緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2020/04/28

ハイビスカスの植え替え No.197

ハイビスカスの植え替え

4月から5月にかけて植え替えの適期です。

ハイビスカスの鉢植えは、1~2年すると根詰まりを起こしやすくなります。

通常は一回り大きな鉢に植え替えますが、思い切って庭の花壇に植え付けるのもよい方法です。

根詰まりに心配が解消されるのはもちろん、鉢植え以上に次から次にたくさんの花を咲かせます。

まず、枯れ枝などを整理し、枝を半分ほどに切り詰めてから鉢から取り出します。

根詰まりした根鉢も同様に全体を整理します。

花壇の日当たりのよい所に根鉢の大きさの2倍ほどの穴を掘り、掘り出した土の2~3割の腐葉土と少量の★暖効性肥料を混ぜて植え付けます。

★暖効性肥料
油粕、骨粉、魚かす、鶏ふん、牛ふん、堆肥、バーク堆肥など

生育が旺盛な夏の間は水切れに注意し、10日に1回を目安に液肥(1000液)を与えます。

鉢上げは寒くなる前の10月に行います。

★参考ブログ
※ハイビスカス🌺熱帯花木 No.160






2020/04/27

サンザシ (山櫨子、山査子) No.196

サンザシ (山櫨子、山査子)バラ科サンザシ属


中国南部原産
日本には江戸時代の中期、1734年(享保19)に薬用として導入された。

当初は、果実を鎮痛、健胃、消化、止血、整腸などの効果が高い薬用樹として、各地の薬草園などで栽培されていました。


江戸幕府が小石川薬草園(現在の東京大学付属植物園)に植えたサンザシは、今も日本最初の株として残っています。

その後、初夏に咲く花と秋に実なりの美しさが珍重され、観賞木として広く親しまれることとなりました。

庭木や盆栽などの鉢植えにしやすい樹種です。

4月から5月にかけて、枝先に白色の直径1.5~2㎝の5弁花が、半球状に集まり、大きな花床を形成します。

9月~10月に球形の赤い実が熟します。(果実=ナシ状果)

春と秋に違った趣きを楽しめることから、雑木盆栽としても人気の高い樹種です。

赤い花の咲くものや黄色い実のなるもの、ヨーロッパ原産のセイヨウサンザシとの交配種など、園芸種も多彩です。

一般に、八重咲きもあるアカバナサンザシは花を重点的に楽しむのに対し、シロバナサンザシは花より実の観賞価値が高いとされ、ミサンザシと呼ばれます。

キリストが★磔刑に処された時に冠(かぶ)っていたイバラの冠は、セイヨウサンザシの小枝だと言われており、イギリスからアメリカへの移民船メイフラワー号の船尾にもセイヨウサンザシが描かれるなど、欧米でも古くから人気の高い樹種です。

★磔刑=たくけい=たっけい(ハリツケのことで張り付けてヤリで突いて行う処刑)




◉管理場所

鉢物は、春から秋までは日当たり、風通しの良い明るい戸外で管理します。

ただし、真夏の間は葉焼けを起こさないように直射日光を避け、明るい半日陰に置きます。

寒さには比較的強い樹種ですが、根の凍結を防ぐため、冬の間は寒風が直接当たらない棚下などの場所へ移動します。

◆水やり
鉢土の表面が乾いたらその都度たっぷり与えます。

特に、真夏は水切れすると葉焼けを起こしやすくなるので、1日2回~3回の水やりが必要になります。

状況に応じて霧吹きなどで葉水を与えるようにするとよいでしょう。

また、開花中は直接花に水がかからないように注意します。

★肥料

油粕を主体に骨粉、漁粉をそれぞれ油粕の2割ほど混ぜて固めたものを置き肥します。

真夏の8月を除く4月から10月にかけて、月に一回与えます。

◉剪定、整姿

樹形は模様木仕立てが一般的です。

小枝をよく出す性質があるので、芽摘みをこまめに行い、小枝の密生した美しい樹形に仕立てるようにします。

芽摘みは4月中旬頃から6月にかけて行います。

徒長した新芽の基部の1~2枚を残して切り詰めます。

すると、切断部付近から腋芽が伸び、密な小枝を作ることができます。

枝は弾力性が少なく折れやすいので、注意深く行う必要があります。

芽摘みは、新芽が伸び次第、随時行います。

サンザシの花芽は長枝にはつかず、充実した短枝の先端につきます。

翌春萌芽し、ごくわずかな新梢を伸ばして開花します。

花芽分化期は夏なので、6月までに伸び過ぎた新梢の先を切りつめ、充実した新梢(短枝)を作るようにします。


また、樹形を乱す徒長枝や込み枝の整理は秋に行います。

強い剪定をすると、強い枝が徒長しやすかなり、樹形を作りにくくなります。

こまめな剪定の繰り返しで小枝を密生させながら、樹形を作っていくのがサンザシの整姿のポイントです。

なお、サンザシは小枝にトゲを持っているので、整姿、剪定を行う際にはトゲで指を刺さないように注意して作業しましょう。

※アカバナサンザシはトゲが太く鋭いので特に注意が必要です。

★植え付け、植え替え

最適期は暖かくなってくる3月ですが、寒さに強い樹種なので、関東以西では厳寒の1月を除く11月から3月の間なら植え付け、植え替えが可能です。

樹勢が強く、若木は毎年、成木は1~2年に1回を目安に植え替えるようにします。

◆病害虫

丈夫な樹種で、致命的な病害虫に遭うことは少ないですが、新芽にアブラムシが発生する場合があります。

発生数が多い場合は、マラソン乳剤やスミチオン乳剤などを定期的に散布し駆除します。

薬剤散布は、光合成が盛んな日中よりも、夕方に行う方が薬害を避ける上でよいと言えます。

※サンザシは挿し木、取り木、根伏せができますが、開花までに年数がかかります。

アカバナサンザシは、挿し木の活着率が悪く、発根しても根数が少ない。







2020/04/26

カイドウ(海棠) No.194

カイドウ(海棠)バラ科 落葉広葉樹

別名=ハナカイドウ
中国西部原産のバラ科リンゴ属

日本には室町時代(15世紀後半)に実の大きいミカイドウが渡来し、江戸中期(18世紀初頭)頃に花の美しいハナカイドウが伝えられました。

樹勢が強く、暑さ寒さにもよく耐えることから、伝来当初から幅広く親しまれて、北海道南部から沖縄に至る各地で栽培されている。

放任すると樹高は8㍍にも達します。

剪定にも強く小ぶりに仕立てて鉢植えや盆栽にも盛んに利用されています。

園芸品種としてもっとも多く栽培されているのは、長い花柄の先に桜に似たやさしい色合いの、ピンクの花が下垂して咲くスイシカイドウ(垂糸海棠)です。

桜の花が終わりかけた頃から咲き始め、5月中旬~6月上旬頃まで花が咲きます。

いかにも女性的な趣きの花で、中国では牡丹と並ぶ人気の花木です。

その様子を酒に酔って寝た気にしている、美女楊貴妃にたとえ、「睡花」と言う別名があります。

日本にも文学作品などで「雨に打たれる海棠の風景」と美女を表する言葉が見られます。


                      「ハナカイドウ」


秋には直径5~10㍉ほどの小さな黄色い実がなります。

一方、ミカイドウはスイシカイドウと比べて花柄が短く、花の美しさでは一歩譲りますが、秋には直径20㍉位の実がなり食用になります。

中国ではミカイドウの方が多く栽培されていて、江戸時代までは日本でも単にカイドウと言う場合は、ミカイドウを指していました。

現在ではハナカイドウを指すことが多いようです。

園芸品種では花を楽しむハナカイドウが多く、八重咲きでボリューム感のあるハナヤエカイドウ

さらに大ぶりの花をつけるオオヤエカイドウ

枝垂れ性のシダレカイドウ

花が上向きに咲き鉢植えに向くウケザキカイドウ(ベニリンゴ)

葉に白い斑が入るフイリカイドウなどがあります。

また、ピンクにうっすらとぼかしが入る花を咲かせるズミ(ミツバカイドウ)は、庭木として楽しむほか、樹勢が非常に強いことから、他のカイドウの接ぎ木台木としてもよく利用されます。

◉カイドウの生育管理

花木の中では極めて樹勢の強い樹種です。

土質は特に選びませんが、花つきをより良くするためには、日当たり、水はけがよいことが条件になります。


植え付けや移植は、落葉期の11月から3月が適期で、寒い地方では春植えする。

植え穴は大きめにして、堆肥や腐葉土をよくすき込み、高植えにし、保水性を高め根の発育を助ける工夫をする。


※移植にはあまり強くないので、成木を植え替える場合は半年ほど前から★根回しをしておきます。

★「根回し」とは、確実に根付かせる為に、移植の前にあらかじめ根を切断して細い根を出させること。

◆肥料

肥沃な土地では肥料はほとんど必要ありませんが、やせ地や乾燥地では、有機質に富んだものを寒肥としてたっぷり与えます。

冬期の1月から2月に、元肥として堆肥に鶏糞と骨粉を混ぜて、株回りに埋め込みます。

追肥は花の後に、少量の化成肥料のばら蒔きと、8月末にリン酸カリ分の多い化成肥料を、成木の場合で500㌘以内ばら蒔きます。

花つきのよい樹種ですが、あまり花つきが思わしくない場合は、花芽形成の終わる8月下旬から9月上旬頃に、チッ素分の少ない化成肥料を少量施すとよいでしょう。


                        「ミカイドウ」

◉病害虫

4月頃にアブラムシが発生する場合があります。

葉が巻いてしまわないように、早めにマラソン乳剤やスミチオン乳剤の1000倍液を定期的に散布し駆除します。

また、4月から8月にかけて発生するカミキリムシの場合は、長いヒゲをもった甲虫ですので見つけしだい捕殺するか、スミチオン1000倍液を散布します。

「サビ病」には、冬期の1月から2月に石灰硫黄合剤の30倍液を散布して病気を予防し、これは同時に殺虫効果もありますので、2~3回散布します。

また、発生時期(4月から9月)には、ベンレート水和剤2000倍液かサプロール乳剤を、月に2~3回散布します。

※注意
石灰硫黄合剤は冬期以外での使用は厳禁薬剤です。

厳守しましょう。

薬害が起きてしまう危険があります。

◆カイドウの剪定·整姿

生長が旺盛な樹種です。

込み枝やふところ枝、徒長枝ができやすいので、落葉期の1月から2月にかけて整理します。

花芽は充実した短い枝につき、長い枝にはつきません。

花後の剪定は、長い枝を10~20㎝ほど残して切り詰めると、その基部から短い枝が出て翌年の開花枝となります。

この枝を切ってしまうと花が咲きません。

また、樹勢が強すぎて枝葉の生長に養分を取られると、年々花つきが悪くなることがあります。

その場合は、春先に株元の一部を掘り、根の一部を切っておくと翌年の花つきがよくなります。


★カイドウの殖やし方

接ぎ木で殖やします。

ミツバカイドウの実生苗(2年生)を台木とし、3月下旬に充実した新梢をつぎ穂にして切り接ぎにします。


✻ノカイドウ(野海棠)

鹿児島県霧島山のみに自生する。
えびの高原のものは、国の天然記念物に指定されている。

1910年(明治43年)に発見され、牧野富太郎博士によって「ノカイドウ」と命名され、新種として発表された。


                         「ノカイドウ」


✻近似種に宮崎県高鍋町の固有花木
「タカナベカイドウ」があり高鍋では「牟田桜」とも呼ばれている。


       「タカナベカイドウ、牟田桜」

✣牧野富太郎博士関連ブログ
植物を愛し続けた博士
ブログNo,395
#牧野富太郎









キウイフルーツと美容 No.195

キウイフルーツと美容について

主に生で食べられるキウイフルーツ、ジュースにしても適度の酸味が心地よい味になります。

また、ヨーグルトなどと混ぜ、健康食としても人気があり、ビタミンなどの栄養も豊富である。

シミやそばかすの主要な原因は、太陽の光に含まれる紫外線で、これが刺激となって皮膚の中でメラニンと言う黒色の色素が作られ肌がくすみます。

キウイフルーツに含まれるビタミンCメラニンの生成を抑制する作用があります。

すでにできてしまったメラニンを還元して、その色を薄くする効果があることも知られています。

キウイフルーツを食べた時の、美白効果が実証されている訳ではありませんが、その期待は大きいと言えます。


(キウイフルーツ マタタビ科)

◉皮膚=お肌の構造で特徴的なことは真皮(しんぴ)の部分のコラーゲンと言う特殊な構造を持つ繊維状のたんぱく質が豊富に存在する事です。

さて、この真皮とはどのような構造なのでしょうか?

◆真皮とは

真皮は表皮の内側にあって、肌(皮膚)組織の大部分を占めており肌(皮膚)の本体とも言えます。

部位などによって異なりますが、皮下組織を除くと平均で約2㍉の厚さがあります。

真皮コラーゲンと言う線維状のたんぱく質がその大部分を占めています。

そしてその間を「ヒアルロン酸」と言う線維状のたんぱく質も加わって肌に弾力を与えています。

これらの線維や基質を生成する細胞を線維芽細胞(せんいがさいぼう)と言います。

さらに真皮には血管やリンパ管、汗腺などがあります。




コラーゲンは肌に弾力とハリを与えます。

美肌を保つために大切なコラーゲンを作り出すのが真皮にある線維芽細胞ですが、コラーゲン合成時にビタミンCが必要不可欠となります。

つまり、ビタミンCが欠乏するとコラーゲンの合成が低下し、肌の弾力やハリが衰えるという仕組みなのです。

ビタミンCはからだの中で作り出すことも、体内に蓄積しておくこともできません。

なので、毎日コツコツ取る事が大切になります。

そこでキウイフルーツは美肌の強い味方になることでしょう。

キウイフルーツに豊富に含まれる食物繊維には、便通を良くして肌荒れを改善する効果が期待できます。

食物繊維は、食後の血糖値の過度の上昇を抑えることにより、インスリンの分泌を抑え、体脂肪の増加を防ぐ効果も示します。

食べ過ぎを防ぎ、肥満を抑制する効果が食物繊維にはあります。

体型が気になる方は、バランスの良い食事にキウイフルーツを加えて見てはいかがでしょうか。

健康的に適度のダイエットが達成できる………かも知れません。

◉美肌づくりにはゴールドキウイ
★デトックスしたい時にはグリーンキウイ

朝食べるとシミを増加させてしまうことになってしまうので、夜に食べることが、美肌にはよいとされる。






2020/04/25

ヤマブキ(山吹) No.193 

ヤマブキ(山吹)バラ科ヤマブキ属落葉低木

原産地は中国、日本で、九州から北海道に至る各地に自生しています。
別名=オモカゲソウ

自生種だけに観賞の歴史は非常に古く、万葉集の時代から多くの歌に詠まれ、親しまれてきました。

丈夫な樹種であることから、公園樹、庭園樹、環境緑化樹、生花など、幅広く利用されている。

鮮やかな緑の葉は卵形で葉縁に鋸葉があり、互生します。

枝は細くしなやかに湾曲します。
風が吹くと枝がそよそよと振られる事からヤマブリ(山振り)と呼ばれていたものが、後に転訛してヤマブキになったと言われています。

※花色がフキの花に似ていることから「ヤマブキ=山蕗」となったとする説もあります。




4月から5月にかけて直径3~5㎝ほどの5弁花が咲きます。

古人が小判の色を「やまぶきいろ」と喩(たと)えた、黄金色の美しい花です。

秋には光沢(こうたく)のある暗褐色の小さな果実が熟する。

結実しない花と思われているが、それは八重咲きのヤエヤマブキで、一重咲きのものは結実する。

この花の魅力は海外でも評価されていて、イギリスでは「ジャパン·ローズ」「イエロー·ローズ」の名で親しまれています。

★ヤマブキ属の植物はヤマブキ1種のみですが、園芸品種としてヤエヤマブキのほか、葉に白い斑が入ったフイリヤマブキ、6~8枚の細い花弁が付くシロバナヤマブキなどがあります。

品種改良がもっとも盛んだったのは江戸時代で、当時は一文字、桜咲き、糸咲き、牡丹咲き、浅黄白など今日では見られない品種が多数あったことが記録されています。

尚、類似種にヤマブキとよく似た白色花をつけるシロヤマブキがありますが、こちらは4弁花でヤマブキ属とは異なります。

◉ヤマブキの生育管理

日当たりのよい、腐植質に富んだやや湿潤地が理想ですが、半日陰でもよく育ち、土質もあまり選びません。

ただし、乾燥に弱いため、長時間西日の当たるような場所への植え付けは避けます。

暑さ寒さにも強く、ほぼ全国で庭植えが可能です。

※植え付けは、浅く広く植え穴を掘り、元肥として完熟堆肥や腐葉土を十分すき込んで植え、土中湿度を保つように株元に敷きワラなどをして管理します。

植え付け時期(3月~4月)(10月~11月)

※肥料は、寒肥として冬に株回りに完熟堆肥などをすき込む程度で、ほとんど必要ありません。

※病害虫はほとんどありませんが、まれに葉に灰褐色の斑点が生じる円斑病にかかる場合があります。

病状の出た葉や病気で落葉した葉を集め、処分しておきます。


◆ヤマブキの剪定·整姿

地際近くから地下茎枝を多数発生させ、株立ち状に生長していきます。

強い刈り込みにも耐えますが、自然樹形で楽しむのが一般的です。

樹形を乱す枝は、随時、地際から早めに切り取ります。

一般の管理は、冬期に本年枝を切り戻し、枝先が白く枯れた枝や込み枝、徒長枝などは付け根から切り取ります。

古枝になっても花は咲きますが、大株になった古枝は枯れ枝が目立つので、4年に1回を目安に地上から15~20㎝の部分で切って新しい枝に更新します。

※枝の更新は花後の5月に行います。

★ヤマブキの殖やし方

挿し木や株分けで殖やします。

簡単なのは株分けです。

春か秋に根際を掘って、根のついてる枝の3~4本を一株として切り離し、別の場所に植え付けます。



挿し木は、(3月、7月)充実した新梢を15㎝ほどの長さに切ってさし穂にします。

二時間ほど水あげしてから、赤玉土や鹿沼土などの用土に、乾燥に注意して半日陰で管理します。

※参考ブログ
挿し木(春さし) No.188
挿し木後の管理について No.189








2020/04/23

コデマリ (小手鞠) No.192

コデマリ

バラ科シモツケ属
原産地は中国ですが、日本に伝わったのはかなり古く、小花の固まりが鈴なりに咲くことから、当初はスズカケ(鈴懸)と呼ばれていました。

コデマリの名は、花の固まりを手鞠に見立てたもので、江戸時代に名付けられました。

テマリバナとも言いますが、同様に小花が群れて咲き、その固まりが大きいオオテマリ(スイカズラ科の別種)に対してコデマリと呼びます。

ちなみに今日では、スズカケはプラタナスの和名になっています。  





太い幹を形成せず、株立ち状の枝が弓なりに湾曲し、可憐な花の固まりが咲く。

耐寒性、耐暑性ともに強いことから、全国各地で庭園樹、公園樹、環境緑化樹、生け垣、街路樹の下木、切り花、茶花など、実に幅広く利用されている。

白い花の多くは、ドライフラワーにすると黄色く変色してしまいますが、コデマリは変色せず、葉も趣きのある色合いになることから、ドライフラワーとしても人気があります。

4月から5月にかけて直径1㎝以下の小さな白色5弁花が15~20ほど球状に集まった花序(花の固まり)を作ります。

秋に小さな果実が赤く熟しますが、雌雄異株のため、両方の株を植えないと結実しません。

※コデマリにたいへんよく似た近縁種として

シモツケ、八重咲きのヤエノコデマリ

花期がやや遅いイワノシモツケ、トサシモツケ

アメリカ原産で春先に美しい黄金色の葉が楽しめるキバコデマリなどがあります。

◉コデマリの生育管理

日当たりのよい腐植質に富んだやや湿潤地を好みます。

土質は特に選びませんが、乾燥が苦手なので午後の西日が長時間当たる場所は避けます。

また、極端な痩せ地や日陰地では花つきが悪くなります。

耐アルカリ性、耐酸性があり、樹勢も強いことから移植は容易です。

ただし、根が細かいため、植え付け、植え替えに際しては細根を乾かさないように扱う事が肝心です。


植え付けの穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土を十分にすき込み、やや高植えにします。

真夏は株元にワラなどを敷き、土中の湿度を保つようにします。

充実した枝を多く出させるためには冬期に油粕、鶏ふん、完熟堆肥などの有機肥料を株回りに多めにすき込みます。

また、必要に応じて花後にリン、カリを多く含んだ肥料を与えると翌年の花つきがよくなります。

※チッソ分の多い肥料の与え過ぎに注意しましょう。


★病害虫

病害虫はまれに新梢や新葉に白いカビ状の粉が吹いたようになる「うどん粉病」

夏に葉縁の一部が淡褐色に変色して輪状の病斑ができる「タンソ病」

病葉を丁寧に取り除く。
ひどい場合はうどん粉病にはカラセン水和剤

タンソ病にはベンレート、ジネブダイセンなどの水和剤などを月に2回から3回、発生箇所を重点的に散布します。

※「うどん粉病」は、病原菌が飛び散ることで伝染します。

この病原菌は雨天の時より晴天の時の方が飛翔するので、注意が必要です。

この病気の予防には、冬の1月から2月に石灰硫黄合剤を散布することが大切です。


※春からはアブラムシが出ますので注意が必要です。




◆コデマリの剪定、整姿

枝先をむやみに切ると独特の樹形を損ねることになります。

普段は冬期に極端な飛び枝や逆さ枝、込み枝、枯れ枝などを付け根や枝の分かれ目で切る程度で十分です。

樹高があまり高くなってしまうと、たわわに咲く花がよく見えません。庭植えでは、視線の高さを1.5㍍前後に抑えるとよいでしょう。

固くなった古枝は花後に根元から切り取って更新します。

株の更新は4年から5年に1回が目安です。

花芽は本年枝の葉腋につき、翌年わずかに伸びた新梢の先に開花します。

強剪定にも耐えますが、花芽分化期の9月以降に切ると、花つきが悪くなります。


◉コデマリの殖やし方

挿し木、株分けで殖やします。

挿し木は2月頃に充実した前年枝を15~20㎝に切ってさし穂とし、日当たりのよいやや湿潤地で管理し、翌春定植します。

株分けは2月から3月に掘り上げ、3~5本を1株として切り分けます。

※移植にも強く、秋10月から春3月頃まで出来ます。