トベラ トベラ科 常緑樹
別名=トビラノキ 「扉」
本州四国、九州、沖縄、朝鮮半島、台湾、中国の沿岸地域に分布
節分に戸口にさして鬼祓いした風習から、扉の木、トビラ、トベラと変化した名である。
枝葉を切ると独特の悪臭を発散する。
枝葉や根を焼くとさらに悪臭が強くなることから、かまどで炊くのを嫌う。
かまどの神(荒神様=台所の神として祀られる)も嫌うということから、地方によってはオコウジンキライ(御荒神様嫌い)と呼ばれている。
海岸地域に生え、高さ3㍍程になる常緑樹で、葉は厚く光沢があり縁はやや裏側に反る。
枝先に5弁の花をびっしりと咲かせ、花は咲き進むに従って白から黄色へと変化する。
枝や葉には独特の臭気があるが花には良い香りがある。
香りをどのように感じるかは、国々で千差万別である。
例えば、悪臭と感じる国もあれば良い香りと感じる国もあると言うことです。
沖縄にはよく似た「リュウキュウトベラ」が分布しているが、リュウキュウトベラは小笠原諸島に分布する白トベラの変種に当たり、葉が大きく花柄が長いと言う特徴がある。
暖地性の植物で、根の性質が粗く乾燥を嫌うことから移植には向いていないので苗から育てる。
どうしても移植が必要な時は、半年以上前から根切り(根まわし)をして、細根を株元に出させてから行います。
時期は寒さの心配がなくなる4月中旬から5月頃に行うのが適しています。
「トベラ」
病害虫
カイガラムシとアブラムシの発生がある。
これらの害虫は、樹勢を衰えさせるので注意が必要です。
すす病の発生の原因は、カイガラムシが養分を吸汁した後の排泄物によりすす病を誘発しますが、それだけではなく病気発生の原因にもなるので、こまめに発見し駆除する事が大切です。
予防として、冬期の1月から2月に機械油乳剤20倍液の散布が効果的です。
尚、機械油乳剤や石灰硫黄合剤は冬期使用限定薬剤ですので、それ以外の使用は禁物です。
薬害の原因になりますので使用期間を厳守しましょう。
また、害虫の発生する春以降はスミチオンやオルトラン水和剤を、葉や幹などに散布し害虫退治を行います。
生育、環境
萌芽力があまり強くないので、刈り込み仕立てには向かない樹木ですので、自然樹形で育てた方が無難です。
雌雄異株で5月から6月に白い花を咲かせ、秋に球形の実がなります。
11月頃に実が裂けて赤色の種子が出てきます。
繁殖する場合は実生で、この種子を翌年春になってから種まきし殖やします。
肥料
2月と9月の年2回、化成肥料と油かすを混ぜ根元にばらまきます。
肥料を直接地面にばらまく時は、その木の枝の伸び具合を観察し、枝の先端の真下辺りと、その枝の伸びた真下辺りまでばらまきます。
たいていの根が真っ直ぐ下に伸びる「直根性」の樹種の場合は、移植を嫌うことが多いので根元にばらまくだけでよいでしょう。
せん定
自然樹形で育てるので、7月から8月に徒長枝やとび枝をせん定しますが、どちらかというと樹勢が弱い木なので強いせん定は避けます。
枝が大きく乱れる場合は、枝を切り詰め、根まわししてから植え替えを行い育て直します。
トベラの薬効
解毒作用、生理不順、皮膚病などに用いる。
寄生性の皮膚病には枝葉を突き潰して患部に塗布、あるいは煎液で患部を洗う。