緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/05/10

地球の生命を誰が危険に晒してきたか No,461

 人類の誕生が生態系の破壊をもたらした。

地球は46億年前に誕生し、長い年月をかけて現在の様な生態系ができてきた。

現生人類は200万年くらい前に生まれたと考えられています。

人類が狩猟や採集生活をしているうちは、生態系に大きな変化はありませんでした。

しかし、人類が農耕や牧畜を始めると、生態系は大きく変化し始めました。

農耕のために森林を伐採したり、放牧のために土地が不毛地帯になったりしました。

また一定の作物を生産することで、生物の種類が単純化し、生態系が不安定なものとなって行っていった。

地球の大気と言う「生命維持装置」は4億年の間、その役目を果たしてきました。

人間と人間社会が誕生してからも、資本主義という時代になるまでは、その機能を破壊するような事態が起きた事は全くありまさん。

しかし、地球大気の状態に地上の生命を脅かす危険が現れ、それが人々が理解できるようなったのは、20世紀になってからです。

最初の危険的問題は、オゾン層に穴が空き始めたことです。

オゾン層は宇宙より降り注ぐ紫外線から生命を守る防壁です。

1970年代に南極の上空に大きな穴が発見されました。

原因調査の結果、1930年代に発明され冷蔵庫の冷却材や発泡スチロールなど、多方面に使われてきたフロンガスによるものでした。

やがてフロンガスの私用が禁止されることになりましたが、フロンガスを製造していたアメリカの大企業デュポンがフロンガスの規制に猛烈に反対したのは、特徴的な出来事であった。

この事から、人類、地球の運命に関わる重大な問題でも利益第一主義が、資本主義の行動原理である事を証明したのです。



続いての問題は地球温暖化の進行です。

オゾン層の破壊以上に深刻で重大な危機が地球温暖化です。

温暖化になるという事は、地球大気という「生命維持装置」が壊れ始めたという事です。

二酸化炭素の濃度が大きく上昇し、それに連れて気温が上がり始めたのです。

二酸化炭素の濃度は、大気の温度を安定的に抑える上で大事な意味を持っています。

台風など気障災害の大型化、熱波と乾燥化、農作物や生態系など多くの影響が起こる。

地球全体でこの影響が出始め、このまま推移し続けたら気温の上昇は避けられない。

広大な地域が21世紀末には、海面の上昇によって水没し、家を失う人々の人口も想像できない程になるでしょう。


この変動は、自然現象ではなく明らかに人間の起こしたものです。

資本主義、利益第一主義に固執した経済活動が引き起こしたものである。


大気汚染による環境破壊

18世紀に産業革命が始まると、膨大な化石燃料をエネルギー源として、工場を発展させ工業製品を大量生産する事で、生活を豊かにし人口を増加させてきました。

化石燃料の燃焼は環境を破壊し、有害な汚染物質や廃棄物を生み出しました。

石油、石炭、天然ガスを大量に使用することにより、大気中に二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化イオウ、チッソ酸化物、粉塵などが放出され続けています。

大気汚染が進んだ結果、気管支炎、喘息等の呼吸器系の病気が増加を続けている。






2021/05/09

シイ ブナ科 No,460

 シイ ブナ科  常緑高木  「椎」

別名=イタジイ、ナガジイ
原産地=本州中南部、四国、九州
南限は屋久島、済州島

シイはスダジイ、ツブラジイなどの総称で、シイと一般に呼ばれているものは、スダジイが多くその他にツブラジイ(コジイ)がある。

スダジイは生食できる果実が、椎の実と呼ばれ親しまれている事からシイノキの名もある。

海岸付近の山野に多く群生し、高さ20㍍、直径1㍍程になる。

樹皮は黒褐色で大木になると縦に深い割れ目が入る。

ツブラジイの樹皮は滑らかなので区別がつく。

よく分枝して花が満開になるとこんもりとして、丸みのある樹形になる。

公園樹、庭園樹、防火、防風樹として利用されている。

雌雄同株で、5月から6月頃の花期には強い香りを発散する。

果実は翌年の秋に成熟する。

材は建築材、器具材、船舶材、薪炭材、パルプ、シイタケの原木として利用される。


                                      「スダジイ」


ツブラジイ
果実に丸みがあるのでこの名がある。

別名の「コジイ」は果実がスダジイと比べると小さい事に由来する。

ツブラジイもスダジイも生食でき、昔は両方を含め「シイノキ」と呼んだ。

日本の照葉樹を代表する種で、丘陵地や山地に自生する。

両種の雑種を「ニタリジイ」と言う。


                                      「ツブラジイ」

生育環境

肥沃な土壌と温暖な気候を好むが、樹勢が強く土質や日照をそれほど選ばない。

大木を移植する場合は必ず根回しを行う。


肥料

肥料はほとんど必要ないが、堆肥、油かす、鶏ふん等を施せば生育は良好となる。

重大化する病害虫はないが、うどん粉病には水和硫黄剤、ベンレートを散布。

害虫にはスミチオン、カルホスを散布する。

殖やし方

10月頃に実生で殖やす。
乾かすと発芽が悪いので採り播きにする。

挿し木は6月頃に行う。

植え付け、移植時期は4月から6月頃
せん定は5月から6月頃と10月から11月


主な天然記念物、巨樹

堂形のシイノキ  国指定天然記念物

所在地=石川県金沢市広坂2-1





高見のシイの木  市指定天然記念物
推定樹齢約1000年

所在地=静岡県伊東市八幡野









2021/05/08

ゴマキ No,459

 ゴマキ スイカズラ科  落葉小高木

別名=ゴマギ  「胡麻木」

原産地=日本(本州、四国、九州)

ガマヅミ科、レンプクソウ科とする説もあるようだ。

お寺で行われる護摩に使う木は、ヌルデなどであり胡麻木とは関係ない。

葉を揉むと胡麻のような香りがすることから、ゴマキと名付けられた。

本州から四国、九州の比較的温暖な地に自生する。

2〜5㍍程の落葉樹で、5月頃地味な白色の小さな花を小球状に多数咲かせる。

葉はゴワゴワしていて、縁には鋸歯のような波状がある。

葉が細長いゴマキは太平洋側に生え、関東地方以西に分布するが、変種のヒロハゴマキは日本海側に生える。


                                     「ゴマキ」

9月から10月頃には赤い実がなり、熟すと黒色になる。


生育環境

庭木としても利用される事は稀ですが、栽培は容易である。


肥料

肥料はほとんど必要としないが、化成肥料を寒肥として与えるとよい。


この1属の木には葉を食べる虫が比較的付きやすいので、カルホス乳剤やスミチオンなどを時々散布し対応する。


種類

葉の広いヒロハゴマキ
その他、マルバゴマキ、ナガバノゴマキ、コバノゴマキなどがある。


殖やし方

山掘りか実生は3月に行う。
挿し木3月、10月から11月に行う。






2021/05/07

バラ🌹の手入れ(5月) No458

 5月のバラの手入れ

5月はバラのシーズン到来として、早いものはゴールデンウィーク明け前からすでに咲き始め、中旬頃にはピークを迎える品種もあります。


⑴摘蕾

ゴールデンウィーク後くらいまで4月同様に、ハイブリッドティー(HT)の摘蕾を続けます。


⑵咲き柄摘み(花柄摘み)

春の開花期は気温が高いため咲き急ぎ、一輪の花の寿命は開き始めて7日くらいですので、中旬から下旬には咲き柄摘みに追われることになります。

咲き柄を残しておくと見苦しい上に、結実して栄養を浪費します。

その上灰色カビ病(ボトリチス)の温床になります。

切るときは5枚葉のすが上で切るか、葉が十分あれば5枚葉を1枚つけて切ります。


✿咲き柄摘み

ハイブリッドティーの場合


5枚葉をつけて(B)の位置で切る。
株に葉が少ない時は、最初の5枚葉の上(A)の位置で切る。


✿フロリバンダ、ミニチュアの場合



花の終わった部分から順に摘み、最後の花が終わったら、開花枝の出ていない5枚葉の上の位置で切る。


⑶病害虫の防除

薬剤の定期散布を続けます。
花が可哀想そうだから、花や葉が汚れると言って開花期に散布しない人もいますが、この時期は病害虫にとっても繁殖に絶好の条件が揃っているので、薬剤散布が重要と言えます。

最近の農薬は花や葉を汚さないのできちんと散布しましょう。

ペットにも安全なものになっていると言えると思いますが、アレルギーを持つペットもいるので、用心のためにも薬剤散布には注意した方が良いと思います。

また、中旬頃からはハダニ対策を忘れずに行います。

⑷新苗の植え付け

新苗は花だけでなく、樹勢を確認して購入することが大切です。

植え付けは花を咲かせないように蕾を摘んで肥培すれば、秋には一人前の花を見ることができます。

特につるバラは新苗を秋まで育てると、シュートが2〜3本出てかなり伸び、翌春には数多くの花を見る事が出来るでしょう。


⑸シュートの処理

開花をしながらシュートも出始めます。



30cmくらい伸びた所で、新梢の先端を指先で✫ピンチするのがコツです。

✫ピンチ(摘心、芯止め)
ピンチは年に何度も花を咲かせる四季咲きバラで行われる作業で、一季咲きのバラやつるバラでは基本的に行いません。

ピンチは花を咲かせるエネルギーを枝葉の充実を図るために行う作業です。

しかし、新苗を育てる時や弱った株を回復させたい時などでは、花より木の充実を優先させたい時にピンチを行う事があります。

この作業が遅れてしまった場合は、ハサミを使って蕾を切り取ります。


⑹切り花を取るには

咲いた花を切り花として取ることで、この時期に葉を極端に減らす事になれば、生育に悪影響を及ぼす事になります。

なるべく葉を残すよう一株から切る本数を多くしないことが大切です。


✿早く咲いてしまったバラ

5月の上旬にバラが咲くともう咲いたと喜ぶ人が多いのですが、その咲き枝を見るとついている葉の枚数は3〜4枚で節間が詰まっていて花も貧弱です。

つるバラでは枝の先端に見られる現象で、これはつまり出来損ないです。

その様なものを残さないためにせん定が必要です。

残すことはせん定が甘かった事を意味するので、早く咲いたことを単純に喜んではいけません。






2021/05/06

ツガ No,457

 ツガ マツ科 常緑針葉高木

別名=トガ、ツガマツ、トガマツ   「栂」

原産地=日本(本州の福島県南部以西、四国、九州) 朝鮮、韓国(✣鬱陵島)

✣鬱陵島(うつりょうとう、ウルルンド)
1952年に発効したサンフランシスコ平和条約により日本は、済州島、巨文島、鬱陵島の領有を放棄しました。

同条約で日本政府は、朝鮮の独立を認めたため、以降日本政府は鬱陵島は朝鮮に帰属するものとして扱った。

日本海に浮かぶ直径10km程度の火山島


かつて罪を犯した者、咎人(とがにん)を張り付けるために使っため、この樹をトガとする説がある。

ツガ属は世界に10種があり、日本には本種とコメツガの2種が生育する。

ツガ材として一般に流通しているのは、アメリカ産の米ツガ(ウェスタンヘムロック)やカナダ産の(カナダツガ)でこちらは床下の土台やパルプ材、船舶材として普及している。


山地に生え高さは40㍍程になるものもある。

樹形はよく整っていて、円錐形をしている。

樹皮は堅くて厚く、赤褐色または灰褐色で厚く縦に深く裂ける。

材は建築、✫経木、包装材などに使われる。

✫経木(きょうぎ)
スギ、ヒノキ等の材木を紙のように薄く削ったもの。
菓子や味噌、魚などの食品を包んだり、折り箱のそこに敷いたりして利用される。

現在では、産出量の面からエゾマツ、アカマツ、トドマツ、カラマツなどが主流を占めている。

花は4月から5月頃に咲き、枝先が黄色く見えるほどびっしりとつく。

球果は10月頃熟して垂れ下がる。
冬芽の先が尖るのが特徴である。




生育環境

適度に湿気を含んだ土壌が適している。
幼木のうちは耐陰性があるが、生長すると十分な日当たりが必要となる。


肥料

油かすや化成肥料などの寒肥を施す。

殖やし方

実生によるのが普通です。
時期は3月から4月頃に種まきをする。

種類

類似種にコメツガがある。
コメツガは、高さ25㍍ほどに達する。

灰色の樹皮は堅く裂け目がある。
ツガに比べて葉が小さいので区別がつく。


主なツガの天然記念、巨木

黒ノ田の大ツガ   市指定天然記念物

所在地=岐阜県瑞浪市稲津町萩原1742-34



栂池のコメツガ   村指定天然記念物

所在地=長野県北安曇郡小谷村千石乙12380




沓沢(くつさわ)山の神 大栂  市指定天然記念物

山の入り口に立つツガの巨木で、かつては「千年栂」とも呼ばれた。

所在地=山梨県南アルプス市芦安芦倉1290-1









2021/05/05

タチバナ No,456

 タチバナ ミカン科 常緑小高木

別名=ニッポンタチバナ、ヤマトタチバナ
「橘」

原産地=日本(和歌山県、山口県、四国、九州
関東南部から西に限る)

日本原産と認められる唯一の柑橘類で野生のミカンである。

沿海の山地や海辺の常緑樹林の中など細々と生きている。

万葉集にはこの花を詠んだ歌が多い「左近の桜、右近の橘」としても知られ、文化勲章にもデザインされている。

今ではその自生も極めて稀である。

萩市に自生している「コウライタチバナ」と言う近縁種は絶滅危惧類に指定され、国の天然記念物となっている。

三重県鳥羽市では「ヤマトタチバ」が市の木に選定されている。

タチバナを親とする柑橘類は60種以上あるとされる。

6月頃に5弁の白い花を咲かせる。
3cmくらいの実がなり種子が大きく、酸味が強い事から加工品にされることがある。

古代から珍重された品種である。




生育環境

耐寒性にやや欠けるため、関東南部以西でのみ露地植えできる。

植え付け、移植時期は3月から6月頃に行うがやや難である。

3月から6月に移植し、2月から3月にせん定を行うがやや難である。

樹幹内に光りが入る程度にとどめ、強せん定は避ける。


肥料

肥料は堆肥、油かす、腐葉土などを施す。

害虫はツノロウムシ、アブラムシ、ヤノネカイガラムシ、アゲハの幼虫などが発生する。

対策として、スミチオン、カルホスなどを散布する。

殖やし方

3月から4月頃に、カラタチの台木に接ぎ木するか、実生で繁殖する。


種類

紀州みかんもタチバナと呼ばれ、昔のタチバナの系統をひくものと考えられる。

近縁種の「コウライタチバナ」は、萩市と韓国の済州島にのみ自生する種です。

園芸店では、ニホンタチバナではなくコウライタチバナと区別されず、混同されていることがある。

コウライタチバナは、葉や実がタチバナより大きく、実がデコボコしているのが特徴である。