植物の生育には温度と湿度が大きく影響しています。
特に冬の寒さ、夏の暑さを生き延びために植物は色々な工夫をしています。
気温と植物の関係
寒さに強い樹、弱い樹
植物の耐寒性は種によって大変な差があり、冬の厳しい寒さにあうと枯れてしまう熱帯起源の植物がある一方、マイナス60度という超低温の中でも生存できる北極地方のワタスゲ、スゲ、矮性低木(チョウノスケソウ)などの植物もあります。
一般に植物は、冬の低温にあって組織が凍ってしまっても、氷が解けるとまた機能を回復するものが多い。
低温に強いかどうかは氷が解けるとときに、機能が回復する力の程度によって決まるようです。
また、低温への適応としては、寒さに強い形で越冬するという植物もあります。
乾燥した種子や、芽、地下茎などの形で越冬するのがその例である。
植物の地理的な分布は、その土地の冬の気温に大きく影響されます。
どのような地域にどのような群系が繁殖しているかを示したものを、植物の生態分布と言いますが、この生態分布は植物同士の相互の関係によっても影響されます。
主な影響を与えるのは、気温や降水量といった気候条件です。
気温は地球の赤道と極からの距離、つまり緯度差による変化が大きい為、降水量は大陸の海岸から内陸へ向かうに連れて変化します。
一般に寒さに強いのは針葉樹と落葉樹で、常緑樹は冬、暖かく年間降水量も多い土地に向いている傾向があります。
落葉樹は冬を生き抜く手段として、葉を落としますが、これは一種の「冬眠」とも言えるでしょう。
暑さに強い樹、弱い樹
植物の高温に対する耐暑性は、耐寒性と同様で種によってたいへん差があります。
高山に育つ陰生植物(日陰を好む植物)や極地に分布する海藻などは、高温に弱く呼吸が光合成を上回ってしまうことで、消耗が激しくなり枯れてしまいます。
植物は光合成によって作られた糖と気孔から吸った酸素を結びつけてエネルギーに変え、二酸化炭素を放出します。
これを「植物の呼吸」といい、光合成と全く逆の反応をしています。
呼吸は光と関係なく1日中行われています。
もっと高温の場合は、葉などの原形質(細胞の生きている部分、核と細胞質)が固まってしまい、枯れることもあります。
同種の植物でも、育つ環境によって耐熱性が向上することもあります。
砂漠や海辺の植物が耐熱性を持っているのは、生育条件と関係があると見られています。
また、ヨーロッパのように涼しい気候のところで育った樹は、暑さに弱いものが多く、高温多湿の土地でうまく育ちません。
湿度と植物の関係
気温とともに植物の生育に関係が深いのが湿度です。
植物は葉の裏にある気孔を通して、蒸散作用を行います。
蒸散は植物の表皮の外側からも行われていますが、ほとんどは葉の気孔を通して行われています。
蒸散により水分が放出されて、葉が水不足になることで、植物が根から水を吸い上げる力となっています。
しかし、あまり高温で水蒸気要求度が高く、水分の蒸散が激し過ぎてしまうと、根からの吸水が追いつかずに植物は消耗してしまいます。
また、冬は根の働きが鈍っているのに、空気が乾燥することで水不足になる傾向があります。
温度、湿度と病原菌の関係
《温度》
一般に胞子の形成に適する温度は、菌糸の生長に適した温度とほぼ一致しています。
イネのいもち病菌では、菌糸の生育適温は28℃で、胞子形成の適温も28℃で両方が一致しています。
また、野菜類の灰色カビ病菌もそれぞれ25℃であり、トマトの萎縮病では28℃である。
《湿度》
多数の病菌では、胞子の形成には低湿度よりも高湿度の方が適しています。
しかし、ウドン粉病菌では、分生子及び子のう殼の形成とも空気湿度が低いときに盛んである。
病原菌の性質を明らかにするため、あるいは殺菌剤の効果を検定するなどのために接種試験を行う場合には、条件を組み合わせて培養すると、接種源として多量の胞子を得ることができる。
湿度は空気に含まれる水蒸気量を表す尺度で、相対湿度(RH)と絶対湿度があるが、単に湿度という場合は相対湿度を指す場合が多い。
相対湿度は観測された水蒸気圧を、観測された気温に対する飽和水蒸気圧で割ったものであり、体感的な空気の湿り具合とよく対応する量である。
絶対湿度は、単位体積の空気中に含まれる水蒸気の質量として定義される。
空気中の水蒸気量を表す概念として、他に露点、比湿、混合比などがある。
露点とは観測された水蒸気圧を、飽和水蒸気圧とする温度である。
気温と露点の差は湿数と呼ばれ、湿度がゼロに近いほど空気が湿っていることを表します。
比湿とは、空気密度に対する水蒸気密度の比であり、混合比は、空気の水蒸気以外の成分の密度に対する水蒸気密度の比である。
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