盆栽
日本人は昔から心のゆとりを求めて、盆栽を楽しんでいました。
盆栽の歴史は古く、鎌倉時代の文献(春日権現験記絵巻=かすがごんげんきえまき)に盆栽が描かれています。
※鎌倉時代=1185年~1333年
本格的な武家政権による統治が開始した時代です。
鎌倉時代から室町時代にかけて、日本の伝統文化である、茶の湯や能が生まれ、これらとともに盆栽も、公家社会や武家社会へと急速に広まりました。
以来、今日に至るまで日本を代表する文化として、親しまれてきたのです。
盆栽は、マツ類やシンパクなどの針葉樹を用いた、松柏(しょうはく)盆栽と、その他の常緑広葉樹や落葉樹を用いた、雑木(ぞうき)盆栽に分けられます。
雑木盆栽はさらに、樹木のどこを観賞するかによって花物、実物、葉物に分類されています。
◉盆栽の観賞のポイント
★幹(幹ぶり)
幹は盆栽の顔とも言える、樹形の基本を作る上で重要な部分です。
通常、幹は傷のないものが最も良いとされており「丸幹」と呼ばれます。
一方、幹の傷を利用して、観賞の価値を高める物もあります。
幹の一部の樹皮が剥けて、木質部が白骨化しているものを「シャリ幹」または「サバ幹」と呼びます。
また、樹芯(幹の先端)が自然に枯れて白骨化したものは「ジン」と呼びます。
いずれも、風雪や落雷などの自然災害に耐えて育ってきた、老木の趣を表現したものとして珍重されます。
樹木の場合も、樹齢を重ねるほど樹木の持つ趣が深くなります。
★立ち上がり
株元から最初の枝までの部分を「立ち上がり」といい、根張りと並んで、盆栽の大切な観賞ポイントになっています。
株元から力強く立ち上がっていることが、良い盆栽の条件になります。
★コケ順
立ち上がりから先端までの、幹の太さや枝の出ている位置の様子を「コケ順」と言います。
★模様
幹の曲がり具合のことを「模様」と言います。
樹形全体のバランスや美しさは、主に模様のよし悪しできまります
◉根(根張り)
昔から盆栽名木の第一の条件としてあげられるのが根張りです。
根張りとは、地表近くに伸びた側根が、木の生育とともに地表に露出してきたものを言います。
一般に、太い側根が四方に平均して力強く張り出し、大地を抱え込むように根付いているものが、良い根張りとされています。
★枝(枝ぶり)
枝は幹とともに樹形全体の印象を決定づけます。
枝ので出によって盆栽の表情が変わるからです。
枝の大小や向きに関係なく、幹の下(根元に近い部分)の枝から上に向かって順に一の枝、二の枝、三の枝と呼びます。
また、樹形を整える上で必要な枝を「役枝」樹形を整えるのを妨げる枝を「忌み枝」といい、仕立てる過程で忌み枝は切り落としていきます。
★さし枝
ひときわ長く大きく出た、樹形に変化、表情を与えるメインの枝です。
やや下向きに張り出すのが一般的です。
さし枝をどの位置にもってくるかは、樹形全体のバランスで決まります。
★受け枝
返し枝ともいわれ、さし枝の反対側から出ていて、これを受けている感じで、バランスをとっている枝です。
★落ち枝
幹の中程か、それより上辺りから下方に向かって、落ち込むように垂れている枝です。
強風などの厳しい自然環境に、耐えながら生育してきた様子を表現します。
★食いつき枝
他の枝より特に短く、樹冠にくっつくように出ている枝です。
枝配りに変化をつけ、樹形に深みを与える効果があります。
★後ろ枝
二の枝、三の枝辺りの裏側から出ている枝で、樹形に奥行きを与えます。
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