える落葉高木で、樹高は10㍍程になる。

6月から7月に枝の先に大きな円錐花序を出し、淡黄緑色のちいさな花を多数つける。

秋の黄葉は目立つが、庭に植えられることは稀である。

✣生育環境

日当たりの良い場所に適していますが、木漏れ日が当たるぐらいでも育ちます。

やや湿り気のある土壌が最適です。

せん定は12月から3月で強せん定は避ける。
自然樹形を基本に、斜上しがちな枝を切り戻すぐらいの樹形を維持します。


移植は3月頃が適している。

✫肥料

寒肥として油かす、鶏ふんを与える。

✭殖やし方

実生で殖やします。
採り播きするか、貯蔵して翌春3月に播きます。

✣種類

類似種に葉が薄く小さい低木型のミヤマホウソがあり、地方によってはこれもアワブキと呼んでいる。







2021/04/12

アーチ=門扉の製作、取り付け No,433

 アーチ部分の製作



①材料は耐久性を考え、ステンレスの板金で製作。

ステン用の板金バサミで切断するが、経験者以外ではとても扱い難い材質と言えるだろう。

必ず手袋をして作業しなければならないが、それでも手を切りやすく扱い難い。

板金の厚みは強度も必要なので0,4㍉ですが、とても硬いので手作りであるならば、この厚みが限界と思う。



②門の幅が1.2㍍なので、幅に合わせて加工。


③穴をあける。
この穴は何?



④だんだん形になってきました。
アーチ部分の曲りはフリーハンドで卵型、半円ではない。



⑤左右、同じものを作る。



                     「基礎部分を改造」

                    「骨組部分が完成」

                 「 門扉の製作取り付け」

                        「貫抜式」


                 「自作ポスト取り付け」


                     「門扉完成」



アーチ中央に吊り下げたランプも自作、サーモスタットで点灯、消灯する。









2021/04/11

ムクノキ No.432

 ムクノキ ニレ科 ムクノキ属

別名=ムクエノキ、モクエノキ 落葉高木
椋の木、樸樹

原産地=日本(関東以西)韓国、済州島
中国、台湾に分布

山地や川岸などに自生するが、人家周辺にもよく植えられている落葉高木で、大きいものは20㍍程になり、よく枝分かれして丸みのある樹形になる。

神社の境内などには、大木が枝を張り日陰を作る。

花は春に葉が出だすのと同時に咲き、果実は球形で紫黒色に熟す。

種子のまわりの果肉が甘く食べられる。

ムクドリの大好物で、よく飛来することからムクドリと呼ばれるようになった。

葉を触るとザラザラする。

それは、植物の表面がケイ酸質の物質で覆われているからです。

ケイ酸は石英やガラスの主成分であるので、葉の表面はガラスで覆われている状態であることになりますが、このようなケイ酸によるものはイネ科やカヤツリグサ科の植物などであるが、木本植物では珍しいことです。

葉は乾燥させ、磨くのに使われる事から、自然界が作ったサンドペーパーと言えるでしょう。

生育環境

大木になるので、公園木、日陰樹として最適である。
日当たりがよく肥沃な土壌を好む。

肥料

根の周りに有機質の寒肥を与える。
植え付け移植は1月から3月
せん定は11月から12月、2月から3月


✿ムクノキの天然記念物

伊奈町の大ムクノキ
伊奈町指定天然記念物 昭和48年
(1973年)指定


埼玉県北足立郡伊奈町西小針1-2(桂全寺内)


✿矢野の大ムクノキ
県指定天然記念物 昭和58年3月29日指定



樹齢推定600年以上
兵庫県相生市矢野町森
西播丘陵県立自然公園


✿椋本(むくもと)の大椋
国指定天然記念物 
1934年、昭和9年1月22日指定



樹齢1500年とも言われる大ムクノキ
樹高約25㍍、かつては12㍍以上もあった幹周りは、明治3年の台風被害で損傷し幹の一部が失われ、現在に至っている。

三重県津市芸濃町椋本






2021/04/10

ムクロジ No,431

 ムクロジ ムクロジ科

無患子、天患子、木患子

原産地=インド、台湾、中国
日本(本州中南部、四国、九州、沖縄)

神社や寺院の庭などに緑陰樹として植えられる。

寺社に植えられたものなどは果実がびっしりとつくが、山地のものは実つきがあまりよくない。

果皮にサポニンを含み水を泡立てるので、昔は、石鹸のようにして使われた。

これは、果皮に油類を✫懸濁される働きのあるサポニンが含まれているためです。

✫懸濁(けんだく)溶解
液体中に個体の微粒子が分散した状態のことを言う。

ムクロジの種子は、羽根突きの羽根に付ける黒い玉や数珠に使われ、樹皮は薬用に利用された。

有用樹として大切にされたが、現在ではあまり利用されていない。

山地に生え、高さ20㍍以上、樹径70cmに達する落葉高木です。





インドの石鹸

ムクロジ属はラテン語でsapoindusというが、これはsapo(セッケン)とindicus(インドの)の2語から成り立っている。

インドで石鹸に使われる木と言う意味であるだろう。

日本でも果皮の乾燥したものを石鹸に使っていた事がある。

生育環境

日当たりのよい肥沃な土地を好み、移植はやや難しいが中木なら一年前に根回しして、細根を出してから葉が展開する前に行える。

植え付け、移植時期は1月から3月

肥料

寒肥として鶏ふん、油かすを与える。

殖やし方

実生で殖やせる。
果皮を取り、乾燥しないように貯蔵して翌春3月から4月頃に播く。

✫種類
熱帯地方に15 種あり、そのうち数種は温帯に広がる。

✿宇芸神社のムクロジ
富岡市指定天然記念物
平成22年4月28日指定


群馬県富岡市神成1178(宇芸神社境内)

群馬県内には市、町指定天然記念物が他にもある。
大胡神社のムクロジ、高橋家のムクロジ