緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/05/05

タチバナ No,456

 タチバナ ミカン科 常緑小高木

別名=ニッポンタチバナ、ヤマトタチバナ
「橘」

原産地=日本(和歌山県、山口県、四国、九州
関東南部から西に限る)

日本原産と認められる唯一の柑橘類で野生のミカンである。

沿海の山地や海辺の常緑樹林の中など細々と生きている。

万葉集にはこの花を詠んだ歌が多い「左近の桜、右近の橘」としても知られ、文化勲章にもデザインされている。

今ではその自生も極めて稀である。

萩市に自生している「コウライタチバナ」と言う近縁種は絶滅危惧類に指定され、国の天然記念物となっている。

三重県鳥羽市では「ヤマトタチバ」が市の木に選定されている。

タチバナを親とする柑橘類は60種以上あるとされる。

6月頃に5弁の白い花を咲かせる。
3cmくらいの実がなり種子が大きく、酸味が強い事から加工品にされることがある。

古代から珍重された品種である。




生育環境

耐寒性にやや欠けるため、関東南部以西でのみ露地植えできる。

植え付け、移植時期は3月から6月頃に行うがやや難である。

3月から6月に移植し、2月から3月にせん定を行うがやや難である。

樹幹内に光りが入る程度にとどめ、強せん定は避ける。


肥料

肥料は堆肥、油かす、腐葉土などを施す。

害虫はツノロウムシ、アブラムシ、ヤノネカイガラムシ、アゲハの幼虫などが発生する。

対策として、スミチオン、カルホスなどを散布する。

殖やし方

3月から4月頃に、カラタチの台木に接ぎ木するか、実生で繁殖する。


種類

紀州みかんもタチバナと呼ばれ、昔のタチバナの系統をひくものと考えられる。

近縁種の「コウライタチバナ」は、萩市と韓国の済州島にのみ自生する種です。

園芸店では、ニホンタチバナではなくコウライタチバナと区別されず、混同されていることがある。

コウライタチバナは、葉や実がタチバナより大きく、実がデコボコしているのが特徴である。






2021/05/04

アオギリ No,455

 アオギリ アオイ科アオギリ属

別名=アオニョロリ 「青桐、梧桐」
落葉高木
従来の分類ではアオギリ科とされていました。

原産地=中国、台湾
日本(本州南部、四国、九州、沖縄に野生)

奈良時代に日本へ渡来し、伊豆半島、紀伊半島、四国及び九州、沖縄で野生化したとされる。

高さ15㍍程に達する落葉樹で大きな掌状の葉をつける。

葉は桐に似て、幹の色が緑色であることからこの名がついた。

桐の木はノウゼンカズラ科とされ別種である。

6月から7月、円錐花序を出し、多数の黄色い小花が咲く。

庭園樹、街路樹に適するが、材は器具、家具などに利用され、樹皮からは繊維をとり、樹皮の粘液は製紙用の糊にするなど、幅広い用途を持っている。




生育環境

樹勢は強く土壌を選ばず育つ。
移植は容易ですが、樹皮が傷つきやすいので注意が必要です。

植え付け、移植時期は3月から4月頃と10月から11月

萌芽力が強いので強いせん定もできる。
せん定時期は8月頃。

肥料

寒肥として油かす、鶏ふん、化成肥料を施す。

害虫はワタノメイガなどが発生しやすい。
スミチオンの散布で駆除する。

殖やし方は実生と挿し木による。
実生苗の生長は早い。

種類

葉裏の毛の有無によってアオギリとケナシアオギリとに分ける。


アオギリの効能、薬効、特性

漢方ではアオギリの種子を悟桐子(ごとうし)と呼び、一般的には種子と共に葉も利用されています。

高血圧、浮腫、コレステロールの低下作用など

食べ過ぎによる胃痛、腹痛や下痢などの消化器異常などの症状に対しても利用されている。

葉は水で煎じて飲用される。
戦時中、種子は炒ってコーヒーの代用としていた。

種子を潰して白髪に塗ると毛が黒くなるという。

アオイ科の巨木

西表島の巨木
サキシマスオウノキ

所在地=沖縄県八重山郡竹富町


                       「サキシマスオウノキ」

巨木を支えているのは平らな曲板状の形をした「板根」と呼ばれる根である。

沖縄は樹の群生地でもある。






2021/05/03

平和憲法の重要性 憲法記念日(特別編) No,454-1

 焚書は序章に過ぎない!

本を焼く者は、やがて人間も焼くようになる。


ハインリヒ・ハイネが残した言葉である。

ナチスドイツの焚書(ふんしょ)


ナチスドイツの焚書はドイツ国内の本の内の、ナチズムの思想に合わないとされる書物が、ナチスドイツによって儀式的に焼き払われた焚書である。


ハイネの言葉が現実になった焚書事件


1933年5月10日夜、ヒトラーが政権を握ったその年、ナチスに扇動された学生たちがベーベル広場に集まり、ドイツを代表する人たちの著作である多数の書物を投げ捨て火を放った。

この広場は大学図書館と隣接しており、そこからも多数の書籍が投げ捨てられた。

その数は2万5千冊とも言われている。

この焚書事件をきっかけにナチスの一方的な差別の極致として、ユダヤ人虐殺へと進んで行ったのである。

ハイネもユダヤ人。
哀しくも悲劇を予言したこの言葉が、今もベーベル広場の一角に刻まれている。


ハイネの言葉と言っても1933年に書かれたものではない。

一世紀以上も前の1820年当時、ヴァルトヴルグの祭典で書物が焼かれた時に記したものである。

100年もの時を超えて起きたことを見事に言い当ててしまっているのだ。


「アンネの日記」の著者として知られるユダヤ系ドイツ人のアンネ・フランクはナチスドイツのユダヤ人狩りによって、ドイツ北部のベルゲン、ベルゼン強制収容所に収監され、15歳と言う若さでこの世を去った事は、世界中に知られる事である。

✣アンネ・フランク関連ブログ
アンネのバラに込められた思い  No,218


                        「アンネのバラ」


平和憲法の国=コスタリカ


コスタリカ共和国は険しい熱帯雨林が広がる、中央アメリカ南部に位置する共和制国家で、軍隊を持たない平和憲法が世界2番目に制定された、地球幸福度指数の世界ランキング1位の国である。

アメリカと比較して国家予算も資源も少ないコスタリカの人たちだが、アメリカ人よりもはるかに満足度が高く長寿である。


国全体に民主主義や持続可能性の考え方や、フェアトレード思想というものが深く根づいている。

学校教育でも連帯や平和の価値を教えることに力を注いでいる。




ラテンアメリカの中でも最も協同組合が多いのもコスタリカである。

他の国の農業は、スペインからの独立以降も大地主制が主流であるが、コスタリカは個々に独立した小規模農家が協同組合を作り、大規模農家と市場で競争できるモデルを構築してきた。

また、環境先進国であり、国土の3分の1が自然保護区として守られている。

その中には世界でも有数の豊かな生態系が見られる。




グアナカステ保全地域はコスタリカの世界遺産で、牧場や私有地を森に再生したりして、国が自然保護を積極的に進めてきた特別な場所である。

現状の日本ではとても真似のできない事だと思う。


平和憲法を持ちながら、行ってる事は先進国とも言えない日本。

唯一の被爆国でありながら核兵器禁止条約の先頭にも立てない。



コスタリカは平和憲法の下、核兵器禁止条約の先頭に立ち、世界的な行動を起こした本物の平和主義国家である。


同じ平和憲法を持つ国でもここまで違いがある事は、情けないと言う他ありません。


日本の憲法はアメリカに押し付けられたとする嘘で国民を欺き、暗黒社会に引きずり込もうとしているのが政権である。

その異常を解消できない限りコスタリカの様な平和国家には到底なり得ません。










ハリギリ No,454

 ハリギリ  ウコギ科 落葉高木

別名=センノキ「 針桐、刺楸樹」
原産地=日本各地、中国、朝鮮、サハリン

枝にトゲがあって、桐のような大きな葉を持つことからこの名がある。

キリと名はついているが、キリの仲間ではなくタラノキと同じウコギ科で、ハリギリの葉も天ぷらや和え物にして食べることができる。

東アジアに広く分布する落葉樹で、山地に生え大きなものは高さ25㍍にも達する。

若木では幹にトゲがあるが、老木になると深い裂け目となる。

葉は見た目がヤツデに似て5〜9裂して、長径20cm程に大きくなる。

葉柄も同じくらい長さがある。

6月から8月頃、球形の散形花序をつけ、多数の黄緑色の小花を咲かせる。

庭木としても植えられるが有用材としての価値が高い。

材は木目が美しく、建築、合板、器具材などに広く利用される。




生育環境

日当たりがよくやや湿気のある肥沃な土壌を好む。

せん定は好まない。
大木の移植は根回しをして株元に細根を出してから行なう。

植え付け、移植時期は11月から12月、2月から3月

肥料

寒肥として油かす、化成肥料などを与える。

殖やし方は実生で3月、10月に行なう。


種類

九州以南沖縄には葉に毛のないミヤコダラ(リュウキュウハリギリ)がある。


ハリギリの効能、薬効

樹皮と根皮にはカロトキシン、カロサポニンと言う成分を含有し、加水分解でヘデラゲニンになる。

乾燥した樹皮、根皮は煎じて飲用したり、打撲やくじき、リウマチなどの患部に温布する。

動脈硬化、神経痛、筋肉痛など神経を落ち着かせる効果があるとされ、体の基礎代謝がよくなることや、持続的に摂取すると植物酵素が含まれていることによって、体の基礎代謝がより良くなります。


✿新芽は春の山菜として人気があります。

新芽を採る時はトゲがあるので注意が必要です。

新芽は根本から折るようにして採ります。

天ぷらなどにする時はそのまま調理してもよいですが、お浸しなどの料理ではアク抜きをしましょう。

鍋にお湯を沸かし、2分から3分程塩茹でして、湯切り後に水に晒します。

水が緑色にならなくなるまで水を交換しながらアク抜きを行います。








2021/05/02

サワラ No,453

 サワラ ヒノキ科  常緑針葉高木

原産地=日本(本州、九州) 「椹」

さわらかな(すっきりしている)木を略した名前である。

ヒノキによく似ているが、樹形に隙間が多く、幹や枝がよく見える。

葉先がヒノキと異なり鋭いこと、また球果が小さいことで見分けがつく。

山地に生える針葉樹で大きいものは高さ50㍍、直径1.5㍍にも達する。

日本特産で多くは建築、器具、風呂桶、飯びつなどの用材にされるが、園芸品種も多く、庭園や公園樹、生垣用として植えられる。

樹皮は赤褐色から灰褐色で、縦に裂け目があり薄く剥がれる。

葉裏には白い気孔帯があって、これがX字形に見えるのが特徴で、Y字形になるのがヒノキ(檜)の特徴で見分けができる。

また、葉芯に沿って白い気孔帯の縦線が数本並んでいるものはアスナロ(翌檜)の特徴である。


生育環境

湿気を十分に含んだ肥沃な土壌が適している。

耐陰性に優れヒノキより生長は早い。
せん定や整枝にも耐える。
大木になると移植は困難です。

肥料

油かす、化成肥料を寒肥として施す。

殖やし方

実生と挿し木による。
実生は前年秋に採取した種子を貯蔵し、翌年3月に播く。

挿し木は水はけのよい砂質土を用い、3月から4月に行なう。


種類

サワラの園芸品種としてシノブヒバ(ニッコウヒバ)は公園や庭園で見かけられる。


主なサワラの天然記念物、巨樹

西金砂のサワラ 県指定天然記念物

所在地=茨城県常陸太田市上宮河内町1915
(西金砂神社)


               「西金砂(にしかなさ)のサワラ」


平八幡神社の大サワラ  県指定天然記念物
宮城県は自然分布上の北限とされている。
その北限地帯に巨樹が多く繁茂(はんも)しているのは、学術上貴重な事であると考えられている。

所在地=宮城県気仙沼市川原崎


「平八幡(たいらはちまん)神社の大サワラ」






2021/05/01

ハシバミ No,452

 ハシバミ カバノキ科 落葉低木

別名=オオハシバミ、オヒョウハシバミ「榛」

原産地、分布=日本(本州、北海道、九州)
ウスリー、アムール、朝鮮半島、中国

日本各地の日当たりのよい山野に自生する。

葉がオヒョウのはに似ているので「オヒョウハシバミ」とも呼ばれる。




3月から4月頃同じ株に雌雄別々の花を、葉の展開前に開花する。

若葉に紫色の斑紋がある。

花も美しいわけでもなく、また木にも特徴がない事から、庭木として利用される事は極めて少ない。

10月頃、球形のドングリ状の実をつけるが、この実は古くから食用にされている。

「ヘーゼルナッツ」の名で親しまれているのは、ヨーロッパ原産の「セイヨウハシバミ」の果実である。


✿ヘーゼルナッツ

ヘーゼルナッツは、黒海沿岸地方での栽培がおよそ60%以上を占めていると言われています。

特に、トルコでの食用としての歴史が古く、紀元前に遡る。

アメリカ、イタリアでも栽培されていますが、その範囲はアジアの西側やヨーロッパの南側にも及びます。

ヘーゼルナッツは、アーモンドやカシューナッツとともに、世界三大ナッツの一つとされている。

ヘーゼルナッツの効能も様々で、便秘や月経不順の改善、味覚の働きを保つのを改善する働きがあると言われ、また骨を強くしたり、細胞の老化を防ぐ作用もあると言われています。

含有成分は、オレイン酸やカルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、リン、ビタミンE、食物繊維などが含まれています。

ヘーゼルナッツは美容オイルとしても利用され、ヘーゼルナッツオイルは脂性肌に向いているオイルで、特にニキビにいいと言われています。

オリーブオイルの2.5倍ほどのビタミンEが含まれ、その他ビタミンA、B、マグネシウムなども含まれているため、肌にたくさんの栄養を与えてくれます。

肌のたるみを引き締めてくれます。
オレイン酸を豊富に含むことから、肌に潤いを保つことができます。

また、石鹸のメインとなるオイルとしても向いていますが、ヘーゼルナッツオイルのみだと柔らかい石鹸になり過ぎるので、硬さを出すオイルを少量混ぜる必要があります。


生育環境

日当たりのよい土地を好むが丈夫な木であるので、あまり土壌を選ばない。

比較的寒冷地を好み、南日本には自生が少ない。

せん定にも強いが自然のままにした方が実の付きが良い。


肥料

ほとんど肥料を必要としないが、有機質肥料や化成肥料を施せば生育が更に良くなる。

殖やし方は実生か挿し木によるのが普通です。

植え付け、移植は11月から3月頃に行なう。


種類

同属にツノハシバミ果実に2本のツノがある。

オオハシバミなどがある。

日本の伝統的色名の1つの榛色(はしばみいろ)は「セイヨウハシバミ」の実の色に由来している。