緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2020/07/20

地球誕生での最初の地上植物は苔植物 No.230

原始的生体のままの苔植物

現在の科学研究によると、地球が誕生したのは今から46億年前とされる。

しかし、そんなの誰も見てないし、よく解るものだと思う。

         (地球の内部)


地球の始まりは、どろどろに熔けていて、生物が生きられる環境ではなかったと言います。

その後地球の表面は、どろどろに溶けた熱いマントルがだんだん冷えて地殻(ちかく)となって固まり、6㌔から60㌔の厚さの岩石となって覆われた。


地球の内部では、地球の自転(地球は24時間で1回転している=自転運動)や対流によって、金属流体にデンリュウや磁場が発生して、マントルは高温のままで固まる事はない。


蒸発した大量の水蒸気が冷やされて、やがて雲となり来る日も、来る日も大量の雨が降り続けた。

やがて水は地表を覆うようになり、海になったのです。

大気中に酸素はなく、二酸化炭素であった。

ようやく海水の中に生命が誕生したのは30億年前です。

その頃誕生した生物は、細菌やアメーバのような微生物でした。

ある日、それらの微生物から突然変異によって、新しい生物が生まれました。

突然変異と言うのは、遺伝子が放射線などによって変化してしまうことです。

地球上の生命の歴史は、宇宙から降り注ぐ放射線との戦いの歴史でもある。

この放射線によって、親とは全く違う生物が誕生したのです。

その新しく誕生した生物は、光合成をする生物で、光合成を行うと酸素を吐き出します。

それ以前の生物にとって酸素は猛毒でした。

光合成を行う生物の出現によって、今までの古い生物のほとんどが全滅してしまったのです。

そして光合成によって二酸化炭素が減り、酸素が増えて行ったのです。

海水中に溶けた二酸化炭素をサンゴなどの生物が石灰質の殻に変化させ、それらの殻が何百万年も積もり続けて石になったのです。

それが現在、コンクリートの材料として使われている石灰岩です。

6億年前には、クラゲなどの単純な生物が誕生し、植物は海の中で藻の仲間が繁殖しました。

植物は太陽の光を使って、自分で養分を生み出します。
この事を光合成といいます。

それから植物は次第に陸上へ進出して行くのです。

水中の植物と陸上の植物の境目に当たるのがコケ植物です。


          (コケ植物)

コケ植物を経てやがて陸上ではじめに栄えたのが、シダ植物です。

これが3億年前のことです。



シダ植物には、ワラビやゼンマイなどがあります。

藻類のワカメ、コケ植物のゼニゴケ、シダ植物のワラビこの植物は胞子またはそれに似たもので殖えます。

          (シダ植物)


この頃まだ種子と言うものは出来ていなかったのです。

胞子はたった1つの細胞で出来ていて、子孫を残したり、殖やしたりするための役割分担ができません。

1億年前になって種子で殖える植物、花が咲く植物が誕生しました。

胞子で殖える植物には、花が咲きません。

つまり種子を作らないのです。

地面に生える植物であるコケの役割は、溶岩や火山灰などの荒れ地に繁殖して、そこに肥沃な土壌を形成することで、初期の地球に土壌が形成されるようになったのです。

★土壌は生物によって生まれ、その結果として生物を支え養う能力を持つようになったものである。

地球の歴史の中で、はじめて海から陸に上がったと言われるコケ植物は、地面から水を吸い上げる根がなく、維管束と呼ばれる水や養分を体内に行き渡らせ、体を支える役割を果たす機能がありません。

コケ植物は、植物の中でずっと原始的な生体のまま、とどまっている植物と言えるでしょう。

そんなコケ植物ですが、何億年もの歴史の中で、厳しい環境変化の中でも、生きていくための進化を繰り返してきたのです。

◆おまけ
海がしょっぱいのはなぜなの?

地球の始まりは、そらが水蒸気や塩素ガスで覆われていました。

地球の温度が下がるに従って、空にあった水蒸気は雨となって塩素を溶かしながら、地球に降り注ぎ窪地に貯まるようになったのです。

これが海の始まりです。

最初海は、塩酸が含まれた酸性の海水だったのが、徐々に岩石に含まれるナトリウムと反応して、中和され現在のような海が出来たのです。

海は塩素とナトリウムだけで85%を占めています。


         ❆地球内部構造図

地球の内部構造はこれまで図のように表されてきましたが、研究調査は継続されており、その結果、地球の中心部の内核にはもう1つの層があるようだとの発表がなされた。

これまで教科書などで示されてきた内容が書き換えられる可能性が出てきたのである。

その事をここに記しておく。
2021年3月6日








2020/07/19

ウンシュウミカン No.229

ウンシュウミカン ミカン科


温州蜜柑

柑橘類は亜熱帯、熱帯に広く分布する植物で、世界中の栽培果実の中で、ブドウに次いで多く生産されています。

ウンシュウミカンは日本が原産の柑橘類で、ミカンの代表種になっている。

日本でウンシュウミカンの原種が発見されたのは約300年前。

温州には同種がなく、鹿児島県下の一地方が原産地で、偶然にできたものが最初と言われています。

ミカン類の中でも、庭植えで年内に収穫できる最も早熟な種類です。

単為結果するため種子がなく、皮が剥きやすく食べやすいことから、人気があり国内生産のミカンの80%を占めています。

★単為結果(たんいけっか)=単為結実ともいう。

植物において、受精なしで果実が生じること。

種子を形成しないまま子房だけが発達し、無種子の果実を形成する事。このようにしてできた果実は通常無核果である。

自然界でもバナナ、パイナップルなどは単為結果し種子のない実をつけることがある。

また、原種に近いものほど種子がみられ、その種子が大きいものが多いと言う特徴がある。

柑橘類の中では寒さに強い方だが、美味しい実を採るには南関東より西の太平洋側の海沿いで、冬期に季節風の避けられる場所、日当たりと排水の良い場合が適しています。


耐寒性のある方ですが、冬場に寒風が当たるような場所では、やはり寒害が出ます。

冬の防寒と霜除けが必要です。
-5℃以下になると枯れる心配があります。

※逆に冬の温度が高すぎると果実の色が悪くなります。


◉代表品種

10月に熟す、早生(わせ)ウンシュウミカンは木が小柄で結実期が早く、風害や寒害を受けにくいので庭植え向きです。

収穫後の長期保存には不向きです。
宮川早生、興津早生

11月に熟す(普通温州)甘味や酸味が強く、風味の良いミカンで保存もできます。

春先まで出回っているのはほとんどが普通ウンシュウミカンです。
大津四号、土橋紅温州

◆肥料
ミカン類は常緑樹で一年中肥料を吸収しているので、肥料切れにならないように注意する事が必要です。

庭植えは、3月に根回りに溝を掘り、堆肥に油粕、鶏ふん、骨粉を混ぜ、化成肥料を加えたものを埋め込みます。(配合肥料)

6月と10月末~11月上旬に3月の半量ぐらいを目安に油粕、鶏ふん、骨粉と少量の化成肥料を加えたものを施します。

※ミカン類は主として、有機質肥料を多めに与えると味の良い実が採れます。

収穫の1ヶ月前に油粕、化成肥料を与えます。

成木の場合で油粕2~3㎏ 鶏ふん1~2㎏ 化成肥料500㌘以内とします。

◉鉢植えは、植え付けから1ヶ月後に玉肥を4個置き肥し、2年目の3月には5~6個に玉肥を増やします。

鉢植えの場合は、水やりも大切になります。

生育期の7月~8月には1日3回必要になることもあります。

日中には葉水を与えます。




◉剪定
花芽は結果母枝の先端につきます。

★結果母枝(けっかぼし)又は種枝と言う。

花芽があってもその枝には、花をつけずにその花芽から次の枝を伸ばして花を咲かせ、結実する枝のことです。

ウンシュウミカンの果実のつき方は、前年枝の先端から今年の春に伸びた新梢に花が咲き果実をつけます。

5月頃に花が咲きますが、受粉しなくても結果する(単為結果)ので人工受粉の必要はありません。

その為の、結果部位の切り方は結果部位が外側に多くなっている場合は、切り返しを行って、側枝を更新し立枝が多い場合は、強い立枝を間引いて下枝に日(光)が当たるようにします。

★側枝の更新の方法として

①樹勢が弱く、結果部位が外側に多くなっている場合は、切り返しを行って樹勢を強くして側枝の更新を行います。

②樹勢が強く立枝が多い場合は、強い立枝を間引いて樹勢を落ち着かせ、下枝に日光が当たるようにします。

短枝に花芽がつくので、徒長枝(とちょうし)や内部の細い枝を切り、基本的には果実に日光が当たるようにします。

夏や秋に伸びた芽はすぐに切り取ります。

果実を着けた枝を中心に切り返すと、内部まで光が良く入り結果母枝となる新梢の発生が良くなります。

この切り返した部分の枝を予備枝と言います。

剪定の対象は予備枝で、果実を着けた枝を中心に切除しますが、枝が混んでいる部分は、結果母枝も切除します。

樹形がある程度出来たら、切り詰め剪定よりも間引き剪定を主に行います。

混み入ってきた時は、主枝を根元から切り、新しい主枝に更新します。

ミカン類は常緑樹なので、剪定すれば時期に関係なく必ず葉を切り落とすことになります。

葉を切ればそれだけ栄養分を消失し、樹木を弱らせることになるので生長も遅くなります。

内部への日当たりを良くし、樹高を止めて管理しやすくするための剪定は必要ですが、できるだけ軽くなるなるようにする事が大切です。

鉢植えでは、幼木は夏枝で樹形を作り、結実するようになると夏枝は切除して、春枝中心の鉢に仕上げ間引き剪定で樹形を保ちます。

鉢植えの樹高は、鉢の高さの約3倍を目安にすると良いでしょう。

◉果実管理
ミカン栽培では、表年、裏年と呼ばれている、隔年結果があります。(1年おきに結実すること)

これを防止して、大きくて良い果実にするためには、摘果が必要になります。

7月中旬に1回目の摘果を行い、8月中旬に2回目の仕上げ摘果を行って1枝に1果実残すようにします。

ただし、早生ウンシュウミカンで表年当たり、着果が極端に多い時は、1回目の摘果時期を6月下旬~7月上旬に早めないと、栄養不足から樹勢が弱まり、良い結実が望めなくなります。

又、ウンシュウミカンには直花(じきばな)が咲きます。

結実母枝から発生した結果枝は、極端に短く花芽だけがつく葉芽のない枝で、花だけが咲きます。

このように葉を持たない花が直花です。結果したものを直花果と言います。

良い果実を得るためには、葉からの養分も必要なので、これらの葉の無い直花果は全て摘果します。

残す果実数の目安は、早生ウンシュウで葉40~50枚に対し1果。

普通ウンシュウでは葉20~25枚に対し1果が適当とされています。

樹形作りをしている期間は、伸ばす枝に着果したときは摘果し、枝がよく伸びるようにします。


強く日が当たる位置に着果しているものは、果皮が日焼けを起こします。

枝先などに着果し、日焼けを起こしそうなものだけでも、摘果後に袋をかけておくとよいでしょう。

庭植え、鉢植えのどちらも3年目から開花結実させることができますが、ある程度樹形が出来上がるまでは、あまり結実させない方がよいでしょう。

収穫は、早いものでは10月頃からできますが、年内には収穫を終えるようにします。

1~2ヶ月貯蔵すると酸味が減り、美味しくなります。




◆代表的な病気
①ソウカ病
病原体はカビです。

新葉や新梢(しんしょう)新芽などの柔らかいところに5月から9月頃に発生します。

このカビは生命力が強いので、一度このかびが寄生すると毎年発生を繰り返すことがあります。



感染経路は、ほとんどが雨のしぶきなどによって感染する水媒感染か、病菌が虫に付着して感染する虫媒感染です。

葉に発生した時の症状の進み方としては、はじめに円形の小斑点が生じ、やがて病斑は灰褐色になり、盛り上がってきます。

病気が進行すると病斑が破れて、葉に穴があいたり変形します。
しかし葉が枯れてしまうことはありません。


病気になった葉はその枝ごと取り除き処分します。

それでも発生を繰り返すのであれば、4月頃に銅水和剤(ボルドー)等を散布しましょう。

水媒感染をするので、病葉に直接水をかけないように注意しましょう。7月~8月頃にダイセン、ダイファー、ベンレート等を散布し予防する。

②カイヨウ病
病原体はバクテリアです。カイヨウ(潰瘍)とは表皮の一部が剥がれることです。
バクテリアは、枝などに潜伏して冬を越し、翌年春に発病します。

感染経路は、空気感染や水媒感染で、病菌は新梢部や花芽、または傷口などから感染し植物体内で潜伏します。

葉、茎、花弁などに発生し、はじめに病斑ができます。
病斑の色は発生する植物によって様々です。
被害部に裂け目を生じて、カイヨウ症状を示し、被害部は枯死する。発生期間は4月~7月

病気の株はすぐに抜き取り処分しましょう。

病気が発生したら、付近の土を入れ替えましょう。
高温多湿を好むので、剪定などして風通しをよくする。
※バクテリアによる病気は治療が困難です、予防に努め発生を防ぐことです。

③灰そ病
病原体はカビで、寄生する植物によっても多くの種類がある。
葉、枝、果実に発生し、特に葉に斑点を作る代表的な病気とされています。

この病気の特徴は、樹勢が強いと発病しないで菌は体内に潜伏し、樹勢が弱まったり、日焼けを受けたりすると発病し、病斑を作ることです。

感染経路は、降雨後などに鮭肉色(けいにくしょく)の粘液(胞子粘塊=ほうしねんかい)が虫、風、雨滴などに運ばれて感染します。

葉の症状は、はじめに暗黒色の円形の病斑が現れ、病状が進むと灰白色となり病斑に小さな黒い粒を生じます。

この黒い粒から粘液を出します。梅雨の6月~7月、秋の長雨が続く9月~10月に多発します。

病気にかかった葉や枝は見つけしだい処分しましょう。
発生の多い6月~7月、9月~10月には月に1回~2回の割合でダイセン、マンネブダイセン、ベンレートなどを散布しましょう。

樹勢を弱めると発病するので、寒害、日焼けなどに気をつけて、樹勢を強く保つようにしましょう。

また、風通しが悪いと病気になりやすいので、剪定をして風通しをよくすることも重要です。


◆代表的な害虫

①アゲハチョウ
幼虫が葉を食害します。
ミカン類や山椒を好み、幼虫も大型で食欲旺盛
初夏から数回発生する。
見つけしだい、補殺する。スミチオン1000倍液、除虫菊乳剤を月に2回ぐらい散布

②ミカンハモグリガ(エカキムシ)
若い葉肉内部に潜って棲むウジムシ状の小さな虫で、食害した葉に絵を描いたような跡が残る。

スミチオンやオルトラン水和剤1000倍液を散布する。

③カイガラムシ
貝のような殻をかぶっている。
樹木の枝などに群棲付着し、樹液を吸汁する。
種類も多く様々な形態をしている。
吸汁することで樹勢を弱らせ、排泄物によりスス病を併発し、枝葉をススを被せたように真っ黒にする。

幼虫の時期であれば、殻がまだ出来上がっていないので、スミチオンなどの散布が効果的ですが、成虫になると薬剤は浸透しにくいため、効果があまりないので補殺します。

また、冬場ならマシン油乳剤が使えますから、成虫でも駆除できます。なお、冬期限定使用の薬剤の為、それ以外の使用では薬害が発生するので注意。


カイガラムシは、風通しが悪く、日当たりの悪いところを好むので、普段から適度に枝の手入れをして風通しをよくしてやると発生が減ります。

◉コナジラミ

白い小さな虫で葉の裏一面に集り、卵がどんどん羽化してスス病を併発する。

成虫は体長1ミリほどで、色は白く羽が白い粉で覆われています。

幼虫が最初に発生する5月下旬から6月上旬頃に、薬剤を散布します。


スプラサイド1000倍液や、アクテリック乳剤1000倍液などの、定期的な散布で虫類の退治をすると同時に、スス病も発生しなくなります。

白い虫が飛び立つのが目印になります。
6、8、10月はコナジラミの発生時期なので注意しましょう。


◆ミカンハダニ

乾燥した天候が続くとよく発生します。

ハダニ類は植物寄生性のダニの1種です。
大きさは0.3ミリ前後で肉眼では、よく見えません。
葉や花などに群棲します。

葉に寄生すると白い小さな斑点ができ、葉が巻いたり成育が悪くなります。

花の場合も色が悪くなり、花の成育が悪くなって早く萎れてしまいます。

ハダニの被害が確認できたら、専用の殺ダニ剤を葉の裏中心に散布します。

ハダニは、強い雨などに弱いので、時々ホースで葉に水をかけてやると、発生を抑えることができます。

ケルセン2000倍液で月に2回ぐらい散布すると効果的です。

※症状だけでは病気と区別できません。
ルーペで葉の裏などを見て、ハダニの被害を判別することが必要です。

★柑橘類は本来、暖地性なので寒害には、十分注意する必要があります。








2020/06/30

夏から秋の植物管理 No.228

充実期の植物管理

春から夏にかけて植物は目覚ましい生長をします。

6月から7月に十分な手入れを行わなかった庭木は、うっとうしいほど枝葉が繁ってしまいます。

この時期には樹種の性質に応じた手入れで、植物が厳しい夏を過ごせるようにすることが重要です。

春から生長した新芽は、6月から7月には外見上の伸びが止まり、緑が色濃くなります。

全ての木々が青々と枝葉を茂らせる時期です。

外見上、生長が止まったように見えても、光合成が活発に行われ養分(炭水化物)が生産されています。

これらは枝から幹へと伝えられ、冬に備えて蓄積されます。

根も肥料や水分、養分を盛んに吸い上げます。

充実期、肥大生長期と呼ばれる時期です。

十分な光合成を促すために、樹冠内の日照や風通しをよくすることや、根を傷めないように土の乾燥を防ぎ、土壌環境を適切に保つ事が、この時期の管理の重要なところです。

日頃からこまめに手入れを行っている場合は、夏を迎えるまでにマツのみどり摘みをはじめとする、針葉樹類の芽摘みや春咲きの花木の花後剪定、お礼肥や樹形を維持する為の雑木類の枝すかしなど、一連の庭の作業を終えている時期です。

暑さの厳しい真夏は、基本的には大掛かりとなる様な整姿や剪定は行いません。

しかし、梅雨明けまでに作業を行わなかった場合は、更に放置しておくと樹形が大きく乱れてしまい、庭の見栄えが悪くなるだけではなく、高温多湿の樹冠内は様々な病害虫の発生の原因にもなってしまいます。

そのような事からも、樹形を程よく保ち、夏を植物たちが健全に過ごせるように、できる限りの手入れをする必要があるのです。







2020/06/01

苗木の繁殖方法  No.227

有性繁殖

①実生苗(種まきから育てたもの)
実生(みしょう)苗は生長に時間がかかり、花木や果樹は楽しむまでに年数を要しますが、樹齢が長くまた大きく生長します。

根張りのしっかりしたものを選びます。

★実生
最も簡単で自然な繁殖方法で、他の繁殖方法に比べて寿命が長く、生長力も強く、病害虫に対する抵抗力にも優れている。

一度たくさんの苗を作りたい時にも適している。

ただし花木や果樹を実生で繁殖すると、発芽した芽は親株よりも樹勢が劣ると言われている。

◉種子の選び方

種は比重が大きい(重い)もの、種皮のきれいな充実したものを選んで蒔きます。

※比重の小さい種は発芽率がよくありません。

また、市販されているもを購入する場合は、表記されている注意事項を確認しましょう。

★発芽条件

種が発芽するためには、水分、温度、酸素の3つの条件を過不足なく満たす必要があります。

◆水分

種子は、水分を吸収することで(水分12%を超える)発芽し、生育を始めます。

発芽するための活動を始めた後で、乾燥すると種子は死んでしまいます。

◉温度

発芽に必要な温度は樹種によって異なりますが、一般に15℃~20℃くらい(3~5月の気温)と言われています。

★酸素

発芽には酸素も重要な要素になります。

団粒構造のしっかりした用土を使用していれば、土中に十分な酸素が含まれていますので、実際にはまず問題ありません。






2020/05/31

苗木の選定  No.226

苗木の選定

成木よりも苗木の方が手間もかからず、また安く購入できます。

しかし、苗木は樹種やどのような繁殖方法で育ったのかによって、生育の特徴が異なります。

また不健康な苗を選んでしまうと、土壌や生育環境を整えたとしても、思い通りに育たない事があります。


★植樹目的に合ったよい苗を選ぶことも、健全な樹木を育てる上で重要である。


◉良い苗木の選び方

(ア)根のチェック
苗木で一番重要なのは根です

支根、細根が多くしっかりした根の苗木を選ぶようにします。


根そのものは見ることができませんが、根鉢の形が整っているものは、根数が多い証拠で細根が顔を出しているものもあります。

根鉢の形が悪い、崩れていびつになっているものや、小さいものは根の発達がよくありません。


★良い苗の条件として
※葉の色がよく葉数も多い
※芽が大きく形が良い
※低い位置にもしっかりした枝がある
※根鉢がしっかりしている


(イ)幹のチェック

汚れが少なく、滑らかな木肌の苗木

幹にシミや樹皮のめくれ、黒っぽい斑痕コブなどがあるものは病気にかかっている可能性がある。

(ウ)葉、枝のチェック

枝や葉は節間(付け根と付け根の間隔)がつまって数が多いものを選びましょう。


その理由として、長い苗木でも、枝葉が間延びした感じのものは、芽の部分の貯蔵養分が充実していないことが多いためです。

下枝が幹の低い位置についているものが理想的です。

★常緑樹の場合は、葉の色艶にも注意し、美しいしっかりした葉がついているものを選びましょう。

また、時折ひこばえが生えている苗木もありますが、これは樹勢が強い証拠なので良い苗木です。

★悪い苗木として
※枯れ枝がある
※病痕や喰いが見られる
※根鉢の形が悪い

(エ)芽のチェック

芽が傷ついたりつぶれていない、きれいなものを選びましょう。

芽が欠けていたり、つぶれていたりすると、そこから新しく張り出した枝が不自然な形になり、全体のバランスも悪くなるなどの悪影響が出てきます。

芽も枝と同様、数が多く間隔がつまっているものが良い苗木です。






2020/05/26

植物の種類と果実  No.225

植物の花からできる果実

植物の種類と果実

a)果実

雌しべの基部にある子房(しぼう)が、受精後発達したもので、中に種子を入れているもの

子房を持たない裸子植物は、厳密に言えば果実は出来ない。

b)種子植物

植物の分類上の門の1つで、花をつけ種子を作るものの総称

顕花植物(けんかしょくぶつ)という

裸子植物亜門と被子植物亜門に大別される

c)被子植物(ひししょくぶつ)

花に子房があり、大半のものはおしべや雌しべ、花弁や蕚(がく)がある

子房や子房を含むその他のものが、発達した果実をつけその中に種子ができる


          (被子植物)


d)裸子植物(らししょくぶつ)

花には花弁やがく、子房がない

被子植物では、子房の中にある胚珠(はいしゅ)が露出しており、種子ができる



        (裸子植物)


e)子房(しぼう)

雌しべの下方の膨らんだ部分のことで、中に将来種子になる胚珠がある

子房の部分は将来果実になる

発生学的には、雌しべは1~数枚の葉のヘリがくっついて下方に室(膨らみ=子房)を作ったもので、室は1室のこともあれば、数室に分かれることもある

各室の中には1個~多数の胚珠を持っている

また、がくや花冠、雄しべなどと比べて子房がどのような位置関係に当たるかにより、上位子房、中位子房、下位子房という

子房の位置や部屋の数、胚珠の数によって果実の形態が異なる。




f)胚珠(はいしゅ)

被子植物の雌しべの子房内にある小さな粒

卵細胞を包む胚のうを持ち、受精後は種子になる

裸子植物の雌しべは、子房を作らないので胚珠はむき出しになっている


果実のつくり

①真果(しんか)
子房と胚珠(種子)だけでできる果実

偽果に対する用語でカキ、ツバキ、ミカン、モモなど種子植物の大半は真果

②偽果(ぎか)
子房以外の部分が、子房と一緒に発達してできた果実のこと。真果に対する用語

花托(かたく)が子房と密着して膨らんでできるナシ、リンゴ、オランダイチゴ(イチゴの正式和名)

花托が肥大してツボ状に窪み、その中に多数の花を入れるイチジクなどが代表的



③果皮(かひ)
果実のうち、種子を包む部分のことで、子房の壁が変化したもの

カキ、ウメ、モモなどの真果では外果皮(がいかひ)中果皮(ちゅうかひ)内果皮(ないかひ)の3つに分かれており通常、中果皮の部分を食べる

子房以外の部分が一緒に発達する偽果では、果実は真果のように発達しないので、外見上明確に3つには分かれない

例えば、リンゴの場合は、花托が食べられる部分となりいわゆる芯の部分が果皮となる

④球果(きゅうか)
種子を覆った鱗片(りんぺん)が集まって球形の果実のような形になっているもの

球果につく1つの鱗片を果鱗(かりん)という

裸子植物のマツカサ(松ぼっくり)など