緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/05

シラカシ No,267

シラカシ ブナ科 (白樫)

別名=クロガシ

宮城県以南の本州、四国、九州、琉球列島に至る全国の山地に自生するほか、済州島、台湾、中国、東南アジアの暖地帯に幅広く分布している。

枝葉が水分を多く含むため、耐火性が高く、強せん定にも耐えることから、関東地方を中心に古くから防風、防火用を兼ねた庭園樹や、生垣などに幅広く用いられてきた。

関西地方でも同様に利用されますが、どちらかと言うと同属の「アラカシ」がよく使われるようです。

シラカシと言う名前に反して、幹が黒っぽく見える事から「クロガシ」と言う別名で呼ばれることがある。




カシの仲間は、緻密で硬い材質で、古くから建材として利用され、シラカシの名はこの木材の色が白い事に由来しています。

硬さに加えて、粘りがあることから、器具、楽器、建築材、船舶材、しいたけの原木など幅広く用いられています。

園芸種はありませんが、葉に厚みのあるアラガシ木材が、淡紅色をしているアカガシ葉の裏が白く葉縁が波打っている「ウラジロガシ」などの類似種がある。

◉生育環境

日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ場所を好みます。

本来は暖地性ですが、環境適応力が高く、耐寒性も比較的強い方です。

半日陰や多少の乾燥地でも育ち、土質を選びません。

◉植え付け

適期は4月から5月、9月から10月、暖地では3月にも行えます。

地際の土が踏み固められると、根のカツドウガ鈍くなるので、適度な柔らかさを保つ事が大切です。

◆肥料

ほとんど必要ありませんが、強く刈り込んでいるものなどは、油粕なとの有機肥料を春(3月)か秋(9月)に大きさに応じて、3~5握りほど株元にばら蒔きます。

★病害虫

日照、風通しが悪くなるとうどん粉病が発生する場合があります。

定期的な整姿で風通しをよくすることが最も大切です。

カイガラムシ、アブラムシ




◉せん定

自然樹形の場合は、適当な高さで樹芯を止めます。

徒長枝、立ち枝、胴吹き芽などの不要枝を元から切り、樹冠内の日照、通風を保つようにします。

小枝は梅雨明け頃に、春から伸びた新梢を必要なだけ残して整理します。

生垣や散らし玉などを刈り込む場合は、新芽の固まる6月頃と猛暑の過ぎた9月から10月の2度、刈り込んで整形します。

◆殖やし方

乾燥すると発芽率が極端に落ちるので、秋に落ちた実をすぐ採り蒔きにするか、翌春に蒔きます。

2~3年で苗木になるのでその後定植します。








2020/09/04

ブッドレア No,266

ブッドレア 

(房藤空木)    落葉広葉低木

フジウツギ科
別名=フサフジウツギ、サマーライラック

中南米、アフリカ南部、東アジアなどに70種余りが自生しており、常緑性の仲間もあります。

一般に「ブッドレア」の名で親しまれているのは明治時代に持ち込まれた、中国原産の野生種を改良したものです。

日本の風土によく合い、野生化したものも各地で見られます。

日本の水辺に近い山野に自生する「フジウツギ」もこの仲間で、「フジ」を思わせる房状の花と、対生する葉が「ウツギ」に似ていることから、和名は「フジウツギ」と名付けられています。

日本で野生化した株が、最初に発見された地にちなんで「チチブフジウツギ」(秩父藤空木)と言う別名もある。

樹高は3~5㍍になりますが、刈り込みに強く仕立てやすいことから、庭木のほか鉢植えや切り花としても親しまれています。

5月頃から10月にかけて、房状の花が次々に開花し1つの花は1㎝ほどの小花ですが、花房の長さは20~30㎝に達します。

元々が園芸種なので花色はピンク、白、藤色、赤紫、青紫など多彩で、いずれも長い間香りのよい芳香を放ちます。

蜜腺が発達しており、花期が長いことから多種の蝶をはじめ様々な昆虫が飛来します。

その事から欧米では「バタフライブッシュ」と呼ばれています。

その他品種には葉に斑の入った「フイリフサフジウギ」

南米原産で5月頃から開花し、黄色い小花が球状に集まる「グロポーサ」などがあります。




葉は先端が細く尖った舟形で、葉裏には柔毛があります。

株全体に「ブドレジン」などのアルカロイド系の物質を含む有毒植物です。

中国では風邪の諸症状に効く鎮痛、鎮咳用の生薬として用いられていた。

南米のチリやペルーに自生す「ブッドレア·リーフ」と呼ばれる種は、ハーブ🌿として幅広く栽培され、傷薬や腹痛、消化剤として用いられています。

◉生育環境
日当たり、水はけのよい、肥沃なやや砂質土を最も好みますが、土質は特に選びません。

半日陰でも十分育ちますが、日照が不足すると花つきが悪くなります。

◆植え付け
大きめに掘った穴に完熟堆肥、腐葉土を元肥としてすき込み、肥料分のない土を★間土してから、高植えにします。

★間土(まつち)とは
植物の根と肥料の間のことで、その間に入れる土のことを言う。

直接肥料が根に触れた場合、根を傷める肥料から根を護るために入れる。

※暖効性化成肥料は、直接根に触れても問題がないので間土は不要です。

丈夫な樹種ですが、移植を嫌います。

植え替える際には、できるだけ太根を切らないように行いますが、大きな株の移植は避けた方が無難です。

耐寒性が強く、東北地方でも庭植えが可能です。

北海道でも可能と言われていますが、極寒地では冬期に鉢上げして室内で管理した方がよいでしょう。

◉肥料
寒肥として、2月頃に有機肥料を2~3握り株元に与えます。

また、花後にお礼肥として、同様に与える。

★害虫
5月~6月頃にアブラムシが発生する場合があります。

大量発生した場合は、マラソン乳剤などで防除します。




◉せん定
しなやかな枝が株立ち状に出て、半球形になります。

放任しても樹形はまとまりますが、四方にかなり枝を伸ばします。

庭の広さに合わせて、せん定して樹形を小さめに保つ必要があります。

花房は新梢の先端につき、その花が終わる頃に、下の節の芽が枝を伸ばし、その先にまた花房ができます。

基本的には春先に前年枝を切り詰め、元気な新梢の芽吹きを促します。

開花中は、ひこばえ(やご)が出やすいので、その都度地際から切り取ります。

樹形を小さく保つには、3~4年に1回を目安に、落葉期に地上30㎝ほどの高さで切り戻し、株を更新します。


◆殖やし方
実生は秋に種子を採り蒔きにします。

赤玉土小粒などのまき床に蒔き、乾燥しないように管理します。翌年定植します。

挿し木は充実した新梢を10~15㎝に切ってさし穂とし、赤玉土、鹿沼土などに挿します。

適期は6月下旬から8月上旬






2020/09/03

イヌツゲ No.265

イヌツゲ モチノキ科 

(犬黄楊、犬柘植)

原産地=日本各地の山地に自生
常緑低木または小高木

ツゲに似ているが役に立たないので、この名があり「ニセツゲ」と言う別名もあります。

植物名で「イヌ」は役に立たないものとして使う。

山地の林縁や草地、湿地などに生える。

よく見かけるものは高さが5㍍ほどだが、時に15㍍に達するものもあると言う。

葉は互生(ホンツゲは対生)葉の縁が少しギザギザになるのが特徴で、よく似た「ツゲ」は縁が滑らかである。

萌芽力が強く、強せん定にも耐えるので、生垣仕立てや玉仕立てなど刈り込みができる、庭木として広く利用されている、実は便利な樹種である。

土質を選ばずどこでもよく生育する。

仕立ててある生垣や庭木の刈り込みは年に2~3回行う。
移植も容易である。

雪の多い日本海側で生育するものは、地表を這うように生長し特に「ハイイヌツゲ」と呼ばれますが、実際には中間型の品種も多く
普通のイヌツゲとの識別は難しい。

排気ガスなどの公害にも強く、都市部の庭木として欠かせない存在になっています。

変種が非常に多く、卵円形のふっくらした小型の葉をつける「マメツゲ」矮性の「チャボイヌツゲ」果実が黄熟する「キミノイヌツゲ」があります。




◉生育環境
本来は暖地性の植物ですが、環境適応力が高く、耐寒性も強いので、寒地での栽培も可能です。

日陰にも強く、土質も特に選びませんが、理想的な環境は日当たりと排水がよく、腐植質に富んだ肥沃な土地です。

ローム質の軽い土が特に適しています。

痩せた土地でも育ちますが、葉の繁りは多少悪くなります。

※ローム質(層)
砂土と埴土(しょくど)=粘土の中間の土壌で、砂が約3分の1混じった粘土質の土のこと。



◉肥料
油粕、鶏ふん、化成肥料などを寒肥として2月頃に施す。

育苗中のものには年2回、春先と初夏に与え、長年同じ場所に植えているものには、年1回(春先)に与える。

◆せん定
刈り込みの時期は6月と9月、11月~12月

仕立ての適期は3月~4月

春から夏の間で徒長枝が伸びるようなら、その都度刈り込んでやれば理想的です。

6月の刈り込みは、春から急速に生長し、樹形も大きく乱れているので、深く刈り込みます。

深く刈っても再び新葉がつくので大丈夫です。

秋の刈り込みは9月中に済ませます。

9月中に刈ると再び萌芽して伸びが止まり、新葉をつけたまま冬を迎え、新葉に十分な耐寒性をつけた状態で冬を越せます。

10月以降の刈り込みの場合は新芽も充実しきれません。

浅い刈り込みで残す枝葉を多くするように注意します。

刈り込み作業前は基本的なせん定を行います。

樹形内部は枝葉が混み合い、ムレて枯れも起こっているので枝葉の整理が必要です。

徒長枝や枯れ枝を元から間引き、伸び過ぎた枝や混み合ったえだを切り戻し、切り詰め、樹形内部に日当たりと風通しをよくします。

枯れて穴のできた所は、シュロ縄で近くの枝を引き寄せ穴をふさぐ修正を行います。

枯れ葉が堆積したり、小枝がムレて枯れているのでこれらも十分に手でもみ落としてやります。

◆殖やし方
挿し木は3月下旬から9月までが適期です。

実生は10月に果実を採り、水洗いして種子を取り出します。

乾き過ぎない程度に水を切ってから、まき床に蒔きます。







2020/09/02

ダチュラ (エンゼルス·トランペット) No.264

ダチュラ ナス科

常緑テイク復は一年~多年草、一部落葉種もある

別名=マンダラゲ、エンゼルス·トランペット
   キダチチョウセンアサガオ

原産地は中南米、インドア、中近東の熱帯地方で数十種が自生している。

種類によっては花期は若干異なりますが、おおむね6月~11月頃にかけて、アサガオに似たラッパ型の大きな花が垂れ下がって咲きます。

英語ではエンゼルス·トランペット「天使のトランペット」と言われている。

★草本性の種の多くは、花が上向きに咲き。

★木本性の種は下向きに咲きます。

①★草本性(そうほんせい)とは、一般に草と呼ばれる木部があまり発達せず、地上部が1年で枯れる植物の総称。

草花や野菜なども草の仲間。

②★木本性(もくほんせい)とは、茎や根の形成層が発達していて、堅い木質の幹が成長を続ける植物
(いわゆる樹木類のこと)

従来はすべてを「ダチュラ属」として分類していましたが、木本性の低木になる種を「ブルグマンシア属(ニオイチョウセンアサガオ属)として独立させる学説が有力になっています。

ダチュラ(ダツラ)はアラビア語で「トゲ」を意味し、それは花後に、トゲに覆われた楕円形の果実が生ることに由来しています。

英語名の「ソーンアップル」も「トゲのある果実」と言う意味です。




日本には江戸時代に薬用植物としてもたらされ「チョウセンアサガオ」または中国名の「マンダラゲ=曼陀羅華」の名で親しまれてきました。

ダチュラ属の植物は、株全体にアトロピン、スコポラミンなどのアルカロイド系の毒物を含んでおり、鎮痛、喘息発作抑制、睡眠誘発の生薬として用いたほか、興奮剤、幻覚誘発剤としても利用されました。

世界初の全身麻酔による、乳ガン摘出手術を成功させた江戸時代の蘭学医「華岡青州」が開発使用した麻酔薬もダチュラ(チョウセンアサガオ)から作られたものでした。

★華岡青州(はなおかせいしゅう)
外科医(1760年~1835年)
江戸時代の外科医

欧米ではすでに16世紀頃より、乳ガンを切除することは行われていましたが、麻酔がないので大きな切除が出来ず、患者さんの痛みも相当なものだったに違いないでしょう。

それに手術の結果も惨憺たるものでした。

青州が手術した乳ガン患者さんの名前は「乳厳姓名録」と言う記録に遺されていますが、その数は152名に及びます。

園芸店で一般に「ダチュラ」として流通している種の中で代表的なものは、キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)で、エンゼルス·トランペットなどの別名がある木本性(もくほんせい)の品種です。


※木本性については前文②に記載

芳香を放つ長さ15~20㎝の大きな花が咲き、1つの花は夕方に開き、朝に閉じると言うサイクルで、3日程で萎れてしまいますが、晩秋まで次々に開花し続けます。

花は白が一般的ですが、オレンジ色の花が咲く「サンギネア」淡黄色の花が咲く「カンディダ」など多彩な色合いがあり、八重咲きの園芸種も多数開発されている。


★園芸種の毒性は原種と比べて弱いとされているが、樹液が皮膚に付着するとかぶれたり、目に入ると一時的に失明する危険もあるので、取り扱いには注意が必要です。



◉生育環境

日当たり、水はけのよい肥沃な土地を好みます。

樹勢が強く土質は特に選びません。

半日陰でもよく育ちますが、日照が不足すると茎が細くなり花つきが悪くなります。


熱帯性植物なので、暖地以外では鉢植えで楽しむ事が多い植物ですが、エンゼルス·トランペットなど木立性のものは、耐寒性(耐寒温度0℃)が比較的強く、関東地方南部以西では庭植えが可能です。


◉植え付け

植え穴を大きめに掘り、腐葉土、完熟堆肥、鶏ふんなどをすき込み高植えにします。

寒風が当たると葉が傷むので風除けをします。
零下になる寒地では、冬期は鉢上げして室内で越冬させるようにします。

◆肥料

多く肥料を好む植物です。
基本的には毎月1回、油粕などの有機肥料を株の大きさに応じて、2~3握りほど株元に与えます。

★害虫

稀にアオムシやアブラムシがつくことがあります。
アオムシは見つけ次第捕殺し、アブラムシが大量発生した場合は、スミチオン乳剤などで防除します。

◉せん定

※草木性のものは、特にせん定の必要はありません。

※木本性のものは、花が一通り咲き終わった時期(種類によって異なる)に、青い茎を切り詰め、木質部だけを残して越冬させます。


                          (せん定箇所の例図)


◉殖やし方

草木性のものは実生で、秋に採った種を低温貯蔵して翌春に蒔きます。

※挿し木

(適期=5月~6月、8月~9月)
木本性のものは、充実した枝を20㎝ほど切りさし穂とします。

下半分の葉を落とし、一時間ほど水あげしてから赤玉土、鹿沼土などの用土に挿します。

乾燥に注意して管理し冬は室内で管理します(5℃以上)

翌年5月~6月頃に定植します。




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No,342








2020/09/01

ヒマワリ (向日葵) No.263

ヒマワリ キク科

別名=サンフラワー、ニチリンソウ

花が太陽の方を向いて回ると言われますが、実際に回るのは茎やつぼみがやわらかいうちだけです。

一般的には苗よりも種から育てるようにします。
種まきは4月~5月

種は直蒔きにし、日当たりのよい場所で腐葉土と元肥を混ぜてよく耕した土で育てます。

肥料を吸収する力が強いので、追肥はしなくてもそれなりに花は咲きますが、葉の色が悪くなってきますのでその時は固形肥料で追肥します。

土の表面が乾いたら早朝にたっぷりと水を与えます。

また、花が終わったら早めに花柄を摘み、わき芽の生長を促しましょう。




◉害虫

夏の高温乾燥期には「ハダニ」がつきやすいので早朝に水を与える時、葉にも水がかかるようにして予防します。

※植え付け時期は4月~5月
※開花期は6月~10月

◉ヒマワリの種採り

果実が成熟すると重くなり、花が下を向くのでその頃が収穫時です。

茎ごと切り取り、日陰に吊るしてよく乾燥させてからほぐして種子を取り出します。

密閉できる容器に入れ、冷蔵庫で保存します。

保存状態が良ければ、種子の寿命は4年程度と言われています。





ひまわりと蜜蜂🐝

ヒマワリの花は東を向いて咲きますが、これは朝日を浴びて暖かい花に、ミツバチがやって来るからです。

花が集まった部分を「頭状花序」といいますが、ヒマワリを含むキク科の植物によく見られます。

ヒマワリの頭状花序は、花が咲くまでの成長の過程では、日中太陽を追うように向きを変えます。

しかし、花が咲く頃まで成熟すると、頭状花序は多くの場合、東の方だけを向くようになることが知られています。


ミツバチは東向きの花にはやって来ますが、西向きのものにはやって来ません。

東向きの頭状花序は、西向きの頭状花序よりも朝、温度が高いのでミツバチが飛来します。

西向きの頭状花序を温めるとミツバチも飛来する。

朝の温度の高さが、ミツバチを引き寄せるのに重要であることが伺える。

これは朝、太陽の日射が当たることで、ミツバチが紫外線で頭状花序を見つけやすくなると考えられる。





2020/08/31

ホトトギス (杜鵑草) No,262

ホトトギス ユリ科 宿根草

別名=ユテンソウ(油点草)

東アジアからインドにかけて、20種ほどが分布し、そのうち日本には10種余りが自生しています。

古くから茶花や切り花として利用されてきた、日本原種の園芸植物です。

花弁につく斑点の模様が、鳥の「時鳥=ホトトギス」の胸元の模様に似ている事から、この名前が付けられました。

近づいて見ると、花に入る斑紋は種類や個体によって異なり、面白いことに多くの種類が雌しべやその下の花柱まで、花被片(花弁)と同じ色や形をしています。

斑点のない白い花もあります。

植物分類学上は、花は上向きに咲くものがあり、大まかには花の向きで種類が分けられます。

また、園芸的には栽培方法の違いによって、茎が直立する種類と、茎が下垂する種類に区別できます。

※茎が直立する種類
ホトトギス、タイワンホトトギス

※茎が下垂する種類
キイジョウロホトトギス、コハクホトトギス

「杜鵑草」「時鳥草」「油点草」など、様々な漢字で表される事からも、秋の訪れを告げる花として
親しまれてきたことが伺えます。

もともと日陰の植物なので、涼しい環境を好みますが春はなるべく明るい場所で育てます。

日当たりを避け、地温が低く保たれる風通しのよい場所で管理します。




◉植え付け
3月に行います。
※茎が直立する種類は、鉢で育てるか、秋や冬に日当たりがよく、夏には半日陰になる落葉樹の下などに植え付けます。

※茎が下垂する種類は、鉢で栽培するか、庭植えにする場合は石垣や岩組みなどに植え付けし、地植えにはしません。

ホトトギスは乾燥が大敵です。

生長の盛んな春から夏にかけては、土の表面がいつも湿っている状態になるように十分に水を与えます。

水はけがよければ特に用土は選びません。

※鉢植えには硬質赤玉土4、軽石3、硬質鹿沼土3の配合土か、市販の山草培養土に腐葉土を2割程度加えて使用します。

◉肥料
生育が旺盛な4月~6月に月に一回固形の有機質肥料または、化成肥料を置き肥として施し、さらに月に2~3回液肥を与えます。

夏は施肥を止め、花が終わった株は9月下旬~10月に1回だけ固形の有機質肥料または、化成肥料を置き肥として施すか、2回液肥を与えます。

◆害虫
ナメクジ
昼間は隠れていて、夜間に活動し花や新芽、若葉を食害します。

ナメクジ殺虫剤などを使用し駆除します。

土に石灰が不足すると、被害が大きくなると言われているので、石灰を施しておくと予防になります。
お酢を少し薄めて、直接ナメクジにかけて駆除することもできます。

ビールが大好きで、誘って溺れさせる駆除法もあります。

◉せん定
茎が下垂する種類で、枝数が少ない場合は草丈を抑えて草姿のバランスをよくし、枝数、花数を多くする目的で切り戻しを行います。

5月下旬から6月中旬に、3~4節残して枝を切り戻すとその後、側枝が伸びてきます。

大株で枝数が多い場合、そのままでもたくさんの花が咲くので、切り戻さずそのまま育てて、自然な姿を楽しみます。

切り落とした枝を使って挿し木もできます。


◉殖やし方
挿し木は5月から6月が適期
先端部分は発根率が悪いので、挿し穂には枝の中間部分を使い、2節ずつにそろえ、挿し床に1節だけ挿し込みます。

1ヶ月ほどで発根するので、9月頃に移植します。

株分けは2月から3月に行います
芽を持って手でほぐすようにすると、自然に株が分かれるので、1芽ずつ植え付けます。

耐寒性があり、屋外で冬越しさせる事ができます。