ヤエヤマヤシ(八重山椰子)
ヤシ科ヤエヤマヤシ属
ヤエヤマヤシは八重山諸島の中でも、石垣島と西表島だけに生える日本の「固有種」で非常に珍しいヤシで名前も八重山の名から付けられている。
樹高は20~25㍍にも達する常緑高木で、大きな波状複葉の葉をつけるのが特徴
幹は直立し単一で分枝せず、葉の落ちた跡が環状に残る。
基部は無数の太い根が地上に露出して盛り上がり、直立した幹をしっかりと支えている。
葉は長さ5㍍程で小葉は90対ほどあり、先は浅く2裂する。
雌雄同株で花は10月~12月頃に咲き、淡黄色、果実は楕円形で長さ1.3㎝ほどで黒く熟す。
この種は一種のみで「ヤエヤマヤシ属」となるほど植物学においても貴重な種類となっている。
ヤエヤマヤシは植物学者の初島住彦により、1963年に新種として初めて学術誌に「Glubia·liukiuensis」の学名で記載しました。
その6年後、植物研究家のアメリカ人、ハロルド·エメリー·ムーアによって新属の「ヤエヤマヤシ属」を立て、本種として認められます。
その後、ヤシ博士と称される佐竹利彦によって「ヤエヤマヤシ」と命名されました。
♣初島住彦は植物学者、農学博士、鹿児島大学名誉教授(1906~2008年没)
著書には「琉球植物誌」1971年
「日本の樹木、日本に見られる木本類の外部形態に基づく総検索誌」1976年
「九州植物目録」2004年等があり、合著も多く出版されている。
★ハロルド·エメリー·ムーアは植物研究家
(1917~1980年没)
ヤシ科の植物分類研究で知られるアメリカの植物学者
★佐竹利彦は農学博士、東京農業大学名誉博士、広島大学名誉博士
(1910~1998年没)
日本の技術者、実業家の二代目であるが、ヤシ、ソテツ類の魅力にとりつかれ、趣味が高じて収集、分類を続け、ヤシ研究の権威となったヤシ博士。
石垣島には米原ヤエヤマヤシ群落があり、国定天然記念物や環境省のレッドデータ、沖縄県では準絶滅危惧種にも指定されている。
まるでジャングルのようなヤシ群生である。
株周りには特徴的な「筍根」が見られる。
米原ヤエヤマヤシ群落の近くには八重山椰子記念館
、佐竹利彦椰子記念館がある。
◉サタケ八重山ヤシ記念館
★筍根(じゅんこん)とは、細かいタケノコが地面からたくさん生えているように見える根のことで、直立通気根、通気根、筍根等と呼ばれる。
ヤシ科は英語でパルマエと言うラテン語の「palma」の複数形に由来するとされ、パームツリー(palm.Tree)と呼ばれる。
palmは手のひら、またはそのようなものと言った意味がある。
ヤシ類は単子葉植物中もっとも発達した高等植物で、世界中の熱帯から亜熱帯を中心に189属約3000種が分布しているとされ、テーブルヤシなど小型の種類からココヤシなど大型になる種類など、鉢植えにして高さ2㍍程度のものが観葉植物として流通している。
ヤシ科にはココヤシ属、アレカヤシ属、テーブルヤシ属、ナツメヤシ属などがあり、和風観葉植物として古くから栽培されたいるカンノンチクやシュロチクもヤシ類で多く属する品種もある。
ヤシの木は何百万年も前から存在しており、化石としての記録は白亜記(約1億4500万年前から6600年前)まで遡ります。
記録を保持しているメトセラヤシの樹齢は、2000年以上と推定されています。
もっとも背の高い種は、アンデス山脈原産のコロンビア、ココラ渓谷のワックスヤシとされ、高さは最大で60~70㍍にも達する。
四国や九州で見られるヤシの木はほとんどシュロの木で、古代から日本に自生している貴重な在来種のヤシです。
シュロはヤシ科の中でも最も北に分布を広げた種で耐寒性があり、雪の多い東北地方でも野外で越冬できる。
自然分布は九州の南部とされるが、種子を野鳥が食べるために本州の山々にも野生化している。
高さは7㍍ほどになり、幹は直立して上部に枯れた葉が残り、その上に冬でも青々した葉を茂らせます。
葉柄は1㍍ほどになり、その先に扇形の葉を広げる。
雌雄異株で雄花は垂れ下がり、雌花は斜上して咲き、果実は藍黒色に熟す。
混同しやすいのがソテツの木だと言われていますが、ソテツはソテツ科の植物でヤシ科ではありません。