緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/21

ハナイカダ No,503

 ハナイカダ 「花筏」ミズキ科

別名=ママッコ、ヨメノナミダ

花の咲く様子を花が乗った筏に例えた名前である。

北海道から九州にかけて山地の主に谷間に自生している。

落葉低木で樹高は大きいものでは3㍍前後に生長する。

数ある植物の中でもこのような形に花を咲かせるものはない。

沖縄には葉に光沢がある「リュウキュウハナイカダ」が分布する。

株立ち性になることが多く枝が横に広がります。

若芽は「ママッコ」と呼ばれ、お浸しや天ぷらにして食べることができます。




花と果実

5月から6月頃、葉の主脈の上に径5㍉程の小さな淡緑色の花が咲きます。

花は葉っぱの真ん中あたりに咲きます。

雄花は数個ずつ、雌花は1〜3個開きます。

果実は液果で、径1cm足らずの平べったい球形になり、緑色から成熟すると黒っぽくなります。

類似種

変種として、葉を始め全体が小型の「コバノハナイカダ」が近畿地方以西に分布します。

ハナイカダとの中間型もありますが、園芸品種は知られていません。

生育環境

自生地では、湿り気がある沢沿いで日陰になるような所に生えています。

木漏れ日が少しあるような明るさの場所に適しています。

土壌は湿り気があり排水の良いことが大切です。

植栽

庭木としての利用はあまりありませんが、葉の上に花や実が生えるものは限られますので、自然な植栽に利用すると効果的です。

病害虫

少ない方ですが、アブラムシ類やスス病に気をつけます。

混み合った枝を取り除くなどし、風通しを良くすることが予防になります。

リュウキュウハナイカダは亜熱帯の産地林縁に生える。

奄美大島から沖縄にかけて分布し、琉球固有の亜種とされ、準絶滅危惧種に指定されている。

                   「リュウキュウハナイカダ」






2021/06/20

生命体がいないと見られる土壌が見つかる No,502-1

 南極の山上で発見された生命体がいない土壌


研究者たちは、これまで最も標高が高く過酷な場所でも、土壌には数種類の微生物がひっそりと生息していると想定していました。

だが、生命体が全くいないと見られる土壌が、南極大陸で見つかった。

南極点から約480㌔の山上、そこは火星に似た環境だった。

地球の表面では初めてとなる報告である。

土壌採取場所は吹きさらしの険しい2つの山の尾根である。

シュローダ·ヒルとロバーツ·マシクと呼ばれる山である。




単細胞生物は、93℃を超える熱水噴出孔でも、南極の厚さ800㍍もの氷の下にある湖でも、更に高度3万7000㍍の地球の成層圏でも生きているのが見つかっています。

だが、南極の険しい山から採取した土壌の中には、米コロラド大学ボルダー校の微生物生態学者「ノア·フィアラー」氏と氏が指導する博士課程の学生「ニコラス·ドラゴネ」氏が1年を費やし、氷河のあちこちの山から集めた204点のサンプルを対象に、試験を行ったが生命がいる証拠が見つからないものがあったと言う。

比較的標高が低く寒さが厳しくない山の土壌サンプルからは、多くのDNAが検出された。


最も標高が高く、寒さが厳しい2つの山の土壌から採取したサンプルの2割からは、全く生命がいる証拠を見つけることができなかった。

検査結果の一部を見たフィアラー氏は、何かの間違いじゃないかと感じたと言う。

そこで生命の証拠を探すためにドラゴネ氏は、複数の追加実験を行いました。

土にグルコース(ブドウ糖)を含ませ、生きた生物によって二酸化炭素に変換されないかを調べました。

地球上の生命がエネルギー源として使う、アデノシン三リン酸(ATP.検査)の検出も試してみました。

アデノシン三リン酸とは、すべての植物、動物及び微生物の細胞内に存在するエネルギー分子のこと(微粒子、微生物測定器)

何ヶ月にも渡って様々な栄養素を与え、微生物にコロニー(生物集団)を形成させようとしました。

それでも一部の土壌からは何も検出されませんでした。

無菌状態とは言い切れないが、生きた細胞がごく僅かな数しかなければ、検出できない可能性はある。

しかし、この土壌には微生物が全く生息していなかった。

本当に生命体はいないのか

カナダ、ゲルフ大学の環境微生物学者「ジャクリーン·ゴーディアル」氏は、この調査結果に興味をそそられると評し、中でも生命が見つからない条件を究明しようとする、ドラゴネ氏の取り組みに注目している。


高い標高と高濃度の塩素酸塩で、生命体が検出されない可能性が高くなる2大因子で有る事を突き止めたことに対し、こうした土壌に生命体が全くいないという説に、完全に納得しているわけではない。

ゴーディアル氏は数年前、南極横断山脈の同様の環境で土壌調査を行った事がある。

それはシャクルトン氷河の北西約800㌔の地点にあるコニバーシティ·バレーで、おそらく12万年間湿度が低いまま保たれ、氷点以上の気温になったことがない場所である。

✫シャクルトン氷河は南極大陸の氷河で、イギリスの南極探検家、アーネスト・シャクルトンに因んで名付けられた。

この場所の土壌サンプルをマイナス5℃で20ヶ月間保温しても生命の兆候は見られなかったが、サンプルを氷点から数度高い温度まで温めてみると、一部のサンプルで細菌の成長を確認できたのである。

こうした土壌に生命体がいないと判断するかどうかは、その定義によって異なるが、例えば氷河の氷に数千年間閉じ込められたまま、生き延びた細菌が発見されたことがある。

氷に閉じ込められている間、これらの細胞はその代謝の速さを百万分の1にまで下げている可能性があるとされる。

コニバーシティ·バレーで見つかったのはこのような「スローな生存者」だったと、ゴーディアル氏は推測している。


ドラゴネ氏とフィアラー氏が10倍量の土壌を分析すれば、海抜2100㍍を超える2つの山、ロバーツ·マシフやシュローダ·ヒルでも見つかるかも知れないと考えている。






夏に負けないバラ栽培 ③ No,502

 花びらが茶色く傷む

花びらの縁などが部分的に茶色くなって傷んでいるのは、スリップスでアザミウマとも呼ばれる害虫による食害された痕です。


                                「スリップス」


ヒラズハナアザミウマとミカンキイロアザミウマなど6種が知られており、体長はいずれも1〜2㍉で色は暗褐色。

野菜、草花類、果樹などに広く寄生して吸汁する。

寄生する部位は花、新芽、葉ですが、バラでは特に花弁に寄生して、シミを作るので花が汚くなります。

気温が高くなる5月の開花頃から発生して、気温が高くなるに従い多発し、秋まで被害は続きます。

花では生育が悪くなったり、蕾は吸汁されたことにより開花しないなどの被害が出ます。

蕾のままで枯れ、開花しません。

スリップスは繁殖力が強く、産卵後20日程で成虫になると言われています。

多い時では一花に数百匹に及ぶこともあります。

また、食害された痕から灰色かび病の原因になることもあります。

被害が出たら、ベストガード、モスピラン、カスケードなどを定期的に散布します。

スリップスは葉裏にいることが多いので、葉裏まで薬剤がかかるように散布しましょう。


花が終わった後に花柄をすべて切り取るようにして、地面に落ちた花びらもすべて拾い集め、ビニールに入れて密閉処理をする事で、数を減らすことができるでしょう。

         「スリップスの被害で傷んだ花」

屋根のない場所で育てる

スリップスは雨を嫌うので、雨の当たらない乾燥しやすい場所で増殖しやすい傾向があります。

特に白花、黄花、薄ピンク色のバラに引き寄せられる傾向があるので、なるべく屋根のない場所で育てるようにします。

また、スリップスが嫌いな「ミント」を近くに植えるなど、寄せ鉢にして置くのも予防になります。

夏場に傷んで弱ってしまった場合でも、よほど弱体化していない限り、秋までに回復させることができます。

株元に落ちた葉は、病気の原因になりやすいので全て取り除く事を心掛けましょう。

乾燥なで黄変し落葉したものでも、地面に落ちると被害にあった花と同様に、灰色かび病の引き金になりやすくなります。


環境を改善する

バラが傷んでしまう原因は色々ありますが、夏頃に傷んでしまった場合には、植えた場所の環境改善が重要です。

鉢植えは風通しを良くして、日差しが半日ほど当たる場所に移動します。

地植えの場合は、株元にマルチングや草花を植えるなどして暑さを和らげるようにします。


病害虫に対応する

病気や害虫を放置したままでは、回復にも時間がかかります。

病気の発生初期に予防散布をするとその後の発生が減ります。

また、害虫は発生初期に薬剤散布することで、蔓延を抑えることができます。

あまり薬剤に頼りたくない場合は、最初の散布をきちんと行いましょう。

散布の際には「葉焼け」を起こさないように、事前にたっぷり水を与えるようにします。

花や蕾を摘み取っておく

株が弱っているのに花を咲かせると、栄養が奪われてしまい、株の回復が遅れるので花や蕾を摘み取っておきます。

最低でも1か月程は、花や蕾を摘み取って株の充実を図りましょう。


活力剤(液)の利用

若葉が茂るまで一週間に一回、規定量に薄めた活力液を与えます。

生育が弱っている原因が根の傷みによるもので、まず根をよく張らせて元気にします。

株が弱っているから肥料という考えはよくありません。

活力液はバイオゴールドバイタル、リキダス、メネデールなどを与えます。

肥料は株を大きくするために大切

液体肥料と暖効性肥料を定期的に与える。

枝葉がしっかり茂ってきたら、一週間に1回、ハイポネックス、ハイブレードなどを株周りに与えます。

また、生育が順調で茂り出したら、今度は暖効性の固形肥料を与えます。






2021/06/19

植物のアレロパシーとは No,501

 アレロパシー


アレロパシーは、自然界の生物総合関係における化学生態学、生態化学のうちの、植物間の関係であり、ある植物が生成し環境中に放出した物質が、異類もしくは同種の他の植物の生長や発達に影響を与える作用である。

自己の生育地域へ他の植物種の侵入を妨げて、自種群落を拡大させる生態的仕組みになっている。

これらの場合、根から初芽阻害物質や生育阻害物質を分泌しています。

また落ち葉や果皮の浸出液に阻害物質が含まれる事もあります。

アレロパシー現象は古くから知られ、✫テオフラスタスはすでに紀元前3世紀に「ヒヨコマメ」の雑草制圧力について、また✫熊沢蕃山は「アカマツ」から滴り落ちる雨滴が作物の生育に有害である事を記しています。

✫テオフラスタスとは、古代ギリシアの哲学及び科学者でレスボス島エレソスの生まれ。

植物学の「祖」とされるなど、観察や調査に基づく実証的研究に本領を発揮した人で、ギリシアの学問の成立と発展に果たした功績は絶大である。

200に余る著作が有ったとされるが、現存する物は植物誌=9巻、植物発生学=6巻、自然学的小論=数編など他

特に有名なのは「性格論」であったが、後世の文学者はこれをしばしば真似ていた。

✫熊沢蕃山(くまざわばんざん)
(1619〜1691)
江戸時代初期の陽明学者(儒者)


最初にこの種の現象に対して「アレロパシー」と言う語を与え、その概念を明確にしたのはハンス·モーリッシュ、オーストリアの植物学者(1856 ~1937)であるが、彼の定義によれば、アレロパシーの対象は高等植物から微生物まで、また阻害的なものから促進的なものまで含まれる。

しかし実際には、狭義に高等植物間の阻害的な作用だけを指している場合が多い。

アレロパシーとはギリシア語の「相互に」と「被る」と言う語を組み合わせたものだが、アレロパシーの和訳としては、千葉大学の沼田真名誉教授(植物生態学者)により、1977年に「他感作用」と言う語があてられている。

アレロパシーの原因となる物質はアレロケミカル、アレロケミック、他感作用物質などと呼ばれ、植物の種々の「二次代謝産物」がこれに相当する。

✫二次代謝産物とは、生物の細胞成長、発生、生殖には直接的には関与していない有機化合物のこと。

また酸素などの働きによる化合物の一連の変換反応を「代謝」と言う。

これらの化合物は、生物共通の生命維持に不可欠な「一次代謝産物」とは異なり、特定の分類群に固有の代謝系で生産される物質である。

✫一次代謝産物とは、生体を維持するのに必須の物質群であり、各分類群と属する生物にとっては共通に存在するものである。


高等植物に対してだけではなく、動物や病原菌などの周囲の生物に対する防護手段になっている事も多い。

この物質は、生きた植物体の茎葉、果実や種子から雨水や霧粒中に溶脱したり、根から滲み出して土壌に蓄積し、他の植物に吸収される。

植物に含まれる化学成分には、一次代謝産物と二次代謝産物がある。

植物には様々な化学成分が含まれるが、大別すると無機化合物と有機化合物に分けられる。


燃やした場合に灰となって残るものが無機物であり、ケイ酸塩、リン酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩などからなる。

植物成分としての無機物が注目される事はほとんどありませんが、人類は太古以来「灰汁」を食品のアク抜きや生薬の加工調製などに利用してきた事から、全く役に立たないわけではありません。

しかし、植物成分として圧倒的に利用されるのは有機化合物であるだろう。

植物に限らず、生物の創り出す有機化合物を「代謝産物」と言う。


ただし、モノテルペン、セスキテルペン類は揮発によって環境中に放出され、更に植物の遺体や落葉から溶脱する場合もある。

✪モノテルペンとは炭化水素類で、炭素と水素で出来た化合物のこと。
特に柑橘系や針葉樹の「精油」に多く含まれる成分である。

✪セスキテルペンとは生理活性物質のこと。

アレロケミカルの中には、体内では毒性の低い配糖体として存在しているが、土壌に入った後、微生物分解によって糖が離脱して、阻害活性が現れ出すものもある。

✭アレロケミカルとは、異なる生物種の個体に作用し、特定の行動を引き起こしたり、生理に何らかの影響を及ぼしたりする化学物質の総称である。

✭配糖体とはグリコシドとも言われ、糖と糖以外の有機化合物とが結合した物質のこと。
また、根粒菌などの微生物に作用し、作物などへの間接的な影響が示される場合もある。


植物保護から見たアレロパシーの重要な側面は①雑草害、防除すべき点②制圧作物、防除において利用すべき点③雑草群落遷移、防除において考慮すべき点の3つである。


アレロパシー活性が、何らかの方法で確認されている雑草は、数十種に及び、ムカシヨモギ属植物やセイタカアワダチソウ、シバムギ、セイバンモロコシ、ハマスゲなど、攻撃的な多年草で多く知られている。


キク科植物が放出するポリアセチレン化合物は、二次遷移(移り変わり)の初期段階において、種の交代に関わっていると考えられている。

尚、作物に対する雑草による干渉(雑草害)には、競合とアレロパシーが含まれるはずであるが、両者を識別してアレロパシーの関与を証明するのは難しい場合が多い。


アレロパシーに関して注意すべき点は、植物によるアレロケミカルの生成、放出された物質の変化してゆく状態、影響を受ける植物の生理状態いずれも環境要因によって、大きく影響されうるため、ある植物にアレロパシーの潜在する可能性があっても、それが生態系で現れ出したりしなかったりする点である。


主なアレロパシー活性植物

他の植物の成長を抑える働き(物質)

ホオノキ、オニグルミ、カルミア、イタドリ、コデマリ、サクラ、スズラン、ソバ、ニワウルシ、マツ、ムクゲアカシア、ムニンフトモモ、ユキヤナギ、ヨモギ、その他




2021/06/18

ブドウ 全般「葡萄」No,500

 ブドウ ブドウ科「落葉性果樹」

果樹では数少ないつる性植物です。

原産地という分類方法よりヨーロッパ系とアメリカ系と分類される。

それは世界中で栽培されているためです。

ヨーロッパブドウ、アメリカブドウ、その交配種である間性種などがあり、世界各地で改良された品種が多数あります。

ヨーロッパ系は開花適温が高く、雨の少ない乾燥地帯が生育に適しているので、日本の気候には向かない種類になります。

これに対しアメリカ系は、雨の多い地方の原産で、冬の低温にも耐え定植して3年から4年で実が生ります。

日本では生食を主体にするが、外国ではワインの原料としての栽培が主である。

ブドウの栽培では雨量が気温以上に大きな影響を持っています。

小雨乾燥地帯原産のヨーロッパブドウは、4月から10月の生育期に300㍉以下の雨量を好むので、雨を防ぐガラス室栽培以外では栽培出来ません。

年間平均気温が7℃以上あれば生育できますが、生育適温は11〜15℃と言われています。

また、果実の成熟期に日中と夜間の温度差が大きいほど品質が良くなります。




生育環境

日当たりと水はけのよい肥沃地を好み、乾燥地にも強い。

山梨をはじめ長野や瀬戸内などが有名な産地です。

主として棚栽培をするが、強い風の当たる所は避ける。

原則として成木の移植はできません。


肥料

1月から2月頃に堆肥に鶏糞を混ぜ、リン酸カリ分だけを少量混ぜて溝を掘り埋め込みます。

この時ブドウの場合はチッ素分を与えると木が軟弱に育ち、病気が発生しやすくなるので与えないことです。

追肥も必要ありませが、実をよく生らせるために6月と8月下旬から9月初旬に、リン酸カリ分を主体として少量の化成肥料をばら撒きます。


せん定

せん定には長梢せん定と短梢せん定がありますが、家庭果樹では狭い範囲で育てられる短梢せん定の方が向いています。

主枝の両側に20cmくらいの間隔で側枝を出し、一本の側枝から一本の結果母枝を出し、その結果母枝を1〜2芽に短くせん定して1〜2本の結果枝を出させます。

一般に短くせん定した結果母枝から、数本の新梢が発生しますが、2本だけ残して他は掻き取ります。

2本のうちの1本は予備で、主枝の誘引が終われば予備枝も切り取ります。

✻関連記事No,154ブドウの摘粒(果粒)


果実管理

春になるとせん定した結果母枝から、新梢(結果枝)が伸び出して花穂をつけ開花結実します。


着果習性

2年枝から発生した1年枝に開花結実する。



ブドウの新梢は伸びがよく、開花した花はほとんどが結実するので、そのままにしておくと果房が多くなり過ぎて、栄養不足から不良品になってしまいます。


房作り(摘房)

多くついた果房をそのまま育てると脱落したり甘味がなくなる。




そこで摘房が必要になります。

品種によっては一枝に4房ぐらいつきますが、大きい果粒のついた良い果房を選び、大果房は一房、中果房で2〜3房に摘房します。

また、新梢の先端を摘芯して一時的に枝の伸びを止め、果実の方に栄養が行くようにします。

果粒が生育してくるとお互いに押し合い肥大出来ずに、小粒になったり変形したり、粒がパンクしたりします。

これを防ぐために摘粒が必要です。


摘粒

不良果や小果を取り除いて隙間を作り、残った粒を肥大させる。



袋掛けは病虫害防除や果皮の保護、着色良化などの効果があるので、掛ける方が良い果実になります。

ポリエチレン袋などを利用します。

一般家庭で栽培するアメリカブドウの場合は、冬の低温にも耐えるので庭木としても楽しめます。

庭に植えたブドウは2年から3年で開花結実します。

ブドウの木は5年から6年で成木になるので、中くらいの房の場合は40房から50房くらいの収穫が見込めます。


鉢植えの場合

鉢植えは赤玉土6、腐葉土3、川砂1の混合土に植え、日当たりがよく風通しの良い場所に置きます。

鉢植えは2年で開花結実し、7〜8号鉢で5〜6房を収穫の目安にします。


鉢植え、あんどん仕立て

①1年目の落葉期に下から2芽を残して上部を切ります。



②2年目の生育期に支柱を立てて誘引

③2年目の落葉期に3月頃の枝が柔らかくなった時に、あんどんに巻きつけて固定します。



④3年目の生育期に新梢を前年枝の上へ誘引して巻きつけ、固定します。



⑤摘芯と摘房
果房の枝は葉を2〜3枚残して摘芯し、果粒を肥大させます。



植え付けの時期は、11月から12月と2月中旬から3月頃ですが、寒い地方では3月に行いましょう。


棚とブドウの扱い方

1年目から4年目まで


日当たりと排水、肥沃な土地であることが生育のポイントですが、かなり乾燥にも耐えることができます。

しかし、寒さと湿潤な土地、そしてチッ素分の多い土壌は嫌いますので注意が必要です。

庭に植える品種としては、デラウェア巨峰やベリーAなどが良いでしょう。

主に開花期は5月頃、結実は8月下旬から10月頃

病害虫

ベト病
葉の表面に周辺部がはっきりしない、黄色がかった病斑ができ、次第に拡がって大きくなります。

葉の裏側には灰白色のカビが発生します。

病状が進むと黒みがかった不正系の病斑になります。

このカビは低温多湿を好むので4月から6月の春と、9月から10月の秋に多く発生します。

主に葉や新梢部、巻きひげ、幼果に発生します。

生育期前半にホセチル水和剤、キャプタン水和剤、マンゼブ水和剤、シモキサニル·ファモキサドン水和剤等の予防薬を約10日間隔で散布します。


発生後にベトファイター顆粒水和剤しますが、果房への使用は小豆大期までとする。


サビ病(主に9月から10月に発生)
寄生された植物の葉にはたくさんの病斑ができます。

その病斑から鉄のサビのような粉状の胞子を大量に生じます。

病気が樹全体に蔓延すると樹は枯死に至る。

サビ病には硫黄剤がよく効きます。

発生時期の前後に月に2回くらいの割合でマンネブダイセン、エムダイファー、水和硫黄剤などを散布します。

このカビは高温多湿を好むので、せん定などをして風通しを良くして予防しましょう。


黒痘病(こくとうびょう)
病原体は糸状菌で、葉や新梢、花穂、果実に発生する。

葉では茶褐色から黒褐色の小斑点が生じ、その後拡大して中心部に穴が空く。

多発すると生育が不均一になり、葉の奇形や葉縁に湾曲などの症状が見られる。

新梢や巻きひげには、わずかなへこんだ茶褐色から黒褐色の斑点が見られ、新梢先端に多発すると先端部は枯死する。

幼果では初め茶褐色の小斑点を生じ、次第に拡大して周辺部が黒褐色、中心部灰褐色の多少へこんだ円形病斑になる。

特にヨーロッパ系品種はこの病気に弱い性質がある。

病原菌は結果枝や巻きひげなどの組織内で菌糸の形で越冬する。

病原菌は柔らかい組織を好み、硬くなった葉や新梢では発病しなくなる。

この病の感染時期は早く、萌芽直後から生育初期にかけて連続降雨があると発病が多くなる。

また、生育初期に発生が見られなくても、梅雨期や秋雨などで降雨が続くと、柔らかい副梢の葉などに突然発病することがある。

一度発生すると翌年以降も発生しやすくなるため、被害が少ないうちに防除を徹底する。

休眠期、萌芽直後、新梢伸長期、開花期、落葉期から小豆大期、袋掛け後に定期的に散布を実施する。

薬剤としてデラン、キノンドー、ジマンダイセン、ペンコゼブ、チオノック、ドーシャス、オーソサイド、フルーツセイバー、ネクスター、パレード、ボルドー液など


晩腐病
(おそぐされびょう、ばんぷびょう)
晩腐病は棚に巻きひげや枝が残っていると、そこから雨を介して感染する。

幼果期から梅雨期が最も多く、胞子は降雨によって飛散し、新梢や果房に感染する。

せん定時に越冬伝染源となる果梗の切り残し、巻きひげの除去を徹底する。

支線などに巻き付いた巻きひげもできる限り取り除きます。

休眠期防除では、デラン、パスポート、べフラン、ベンレートなどを発芽直前に散布する。

生育期防除では、オーソサイド、ジマンダイセン、アミスター10、スクレアなどを散布する。

房枯れ病
果実では初めに黒色の小斑点が形成された後、最終的にはミイラ果となる。

穂軸の基部から褐変して、次第に果房が腐敗する。

収穫した果房に発生することが多い。

病原菌は1年から3年生の枝で越冬する。

ぶどうの生育に連れて病斑が拡大し、伸長した枝を枯らしたりまた、胞子が雨の飛沫で飛散し、新梢の葉柄基部に感染して葉枯れを起こします。

収穫期を遅らせたり、樹勢が弱くなっものに発生が多くなる。

また、早期加湿栽培ほど発生が多い傾向があるので、栽培方法を変える事も必要です。

適期収穫を心がけるとともに樹勢の強化を図る。

袋掛けは早めに行い、せん定では枝や巻きひげを処分します。

予防として、冬期に石灰硫黄合剤の30倍液を2〜3回散布し、新芽が伸び始めたらロブラール水和剤1000倍液や、ジマンダイセン水和剤500倍液を月に2〜3回定期的に散布します。

害虫類は春から定期的にスミチオン1000倍液の散布などで防除しますが、ブドウスカシバやブドウトラカミキリなどの被害にあった枝は、冬のせん定の時に切り取り処分します。


害虫ブドウスカシバ

ブドウの害虫として知られ、細い枝に幼虫が入ると、枝が膨らんで虫コブ状になる。


          「コブとムシ」


エビヅルノムシ、ブドウ蔓の虫とも呼ばれるブドウスカシバの幼虫のこと

害虫は駆除を兼ねて秋にせん定し、虫コブのついた小枝は中に潜んでいる幼虫を釣り餌や小鳥の餌にするため、業者に売られる。

秋から早春に蛹化するまでの期間、エビヅルノムシ又はブドウムシとして市販されている。









2021/06/17

ホオノキ( 朴の木) No,499

 ホオノキ モクレン科 落葉高木

別名=ホ(オ)ガシワ、フーノキ、ホウバ

北海道から九州の山地や丘陵に自生がある。
南千島、朝鮮、中国にも分布する。

湿り気がある沢沿いや斜面地に生え、高さは30㍍に達する。

木材は狂いが少なく木目もきれいなことから、家具や版木など様々なものに利用されている。

日本の樹木の中で花や葉が最も大きく、葉は長さ40cm、幅20cm程あり、古くから食物を盛るのに使われたほか、「ホオバ」と呼ばれ、若葉はカシワのように食べ物を包むのに使われたことから、包(ホウ)と名付けられたとする説が有力である。

また、樹皮が健胃剤、利尿剤になるなど、薬用に利用される。

現在でも朴葉味噌(飛騨高山)朴葉寿司(恵那)朴葉餅、朴葉巻、朴葉にぎりなど、各地の名物としてその名が残る。




開花期

開花期は5月から6月頃で枝先に咲き、直径15〜20cm程の花は9〜12枚の花弁があり、中心部に大型の雌しべ、周りに基部の赤い雄しべがたくさん並びます。

開花時は強く甘い香りが漂います。

花の寿命は数日程度で、すぐに赤い雄しべがバラバラと散り始め、花弁が黄色から茶色に変色します。

果実 (9月から11月に熟す)

秋に長さ10〜15cm程の集合花が赤く熟して下垂し、中に長さ1cm程の黒い種子が2個入っている。

やがて種子は白い糸で垂れるようになります。

食糧にはならないがキツツキの仲間は種子を好んで食べる。

生育環境

日当たりが良く保水性があり、水はけが良い土質が最も適します。

自然樹形を基本に、樹高を3〜5㍍程度に抑えます。

樹高より枝幅を小さくするような樹形に整えます。


ホオノキにはアレロパシー活性が認められる。

植物のアレロパシーについては、No,501を参照。