カナメモチ バラ科
アジアとアメリカに60種ほど分布し、日本には3種が自生する。
別名アカメモチ
本州の静岡県以南から四国、九州地方生け垣などによく植えられているレッド·ロビンはカナメモチとオオカナメモチの雑種
自生の木を見る機会は少ないですが、山地の沢沿いなどに生えている。
小さな白い花が集まって泡立つように咲く「枕草子」に出てくるソバノキは本種で、花をソバの花に見立てたものという。
花期は5月から6月果実は12月頃に熟す寒さに弱いので関東地方より北では成育は困難です。
◉肥料
肥料はあまり多すぎないように与えます。
2月頃、鶏ふんか油粕に骨粉を2~3割混ぜたものを、根元に埋め込むか!リン酸カリ分の多い化成肥料を、根元に穴を掘って埋め込む程度で十分です。
肥料を与える時には、その分量や場所に注意が必要です。
肥料の成分が多すぎたり強すぎたりすると、肥料焼けを起こします。
◆植え付け、移植
日当たりがよく乾燥しない土質が適しています。
特に乾燥には弱いので、土質には注意が必要です。
根づきが悪く寒さにも弱いので、幼木のうちは風よけを立てて寒風を防ぐことが必要です。
垣根に新しく植え付ける場合には、ポット仕立ての苗を購入し、スコップで植え穴を掘り、腐葉土をよく混ぜて2年生の苗ならば、約30㎝間隔くらいで植え込みます。
また、長年植えたままの成木を移植する時は、前年に根回しをしておき、細根を出させてからでないとうまく根付きません。
前年に根切りをして細根を出させます。
この場合もよく腐葉土類をすき込んで、大きめの植え穴に水ぎめで植え込みます。
植え穴に水をたっぷり入れて、土を埋め戻してからさらに水を注ぐ
枝葉も全体に切り詰めて、樹勢の衰えを防ぎます。
時期としては4月から5月が最も適しています。9月から10月中旬も行えます。
(オオカナメモチ、葉や花序がカナメモチより大きい)
◉病気
※褐斑病
葉に褐色から黒褐色な斑紋ができる病気の総称です。
はじめは葉に褐色から黒褐色の小さな斑点が生じ、これが次第に大きくなり5ミリくらいの病斑に拡大します。
病気が進むと樹の下の方から葉が枯れ、落葉することもあります。
発生する時期は5月から10月で、特に夏の初めの高温多湿時に多発する。
病原体のほとんどはカビです。
デンドロビウム(洋ラン)の褐斑病だけは、病原体がバクテリアです。
病原体は病気にかかった葉や、病気になって落ちた葉の上で越冬し、翌年の春に風や風に含まれる水滴などに運ばれ、他の植物に感染します。
他に水媒感染のように雨水に病原体が溶け込み、その水が跳ね返ることによって、感染することもあります。
★治療
病気にかかった葉を見つけたら取り除きましょう。
また、病葉に直接水をかけないように気をつけます。
薬剤は発生期の5月頃から10月まで、ダイセン、ベンレートなどを月に2回くらいの割合で散布しましょう。
この病気は連作したり、管理を怠ると発生しやすくなります。
多湿を防ぐために、要らない古株を冬の間に処分をし、せん定して風通しをよくし、日がよく当たるようにしましょう。
◉ゴマ色斑点病
葉、果実、枝などに直径2~5ミリのゴマ色(黒から黒褐色)の病斑を生じます。
病気が酷くなると葉が落ちてしまい、病気にかかったあとにできる葉も次々に発病します。
葉の裏側には、黒色の分生子層(ふんせいしそう)=発芽のもとになる胞子の塊ができます。
発生時期は4月から9月です。
病原体はカビで、分生子を作るのが特徴です。
このカビは1本の剛毛が生えていて、一見したところ虫のように見えます。
病斑の上で冬を越した分生子が春になると発芽して、空気感染や水媒感染します。
★治療
被害部を見つけたらすぐに除去して処分します。
4月から6月にかけてトップジンMやベンレートを数回散布しましょう。
前の年に病気の発生した場所での連作はなるべく避けましょう。
水媒感染を防ぐために、敷きワラや風通しをよくすることも大切です。
◉害虫
※アオバハゴロモ
葉に綿のようなものがつきます。
綿状の長い毛のようなロウ質物を体につけた虫がいて、脱落したロウ質物が樹幹を白く汚します。
年1回の発生で、枯れた枝に産み落とされた卵で越冬し、5月頃に幼虫が発生します。
成虫は7月頃から現れ、9月頃まで成虫、幼虫が混生しています。
※ダイアジノン、ディプテレックス、デナポンなどの薬剤を散布する。
密植された垣根や、枝の混んだ樹木に多く発生、風通しの悪い庭にもよく見かける。
高温、乾燥の時に多発しやすい。
※アブラムシ
4月から9月に多く発生、薬剤を散布して駆除します。
薬剤には弱いので、ほとんどの殺虫剤が効きます。
※ハマキムシ
5月から8月に発生、葉を巻いて中に隠れているので、葉を開くか葉ごと除去して捕殺します。
薬剤がかかりにくいので、効果は低いですがスミチオン、アセフェートなどは多少効果があります。
※トビモンオオエダシャク
大型のシャクトリムシで色は灰褐色、姿は枯れ枝によく似ています。
老熟幼虫は9㎝くらいの大きさになります。
1年に1回の発生で、幼虫は4月から8月に葉を食害します。
枯れ枝とよく似ているので見つけにくい害虫です。
発生量が多い時は、発生初期にディプテレックス、スミチオンなどを散布しましょう。
※ミノムシ
ほとんどすべての樹木に加害します。
幼虫は7月頃に現れて、10月頃まで葉や枝を食害します。
ミノムシのまま越冬して、翌年の4月から5月に再び食害してから成虫になります。
メスは成虫になってもミノの中で一生を過ごします
発生量が少ない時は捕殺します。
発生量が多い時には、薬剤を散布しますが、ミノがあるため効果が低いので、なるべく幼虫がチイサイ時期に散布しましょう。
薬剤はディプテレックス、カルタップなどが適しています。
越冬中のミノムシは目につきやすいので、見つけたらこまめに捕殺して、春からの被害を減らしましょう。
◉せん定
生け垣として活用されることが多く、年に3回、3月、6月、9月に刈り込みます。
9月に刈り込むことにより、秋にも新芽の赤い色が楽しめます。
樹形が出来上がっている木や生け垣は、軽く頻繁にせん定します。
誤って10月以降に行うと、冬までに充実できず、寒さに負けてしまうことがあるので、注意が必要です。