緑のお医者の徒然植物記

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2021/05/15

カナメモチ No,466

 カナメモチ  バラ科 常緑樹

別名=アカメモチ  「要黐」

原産地=本州(東海地方以西)四国、九州
中国南部、東南アジア

アジアとアメリカに60種ほど分布し、日本には3種が自生する。

山地の斜面に多く、乾燥した尾根筋や沿海地、沢沿いにも自生する。

名前の由来は、モチノキに似ていて材が扇の要に使われたからとする説があるが、異説もあるようだ。

新葉が赤く美しい事からアカメモチの別名がある。

自生の樹を見る機会は少ないが、ヒョロヒョロ伸びて高さ5㍍程になる。

「枕草子」に出てくる「ソバノキ」は本種のことで、花をソバの花に見立てたものと言う。

寒さにあまり強くなく、根が粗くて細根の少ない樹である。

日当たりのよい乾燥しない土質を好み、やや暖地性で一般に生け垣として利用されていますが、刈り込みも強いので色々な仕立て方ができる。

しかし、寒さには弱いので関東地方より北では生育は困難です。




病害虫

褐斑病(かっぱんびょう)が発生する。

病気になると、葉に淡褐色の斑点が現れ次第に大きく広がり黒ずんできます。

褐斑病は春の異常低温や長雨など、気象の変化が激しい時などに発生しやすい病気です。


新葉の色が赤色のため見つけにくいですが、よく観察すると小さな斑点がポツポツと出てきて、次第に大きく広がり重症になると葉が黒くなり枯れてしまいます。

予防対策として、ベンレート水和剤を新芽の伸びる時から、月に1〜2定期的に散布します。

害虫はハマキムシが発生します。

ハマキムシは体を新葉でくるりと包み込むように巻いて、その中に潜み新葉を食害するので葉の全体をよく観察して、一匹でも見つけたら必ずほかに何匹もいるので要注意の害虫です。


アブラムシも新葉の伸びている柔らかい部分に固まって発生します。


ハマキムシはオルトラン水和剤を散布します。
発生期間が長いので、春から秋まで定期的に葉を中心に薬液をかけるようにします。

アブラムシ類にはオルトランのほかにスミチオンも利用できます。

植え付け、移植

垣根に新しく植え付ける場合は、ポット仕立ての苗を購入し、スコップで植え穴を掘り腐葉土をよく混ぜて、2年生の苗なら約30cm間隔くらいで植え込みます。

また、長年植えたままの樹を移植する時は前年に根切をして、細根を出させてからでないと上手く活着しません。

この場合、腐葉土類をすき込んで大きめの植え穴に水を、たっぷり入れてから植え込みます。
(水ぎめ法)

枝葉は全体に切り詰めておきましょう。
植え付け、移植時期は4月から5月頃が適しています。


肥料

2月頃に鶏ふん又は油かすに骨粉を2〜3割混ぜて埋め込むか、リン酸カリ分の多い化成肥料を根元に穴を掘って埋め込む程度で十分です。

多過ぎないように注意します。


施肥の注意点

樹木に肥料を与える時には、分量や与える場所に注意が必要です。

肥料は植物の根を通して樹全体にその栄養を送り込みますが、肥料の成分が多過ぎたり強過ぎたりすると、肥料焼け(負け)を起こします。

そうならない為にも、適量の肥料を最適な場所に与えるようにしましょう。


せん定

樹形が出来上がっている樹や生け垣は、新梢の伸び具合を見て軽く頻繁にせん定を行うようにします。

また、古い生け垣で下枝が枯れ上がって見苦しい場合は、全体を深く切り取って新芽を発生させます。

新梢の赤い葉を年に2回楽しみたい時は、3月下旬に一回と8月下旬に一回の年に2回、刈り込みをするとそれぞれ美しい葉色が出て楽しむことができます。


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