緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/10/30

ユキヤナギ No,313

 ユキヤナギ バラ科シモツケ属 

(雪柳) 別名=コゴメヤナギ 「小米柳」落葉低木

日本では関東南西部以西に自生しています。

葉が柳に似ていて細長く、枝いっぱいに雪が降り積もった様に白い小花を、咲かせる事から名付けられました。

自生種は河川の岩場を好んで生える事から、古代はイワヤナギ(岩柳)と呼ばれていたようです。


      (ユキヤナギ)


一つ一つの花は小さな米粒の様に見えることからコゴメヤナギ(小米柳)と言う別名もあります。


暖冬の年は12月下旬や1月頃から花が咲き始め、3月下旬までには一気に開花します。


シモツケ属の植物は小ぶりのものが大半ですが、ユキヤナギはその中では比較的大きく、2㍍程の高さに生長します。

植物としてよく使われているのは、在来種と小庭向きの「蒲田種」です。


シモツケ属の仲間は小花を咲かせるものが多く、アイズシモツケ、ケナシアイズシモツケなどがあります。

ユキヤナギと並んで最もポピュラーなのが、中国原産のコデマリです。

葉の形は少し違いますが、よく似た大きさの白い花を咲かせます。

しかし、枝からの花の出方が違います。

ユキヤナギは数個の花が直接枝から、束になって咲くのに対し、コデマリは一端枝から※花梗が出てその先が半球状に丸くつきます。

「小手鞠」と言う名前の由来です。

※花梗とは花を直接支える枝、茎のようなもの。

開花期もユキヤナギよりも若干遅く4月から5月になります。

花のつき方も大きさもユキヤナギにそっくりの品種に、中国原産で八重咲きの白い小花が咲くシジミバナがありますが、これもシモツケ属の仲間です。


       (コデマリ)

◉生育管理、環境
樹勢が強く基本的にはあまり土質を選びません。

1日中日が当たり、しかも株元が乾燥しないような所を最も好みます。

庭植えにする場合は適度な湿気があり、しかも水はけのよい肥沃な土質の場所がよいでしょう。


日当たりが悪いと、樹勢が弱くなり枝枯れの原因になります。

花つきも極端に悪くなります。

また、夏期にひどく乾燥しても枝先が枯れ込むので水切れに注意しましょう。


◆肥料
生育状況に合わせて、花後と9月頃に油粕と粒状の化成肥料をばら撒きます。

生育があまりよくない場合は、2月頃に油粕、鶏ふん、骨粉などを混ぜ合わせ寒肥として株回りに浅くすき込みます。

肥料の与え過ぎはよくないので注意しましょう。

◉病害虫
初夏から盛夏にかけて、うどん粉病やアブラムシが発生する場合があります。

放置すると病巣が広がるので、うどん粉病にはトップジンM水和剤やベンレート水和剤などの殺菌剤を散布します。


アブラムシには、スミチオン乳剤やマラソン乳剤などの殺虫剤を、葉を中心にして散布し防除します。

それぞれ1週間おきに2~3回散布すると効果的です。

◆せん定、整姿 (1月~5月)

放任しても整った樹形になるので、基本的には花が終わった頃に、伸びすぎた枝を切り詰める程度で十分です。


この時、内芽からの枝の分かれ目で切ると、ユキヤナギ特有の弓なりの姿を保つことが出来ます。

枝が古くなると花つきが悪くなり、枯れ枝も目立つようになります。


古い枝は花後から5月下旬までの間に、地上30㎝程度の所から刈り込んで新しい枝に更新します。

すぐに新芽が伸び、秋には若々しい姿になります。


小柄に仕立てたい時には、毎年根元から刈り込んで更新すれば小さな樹形に育てられます。


◉殖やし方

株分けは大株を掘り起こし、鋭い刃物で4~5つに切り分けて植え付けます。

植え穴には完熟堆肥や腐葉土をすき込み、少し高植えにします。


挿し木は充実した前年枝を15~20㎝に切ってさし穂とし、日当たりのよい少し湿った場所に植え付けます。


翌年植え広げると2年目には、立派な若株に生長します。

株分け、挿し木とも適期は2~3月ですが、早咲きの園芸種は11月~12月に株分けします。


◉ユキヤナギが告げる春の到来
南北に長い日本列島では、南から順番に花々の開花が春の到来を告げます。


一般には桜(ソメイヨシノ)の開花情報が馴染み深いですが、様々な色の花々が咲き始めるその中でもユキヤナギの花の美しさは、暖かな陽光と共に春の到来を印象づけてくれます。


ユキヤナギは正月から節句の間は、主に切り花として楽しまれますが、やはり本当の美しさは庭に咲き春風にそよぐ姿ではないでしょうか。


ユキヤナギの起源には様々な説があり、元々日本に自生していたと言う説や中国から渡来したと言う説、あるいは日本原産のものが中国に渡り、それがまた日本に伝来したと言う説があり、いずれにせよ東洋的な風景にはユキヤナギの持つ風情はよく似合うものです。










2020/10/29

オウバイ No,312

 オウバイ モクセイ科 落葉低木

原産地=中国北部 「黄梅」
別名=迎春花(げいしゅんか)

名前の由来は、梅の咲く時期にウメによく似た黄色い花が咲き乱れる事によります。

地方によっては黄梅を「きうめ」と訓読みする所もあるようです。

植物学的にはウメとは全く別種で、オウバイの花にはウメのような良い香りはほとんどありません。

ジャスミン属にぞくしますが芳香はありません。

中国では早春に春を迎えるように
咲くことから迎春花と言う別名があります。


茎とともに緑色で角張った形状の
枝は半ツル性で直立せず、次第に垂れ下がる性質があります。

そのため、庭木としては石垣などによく植えられる事が多い。


日本に渡来したのは、江戸時代初期と言われており、小ぶりで小さな花をよくつける事から、盆栽などの鉢植えとしても古くから親しまています。


花には香りがほとんどありませんが、枝を折るとショウガに似た香りがします。

オウバイは暖地性のものが多いジャスミンの仲間ですが、温帯性で寒さに強く日本でも各地で露地栽培が可能です。


また、暖地では次第に常緑から半常緑にかわるなど、栽培する地域によってかなり趣きが異なるのが特徴である。


園芸種には一重咲きのものと八重咲きのものがあります。

他に樹高が20~30㎝と小ぶりのヒメオウバイがありますが、耐寒性はオウバイよりも少し弱くなるようです。

近縁種にオウバイよりも大きな花を咲かせるオウバイモドキ「別名ウンナンソケイ」があり、この種は中国雲南地方原産の常緑樹です。

モクセイ科の仲間として「キンケイ」などがある。




◉生育管理、環境
日当たりの良い場所なら特に土質は選びません。

排水性が良い方が好条件になります。

反対に日陰になるような湿気の多い土質では、新梢が軟弱になったり花つきが悪くなったりします。

そう言うことから、水はけがよく
やや乾燥気味の石垣の上などは
適した植え付け場所になるでしょう。


◆肥料
肥料をあまり多く与えると、枝葉を多く茂らせてしまい、花つきが悪くなるのでチッ素分の少ない肥料を与えます。

基本的には成木として、油粕500gや骨粉200g~300g、粒状の化成肥料を少量混ぜて、花後か9月上旬頃に株元にばら蒔くか、穴を掘り埋め込みます。

◉せん定、整姿 4月~5月、11月~1月

花芽は小枝に夏頃形成されます。

花が終える頃が、樹形を整える
せん定の適期です。

枝を四方によく伸ばし、垂れ下がった枝が地面に接すると、接地部から根を出し更に生長します。

せん定には強いので強く切り詰めて大丈夫でしょう。

株立ち状の自然樹形で楽しむのが一般的ですが、下枝を整理して1本立ちの、スタンダード仕立てにする事も出来ます。

自然樹形の場合は、極端に樹形を乱す枝を間引く程度で十分ですが、枝を伸ばしたくない場合は、状況に応じて切り戻します。

整姿は花後すぐに行いますが、弓なりに枝が垂れる独特の枝振りを生かすのがポイントです。

鑑賞する場所から見て手前の枝を短く、奥の枝は長く(高く)残すと奥行きが出て花の見栄えがよくなります。

せん定の際は、必ず枝の分かれた所で切るようにしましょう。

葉芽のない部分で切ると葉芽の節まで枯れ込みます。

また、間引く時も同様です。

◆殖やし方
※とり木が地面に触れるとそこから自然に発根するので、3月から4月に切り離して新しい株とし、別の場所に植え付けます。


※挿し木は生育のよい枝を、10~20㎝の長さに切ってさし穂とし、水あげした後赤玉土や鹿沼土のさし床に挿して管理します。

4月下旬から9月上旬頃までが挿し木の適期です。

★植え付け、移植適期
3月~4月、9月~10月








2020/10/27

ベニシタン盆栽 No,311

 ベニシタン 盆栽 紅紫檀 バラ科

卵方の小さな葉が木材としてよく使われるシタン(紫檀)の葉に似ている。

秋から冬にかけて果実が、鮮やかに紅熟する事から名付けられた。

紫檀はマメ科の高木ですが「ベニシタン」はバラ科の小低木で、植物学的にはあまり深い関係はない。

園芸界ではベニシタンも含め、属名のコトネアスターの名で親しまれ、多くの園芸品種が出回っています。

中国南西部からヒマラヤ地方にかけての原産で、日本に伝えられたのは昭和初期と、比較的最近ですが今では人気樹種の一つとなっています。

初夏の頃、枝に沿って可憐なピンク色の小花を咲かせます。

花弁は全開せず、控えめな印象の花で、味わいがありますが、盆栽界樹としての魅力は、秋に紅熟し秋が深まるにつれて一層赤みを帯びる果実にある。

「実もの盆栽」としては、柔らかな曲がりをした模様木に仕立てる場合が多いようです。


その他の品種にベニシタンの変種で、白い花が咲くシロシタンも人気があります。

果実はベニシタン同様鮮やかな紅色に熟す。





◉置き場所
春から秋までの間は、日当たり、風通しのよい屋外で管理し、特に開花中は十分に日光を当てると秋に充実した果実を楽しむ事が出来ます。

冬は鉢土が凍らないような軒下や、明るい室内などで管理するようにします。

◆水やり
鉢土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまで十分に水やりします。

特に開花中は多くの水分を必要とするので、こまめに鉢土をチェックして水切れに注意しましょう。

花後も緑色の幼果が落果するような場合は、水分不足なので、水やりの回数を増やすようにしましょう。

◉肥料
油粕8、骨粉2の割合で混ぜたものを梅雨期を除き、5月から10月まで毎月1回与えます。


◉せん定
模様木の樹形に仕立てるには、挿し木の3年苗が理想的です。

最初から針金で幹を模様木風にくねらせてある苗木を見かける事がありますが、かえってその後の幹や枝の矯正が難しくなるので避けます。

1年目は樹形づくりに必要な枝だけを残して不要な枝を切ります。

残した枝は役枝となるので、十分に伸ばして充実させます。

生育中は新梢がよく伸びるので、5月から6月に芽摘みと切り戻しを行い、樹形を保つようにします。

針金は4月から6月頃にかけ、9月下旬頃に外すと言うサイクルを繰り返します。

模様木に仕立てると言っても、極端に曲げるのではなく、緩やかな曲線を持たせることがバランスのよい樹形にするコツです。


幹の立ち上がりから何回も曲がる樹形は「タコづくり」といって、嫌われるので注意しましょう。

また、ベニシタンの枝葉は水平に広がりやすく、そのまま伸ばすと、模様木独特の立体感が出てきません。


       (石付きのベニシタン)


水平に伸びた小枝にも針金をかけ、やや上向きに捻っておきます。

その状態で芽摘みを行うと、そこから発生する新芽は上向きに伸び、模様木の持ち味である立体感が生まれます。


2年目以降は徒長枝を中心に不要枝をせん定します。

樹形がある程度できてからの整姿は、3月下旬から4月上旬に花芽を持たない新梢を、2~3節残して切り詰めます。

また、不定芽が出やすい性質があるので、見つけ次第早めにかき取るようにします。


◉植え付け、植え替え
新芽が伸び始めた3月下旬から4月上旬が植え付け、植え替えの適期です。


植え替えの際は根鉢の土を3分の1程ほぐし、長く伸びた根は切り詰めて植え付けます。

生育の度合いにもよりますが、若木、成木とも2年に1回を目安に植え替えるようにします。


植え付けの用土は赤玉土8、腐葉土2の割合の混合土を用いるのが一般的です。


★病害虫
アブラムシ、アカダニ、カイガラムシなどが発生する場合があります。

発生が少量の時はその都度捕殺しますが、予防を兼ねて冬期に、石灰硫黄合剤の30倍液を散布すると効果的です。









2020/10/26

ケヤキ No,310

 ケヤキ ニレ科 落葉高木

別名=ツキ 「槻、欅」

日本の代表的な落葉広葉樹のひとつで、北海道を除く日本各地の山地に幅広く自生しているが、山野の湿り気の多い場所や、川の辺りや沢沿いなどの肥沃な所に多い。

分布の範囲は朝鮮半島、中国、台湾に及びます。

耐寒性、耐暑性とも強く、現在では北海道でも栽培されたものを見ることが出来ます。

樹高は通常10~20㍍程ですが、生育条件が良ければ50㍍に達するものも珍しくありません。

特に、関東ローム層の土壌が適している様で、関東地方の公園や街路樹などで多く見かける樹種です。

新緑から秋の黄葉、落葉後の冬の樹形がとても美しく、その雄大な樹姿を「神木」として崇め、古くから寺社などに植えられていました。

ケヤキの名は「けやかき(際立った)木」と言う古語に由来すると言われています。

萌芽力が強く、せん定にも耐えることから庭木として用いられる他、街路樹や公園樹としても幅広く親しまれています。

風には強いが大気汚染、潮風に弱い。

雌雄同株で新葉が展開する時期と、ほぼ同じ4月から5月にかけて淡黄緑色の花をつけます。

雄花は新梢の下部、雌花は新梢の上部葉の付け根の葉腋にそれぞれ開花しますが、どちらも葉の色に似ていてあまり目立たない。

果実は葉の付け根につき、4㍉程のいびつな球形をし、10月頃に成熟する。

枝から離れて落下するものと、小枝ごと風に運ばれるものとがあり、枝についた果実は遠方まで飛んで繁殖します。


葉は晩秋に黄色く色づくが茶褐色に枯れてしまうものが多い。

木材は家具材、楽器、器具材、船舶材などに古くから幅広く利用されてきました。

園芸品種は特にありませんが、庭園樹木としてエノキ、ハルニレ、アキニレなどが親しまれているニレ科の樹木です。

特に9月頃に開花する「アキニレ」は「ニレケヤキ」の名で、盆栽樹として多くの愛好家に親しまれています。


        (黄葉したケヤキ)


◉生育管理、環境
日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ肥沃な場所を好みます。

太い根を土中深く伸ばす深根性の樹種なので、出来るだけ深い層まで土壌が肥えている事が理想です。

◉植え付け、植え替え、移植
広い場所に植え付けます。

植え穴は大きく掘り、元肥として完熟堆肥を十分すき込みます。

移植には強く、かなりの大木でも1年程前から根回しをしておけば、比較的容易に活着します。

乾燥に弱いので、植え付け後は十分に水やりをし、必要に応じて幹巻きなで水分の蒸散を防ぎます。

植え付け、植え替え、移植の適期は3月と10月~12月です。


◆肥料
肥料を与えると徒長枝が伸びやすいので、極端な痩せ地でない限り必要ありません。

必要に応じて、油粕、鶏ふん、化成肥料などの寒肥を与える。

◉病害虫
まれにクワカミキリムシの幼虫に幹を食害されることがあります。

食害を受けた部分を放置すると、腐朽する場合があるので、スミチオン乳剤などを食入口に注入し駆除します。

また、夏に成虫を見かけた場合は産卵を防ぐためにもすぐに捕殺します。

◉せん定
放任しても独特の箒(ほうき)状の樹形にまとまります。

通常、庭木として楽しむ場合は、若木のうちに目標の高さを決め、その3分の1程度の樹高で芯を止めます。

高さは2㍍程の所で切るのが一般的です。

切り口から強い枝が分枝し、以後は随時切り戻す度に上へ上へと分枝して、箒状の樹形になります。

せん定の基本は徒長枝や込み枝、下垂枝などの不要な枝を付け根から切り取って透かしていきます。

若木のうちに地際近くで切り戻して、株立ち状の樹形を楽しむ事も出来ます。


◆殖やし方
秋に落果した種子をすぐに蒔くか、低温貯蔵して翌春の3月から4月頃に蒔きます。

自然落果して発芽した苗をそのまま育てる事も出来ます。

接ぎ木は2月から3月に行います。






2020/10/25

ヒマラヤスギ No,309

 ヒマラヤスギ マツ科 常緑針葉高木

別名=ヒマラヤシーダー ヒマラヤスギ属
原産地=ヒマラヤ地方北西部からアフガニスタン東部にかけての一帯

日本に伝えられたのは、明治時代の初期と言われ、広く全国に植えられている。

原産地では樹高50㍍にも達しますが、日本では20~30㍍程です。

円錐形の自然樹形が雄大で美しい針葉樹です。

公園樹、庭園樹として世界中で親しまれ、材は建築、器具、包装材などに使われる。

コウヤマキ、アラウカリア(オーストラリア原産のナンヨウスギ科の針葉樹)と並んで「世界三大公園樹」の一つに数えられている。

学名の「デオドーラ」は「神の木」に由来する。

気候の適応力が強く、日本でもほぼ全国で栽培されています。

樹形が「スギ」に似ていることから和名には「スギ」の名が付けられていますが、葉の形を見るとマツ科の植物であることが分かります。

10月から11月にかけて開花します。

雌雄同株で雄花は黄褐色で、長さ3㎝の円柱状でよく分かります。

雌花は浅緑紫紅色で約5㍉と小さく、数も少ないためほとんど目立たない。

受粉した雌花は12月に入ると3㎝程の球果(マツカサ)を作ります。

この球果は果鱗(かりん)と呼ばれる鱗状の片に分離して落下します。

一片の果鱗には2つの種子が付いていて、風に乗って飛散して繁殖します。

生長が速く強いせん定をしてもよく芽吹くため、各種の仕立て物や高生垣など利用出来ますが、車の排気ガスに弱く街路樹には適しません。


ヒマラヤスギの仲間は2~3種が知られています。

園芸では針葉がヒマラヤシーダーより短く、やや小ぶりの「レバノンシーダー」横に広がった枝が下垂する「シダレヒマラヤスギ」などが親しまれています。

※アトラスシーダー
北アフリカのアトラス山脈を原産地とする、ヒマラヤスギの仲間で原産地では、成長が早く大木となるため建材としての需要が高い。

葉の雰囲気はヒマラヤスギよりもゴヨウマツに近い。


※レバノンシーダー(スギ)
西アジアのレバノン、キプロス島及びシリア、トルコに分布、タウルス山脈トルコ(南部)を原産地とする。

ヒマラヤスギの仲間でレバノン国旗にデザインされている。

ノアの箱舟はこの木で造られたという。

◉生育管理、環境
日当たり、水はけのよい適度な湿度を保った場所を好みます。

土質は特に選びませんが、アルカリ性土壌は好ましくありません。

耐隠性はあるがなるべく日当たりのよい場所を選びます。

◆植え付け、植え替え、移植
庭での植え付けは、生長を考えて出来るだけ広い場所にします。

植え穴は大きめに掘り、元肥として完熟堆肥をすき込みます。

大木になる割には根が浅く、乾燥にも弱いので移植後は支柱を立て、株元をマルチングして乾燥を防ぐようにします。

植え付け、植え替え、移植の適期は3月、10月から11月です。


★肥料
生育状況に応じて、2月頃に堆肥、腐葉土、鶏ふんなどの有機肥料を株回りに環状施肥します。


◆害虫
マツ科の植物につく、マツカレハ、ツガカレハによる葉の食害が発生する場合があります。

幼虫の早期発見と補殺が大切です。

薬剤はスミチオン、カルホスを散布します。


◉せん定
地際に近い程、枝を広げて下垂させ円錐形の美しい自然樹形になります。

刈り込みにも強く自然樹形以外にも、円筒形仕立て、ロウソク仕立て、段造り、散らし玉、生垣仕立てなど様々な樹形を楽しむ事が出来ます。

樹勢が強く、萌芽力も旺盛な樹種ですが晩秋のせん定や刈り込みは、軽めに行うようにします。


基本せん定は春から初夏に行います。

大きく枝が広がるので、庭などでは形のよい側枝を残して主枝を切り、幅を抑えるようにします。

枝を切り戻す時は葉の付いた小枝を残すようにします。

細い枝は枯れやすいので弱い枝は整理して、太さの揃った枝で樹形を整えます。

根が浅いことから強風で倒れやすいので、適度な枝抜きで風当たりを少なくすることも大切です。

また、強い日射しを浴びると幹焼けを起こしたり、樹木の表皮が割れたりする事があるので、初夏に
枝を抜いた後は緑化テープやコモなどで、幹巻きするなどし保護します。


◉殖やし方
晩秋から冬に落下した、果鱗を乾燥させないように低温貯蔵し、翌年の2月から3月頃に蒔きます。

挿し木も(6月~7月頃)可能ですが、挿し木苗は枝がきれいに四方に伸びず、寿命も短いと言われあまりお勧め出来ません。







2020/10/22

ガマズミ No,308

 ガマズミ スイカズラ科 落葉低木

別名=ヨウゾメ、ヨシズミ 
「莢迷」

原産地=日本、朝鮮半島、中国一帯

日本では北海道南部から四国、九州に至る全国の原野や低山地に幅広く分布し、雑木林や林縁に多い。

5月から6月にかけて、多数の可憐な白色小花が傘状に付く、★散(繖)房花序を形成する。

★散(繖)房花序=さんぼうかじょ
花軸につく花の柄が、下部程長く上部は短いため全体がドーム状になる。

葉は広い卵形で長さ10㎝以上と大きく対生する。

葉の両面に毛が生えているのも特徴で、触るとザラッとする。

10月頃から12月にかけて、球形の果実が一斉に結実します。

果実は最初、鮮紅色で次第に暗褐色に熟して行く。

自生種は林の奥深い所よりも、人里に近い林縁付近の明るい場所を好んで生育するため、人目を引きやすく古くから庭木や道具材などに、幅広く利用されていました。

樹高が2~4㍍と低く、扱いやすいことから初夏の花、晩秋から冬にかけての紅葉と色鮮やかな果実など、四季を通じて楽しめることから、鑑賞木としての価値は高い。

果実が赤くなる頃に葉もわずかに色づくが、時に真っ赤に色づくこともある。

赤い果実は、霜が何度か降りると透明になり、白い粉をふいたようになると、やわらかくて食べ頃となり、地方によっては食用にもされた。

昔の子供たちはおやつ代わりに食べたので、そんな記憶を持つ人もいる事でしょう。

味は甘酸っぱい、各地の山野にごく普通に見られるので、ヨシズミ、ヨソゾメなどの地方名も多い。

名前の由来には諸説あり、神つ実(神の実)の転訛で昔は果実を冬の神前へ供えたとする説や、果実を衣料などの染料に用いた「別名ヨウゾメ」ことから、「染め」が「スミ」になったとする説などが有力です。

ガマズミの果実は生食にする他、リキュールに漬けると美しいピンクの果実酒になります。

木材は堅く丈夫で、杖やハンマー🔨(金づち)の柄などの材料として利用されています。

ガマズミには同属の近縁種が多く、日本だけでも30種以上あると言われています。

※特に園芸品種で親しまれて居るのは果実が黄色い「キミノガマズミ」

※淡紅色を帯びた白色でほのかな芳香のある「チョウジガマズミ」

※葉の大きい「オオバチョウジガマズミ」

※花数、枚数ともガマズミより少ない「オトコヨウゾメ」

※ガマズミよりやや高地に自生し、北海道中部でも生育可能な「ミヤマガマズミ」などがあります。


◉生育管理、環境
日当たりを好みますが、一日中日の当たる場所より半日くらいの日の当たる、強い西日が当たらない場所がより適しています。

水はけがよく腐植質に富んだ土が理想的ですが、土質は特に選びません。


極端な乾燥は嫌いますが、適度に湿った土からやや乾燥した土までよく育ちます。


      (ガマズミの花)


◆植え替え、移植
植え付けは植え穴をやや大きめに掘り、根元にピートモス、完熟堆肥などを敷いて植え付けます。

ガマズミは比較的根が粗いので、植え鉢の土を崩さないように丁寧に扱うことと、乾燥を避ける事が大事です。

また、必要に応じて支柱を立てるようにします。

植え付けの適期は落葉期の2月~3月または、11月下旬~12月です。

活着してしまえば丈夫でほとんど手のかからない樹種です。

移植は11月下旬から12月と2月から3月

◆肥料
極端な痩せ地でない限り、肥料はほとんど必要ありません。

樹勢が弱い場合は、2月頃に油粕、骨粉を混ぜた有機肥料を一握り程度株元にまきます。


◉せん定
放任しても株立ち状によく樹形がまとまります。

萌芽力は強い方ですが強せん定は好みません。

自然樹形で育てるのが一般的です。

徒長枝やひこばえを整理して、3本立ち程度にして株元をすっきりさせるとよいでしょう。


花芽は枝の基部に近い短枝につきます。

せん定は12月から2月頃に、徒長枝や樹冠内部の混み枝を間引く程度にとどめ、枝の途中で切らないことが大事です。

花後は特に手を加える必要はありません。

★殖やし方
晩秋から冬にかけて熟した果実をとり、果肉を落として湿った砂などに入れて低温貯蔵します。

翌春、暖かくなり始める3月に蒔き、乾燥に注意して半日陰で管理します。