沈丁花 ジンチョウゲ科
中国原産で日本へは室町時代以前に渡来したと考えられています。
しかし、中国の自生地は無く、原産地は曖昧とされています。
「沈丁花」の名は花の匂いが香木の沈香(じんこう)と言う香木に似ており、また丁子(丁字)と言う植物に似た姿であることに由来している。
また、沈丁は沈香から転化したものという説もある。
丁子(丁字) とは
熱帯産の常緑樹(ちょうじの木)からとる香料、クローブ
春先に小さなつぼみをたくさんつける沈丁花は、3月から4月にかけて開花する。
中国原産で、本来は暖かい地方に自生していますが、樹勢が強いので、マルチングなどの冬季管理をしっかりすれば、東北地方南部まで、植栽できます。
また、東北地方や北海道では落葉性のオニバシリが自生しますが、これも沈丁花の一種です。
開花が終わると、花後剪定に適した時期になりますが、それほど背丈が高くならない樹種なので、大がかりな手入れをする必要はありません。
半日陰でも十分育つため、鉢植えやマンションなど狭い所でも楽しむのにも適した樹木でしょう。
半日陰でも十分育つため、鉢植えやマンションなど狭い所でも楽しむのにも適した樹木でしょう。
一般的には玄関先に植え付けるのが最適で、甘い香りが漂う。
生育管理
暖かい場所を好むので、地面が凍結する地域では冬季のマルチングが必要です。日照条件にはあまり左右されませんが、根が傷みやすいので、土壌管理には十分注意しましょう。
有機質の肥えた土壌に保つこと、根腐れを興さないためにも、水を与えすぎないようにします。
細い根が多く生えるので、移植する際にはなるべく根を傷めないように、堀り取る必要があります。
しっかり根付けばそれほど問題なく生育しますが、都心部などで稀に葉が極端に黒ずみ、樹勢の弱まることがあります。
これは、土壌改良の際に苦土石灰など、アルカリ性の客土を混ぜ過ぎることが主な原因です。
また、コンクリートの風化したものが、土壌に混じり、土壌のアルカリ化が進んだ場合にも起こります。
植え付け時は当然のことですが、その後も定期的に土質を検査することが、トラブルを未然に防ぐことになるでしょう。
施肥
特別に行う必要はありませんが、火山灰質など、水分と道地に養分の流出が著しい土壌では、花後に粒状の化成肥料をお礼肥として与えるとよいでしょう。剪定、整姿
沈丁花は一般に7年から10年と寿命が短いので、自然樹形で育てる方がよいでしょう。手を加えなくても概ね円い形に整うので、どうしても造形ものに仕立てたいときは、「玉仕立て」にするとよいでしょう。
花芽は7月〜9月頃に頂芽に分化し、この花芽が冬を越し、翌春開花します。
せん定は花が咲き終えた後から、5月にかけてが適期です。
花後に樹形を乱す枝のみを切り戻す。
込み過ぎている部分の枝や、樹冠内部の花がつきにくいふところ枝、徒長枝などを枝の分岐点の部分で切り詰めます。
不定芽はほとんど生じないので、枝を途中で切ることは避けるようにします。
大きいものを小さくする場合は、樹勢の衰えや、花つきが悪くなるのを防ぐために、2〜3年に分けて少しずつ小さくする分散せん定が大切です。
一度に強いせん定を行うと樹勢を弱くしてしまいます。
根や枝が細く、土との相性を保つのが難しいので、その他の繁殖方法はあまり適していません。
開花時の春頃と梅雨時が適期で、上手に殖やすには、枝を地面に直植えする「地ざし」がよいでしょう。
水はけのよい赤玉土か鹿沼土を用土として栽培。
10㎝前後の挿し穂を利用する場合は、浅い素焼きの鉢か、カネ製の箱を利用すると良いでしょう。
ジンチョウゲの薬効
日本へは薬用植物として渡来したもされています。
ジンチョウゲの花には、消炎、鎮痛、抗菌、抗ウイルスなどの薬効があるとされ、爽やかな香りは精神的に疲れた時に、気持ちを落ち着かせる効果があると言われています。
漢方薬としては瑞香花(ずいこうか)といい、花の部分を歯痛、乳がん初期、咽喉痛、神経痛などの薬にしました。
また、民間療法では花を日干しにして煎じた液を、特に歯痛や口内炎、のどの痛みやうがい薬に使用したとされます。
ジンチョウゲには毒性があり、葉や花、樹液などに「ダフネチン」という毒成分が含まれており、皮膚に樹液がつくと皮膚炎や水ぶくれを引き起こします。
更に、誤って口にすると胃腸障害や口内炎症、水疱を発症させる原因になります。