緑のお医者の徒然植物記

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2025/09/06

資本主義社会による地球大気の破壊 No.774

 地球大気は生命維持装置


地球大気と言う生命維持装置は、地球で生命が最初に生まれた海から生命の上陸が始まって4億年の間、その役目を忠実に果たしてきました。


人類と人類社会が誕生してからも、資本主義の時代になるまでは、その機能を破壊するような事態が起きたことは一度もありません。

地球大気の状態に、地上の生命を脅かす危険が目に言えるように現れ始めたのは、二十世紀に入ってからのことです。


最初に問題になったのは、オゾン層に穴が空き始めたことでした。


1970年代に南極の上空に大きな穴が発見され、調査の結果その原因は1930年に発明された「フロンガス」でした。

フロンガスは冷蔵庫の冷却材や発泡スチロールなど、多方面に使われていましたが、このフロンガスがオゾンを破壊する働きをしていたのです。


その後、フロンガスの使用を禁止する措置がなされたことで危険は最初の段階で抑えられましたが、この時フロンガスを製造していたアメリカの大企業「デュポン」が、フロンガスの規制に猛烈に反対しました。

これは、人類と地球の運命に関わる大問題でも、利潤第一主義が資本の行動原理である事を証明した出来事でした。



続いて問題になったのが地球温暖化の進行です。

これは、オゾン層の破壊以上に深刻で重大な危険でした。

大気の温度を安定的にする上で大事な意味を持つ二酸化炭素(CO2)の濃度が大きな上昇を見せ、それにつれて気温が上がり始めたのです。


産業革命(1760〜1840年)以来の平均気温の上昇は、約0.8度に達しました。

これは、30億年にも渡る生命と地球の共同作業で作り上げられた地球大気と言う「生命維持装置」が崩れ始めたということです。

現在、地球温暖化に伴う気候の変動は、地球上のどの大陸でもはっきりとした影響を示し始めています。


事態がこのまま推移するなら気温の上昇はこれから先も加速し、21世紀末には広大な地域が海面の上昇により水没して、家を失う人口は数億にものぼる事が予測されています。

この気候変動は自然の作用による現象ではなく、明らかに人間の経済活動が引き起こしたものです。

石炭、石油などの化石燃料の消費は、消費すれば消費しただけの二酸化炭素が確実に出ます。

資本主義的生産の急速な拡大とともに、二酸化炭素の排出量が大きくなり地球の大気の構成を変動させます。


現状は、明らかに平均気温が上昇し、それが次第に加速する段階にまで達しているのです。

1世紀半にも満たない間に急速に、エネルギーの消費量が膨張した事は前例のないことです。


これは「生産のためには生産」と言う拡大の道をひたすら突き進んできた、資本主義的生産様式の紛れもない結果だと言う事です。

特に、エネルギー消費の膨張の度合いが極端に激しくなったのは、第二次世界大戦後の数十年の事です。

資本主義的生産は、大量生産、大量消費、大量廃棄の生活を国民に押し付け、人々の生活をその枠組みに否応無しにはめ込んできたのです。


もともと信用あるメーカー等は、商品の対応年数(期間)の長さを誇り、故障すれば修理用に部品を準備しておく事を義務としていたものです。

ところが現在では、少し古い機器は故障するともう部品も手に入らない、そんな事が当たり前になっています。

物を大事にすると言う概念も無くしたのです。

資本主義的生産様式によって、一般庶民の生活様式そのものが大量消費、大量廃棄型に作り変えられてしまったのです。

国民にこのような生活様式を押し付けてきた事を含めて、地球温暖化を引き起こした元凶が、他ならぬ資本主義的生産様式とその利潤第一主義にあることを見定める必要があります。


イギリス産業革命から260余年、第二次世界大戦後を取り上げれば80年、資本主義的生産は地球と生命が30億年と言う長い歴史をかけて作り上げた、生命維持装置=地球大気をわずかな期間に根底から破壊の危機へと追い込んだのです。

この危機は、地球上の全ての大陸で起こっている異常気象がはっきり示しています。

もはや一刻の猶予も許されないところに来ているのです。


京都議定書は、先進国に温室効果ガス排出削減義務を課す画期的な国際条約としていますが、2001年にブッシュ大統領がアメリカ大統領に就任した時、参加しない意思を表明しました。

ここで言う先進国というのは、社会発展一般の度合いを示すものではなく、京都議定書で先進締約国として地球温暖化について特別な責任と義務を負うと規定された国々のことです。

条約では、具体的に40カ国と欧州経済共同体を指定しており、二酸化炭素排出量では発達した資本主義の国々がその大部分を占めています。



アメリカは全世界の二酸化炭素排出量の25%を占めており、京都議定書ではアメリカの温室効果ガス削減目標は7%とされていました。

これに対しアメリカは、国益に合わないと言う理由から離脱を決めたのです。

そこにはアメリカの財界、大企業の意向が強く反映していたのです。


この点では日本もアメリカによく似た状況が続いています。

日本は京都の会議の開催国ですが、開催国の責任を棚上げにして、規制措置の実行を怠ってきました。

その結果、議定書の調印から(1998年4月28日)10年後、日本では二酸化炭素の排出量が増え続けるという恥ずべき状態が続いていたのです。



現在、日本の二酸化炭素排出量は2023年度で、約10億1700万トン

これは統計開始以降で最も少ない数値となっています。

しかし、日本の二酸化炭素排出量は世界で5番目に多い国となっています。


数字上では排出量は減少と
言えるだろう。

しかし、目に見えるような変化はなく、二酸化炭素の排出は続いていることに変わりはなく、地球温暖化を止める状態には全くなっていない。

先進国の利潤第一主義のもとでの生産が続く限り、地球温暖化を止める事は難しい。

地球大気=生命維持装置を破壊する術は持っていても、その破壊の過程を止める術を人類は持っていないと言えるだろう。

しかもその破壊の道、資本主義的生産様式をやめることもできない。

世界全体の資本主義的代表生産大企業が、一致団結して解決出来るとも思えない。

また、温暖化をくい止める事は、一大企業だけではできないことなのです。







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