緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/01/20

オオイタビ No,348

 オオイタビ     クワ科

イチジク属

本州千葉県以西、四国、九州、沖縄、中国南部、台湾、東南アジアの暖地や海岸などに多く自生する。

日本で栽培できるのは、概ね関東
地方以南です。

常緑ツル性植物で枝(根)から気根を出し、他の木の幹や岩に張り付くように這って生長します。

本年枝は褐色で短い伏毛が密生し
枝や葉を折ると白い乳液が出る。

雌雄異株で花は花嚢(かのう)と
呼ばれ、直径1cm位の球形または
卵形で緑色、一見花には見えない。

花期は5月〜7月頃で、果実は花嚢が長さ4〜5cm程に肥大し、秋から冬頃に熟して割れる。

果実は甘くて美味しい。

子どもの頃、おやつ代わりに食べた物です。

お店もない過疎地、おやつは自然の中にあった様なものだった。


                       (オオイタビ)

❆主な類似種

イタビカズラは本州福島、新潟以南

四国、九州、沖縄、朝鮮半島、中国南部、台湾に分布する。

花期は6月〜7月で花嚢が1〜2個ずつつく。

花嚢は長さ5〜7㍉の卵形で、表面には灰白色の毛が密生する。

イタビカズラは花嚢をつけた株が
意外と少ない。

この仲間の花は最初から果実のような形をしている。

葉の先端が鋭く尖り、細長く葉の
表面は光沢がある。


                            (イタビカズラ)

✪主なイチジク属

アコウ、ガジュマル、イヌビワ

イチジク、オオバイヌビワ

✭石垣などの植栽

気根を出し、張り付いて伸びる
性質を利用して、石垣やコンクリートの壁などの装飾に利用します。

小枝が多数出るので、量感を出したい場所に適しています。

平面的な利用も可能ですが、花や
葉の鮮やかさにかけるため、余り
利用される事はありません。

石垣や壁などに用いる場合は、くまなく枝配りしている事が大切です。

地際の部分をち密にするには、ツルを水平方向に誘引することが大切です。

✪殖やし方
実生や挿し木で殖やします。


◉生育環境

自生地では半日陰より明るい林縁部に多く見られます。

湿り気がある場所に適していますが乾燥地でも比較的よく育ちます。

土壌は砂質土でも粘土質でも生育します。


✿イチジク属の受粉の仕方

イチジク属はアコウ亜属とイチジク亜属に分かれます。

アコウ亜属(アコウ、ガジュマル)は、雌雄同株で雄花、雌花、虫えい花の3つが同じ花嚢に入っています。

イチジク亜属(イチジク、イヌビワオオイタビなど)は雌雄異株で
雄花嚢には雄花と虫えい花、雌花嚢には雌花が入っています。

イチジクコバチ科の蜂は花嚢に入り込んで、虫えい花に産卵する。

羽化したコバチは花嚢内で交尾し
雄は花嚢の中で一生を終える。

雌は雌花の花粉をつけて外に出ていく。

別の若い花嚢に入り込んだ雌はそこで雌花を受粉させ、虫えい花が
あればその子房に産卵する。


✪虫えい花

イチジク属の各植物には、特定のイチジクコバチ類が花粉を媒介し花嚢の中で虫こぶ(ゴール)を虫えい花に作って、共生関係を維持している。

植物は花粉を媒介してもらい、イチジクコバチ類は住み場所と食物を提供してもらっており、互いに
相手の存在なしに生存していない。


これは生物の共生関係として良い例だと思われます。

しかし、この現象は一般的には余り知られていないのが現実です。

尚も進化を続けているに違いない。







2021/01/19

寄生植物 No,347

 寄生植物

✿寄生とは?
寄生とはある生物が他の生物或いは生物の死体(死骸)や分解物などから栄養を取って生活すること
をいいます。

寄生植物はこうした生活をする植物のことですが、よく知られた種類にはケヤキやエノキなどの広葉樹類に寄生するヤドリギ類。

ススキやミョウガなどに寄生する
ナンバンギセル、カワラヨモギなどに寄生するハマウツボなどが知られています。

寄生に対し、寄生を受けている生物は宿主(しゅくしゅ)といいます。

寄生されている側が植物の場合、
宿主植物と呼ばれます。

宿主植物は多かれ少なかれ、寄生
植物からの影響を受けます。

そして、寄生されるものが病原菌
の場合、発病を招く事があります。

✭寄生植物の形態

寄生植物には葉緑素を持つものや
持たないもの、また、病気の原因とウイルスや細菌などがあり、その生活形態は様々です。

栄養の取り方として見ると2つに分けられます。

1’半寄生植物

自ら光合成を行う事ができるクロロフィルを持ち、宿主の植物からは有機物や無機物な栄養を吸収しています。

ヤドリギ類は葉緑素を持っているので、半寄生植物です。


                   (ヤドリギ)

2’全寄生植物

生育に必要な栄養分のすべてを宿主植物から吸収する植物です。

病原菌類やナンバンギセル、ハマウツボなどはこの植物に属します。


                   (ナンバンギセル)

                      (ハマウツボ)

✿寄生植物に対する管理

ヤドリギ類のように自ら生産活動
を行うような、寄生植物の場合、
数が少なくて、寄生されている植物の樹勢が旺盛であれば問題はありません。

病原菌として寄生して病気になった場合、薬剤を散布したり、樹勢
維持の為の施肥などが大切です。

伝染性の病気で枯死を招くような
時は、伐採して焼却処分にしたり
土壌の消毒などの処置が必要になることもあります。

ビャクシン類とナシやボケ、カイドウなどの一部のバラ科の植物に
発生する赤星病やマツ類とコナラの間のコブ病などのように、菌を
互いに媒介し合う関係にある植物もあります。

この様な関係は「中間寄生」または「中間宿主」と呼ばれるが、こうした関係にある植物は、同じ場所に植えないようにすることや、近隣の様子にも気を配るなどの配慮が大切になります。






2021/01/18

コーヒーの木 No,346

 コーヒーの木  アカネ科

英語名=コーヒートゥリー
原産地=アフリカ大陸、エチオピア

コーヒーの発祥、起源

コーヒーの発祥には2つの伝説が有名で、いるずれも13世紀頃と言われ、エチオピアとイエメンとされる。

✿エチオピアの山羊飼いの少年「カルディ」は、いつものように山羊たちを連れて山を散歩していると、山羊たちが赤い実を食べ始めました。

すると、赤い実を食べた山羊たちは興奮状態に陥り、楽しそうに飛び跳ねました。

それを見て驚いたカルディは、自分でも赤い実を食べてみました。

すると全身に力がみなぎり楽しい気分になりました。

カルディはそのことを僧侶に話したことから、コーヒーはイスラム僧侶の眠気覚ましの薬として広まり、酒が禁止されているイスラム教徒たちの嗜好品として、コーヒーハウスで飲まれるようになったという。

✿イエメンでは、イスラムの僧侶オマーンがその地域の王様(有力者)の娘に恋心を持ったことで、王様に町から追放されました。

その後山中で空腹に耐えられなくなったオマーンは、きれいな小鳥たちが赤い実を、素晴らしい鳴き声でつついているのを見て、自分も食べてみたり、フープにしたりして飲んでみました。

すると力がみなぎり、とても元気になったので追放された町に実を持ち帰り、病人に与え病気を治して王様に赦されたという。

エチオピアもイエメンも共に発祥の地を譲りませんが、最近ではエチオピアで発見されたと言うのが通説とされる。

しかし、2つの有名な伝説より400年も前の文献が発見されたことで状況は変わることとなる。

文字によるコーヒーの記録は、西暦900年頃でアラビア人の医師、「ラーゼス」によるものが最初と言われています。

ラーゼスはコーヒーの薬理効果を認めていて、実際に野生のコーヒーの種子(バン)の黄褐色の煮出し汁(カム)を「バンカム」と名付け、患者に飲ませていたそうです。

すでに2つの伝説より早くコーヒーは発見されていたのです。

17世紀後半になると「カフェ」はヨーロッパで男性が集まる社交場と発展しますが、その後一般市民の中にも身近なものとして浸透していきました。


日本で最初にカフェができたのは、1911年銀座にオープンした「カフェー・プランタン」が最初とされ、同時期にフランスのカフェを意識した「カフェー・パウリスタ」もオープンしました。


日本では暖地から亜熱帯にかけて植栽できます。

最低気温が5℃前後以下になる所では、冬の寒さが避けられる鉢植えでの栽培がよいでしょう。

✪果実

チェリービーンズと呼ばれるサクランボに似た豆、果実は液果で中に2つの種子があります。

この種子がコーヒー豆として利用されています。

樹高は8㍍前後になる常緑小高木で幹は直径10cm程に生育します。

葉は対生で長楕円形、葉の長さは8cm前後、幅4cm前後で、表面は濃い緑色で光沢があり全縁である。

雌雄同株で花は5枚の白い花弁があり、かすかな芳香を放ちます。


◉主な種類

原産地のものは、学名のアラビカあるいはアラビア·コーヒーと呼ばれ飲料としてのコーヒーの大部分を占めています。

このコーヒーは産地によりあるいは品種改良により、多くの通俗名として知られている。

主なものは、原産地付近で生産される「モカ」生産が多い「ブラジル」や「コロンビア」高級品として知られるジャワ島の「ブルーマウンテン」などがあります。

類似種として、同じアフリカ原産のロブスタ·リベリアなどがありますが、コーヒーとしての味はアラビア種の方が勝るとされています。




✪生育、環境

低温に気をつけます。

目安として5℃以下にならないような場所での管理が必要です。

日当たりの良い場所に適し土壌は特に選びません。

✿せん定

花は当年枝の葉腋に3〜7個ずつつきます。

花や果実を楽しむには新しい枝を切り詰め過ぎないことが大切です。

✭殖やし方
挿し木、取り木で殖やします。









2021/01/16

コノハナザクラ(木の花桜)稀少種桜 No,345

 コノハナザクラ(木の花桜)

コノハナザクラとは、日本に自生
する基本野生種ヤマザクラの変種
花は、八重咲きで一つの花に花びらが20枚以上あり、一つの花に雌しべが2本あるものがあり、花が終わると柄の先に2つずつ並ぶように実がつく桜である。

野生種のヤマザクラの八重咲きは
珍しい、自然環境の中で変異した
変種桜である。

三重県東員町には野生のものがあり、トウインヤエヤマザクラの名
で天然記念物に指定され、毎年珍しい花を咲かせてきたが、衰弱が進み推定樹齢80年の桜樹は枯れてしまいました。

この株から取り木した幼木が芽吹き、第2世が大切に育てられている。

この桜は分類学上、コノハナザクラと同種の特徴を持っている。


      (元気だった頃の枯死した桜樹)

三重県いなべ市員弁町にも一本ある、コノハナザクラは4番目に発見が確認された桜で、個人の敷地内にある。

その他、コノハナザクラは京都府亀岡市にも一本存在している。

コノハナザクラはヤマザクラより
少し遅れて4月下旬頃に咲き始める。

花はやや下向きにぶら下がるような姿で咲く。

ヤマザクラ系には、いくつかの品種がある。

ソメイヨシノの遺伝子を調べる
過程で、エドヒガンとオオシマザクラの交配で作られた、ミカドヨシノヤマザクラよりも葉や花が大きいオオヤマザクラ、北海道に多く自生するエゾヤマザクラなどがある。



ベニヤマザクラは、ヤマザクラに
比べて花の色が濃いことからこの名がある。







2021/01/15

ケンロクエンキクザクラ No,344

 ケンロクエンキクザクラ

兼六園菊桜

石川県金沢市にある兼六園は、岡山県にある後楽園、茨城県にある水戸偕楽園と共に、日本三名園の一つとして知られている庭園です。

1985年3月20日に国の特別名勝の
指定を受けている。

ケンロクエンキクザクラは菊咲きの桜で、名前にあるキクは花弁が100〜200枚を超すような品種を意味し、このケンロクエンキクザクラの場合は花弁が300枚を超えることが特徴である。


         (ケンロクエンキクザクラ)

野生種の場合サクラ類は、花弁が5枚であることが普通であるため、このサクラは花弁がとても多い品種と言えます。

その他、菊咲きの品種として

✪新潟県加茂市で発見されたカモノアケボノ(加茂の曙)

✪香川県高松市鬼無に由来する
キナシチゴザクラ(鬼無稚児桜)

✪日本に4本しかないと言う
稀少種桜のコノハナザクラ(木の花桜)三重県員弁郡、京都府亀岡市などが主として知られているが、品種の数としては10数種と余り多くありません。


樹高は3㍍程で、サクラ類としては余り大木ではありません。

園芸品種の場合、原種に比べて小さくなる傾向がありますが、このサクラの場合もそれに当てはまるのかも知れません。

開花期は4月下旬から5月頃


✿兼六園
石川県金沢市兼六町1

もとは加賀百万石大名である前田家の庭園。

長い歳月をかけて形造られ、江戸時代末期に現在の形になったと言われている。

兼六園の名前の由来は

1’宏大=こうだい、ひろく大きいこと

2’幽邃=ゆうすい、景色などが奥深くて物静かなこと

3’人力=じりょく、人の力、それで動くもの

4’蒼古、枯=そうこ、古めかしい中に深い趣きのあるさま

5’水泉=すいせん、湧き出る泉、池や滝など

6’眺望=ちょうぼう、広く遠くまで見晴らすこと

以上の六勝を兼ねる庭と言う意味で江戸時代中期の大名、老中松平定信(1759〜1829)によって命名されたと言われている。

昭和44年に枯死した初代の桜は、
日本に一本しかなかった。

天然記念物として有名であった。

現在の桜はその2代目である。






2021/01/05

2月、バラ🌹の手入れ No,343

 2月バラの手入れ

バラは上旬までは、完全に休眠していますが、中旬を過ぎると芽が
膨らみ始めます。

1’大苗の定植

2月いっぱいは適期です。

2月末に植えても、12月に植えたものと咲く時期は変わりません。

2’移植

まだ移植の適期ですが、掘り上げた時のダメージが回復するのに時間がかかります。


3’鉢植えの土替え、鉢植え

2月いっぱいは適期です。

大苗の鉢植えは、鉢に合わせて根を切り詰める。

鉢に植えたら幹を軽く地面に叩きつけるようにしながら、上下に揺すって土を落ち着かせる。

4’施肥

冬の元肥は上旬までに済ませます。

もし遅れたら、元肥にコーランなどの発酵促進剤を混ぜれば、発酵が早まり、遅れを取り戻すことができます。

5’せん定、誘引

2月いっぱいは適期です。

特につるバラは放置すると手がつけられなくなるので、必ず全部の枝幹のシュロ縄を外して誘引をやり直します。

6’病害虫の防除

石灰硫黄合剤の濃厚液7〜8倍を
散布して越冬病害虫を一掃します。

散布時期はせん定が済んで枝幹を
整理したあとがよいでしょう。

風のない時を選んで丁寧に散布します。

これをやるやらないでは病害虫の発生率が大きく違ってきます。

7’水やり

庭植えの株にはまったく不要です。

鉢植えも、よほど雨が降らない日が続かない限り与える必要はない。

8’繁殖

2月上旬までは接ぎ木の適期です。

それにより遅くなる場合は、上旬に穂木(接ぎ枝)を取り湿らせた状態で、冷蔵庫に入れておけば、3月下旬まで接ぐことができます。