緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/03/17

アイ (藍)No,407

 藍     タデ科      イヌタデ科

一年草 別名=インジゴチン タデアイ
原産地=東南アジア

古くから藍染めの染料原料として知られる植物。

藍の歴史はとても古く、紀元前3000年まで遡ります。


                            「タデアイ」

✻「インダス文明」の遺跡から、藍染めの染織槽跡が発見されたと言う記録が、藍の存在が世界で初めて確認された時期と言われています。

✻インダス文明
紀元前2500年から1800年頃に繁栄した文明とされているが、インダス文明の文字は未だに解読されていない。

その事から、繁栄していた時代が正しいのか疑問は残る。

紀元前300年頃になると、シルクロードを通じて文明の交流が始まり、藍染めの布製品が盛んに行き来していたとされ、インドやエジプトを中心に世界各地に藍が流通して行きました。


日本の藍の歴史は、奈良時代に遡ると言われています。

当時の唐から、朝鮮半島を経て伝わったと言われ、法隆寺や正倉院に当時の藍で染められた布類が今も多数保存されています。

その藍こそが「タデ藍」で「出雲族」が最初に栽培されたと言われている。

✣出雲族とは
古代出雲地方に存在したと言う説のある種族。

出雲とは現在の島根県東部を指す。

出雲神話の担い手として想定されている出雲族は、鉄器文明を持つ「ツングース」であるとする説がある。

✻ツングースとは
出雲女は朝鮮、満州、蒙古(もうこ、モンゴル)の遺伝子があり、その民族を北東アジアに住む「ツングース」という。


出雲地域からは大量の✫銅鐸(どうたく)や銅剣などが出土した遺跡もあり、実際に古代に何らかの勢力が存在したとされている。

朝鮮、満州、蒙古から出土するものと、出雲の地下から出土する弥生式の土器はほぼ同じである。

✫銅鐸は青銅製の弥生時代後半期の遺物で、もとは楽器らしくのちに祭器に使われた。

「天孫族」に屈しまいとした出雲族の一部は東北に逃れ蝦夷(えぞ)となって最後まで戦ったとする説がある。


❆天孫族(てんそんぞく)とは
日本神話において降臨したヤマト王権をつくったとする古代勢力の総称。

また「新撰姓氏録」では天照大神などの子孫を神別の「天孫」としている。

新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)とは、平安時代初期の815年(弘仁6年)に集成された、日本古代名鑑で氏族の実態や、姓氏家系を調べる上で欠かせない文献。


蝦夷とは、古代、関東以北に住んでいた人々でえみしとも言う。

北海道の古称で北陸、関東北部から東北地方にかけて住み、朝廷に服従していなかった人々のこと。

また、出雲方言と東北方言が同じ「ズーズー弁」であるのもその証であるとされている。


江戸時代になると木綿の普及に伴い、藍染めが幅広く使用されるようになった。

阿波の国、現在の徳島県が最大の生産地だった。

徳島の「すくも」藍染めの染料は、高品質な「阿波藍」として別格の扱いを受けていた。

明治中頃には、全国の市場を席巻きするほどで、生産もピークを迎えた。

第二次世界大戦で栽培が禁止されたため、藍の生産は途絶える寸前まで行ったが、徳島の藍師が戦争中もタネを守り、副業をしながらも藍作りを続けてきた事で、現在でもその伝統が生き続けている。

現在は徳島をはじめ、北海道、青森県など、いくつかの地域で栽培されています。


「タデアイ」は古くから薬用植物として、解毒、解熱、消炎などの目的で利用されていました。

タデアイは日本に自生していない。

日本の一部の地方では、「タデアイ」はタデ酢などの食品原料としても利用されています。

食物繊維とミネラルも豊富に含まれている事から、藍の青汁や藍のサプリメントなどが商品化され、健康食品としても注目を浴びている。

✿藍特有のフラボノイド

ポリフェノール(フラボノイド)はブルーベリーの約4倍とも言われている。

トリヒドロキシ、メチレンジオキシフラボンを骨格とするフラボノイド化合物であり、藍の主要な物質群。

藍はコレステロールの低減に有効な素材である可能性がある。

藍のフラボノイド化合物は、いずれも還元酵素の阻害活性を示し、その活性は高脂血症治療薬である「ロバスタチン」とほぼ同等レベルの阻害活性を示す。


✿藍の抗酸化能

藍は昔から健康維持目的で利用されていました。

様々な疾病は、活性酸素によって引き起こされると考えられています。

藍は高い「抗酸化能」があり、活性酸素消去能が優れていると言える。

藍には、抗酸化物質や抗菌物質が含まれている事が確認されている。










2021/03/16

シナノキ No,406

 シナノキ シナノキ科

科の木
原産地=日本

北海道から九州にかけて山地に分布する。


落葉高木で、ヨーロッパなどに自生するボダイジュ類と混同して、「菩提樹」と呼ばれる事がありますが、和名としては「シナノキ」が使われます。

名前の由来は、樹皮が「シナシナしている」からとする説と、アイヌ語で「縛る、結ぶ」を意味する「シナ」からとする2説などがある。

長野県の古名である信濃は古くは「科野」と記したが、シナノキを多く産出したからではないかとも言われている。

よく似たボダイジュと同じく蜜源植物で、香りの良い花からハチミツが採れる。

山地に生え大木になるが、15年ほどのサイクルで伐採され、古くから樹皮の繊維などが利用されていた。

樹皮の繊維質が強いので昔は布を織ったり、縄を編んだりするのに使われた。

シナノキの樹皮は、古くから野良仕事着など、生活用品として利用され、古くは全国で生産された「しな布」の原料です。

三大古代織り布の1つで、その他に「芭蕉布」と「葛布」がある。

現在は、帯、のれん、バック、帽子など、工芸品として生産されている。

現在、主な「しな布」の生産地は、新潟県村上市や山形県鶴岡市の2地域のみとされる。


                          「シナノキ」


                                  「しな布」


✣芭蕉布(ばしょうふ)
芭蕉布は多年草「イトバショウ」から採取した繊維を使って織られた布で「蕉沙」とも呼ばれる。

沖縄県及び奄美群島の特産品。

                            「イトバショウ」

                                    「芭蕉布」

✣葛(くず)布
植物のクズの繊維を紡いだ糸から作られた織り布。

静岡県掛川市の伝統工芸。

                                       「クズ」

                                       「葛布」


✫類似種

オオバボダイジュは葉の径が10cmを超える大型の葉で、山地で見られます。

ヨーロッパ原産のフユボダイジュ、ナツボダイジュ類は、数品種が日本に導入されています。


✻生育環境

若木は日陰に耐えますが、高さ3㍍前後を超えると、日当たりの良い事が大切です。

やや湿り気がある土壌が最適で、水はけが良いことが大切です。

寒さに強い樹種で寒冷地にも適します。

風当たりが強い所では、葉が傷んで秋の黄葉が楽しめません。


❆病害虫

暖地では、カミキリムシ類に幹や枝を食害されやすい傾向があります。

ヨーロッパ系のボダイジュ類では、葉を傷めるハマキムシに注意します。

実生、挿し木で殖やします。







2021/03/15

植物の生理障害 No,405

 植物の生理障害について

生理障害とは、植物が生育する上で受ける様々な障害のうち、病気や害虫以外による障害の事です。

生理障害を大きく分けると、栄養の過不足が原因となる栄養障害と、水分や光、温度などが原因となる環境障害の2つがあります。

害虫やカビ、キノコなどがないのに生育が衰えている場合は、こうした生理障害を調べるようにします。

✪主な栄養障害

植物が健康に生育するには、適度の栄養分が必要になります。

この栄養分が不足すると障害が発生します。

また、養分によっては多過ぎても発生する事があるので注意します。

植物の栄養のうち、元素では窒素(N)リン酸(P)カリウム(K)が三大要素です。

この他、微量要素として鉄(Fe)やマグネシウム(Mg)カリウム(Ca)硫黄(S)などがあります。

✻窒素(N)

葉緑素やタンパク質を作るのに欠かせない元素ですが、不足すると生育が衰え、葉が小さくなって黄色くなります。

葉の色が黄色くなるのは、植物体の上部より下部で目立つことが特徴です。

窒素が多過ぎると葉が多くなって花が少なくなるので、果樹では果実の量(収穫量)が少なくなるなどの弊害が出ます。

          「チッ素不足のジンチョウゲ」

✪リン酸(P)

植物体内の整理作用を良くする働きがあります。

不足すると花の着き方が少なくなったり、葉が暗緑色に変化したりします。

特に、火山灰土のようなリン酸を含む肥料を与えても、植物に利用される分が少なくなりがちな土壌では注意が必要です。

✫カリウム(K)

植物体内の新陳代謝を良くする効果があります。

不足すると、葉の周辺部が黄色くなり果実の肥大成長を、妨げるなどの障害がでます。


✻環境障害

水分の過不足
鉢植えや排水が悪い土壌などでは、水が多過ぎると根腐れを起こす事があります。

逆に少な過ぎると葉や枝が萎れ、限度を超えてしまうとやがて枯れてしまいます。


✣光障害

植物のほとんどは成長するために、特に、庭木や園芸用の植物は光が必要です。

この障害は通常の栽培では起こりにくいですが、鉢やプランターなどの室内で栽培していたものを直射日光に当てると、急に光の量が増えることによって、葉焼けを起こすことがあります。

このような障害を「光障害」といいます。


              「葉焼けしたクンシラン」

❆温度障害

低温や高温により生育が衰えたり枯れることがあります。

特に、低温については植物ごとに耐えられる最低気温が違うので、注意が必要です。







2021/03/14

ユリノキ 百合の木 No,404

 ユリノキ モクレン科

別名=ハンテンボク、レンゲボク
英名=チューリップ·ツリー
落葉高木

北アメリカ東部に隔離分布することで知られ、中国と北アメリカにそれぞれ1種がある。

テネシー州、ケンタッキー州
インディアナ州のシンボルツリー

日本へは明治時代初期に渡来し、各地に植えられている。

本州以南での植栽が可能です。

ユリノキ属は、約3千万年から5千万年前にモクレン属の木から分岐したものとされ、これは大気中の二酸化炭素が急激に減少した時期と一致しています。

ユリノキは成長が早く、大量の炭素を貯蔵できるように進化しました。

ユリノキは、炭素を固定するのに非常に効果的であることが知られている。

CO2を空気中から取り除く特性により、気候変動対策の貴重な要素になる可能性があります。


✫名前の由来
学名は「チューリップのようなユリノ木」という意味。

葉の形が半纏に似ている事から「ハンテンボク」とも呼ばれる。

❆半纏(はんてん)
日本の伝統的な綿が入った防寒着のこと。




大きく育つと直立した幹から大枝を広げ、雄大な卵形状の樹冠を見せます。

ただ、強い風や積雪に対して枝が折れやすく、樹形を乱す事があります。

大木になるため庭木よりも、公園や街路樹などに利用される事が多い樹種です。

互生の葉は両面とも無毛。
葉柄は3〜10cmと長く、秋には黄葉する。

5月から6月頃、葉が展開してから新しく伸びた枝先に花が開きます。

花の形はチューリップに似ていて、黄緑色で付け根の部分にオレンジ色が混じります。

果実は翼果が上向きに多数集まった松かさ状の集合果。

10月頃に熟し、裂片状に剥がれます。

晩秋から初冬にかけて最も外側の翼果が、コップ状に残っている事が多い。

✫品種
葉に斑が入る「ミヤビ」や「オーレオ·ギアータム」などの品種がある。

公園や街路樹などの利用が一般的ですが、庭木として利用する時は自然樹形を基本に切り戻しを行って、高さ、枝幅とともに5㍍以内ぐらいを目安に育てます。

✫生育環境

日当たりが良く肥沃な土壌が最も適しています。

枝が折れやすいことから、雪が多い地域や風が強い場所には適しません。

✪病害虫
アメリカシロヒトリが葉を食害する事があります。

スミチオンなどの殺虫剤で、見つけ次第早めに駆除します。

✣殖やし方
実生、挿し木によりますが挿し木の活着率はあまりよくありません。


針葉樹でも広葉樹でもない仲間の木

中間微小繊維構造の存在が明らかになった。

この木は「ミッドウッド」と名付けられ、成長が早く多くの二酸化炭素を蓄える効果があるとされ、炭素隔離に効果的だそうです。

木は被子植物一般的には広葉樹で、裸子植物は針葉樹と呼ばれますが、「ミッドウッド」は中間の木とする新たな発見である。


これは地球温暖化対策に期待大か⁉️










2021/03/13

バラ🌹4月の手入れ No,403

 バラ4月の手入れ

4月になると春は一段と暖かさを早め、バラはそれに合わせるかのように新梢を伸ばし、月末にはつぼみが膨らんできます。

⑴芽かき(側芽摘み)

伸びてきた芽をよく見ると、その基部に両脇から小さな芽が平行して伸び始めています。

中心の長く伸びたものを主芽といい、両脇の短いものを側芽と呼びます。

側芽は主芽がアクシデントで欠けたり、傷付いた場合のスペアですが、春は樹勢が強いので主芽と一緒に動き出したものです。

側芽の伸長はせん定した枝先の1~3芽くらいで、これを放置すると強いものでは主芽から伸びた枝と並んで伸び、花を咲かせますがその多くは途中で生長が止まります。

そのため、主芽から伸びる主枝の勢いをそぎ、せん定でせっかく芽数を制限した意味がなくなるので早めに摘んでしまいます。

摘み取り方は、指先で押し倒すように行い、大きくなりかけたものはむしり取りますが、いずれも手袋を使わずに素手で行います。

行う時期は4月上中旬です。
この作業はハイブリッドティー(HT)とフロリバンダ(F)種に対してだけ行います。


                      ▶芽かき(側芽摘み)


⑵敵蕾(側蕾摘み)

中旬頃になるとつぼみはずいぶん大きくなってきます。

ハイブリッドティーの枝先にも、フロリバンダのようにたくさんのつぼみを見かけます。

中心のつぼみを主蕾(しゅらい)それ以外を側蕾(副蕾‘ふくらいとも言う)と呼びます。

そのまま放置すると房咲きとなり、立派な花を1輪咲かせて、観賞するハイブリッドティーの魅力にそぐわなくなるので、側蕾を摘み取ります。

この作業も側芽摘み同様に、なるべく若いうちに行いますが、あまり若いものは枝を傷めてしまうので待ちます。

敵蕾も素手で行うようにします。


                         ▶敵蕾(側蕾摘み)
枝先の主蕾を残して、側蕾は全て指で摘み取る。


⑶ブラインドの処理

新梢がある程度伸びてくると、先端が膨らんで花芽が見えてきます。

この時、細いエダや中程度の太さの枝に花芽が付いていないものが見つかります。

これを「ブラインド」といい、そのまま放置すると止め葉(花のすぐ下につく葉)から2本の細い枝を伸ばし、貧弱な花を咲かせてしまいます。

咲かせるのは望ましくないので、5枚葉の所で切り戻すと、そこから伸びた枝にまともな花をやや遅れて咲かせます。

                    ▶ブラインドの処理

⑷整姿
この時期には、株元の切り残した部位から出た細い枝が、密生している株が見られます。

これらの細い枝は「ブラインド」になるか、開花しても貧弱な花になります。

残しても病害虫の巣になる事もあるので、元から切り取ります。

また、ベーサルシュートとも言える太さのある新梢が伸びている株もあります。

シュートの本格的な発生は6月から7月ですが、太いものは先端を指で摘み取っておきます。


                          ✫シュートピッチ

シュートが20〜30cmに伸び、先端につぼみが見えてきたら、5枚葉の所で摘み取りシュートの生長を止めて充実を図る。

✻例外的につるバラも、シュートが太くなり過ぎるのを防ぐために行う事があります。

⑸病害虫の防除

伸び出した新梢の先端に、アブラムシが群がっているのが見つかります。

                           「アブラムシ」

つぼみなどに飛来したアブラムシから繁殖したものです。

時期的には4月中旬頃で、薬剤の定期散布をこの頃から始めます。

特に、クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)の対策を忘れないようにしましょう。


       「クロケシツブチョッキリ」


主な発生は4月下旬から5月上旬の年1回ですが、大発生すると春の花が激減してしまう程です。

被害を受けた枝は萎れ、つぼみも枯れてしまいます。

見つけ次第5枚葉の上で切り取り処分します。

発生時期が近くなってきたら、マラソン、スミチオン、トクチオンなどの薬剤の内の1つを、2回程散布すればほぼ防除できます。

捕殺したとしても効果は上がりません。

⑹新苗の植え付け

中旬頃にはこの冬に接いだばかりの新苗が売り出されます。

最初は花を咲かせないようにつぼみを摘んで、肥培すれば秋には一人前の花が咲くでしょう。

特につるバラは、新苗を秋まで育てると、シュートが2〜3本出てかなり伸び、翌春には数多くの花が見られるようになります。

水やり、施肥は3月の手入れに準じます。

✻関連ブログ
1月、2月、3月バラの手入れ
No,339 No,343 No,382





2021/03/12

ヤマグルマ No,402

 ヤマグルマ 

ヤマグルマ科 別名=トリモチノキ

✻分布地
本州(山形県以南)四国、九州
沖縄、朝鮮半島南部、中国南部
台湾

ヤマグルマは常緑広葉樹の1属1種山形県以南の岩場や急な斜面に自生する。

植栽への利用としては北海道南部以南です。

名前は、葉が枝先に車輪状に集まって付くことに由来し、樹皮から鳥もちを作っていた事から「トリモチノキ」とも呼ばれる。

普通の被子植物は道管と仮道管を持っているが、ヤマグルマ科は道管を持たず、仮道管だけで水分を運ぶ「無道管被子植物」として知られている。

無道管被子植物は、裸子植物やシダ植物と同様に仮道管だけを持つ。

被子植物のうちでも原始的な仲間であると考えられている。

静岡県中伊豆町天城山中の、登山道の脇にある急斜面の岩場に生育するヤマグルマは、根が大きな岩を掴むように張り、幹は立つと言うより大枝ごと曲がりながら、ほとんど水平の方向に伸びている。


     「天城山中のヤマグルマの樹」

幹の直径は1㍍をゆうに超え、巨樹によく見られる独特のうねりがあります。

常緑樹の中では「アオキ」と同様に耐寒性が強いので、常緑広葉樹の少ない地方では利用したい樹種の1つである。

南の島では大木になるものが多く、太さが1㍍を超えるものも珍しくない。

樹皮は老木になるとコブ状のゴツゴツとした木肌となる。

花は黄緑色だが、多数が穂のように咲くのでよく目立ちます。




✻ヤマグルマ(屋久島)

屋久島では、沖縄のガジュマル、五島列島のアコウ同様に、「絞め殺しの木」として知られる。


              「沖縄、ガジュマルの木」


      「五島列島、奈良尾のアコウ」


屋久島は、ブナ林のような落葉樹を主とした、森林になるような気候である。

だが、屋久島ではブナの木が見られず、屋久杉と常緑広葉樹のヤマグルマが優勢で、冬も緑の森が広がる島です。

屋久島では「倒木更新」と呼ばれる現象で、光が当たりやすい倒木の上に若木が成長していく。


                 「屋久島のヤマグルマ」

老木ばかりで死に絶えてしまう様な事はなく、世代交代が繰り返されて森林が維持されている。

60mを超える風や、1日1000ミリもの雨が降る事もある屋久島では、倒木や土砂崩れが頻繁に起きます。

災害と言える森林破壊ですが、この現象(倒木更新)が若い命を生み、森林生態系を作り出しています。


江戸時代に伐採された切り株も多く、その切り株から次の世代の屋久杉が生まれている。

この現象は「切り株更新」と呼ばれているものです。


  「江戸時代に伐採された切り株」