花がつかない時の原因と対策
①日照不足
花木の大半は初春から晩夏までに開花します。
花木の花芽分化期は概ね4月から9月ですが、生長期に当たるこの時期は、樹木の活動が最も活発な時です。
日光を十分に浴びた葉が光合成を行い、樹幹内に栄養を蓄え、その栄養分が芽に集まり花芽を形成します。
この生長期間に日照が不足すると、花芽分化に必要な栄養分が不足して花芽がつかなくなります。
対策として、こまめなせん定で茂り過ぎた込み枝を整理し、樹の中の葉までよく日光が当たるようにすることです。
また、樹木が日陰になるときは、日陰になる原因を解決することも大切です。
日陰になることを避けられない場合は、移植する事も考える必要があります。
②土壌の養分過多
樹木の生育には、土壌の養分が豊富であることは大事なことですが、多過ぎても花が咲かない原因になります。
元気の良い若木に花芽がつかないのは、大半の養分を幹や枝葉の生育に使われるためです。
成木(生り木)でもある程度の年数が経ち、樹勢が落ち着くまでは栄養過多が原因で、花芽がつきにくくなることがあります。
チッ素系の肥料が効き過ぎると、養分が幹や枝の生長に回り、肝心の「花芽」が育たない全部が「葉芽」になる場合があります。
油かすや鶏ふんなどのチッ素系肥料の投与を控え、チッ素成分が少ない化成肥料を与えるようにします。
✼主なチッ素肥料
硫酸アンモニア、過リン酸石灰
尿素、石灰チッ素
✼主なチッ素の多い有機肥料
油かす、魚かす、鶏ふん、骨粉
また、チッ素は土壌有機物や堆肥にも多く含まれていて、地力チッ素として年々蓄積していきます。
土壌有機物とは、土壌中に存在する有機物で、主に植物残渣や動物残渣、微生物による溶解等によって生成される黒色の腐植物質のことで、「腐植=ふしょく」とも呼ばれる。
✼植物残渣(ざんさ)とは、植物の収穫後に残る茎や葉、つる、根などの残骸物を指します。
作物栽培地では作物残渣とも呼ばれます。
根の張り具合が良すぎても養分過多になることがあります。
この場合は、株元から少し離れた周辺にスコップ等を入れて断根すると効果的です。
更に、土壌水分が豊富過ぎても養分過多の原因になります。
花芽がつきにくい場合は、断根などで根の活動を調整する必要があります。
③土壌の養分不足
養分の不足で新芽が伸びないか、伸びても弱々しいと花芽はつきません。
原因は、肥料不足や土壌乾燥、日焼けによる葉の衰弱や前年に多くの実をつけ過ぎたことなどがあります。
施肥と土壌管理に加え、日頃の樹木の健康管理が栄養不足を防ぐポイントになります。
また、鉢植えの樹木は根が鉢いっぱいに広がって根詰まりを起こして、栄養不足になることがあるので、一回り大きな鉢に植え替える必要があります。
④せん定によるミス
花後せん定を正しい時期に行わないと、花芽を切ってしまいます。
特に、春から夏にかけて咲く花木の大半は、開花とほぼ同時に新芽が伸びるので、花後せん定の時期がずれると、花芽分化が終わっているので注意が必要です。
⑤病虫害による衰弱
花芽分化期に病虫害が発生すると、葉が弱って栄養不足になったり、花芽そのものを食べられたりして花が咲かない原因になります。
適切な予防と早期発見や駆除が重要となります。
また、燃焼等に伴い発生する「煤煙=ばいえん」などの公害や、海岸地の潮風によるの衰弱も花芽をつけない原因になります。
早めに防煙、防風対策、移植や幹巻きなどの保護を行うことが大切です。