緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/07/26

炭素も循環している自然界  No.235


炭素も循環している自然界


動物や植物が吸収して放出した二酸化炭素は、植物の光合成によって糖という有機物に合成されます。

有機物とは、炭素を構造の中心にした物質のことです。

糖は炭素と水素と酸からできている簡単な構造のもので、エネルギーとして利用されます。

これにチッソやリン酸などが加わって、アミノ酸やタンパク質などの複雑な有機物になると、体をつくるのに使うことができます。

小さな節足動物(せっそくどうぶつ)やミミズなどの小動物、またはカビやバクテリア(さいきん)などは、地中で有機物を分解しながら生きています。

中でも、ミミズの役割は重要です。

最初に死んだ植物を食べ、糞として出しますが、この事で有機物が微生物に利用されやすい形に変わり、土に活力がつくとされています。

また、ミミズが土を食べることで、団粒を作るという作用もあるのです。

また、昆虫の幼虫は死んだ植物をかみ砕き分解してくれます。

動物の遺体や糞などの排出物、枯れた植物などに含まれる炭素化合物は、これらの地中の微生物や、小動物の活動によって分解されます。

この時、分解によって二酸化炭素や炭酸塩が作り出され、これがまた循環を続けるのです。


石炭や石油は過去の植物が、光合成によって作り出したものが、化石になって地下に保存されてきたものです。

人間がこれをエネルギー源として燃やすと、二酸化炭素が発生し環境中をめぐるようになります。

一年を通して見ると、植物による二酸化炭素の吸収量と、生物全体の呼吸による二酸化炭素の放出量は、だいたい釣り合いますが、この100年以上に渡る化石燃料の大量消費と、森林の伐採などによって大気中の二酸化炭素は徐々に増加し続けています。

石油、石炭、天然ガスを大量に利用することにより、大気中に二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化イオウ、チッソ酸化物、粉塵などが放出され続けています。

その結果、人間には、気管支炎、ゼンソクなどの呼吸器系の病気が増加しています。

植物への影響は、葉の気孔から有害物質が侵入し、葉の内部構造が破壊されます。

大量の化石燃料の消費と、大規模な森林の伐採により、二酸化炭素の吸収と放出のバランスが崩れて、二酸化炭素が大気中に増え続けているのです。

その温室効果のため、地球の温暖化現象が懸念されています。

空気に混ざっている、イオウ酸化物やチッソ酸化物が大気中で水に溶けると、酸のしずくになります。

これが酸性雨や酸性霧(さんせいむ)として地上に降り、植物の葉に被害をあたえたり、土壌の化学的状態を変化させます。

酸性雨によって、森が枯れるなどの大きな被害が地球規模で、急速に進み全ての生き物に、深刻な状態が起きているのです。






水と植物の関係 No.234

水は移動する資源

地表にある水は、海、湖、川、氷冠(ひょうかん)、氷河、地下水、及び大気中に含まれているものも合わせて、全部で1.9×10の18乗㍑と言われています。

この他に地殻(ちかく)や、マントルに閉じ込められている水があります。

これらの水は、地球が誕生した時から存在してきたものです。

この内の97%が海水で、氷河などの凍った水が2%、残りの1%が陸上生物にとって利用可能な淡水なのです。

降水する水はそのまま蒸発していくわけではなく、土壌に浸透するものや湖や川に入るものもあります。

全体の99%以上は、地下に染み込んで地下水の一部になります。

地下水は何千年もかかって地下の帯水層を満たし、やがて地表にしみ出して、また生物の利用可能な水となるのです。

大気中から降った水は、土壌に染み込み、植物を育てるための必要なものになります。

植物は根から吸った水に、栄養分を溶かして体内に送り、光合成でできた糖分を溶かして、いろいろな部分に送るためにも水を使います。

水分の蒸散によって体温の調整も行っています。

植物は根から吸い上げた水の5%程度しか光合成に利用せず、残りの95%は葉からの蒸散によって、空気中に出ていってしまうのです。

このようにふつう植物は、水の少ないところではよく育ちません。
植物が水不足になると、細胞が大きくなれなかったり、光合成がうまく行われなかったりします。

砂漠に生きるサボテンは枝葉をトゲにかえて、水分の蒸散を抑え茎に水分を蓄えています。

昼間は気孔を閉じて光合成に使う
二酸化炭素は昼間に取り込むなど、環境に適応しています。

植物が生きて行ける環境が壊される事は、人類が生きて行くため必要な水源まで壊してしまう事に繋がって行くのです。






2020/07/25

シンビジューム No.233

シンビジューム

東南アジアやオーストラリアの熱帯や亜熱帯地方が原産地。

中には東洋ランとの交配によって生まれた、小型で寒さに強いものや、芳香性のあるものもあります。

開花期は主として冬から春ですが、一部に秋咲きもあります。

地生種がほとんどですが、熱帯の樹木上で着生し、下に垂れ下がって小輪の花が無数につく種類もあります。

また、花茎は直立が一般的ですが、弓形になるものもあります。

品種は大きく分けて、大輪系、中輪系、小輪系があります。

★代表的品種

◉大輪系 花径10㎝以上 草丈100㎝

センセーション、クリフマスローズ、グレートフラワー
バレリーナ、マイフェアレディ、ホワイトクリスタル
ブリジッドバルドー、ハンタースポイント

◉中輪系 花径8㎝ぐらい 草丈60~70㎝前後

エイコウ、ケニーワインカラー、センハート、ラッキーカワノ
アンミツヒメ、ウララ、ガリガ、ゴールデンカラー
ゴールデンカラーセブン

◉小輪種 花径6㎝ぐらい 草丈60㎝前後

サザナミ、ミネッケン、ショーガール、ハスキーハニー
ミニドリーム、ワカクサ

シンビジュームの花の色は豊富です。

開花期12月から4月、3月から4月が開花のピーク。

冬季で花の少ない時期に花を咲かせ、開花期間が長いのが特徴です。

寒さに強く丈夫な、鉢花の代表種です。


(花言葉=深窓「しんそう」の麗人、高貴な女性)


◆病気
ウイルス病にかかってしまうと手遅れで、ほとんど治りません。

普段から管理に気をつけましょう。

株分けや植え替えの時は、刃物類など消毒し、鉢も新しい物を用意して、手もよく消毒して作業を行いましょう。

◆軟腐病(なんぷびょう)
一度発生するとこの病気は、なかなか止められません。

風通しをよくし、水やりの量を控え目にして、チッ素質の多い肥料は与え過ぎないようにします。

★薬剤散布で予防
水1㍑にベンレート水和剤1㌘、トップジン1㌘、オルトラン水和剤1㌘を混ぜて散布し、病害虫の防除を同時に行います。

★害虫
空気が乾燥しているときにハダニが発生します。

水やりの時に、葉の裏側にも霧のように吹いて、少し湿気を与えます。

発生した場合は、ケルセン乳剤の1000倍液で退治します。

ナメクジは夜間に活動し、新芽や花を食害するので見つけ次第捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治しましょう。

ナメクジは、日中は鉢底に潜んでいることがあるので、見つけ次第駆除します。

◆管理場所
11月から4月までは、屋外の寒さが株の生育や開花に適していません。

年末から2月にかけて開花するものが多いので、室内で育てます。

冬はよく日の当たる室内で、最低温度が7℃~8℃を保てる場所。

5月から10月までは屋外で育てますが、真夏の7月~8月の直射日光は、葉焼けを起こすので半日陰の場所に移動して管理します。

◉水やり
花が終わった後の4月から10月までは、屋外で自然の雨や日光に当ててください。

晴天が続く場合では、鉢の底から水が流れ出るくらい与えます。

バケツに水を汲み、一時間ほど浸すのもいいでしよう。

生育期の水不足は、株の生育が十分にできず、のちの開花まで影響してしまいます。

11月から3月頃までは、部屋の室温に合われて調整します。

温度の低い場合は、水分を控え目にして4~5日おきぐらい。

10℃以上の温度がある場合は、2~3日おきぐらいに与えます。

乾燥し過ぎると、花も咲ききれずに終わってしまいます。

温度の低い日が続いた時は、葉に霧吹きしたり、室温を少し高めにして水を与えるようにします。

★肥料
他のランに比べて多めに与えるようにします。

新芽の出る4月から6月にかけて、油粕に骨粉を等量混ぜ置肥します。

5~6号鉢で大さじ一杯を、月に1回程度与えます。

8月末から9月には、骨粉のみ1回与えます。

臭気などが問題になる場合は、粒状化成肥料か洋ラン専用の肥料を与えましょう。

与える時期を間違えないように注意しましょう。


◉植え替え

花が咲き終わり、株が鉢からはみ出しそうになったり、植え込み材料(水ゴケなど)が古くなったものは、植え替えを行いましょう。

鉢の大きさの目安として、5号から6号鉢、大きくても7号鉢ぐらいを使用します。

今まで植えていた鉢より、一回り大きいサイズにするか、もしくは株分けをして調整します。


◆シンビジュームの各部の名称           




バルブを2~3株に分けて植え込みします。

時期は4月頃が適しています。

植え込み用土は水ゴケだけでもよいし、軽石やバークなど排水の良いものでも構いません。

★植え替え時期が遅れると、その年の生育が遅れ、翌年花をつけない原因にもなるので注意する。

植え替え後は半日陰に置きます。
水やりは2~3日待ち、傷口をよく乾かしてから行います。

根が動き出すまでに約2週間ほどかかります。

それ間の水やりは葉水程度の軽めにします。 

根が動き出したら、日光によく当て水もたっぷり与えます。

◆株分けの目安
開花株から3年~4年以上経ち、中心に葉のないバルブ(リーフレスバルブ)が多い状態の株、バルブが6個以上あり、株分けで殖やしたい時、白い根を残し、古い根や腐った根は取り除きます。

根の量に応じて、鉢の大きさを選び、新芽の伸びる方向に余裕(スペースをあける)を持たせて配置し用土を鉢に詰める。

◉シンビジュームの芽摘み
次の年も花を楽しむためには、体力を消耗させないよう、花茎の一番下の花が萎れたらすぐに切り取ります。

日当たりのよい場所で管理すると、1月から2月にかけて株元から新しい葉芽が出てきます。

全て育てると十分に大きくならないので、1株(茎)に1芽、鉢全体で3~4芽になるように、小さいうちから余分な葉芽を摘み取るようにします。

葉芽の数を調整すると大きく育ち、秋から冬にかけてふっくらとして中がかたい花芽と、細く尖っている葉芽が株元につくので、葉芽を全部摘むと、充実した花を楽しむことができます。









2020/07/23

カトレア NO.232

カトレア 洋ラン

洋ランを代表するカトレアは、花も大輪から小輪まで、花色も多数あって豊富です。

交配によって多くの品種が作られ、春咲き、夏咲き、秋咲き、冬咲きと一年中楽しむ事ができます。

カトレアは中南米産が多いため、性質も中、高温性のものが中心です。

四季のはっきりした日本で育てるためには、ある程度の設備が必要です。

原産地とは異なる温度や湿度、日差しの強弱を調整するため、ハウスか温室が必要になります。


カトレアには4つの属があり、それらを含めてカトレアと一般に言っています。

カトレア(C) ブラサボラ(B)  ソフロニチス(Soph)   レリア(L)
これらは、それぞれ特徴がある中南米原産品種です。

※それぞれの種類の頭文字で略して記号で表す。
例 C=Cattleya



大輪花は20㎝近いものから、小輪花は3~4㎝ぐらいまであります。

高い木の幹や枝、岩などに着生しています。

この属では属間交配を行い、新しい品種が作り出されています。

また、この中で大輪花の咲く種類を一般種といい、ソフロニチス、ロックレリヤのように、低温で育ち小輪花が咲く種類を、小輪種と呼んで分けています。

◉病気

一番怖いのはウイルスです。


これにかかってしまうとほとんど治りません。


株分けや植え替えの時は、刃物類を消毒し、鉢は新しい物を用意して、手もよく消毒してから作業を行います。

風通し、日照、湿度など一般的な事ですが、これが一番大事です。

花が咲く前後に温度が下がり湿度が高いと、花弁に小さなシミが発生します。


これは(ボトリジス)と呼んで、せっかく咲いた花が台無しになってしまいます。

湿度を高めにし、乾燥気味にして防ぎます。

◆軟腐病 (なんぷびょう)

病原体はバクテリア、傷口から侵入し、導管部で繁殖して養水分が地上部に行き渡らなくなり、青枯れ状態になる。

一度発生するとなかなか治療できません。


風通しをよくし、水やりを控え目にして、チッ素の多い肥料は避ける。

※チッ素肥料の与さ過ぎは多発の原因となる。


高温多湿を好む5月~9月頃に発生する。

薬剤散布も予防に重点をおきます。

散布液は、水1㍑に対しベンレート水和剤1㌘、トップジン1㌘、オルトラン水和剤1㌘を混ぜたものを散布し、病害虫の予防と同時に行いましょう。

★害虫類

空気が乾燥している時に発生する、ハダニに注意します。

水やりの時、葉の裏側にも霧のように吹いて少し湿気を与えます。

※発生した場合は、ケルセン乳剤の1000倍液で退治します。

※ナメクジは夜間に活動し、新芽や花を食害するので見つけ次第捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治します。


日中は鉢の底などに潜んでいるので、見つけたら駆除します。

◉管理と手入れ

一般種は、冬期の最低温度が15~16℃以上で育て、5月から10月までは屋外の半日陰(寒冷紗などを利用して50%ぐらいの遮光)の場所で育てます。

11月から4月、5月までは温度の保てるハウスや温室で育てます。
5月に入って、夜の温度が15℃以上になったら屋外へ出します。

約一週間で、徐々に外の環境に慣らしていきます。


小輪種は、冬期の最低温度が10℃前後で、一般住居の日当たりの良い場所でも育てられますが、夏は半日陰の場所で冬は保温設備のある場所で育てます。



(カトレアの花言葉は、優美な貴婦人、成熟した大人の魅力)

◆水やり

5月から10月の間は、屋外で雨に当てるか、晴天が続いて乾燥気味の時は、3日から5日おきに与えます。

梅雨時や台風シーズン、秋の長雨が続く時は、軒下やベランダなどあまり雨が多く当たらない所に置きます。


11月から3月の間は、温室内で14℃~15℃に保てる場合は、新芽が出始めるまでは、週1回、土が乾いてきたらたっぷりと水を与えます。

新芽が出始めたら、2日から3日おきぐらいに与えます。

普通の部屋で10℃以上の温度が保てない場合は、軽い霧吹き程度にして、鉢の表面が乾いてきたら軽く与え、多すぎない様にに注意します。

★肥料

基本的に、根がよく伸びる生育期に与えましょう。

新芽が伸び★バルブが肥大して根がよく活動する4月から6月に、油粕と骨粉を半々に混ぜ玉状にして鉢に置肥します。

固形肥料は7月上旬まで与え、その後は一切与えません。


★バルブ

ラン科の植物で茎が肥大したもの
熱帯地域の雨期や乾燥など、落差が激しい自然環境から身を守るため、水分や養分を蓄えている肥大部分。

着生ランは、バルブから根を出し、繁殖する。

また、生育中の春から秋には洋ラン用の液体肥料を薄めて、月に1~2回水がわりに与える。

油粕、骨粉など有機肥料は臭気が発生し問題になるので、清潔で臭気もない無機質肥料の液体肥料や、粒状化成肥料を使う。

その時、与え過ぎや濃度を間違えないように注意します。

また、花芽が出ている時は与えません。

◉植え替え

春咲きの品種や冬期咲きの品種など、咲く時期によって新芽の伸びる時期が違います。

植え替えをする時は、新芽が伸び始める頃の春が適期です。

水ゴケが傷む前に行うのが目安で、2年おき程度で植え替えを行います。

※新芽の伸びるスペースがないものや、生長が健全でないものは植え替える様にします。


鉢は通気性を考えて、素焼き鉢がいいですが、全体の株の大きさから考えてやや小さめの鉢を使います。

鉢の底には軽石などを入れて植え込みます。

★植え替えの手順として

①支柱を外して、ナイフで鉢と根鉢(根とそのまわりの土)をそっと離します。

株を中央に寄せる感じで行う。

②株を取り出したら、中心から徐々に古い水ゴケを取り除いていきます。

続いて、外側から上に向かって腐った根や古い水ゴケを取り除きます。

③葉のついているバルブを最低でも2~3株ずつつけて、切り離し鉢に植え込みます。

この時、株分けもできますが、新芽を痛めないように注意します。

ウイルス病の原因になります。

④バルブを保護している薄皮を取り除き、カイガラムシを予防します。

⑤新しい水ゴケを根の下からまわし、新芽のすぐ下まで丁寧に包み込みます。

⑥鉢底に軽石などを入れて、根の下から鉢の中に押し込み支柱を立てる。水ゴケは表面を固くし、底は柔らかくするのがコツです。

★植え替え後、株分け後は発根を待つ約2週間から20日は水を与えません。

根が出始めたら、水や固形肥料、液肥などを与えていきます。

★株分けの手順として

株分けは植え替えと同時にできます。

①鉢の中が二股に分かれ、最低でも3バルブずつを取り分けられるものが、株分けできる株になります。

②植え替えと同様に支柱をはずし、鉢から株を取り出します。

3つのバルブを残して、消毒したハサミで2つに切り分けます。

③水ゴケを中心部からほぐし、古い根や腐った水ゴケを取り除きます。

切断した部分には殺菌剤をつけましょう。

④株分けした株をそれぞれ、植え替えの時と同様に水ゴケを巻き、根を包み込んで、鉢底には軽石などを入れ鉢植えします。

※植え替えと同様に株分け後、約2週間は水を与えず、半日陰で管理します。


◆カトレアの各部の名称               



◉カトレアをはじめてする洋ランは、1~2年で徐々に周囲の環境に慣れるため、通常の管理温度より低くても栽培は可能です。

冬の間は乾かし気味に管理するのが基本ですが、つぼみがついたら極端に乾燥させないようにします。

毎日たっぷり水を与えます。(用土により調整する)

通常、1回に与える水の量は鉢の大きさと同じ容量ですが、寒いうちは鉢の半分ぐらいにします。

水不足のカトレアはつぼみが黄色くなり、そのまま萎んでしまいます。

日照時間が短い場合も花は咲きません。

一見よく育っているように見える場合も、バルブが衰えています。

注意が必要なのは暖房機、温風に当たるとつぼみが落ちてしまうことがあります。

更に、カトレアは小さい鉢で育てるのがコツです。

大き過ぎる鉢に植えると、根が張らず株の育ちが悪くなります。

シース(名称参照)からつぼみが伸びていて、花の重みで花茎に負担がかかっている時は、支柱を立てます。

シースもつぼみもできないという場合は、日照不足や肥料不足と思われます。








2020/07/21

シダ植物 No.231

シダ植物

シダ植物は、地球上に約1万種が自生していると言われています。

日本では、雑種や変種も入れると1200種が自生している。

その内の100種類以上が絶滅危惧種となっています。

面積の割に日本にはシダ植物が多く自生している。

それは、南北に延びた列島、その周りを迂回する海流や入り組んだ地形、亜熱帯、温帯、亜寒帯と幅広い気候帯などによって、豊かな森林地帯が形成され、その下草として森に守られているからである。

その事から、シダ植物などの下草が繁栄しているかどうかで、豊かな森であるかどうかの目安にもなるのです。


しかしながら一方で、経済の急速な成長によって環境が悪化し、山が削られ、森林が伐採された結果、絶滅した植物種も多くあるのです。


里山は高齢化により過疎化、衰退し、その環境下で育ってきた種も失われて来ました。

地球規模での人間活動によって地球温暖化が急速に進み、生態系への影響も問題化されています。



自然環境の悪化は、即人類の生活環境にも影響するように、自然があってはじめて人々が生かされている、この事を忘れずに自然を大切にしなければならないのです。

シダ植物は地球が誕生してから、最初に地上で繁栄した植物です。


シダ植物は、種子を作らず胞子で殖えるため、蘚苔(たい)植物(コケ類)と同じ仲間のように見えますが、★被子植物、★裸子植物と同じく吸収した水溶液を送る仮導管と光合成で作られた糖などの水溶液を送る師管がある★維管束植物です。

維管束(いかんそく)

維管束は師部と木部に分かれていて、師部には師管が、木部には導管(裸子植物では仮導管)が通っています。

導管は、水分や養分を根から葉へと伝える役目をしています。

師管は、葉の光合成によってできた糖を体の隅々まで届ける役目を果たしています。

※コケ植物には根がなく、維管束(いかんそく)がありません。


地球の地上に最初に誕生したのはコケ植物ですが、根もない、維管束を持たない事から、繁殖していく速さがシダ植物よりも遅いことから、急速に繁栄して行ったのはシダ植物と言うことです。

★被子植物(ひししょくぶつ)

胚珠が心皮に包まれているのが被子植物

★心皮(しんぴ)は元々葉にむき出しでついていた、生殖細胞をその葉で包んで保護するように進化した葉で、それが一枚または複数合わさって、子房、花柱、柱頭を形成している。

★裸子植物(らししょくぶつ)

胚珠が心皮に包まれていないのが裸子植物
ソテツ、イチョウ、針葉樹などが裸子植物で、被子植物へと進化する前の段階の植物と言われています。

◆胚珠(はいしゅ)

将来種子になる器官のこと

◆心皮(しんぴ)

シダ植物や裸子植物の大胞子葉に相当する。

単心皮、合性心皮、離生心皮

◆胞子(ほうし)

菌類や植物が無性生殖(むせいせいしょく)する時に作る生殖細胞のこと。

◆子房(しぼう)=そう果
受粉し受精後そう果になる。

子房の中の胚珠には、生殖細胞が入っている。

シダ植物と呼んでいるものは、生物学上では自然群ではなく、人為的につけられた呼び方で、維管束植物の内、種子植物以外の植物を総称した名前です。

コケに似たコケシノブ類から木本(もくほん)に似たヘゴ類まで、大きさや形は多種多様である。




シダ植物やコケ植物などの多くの植物は、有性生殖を行う世代と、無性生殖を行う世代とが交代を繰り返しています。

有性生殖を行う世代は、配偶子を作るので配偶体といいます。

無性生殖を行う世代は、胞子を作る胞子体といいます。

シダには★胞子嚢をつける胞子葉と胞子嚢をつけない栄養葉が混ざり合っていますが、胞子を作る植物体と言うことから胞子体と呼んでいます。

★胞子嚢(ほうしのう)

胞子をその中に形成する袋状の構造のこと。

コケ植物の胞子嚢は朔(さく)と呼ばれる。

コケ植物は大きく3つに分かれ、朔の構造はそれによって大きく異なる。

胞子体で胞子嚢ができ、減数分裂して胞子がつくられ発芽したものが、2~4㎜と小さい配偶体(前葉体)で余程注意深く探さなければ、目にする機会が少ないものです。

配偶体にある造卵器と造精器によって受精して胚ができ、大きくなったものが胞子体となる。

シダの中には配偶体で受精することがなく、一部の細胞が分裂して胞子体を作るベニシダ、ヤブソテツなどの仲間がある。

これらを無融合生殖と呼んでいる。


他にヌリトラノオ、コモチシダ、ホソバイヌワラビなどは無性芽も出て栄養繁殖する種もある。

シダ植物も一般の植物と同様に常緑性、夏緑性、冬緑性と生育時期が異なっています。

◉常緑性

ベニシダなど春に葉を出し、翌年春に新しい葉が出るまで葉が枯れないもの。

◉夏緑性

イヌワラビ、クジャクシダなど春に葉を出し、秋に葉が枯れてしまうもの。


◉冬緑性

アオネカズラ、オオハナワラビなど晩夏に葉を出し、翌年の初夏近くになって葉が枯れてしまうもの。

どの緑性も地上部の葉が交代するだけで、根茎(こんけい)より下は生きて、数年も生育する多年草です。

◉シダの葉は一枚の葉

シダ類の多くは、ベニシダやワラビのように根茎から複数の葉を出しますが、変わったものとしてカニクサ(ツルシノブ)は地上部分の全てが一枚の葉で、ツルの部分は葉柄です。

木に見えるヘゴも一枚の葉で、茎のように見える部分が葉柄で、太くなっても年輪はありません。

例えば登山などで弁当を食べるとき、お箸が無い場合、ヘゴの葉柄が箸として利用できます。

◉根茎(こんけい)の形 (地下茎の一種、根のように見える茎)


根茎は、根とも茎とも区別がつきませんが、歴とした茎です。

この根茎は、立ち上がったり、横に這ったりと、形は異なりシダを同じものとする時の決め手となるものです。

根茎には直立、斜上、匍匐(ほふく)の形があります。

★直立は、根茎から出た古い葉柄の内側に新しい葉柄を出すため、立ち上がった様になる形で、ヘゴ、ヤブソテツ類などがある。


★斜上は、根茎の先に葉柄を出して行くため、斜め横に伸びていく様な形で、ベニシダ類、イノデ類などがある。


★匍匐(ほふく)は、根茎が横走りすると、間隔を開けて葉を出すことになります。


長く横走りするものには、ウラボシ類、シケシダ類などがある。

短く横走りするものには、オオヒメワラビ類、オニヒカゲワラビ類などがある。


(葉の裏に胞子嚢が集まった胞子嚢群=ソーラス)

胞子嚢の袋の中に胞子が入っています。


◉鱗片(りんぺん)

シダ植物は、植物全体に鱗片や毛が密生する。

植物の芽や球根を保護する。
複数の小さな葉のようなもの。

葉が変態した変態葉の一種で鱗片葉(りんぺんよう)とも言う。

また、シダ植物には鱗片の辺縁からいちじるしい鋸歯があるものまであって、ベニシダ類、イノデ類、イヌワラビなどでは、この鱗片の色、形が同じものか見極めるポイントになる。

◉シダの効能 


ノキシノブ(軒忍)中国名は瓦葦(がい)昔から民間薬として利用されてきました。


         (ノキシノブ)


利尿、止血、解熱、消腫、消炎などの作用があるので、浮腫、腎臓炎、膀胱炎などの利尿薬。

小児の高熱、神経痛、リウマチ、腰痛、婦人病などにも用いる。


薬用には全草を用います。

葉の背面に胞子嚢群(ほうしのうぐん)のあるものが良品とされています。

全草を5月~8月に採取し、一緒に着生している苔や土などを取り除き洗浄してから、最初は日干しして、柔らかくしてから風通しの良い場所で陰干し、十分乾燥させます。


乾燥したものを刻み、1日量として10~15㌘を水500㍉㍑で煮詰めて半量にします。

1日3回に分けて食間に服用します。






2020/07/20

地球誕生での最初の地上植物は苔植物 No.230

原始的生体のままの苔植物

現在の科学研究によると、地球が誕生したのは今から46億年前とされる。

しかし、そんなの誰も見てないし、よく解るものだと思う。

         (地球の内部)


地球の始まりは、どろどろに熔けていて、生物が生きられる環境ではなかったと言います。

その後地球の表面は、どろどろに溶けた熱いマントルがだんだん冷えて地殻(ちかく)となって固まり、6㌔から60㌔の厚さの岩石となって覆われた。


地球の内部では、地球の自転(地球は24時間で1回転している=自転運動)や対流によって、金属流体にデンリュウや磁場が発生して、マントルは高温のままで固まる事はない。


蒸発した大量の水蒸気が冷やされて、やがて雲となり来る日も、来る日も大量の雨が降り続けた。

やがて水は地表を覆うようになり、海になったのです。

大気中に酸素はなく、二酸化炭素であった。

ようやく海水の中に生命が誕生したのは30億年前です。

その頃誕生した生物は、細菌やアメーバのような微生物でした。

ある日、それらの微生物から突然変異によって、新しい生物が生まれました。

突然変異と言うのは、遺伝子が放射線などによって変化してしまうことです。

地球上の生命の歴史は、宇宙から降り注ぐ放射線との戦いの歴史でもある。

この放射線によって、親とは全く違う生物が誕生したのです。

その新しく誕生した生物は、光合成をする生物で、光合成を行うと酸素を吐き出します。

それ以前の生物にとって酸素は猛毒でした。

光合成を行う生物の出現によって、今までの古い生物のほとんどが全滅してしまったのです。

そして光合成によって二酸化炭素が減り、酸素が増えて行ったのです。

海水中に溶けた二酸化炭素をサンゴなどの生物が石灰質の殻に変化させ、それらの殻が何百万年も積もり続けて石になったのです。

それが現在、コンクリートの材料として使われている石灰岩です。

6億年前には、クラゲなどの単純な生物が誕生し、植物は海の中で藻の仲間が繁殖しました。

植物は太陽の光を使って、自分で養分を生み出します。
この事を光合成といいます。

それから植物は次第に陸上へ進出して行くのです。

水中の植物と陸上の植物の境目に当たるのがコケ植物です。


          (コケ植物)

コケ植物を経てやがて陸上ではじめに栄えたのが、シダ植物です。

これが3億年前のことです。



シダ植物には、ワラビやゼンマイなどがあります。

藻類のワカメ、コケ植物のゼニゴケ、シダ植物のワラビこの植物は胞子またはそれに似たもので殖えます。

          (シダ植物)


この頃まだ種子と言うものは出来ていなかったのです。

胞子はたった1つの細胞で出来ていて、子孫を残したり、殖やしたりするための役割分担ができません。

1億年前になって種子で殖える植物、花が咲く植物が誕生しました。

胞子で殖える植物には、花が咲きません。

つまり種子を作らないのです。

地面に生える植物であるコケの役割は、溶岩や火山灰などの荒れ地に繁殖して、そこに肥沃な土壌を形成することで、初期の地球に土壌が形成されるようになったのです。

★土壌は生物によって生まれ、その結果として生物を支え養う能力を持つようになったものである。

地球の歴史の中で、はじめて海から陸に上がったと言われるコケ植物は、地面から水を吸い上げる根がなく、維管束と呼ばれる水や養分を体内に行き渡らせ、体を支える役割を果たす機能がありません。

コケ植物は、植物の中でずっと原始的な生体のまま、とどまっている植物と言えるでしょう。

そんなコケ植物ですが、何億年もの歴史の中で、厳しい環境変化の中でも、生きていくための進化を繰り返してきたのです。

◆おまけ
海がしょっぱいのはなぜなの?

地球の始まりは、そらが水蒸気や塩素ガスで覆われていました。

地球の温度が下がるに従って、空にあった水蒸気は雨となって塩素を溶かしながら、地球に降り注ぎ窪地に貯まるようになったのです。

これが海の始まりです。

最初海は、塩酸が含まれた酸性の海水だったのが、徐々に岩石に含まれるナトリウムと反応して、中和され現在のような海が出来たのです。

海は塩素とナトリウムだけで85%を占めています。


         ❆地球内部構造図

地球の内部構造はこれまで図のように表されてきましたが、研究調査は継続されており、その結果、地球の中心部の内核にはもう1つの層があるようだとの発表がなされた。

これまで教科書などで示されてきた内容が書き換えられる可能性が出てきたのである。

その事をここに記しておく。
2021年3月6日