クロッカス アヤメ科 球根草花
別名=ハナサフラン
クロッカスの名は ギリシャ語の「糸」の意味で、その細かい雌しべの様子から名付けられたようです。
原産地は地中海を中心にヨーロッパ、中心アジア
(アフガニスタン産のクロッカス.コロルコウィイ)
など75種を数え、薬用や香辛料として栽培されるものを含め150種以上の園芸品種があります。
黄色、白色、紫色など豊富な花色のクロッカスは春の季語にも使われますが、実はサフランに代表される秋咲きの品種もあります。
春咲きの中でも、2月~3月中旬に咲く寒咲きと、3月~4月上旬に咲く春咲きの2タイプがあります。
※早咲き種は、バルカン半島から小アジアに自生する黄色系の原種から選抜、交配されたものでラベンダー色の「ブルーバード」
※白い花弁と黄色の雌しべのコントラストが可憐な「ミスヴェイン」
※濃い黄色の「ゴールディロック」
※花弁の基が薄茶の「クリームビューティー」などがあり、小輪で変化に富んだ花びらが特徴です。
※春咲き種は、ダッチクロッカスと呼ばれ、ヨーロッパの山岳地帯に自生するものが基になっています。
※白い花弁に紫の筋が入る「ジャンヌダルク」
※ふっくらした「マンモスイエロー」
※紫のストライブの「キングオブストライブ」など大きめの花を咲かせます。
いずれも草丈が8~10㎝と低く、花径は3~5㎝なので、まだらに植えるよりもまとめて植えた方が魅力が発揮します。
同一の品種で群植し、一斉に咲かせるようにします。
クロッカスはやや高温多湿に弱いとされるが、日当たりのよい場所であれば土質は選びません。
また、夏は日差しを遮る場所を選ぶと3年~4年はよく咲きます。
花は日に当たらないと開かない性質があるので、置き場所は日の当たる所を選びます。
◉生育管理、環境、特徴、性質
クロッカスは冬の寒さに当たらないと開花しない。
1ヶ月半以上の低温に遭わせる事が大切です。
早く咲かせる場合はその後に温め
通常に咲かせる場合は、土中に埋めて鉢土の凍結を防ぎます。
※鉢植えの群植を作るには、10号鉢に市販の培養土を入れ、球根同士触れ合うくらい2~3㎝の深さにぎっしり植え付けます。
※庭植えの場合は30㎝程の深さまで耕し、緩効性肥料を1平方㍍当たり100g~130g施し、球根の直径の2~3倍の間隔を空けて8~10㎝の深さに植え付けます。
高音多湿を嫌うので春は日当たりよく初夏は、日陰になるような落葉樹の下で水はけのよい場所に植えます。
また、新しい球根が古い球根の上に出来るので浅植では、球根の生育が不十分になってしまいます。
花後に新しい球根が土から出ていたら上に用土を足します。
更に霜柱で持ち上げられてしまうことがあるので、その場合は植え直します。
その他、ネット植えで楽しむ方法もあります。
ネット袋に水を含ませた水ゴケをゴルフボール大にして複数入れ、そこに球根を入れて袋の切れ目から花の先端を外へ出しておくと、開花した花が球状になって花のボールになります。
特徴と性質
葉は花と同時に開き、花の観賞時にはあまり葉が目立たず、鉢植えに適していると思います。
花後に伸長し球根を肥大させ分球して植えます。
一花の開花期間は短いですが、1球から数個の花を次々に咲かせ、まとまって植えると観賞期間が1ヶ月位あります。
秋咲きの種の葉は、冬を越し梅雨頃までと長いですが、春咲き種は2~3月から梅雨までで葉のある
期間が短い。
その間に球根を太らせ来年の花を作ります。
耐寒性は強いのですが、秋植え球根の場合生育中の乾燥を嫌います。
排水性と同時に、保水性のある土を混ぜた用土を用いれば丈夫に育ちます。
◉肥料
開花期の肥料は、日当たりがよければ月に1~2回カリ分の多い薄めの液肥を与える。
水は1~2日に1回、表土が乾いたら与えます。
花弁が繊細なので水がかからない様にします。
花が終わると葉が伸びて養分を蓄えます。
花柄を基部から抜き取り、そのまま葉を切らずに化成肥料を、ばら蒔いて球根を太らせるようにします。
球根の太りをよくするには、鉢から地面に植えて肥培します。
◉植え付け、時期、栽培のポイント
6月頃葉が茶色く変色してきたら引き抜きます。
路地植えは植えたままで自然に球根が殖えますが、殖えすぎてスペースがなくなったり花の数が減る。
花が小さくなるなどの現象が起きたら、堀り上げの時期です。
葉が枯れた頃に球根を掘り上げ、枯れ葉と根を整理して日陰で2~3日乾燥させます。
その後ネットなどに入れ、風通しのよい冷暗所で秋まで保存します。
植え付けの時期として、秋咲き種は8月下旬から9月下旬までに行う。
冬、春咲き種は10月中に植えると結果かよく12月に植えても花は咲きますが、球根の肥大はよくありません。
クロッカスは連作を嫌うので、アヤメ科の植物の跡地は避けるようにします。
球根は大球になると分球しやすくなり、分かれた球根は1~2年肥培しないと花数が少ないか、もしくは咲きません。
1つの球根を毎年咲かせるのは難しく、肥培養成と観賞を繰り返すようになります。
芽が出るまでは日陰でもよいが、芽が出たら日向に置きます。
つぼみが出たら必ず日に当てます。
◉殖やし方
球根が分球して殖えます。
球根を掘り上げた時、親球に子球が付いている事がありますが、外さないでそのまま保管します。
この子球は植え付ける時に手で軽く引っ張って取れるものだけ外します。
この時、小さな球根は思い切って整理します。