緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/20

夏に負けないバラ栽培 ③ No,502

 花びらが茶色く傷む

花びらの縁などが部分的に茶色くなって傷んでいるのは、スリップスでアザミウマとも呼ばれる害虫による食害された痕です。


                                「スリップス」


ヒラズハナアザミウマとミカンキイロアザミウマなど6種が知られており、体長はいずれも1〜2㍉で色は暗褐色。

野菜、草花類、果樹などに広く寄生して吸汁する。

寄生する部位は花、新芽、葉ですが、バラでは特に花弁に寄生して、シミを作るので花が汚くなります。

気温が高くなる5月の開花頃から発生して、気温が高くなるに従い多発し、秋まで被害は続きます。

花では生育が悪くなったり、蕾は吸汁されたことにより開花しないなどの被害が出ます。

蕾のままで枯れ、開花しません。

スリップスは繁殖力が強く、産卵後20日程で成虫になると言われています。

多い時では一花に数百匹に及ぶこともあります。

また、食害された痕から灰色かび病の原因になることもあります。

被害が出たら、ベストガード、モスピラン、カスケードなどを定期的に散布します。

スリップスは葉裏にいることが多いので、葉裏まで薬剤がかかるように散布しましょう。


花が終わった後に花柄をすべて切り取るようにして、地面に落ちた花びらもすべて拾い集め、ビニールに入れて密閉処理をする事で、数を減らすことができるでしょう。

         「スリップスの被害で傷んだ花」

屋根のない場所で育てる

スリップスは雨を嫌うので、雨の当たらない乾燥しやすい場所で増殖しやすい傾向があります。

特に白花、黄花、薄ピンク色のバラに引き寄せられる傾向があるので、なるべく屋根のない場所で育てるようにします。

また、スリップスが嫌いな「ミント」を近くに植えるなど、寄せ鉢にして置くのも予防になります。

夏場に傷んで弱ってしまった場合でも、よほど弱体化していない限り、秋までに回復させることができます。

株元に落ちた葉は、病気の原因になりやすいので全て取り除く事を心掛けましょう。

乾燥なで黄変し落葉したものでも、地面に落ちると被害にあった花と同様に、灰色かび病の引き金になりやすくなります。


環境を改善する

バラが傷んでしまう原因は色々ありますが、夏頃に傷んでしまった場合には、植えた場所の環境改善が重要です。

鉢植えは風通しを良くして、日差しが半日ほど当たる場所に移動します。

地植えの場合は、株元にマルチングや草花を植えるなどして暑さを和らげるようにします。


病害虫に対応する

病気や害虫を放置したままでは、回復にも時間がかかります。

病気の発生初期に予防散布をするとその後の発生が減ります。

また、害虫は発生初期に薬剤散布することで、蔓延を抑えることができます。

あまり薬剤に頼りたくない場合は、最初の散布をきちんと行いましょう。

散布の際には「葉焼け」を起こさないように、事前にたっぷり水を与えるようにします。

花や蕾を摘み取っておく

株が弱っているのに花を咲かせると、栄養が奪われてしまい、株の回復が遅れるので花や蕾を摘み取っておきます。

最低でも1か月程は、花や蕾を摘み取って株の充実を図りましょう。


活力剤(液)の利用

若葉が茂るまで一週間に一回、規定量に薄めた活力液を与えます。

生育が弱っている原因が根の傷みによるもので、まず根をよく張らせて元気にします。

株が弱っているから肥料という考えはよくありません。

活力液はバイオゴールドバイタル、リキダス、メネデールなどを与えます。

肥料は株を大きくするために大切

液体肥料と暖効性肥料を定期的に与える。

枝葉がしっかり茂ってきたら、一週間に1回、ハイポネックス、ハイブレードなどを株周りに与えます。

また、生育が順調で茂り出したら、今度は暖効性の固形肥料を与えます。