樹木が大きくなる秘密
植物には形成層という組織があり、この部分の細胞が分裂し、古い細胞の上に新しい細胞が次々と積み重なるという特殊な成長様式が巨樹となることを可能にしているのでしょう。
もう1つ巨樹になる秘密は、繊維細胞組織にあります。
細胞を構成するセルロースが強くしているのです。
◉セルロース、セルローズとも言う(cellulose)とは
植物性繊維の主な成分をなす白い炭水化物のこと。
植物細胞の細胞壁及び、植物繊維の主成分で天然の植物質の3分の1を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物(多糖類)で繊維素とも呼ばれる。
木材は昔から建築材料として使われ、その秘密に木材の構造と強度があると言えるでしょう。
◉世界一高い樹木 セコイア=ハイペリオン
世界で最も高い樹は、アメリカ合衆国の国立公園及びカルフォルニア州の州立公園内にあります。
レッドウッド国立·州立公園
(世界遺産)
レッドウッドと言う樹種(スギ科セコイアメスギ属)でその高さはなんと113㍍、こんなに高くなれるのも細胞を構成するセルロースが鉄筋や鉄骨と同様の働きをするからです。
この木の樹齢は六百年以上で幹回りは13.5㍍
(レッドウッド)
◉世界一体積のある樹木
世界で最も体積のある樹は、アメリカ合衆国西海岸のヨセミテ国立公園内にある、ジャイアントセコイアという樹種(スギ科セコイアオスギ属)でその高さは61㍍
根元の周囲が29㍍もあり、樹齢は約2.700年です。
グリズリー·ジャイアントという愛称が付けられている。
(グリズリー·ジャイアント)
◉長生きの理由と寿命
レッドウッド·ジャイアントセコイアが長生きできる理由は、樹皮の厚さにあると言われています。
レッドウッドは樹皮の厚さが30㎝、ジャイアントセコイアは60㎝以上あります。
この地域では山火事で多くの樹木が焼失してしまうのですが、厚い樹皮が山火事から樹を守っているのです。
他に巨樹として有名な樹種は、ニュージーランドなど南太平洋地域に生息するカウリでナンヨウスギ科の植物てす。
世界一成長が遅い樹木、世界で最も古い樹木とも呼ばれている。
ワイポウアの森にある国内最長樹齢のカウリは、樹齢約二千年、幹の直径は5.2㍍
(カウリ)
日本では屋久杉(スギ科)が知られていますが、これらの長寿である樹木は針葉樹が多いようです。
それは、針葉樹が出す樹脂に長生きの秘密がありそうです。
広葉樹などでは、枝折れした傷口などから菌が侵入し、心材が腐朽することで、やがて樹が枯死してしまう原因になります。
針葉樹では、その傷口を樹脂ですぐにふさいでしまうので、腐朽できなくなると考えられるからです。
しかし、木は必ず巨樹になるわけではありません。
木材腐朽菌(キノコ)がいるので、このキノコ菌がセルロースなどを分解すると倒木してしまいます。
つまり、多くの樹がこのキノコ菌との戦いに敗れ、やがて枯れて倒木してしまうのです。
この事が樹の寿命を大きく左右していると思います。
◆高い樹木になぜ水は上昇するの?
根から吸収された水は、導管を通り重力に逆らって葉の先端まで昇っていきます。
たとえ100㍍高い樹でも水は昇っていきます。
それには理由があります。
①葉からの水の蒸散によって葉が水不足になる。
②水の凝集力(水の分子の結び付く力)はたいへん強く、どんなに強い力を働かせても、めったに水の流れが切れることはない。
③水が細い管の中を昇っていく毛細管現象。
植物に対しての毛細管現象は、植物が根から水や養分を全身に運ぶ自然の力として存在している。
◉病原菌と戦い続けている樹木たち
材質腐朽病害は微生物により腐朽する被害で、ほとんどの場合は、木材腐朽菌類と呼ばれる一群の菌類によって引き起こされる。
★針葉樹の材質腐朽病害の例として
◈樹幹腐朽として重要なもの
※チャアナタケモドキによるサンブスギの、非赤枯性溝腐れ病
※モミサルノコシカケによるモミ類の溝腐れ病
※カラマツカタワタケやチウロコタケモドキによるカラマツの樹幹腐朽などがある。
◈根株腐朽として重要なもの
※ヒノキのキゾメタケ病、ヒノキなどのナラタケ病
※カイメンタケやハナビラタケによる、エゾマツやコメツガの根株腐朽などがある。
◉溝腐れ病
糸状菌の一種で不完全菌類に属し、赤枯病、羅病苗木が植栽されることによって、林地で発生する病気である。
樹幹を中心にして、巻き込みができず縦溝を作る。
(溝腐れ病の樹木)
◆赤枯病
小枝に褐色から暗褐色の病斑が形成される。
主軸や小枝では、病斑がその部位を一周すると、その上部が鮮やかな赤褐色に枯れる。
実生苗は病気になりやすいが、挿し木苗は品種により抵抗性に差異がある。
※赤枯病による主軸や小枝の胴枯れ型病斑は、造林後に溝腐病に進展する。
◉セコイア·キングスキャニオン国立公園(カリフォルニア州)
(セコイア公園にあるジャイアントセコイア)