ヒマラヤスギ マツ科 常緑針葉高木
別名=ヒマラヤシーダー ヒマラヤスギ属
原産地=ヒマラヤ地方北西部からアフガニスタン東部にかけての一帯
日本に伝えられたのは、明治時代の初期と言われ、広く全国に植えられている。
原産地では樹高50㍍にも達しますが、日本では20~30㍍程です。
円錐形の自然樹形が雄大で美しい針葉樹です。
公園樹、庭園樹として世界中で親しまれ、材は建築、器具、包装材などに使われる。
コウヤマキ、アラウカリア(オーストラリア原産のナンヨウスギ科の針葉樹)と並んで「世界三大公園樹」の一つに数えられている。
学名の「デオドーラ」は「神の木」に由来する。
気候の適応力が強く、日本でもほぼ全国で栽培されています。
樹形が「スギ」に似ていることから和名には「スギ」の名が付けられていますが、葉の形を見るとマツ科の植物であることが分かります。
10月から11月にかけて開花します。
雌雄同株で雄花は黄褐色で、長さ3㎝の円柱状でよく分かります。
雌花は浅緑紫紅色で約5㍉と小さく、数も少ないためほとんど目立たない。
受粉した雌花は12月に入ると3㎝程の球果(マツカサ)を作ります。
この球果は果鱗(かりん)と呼ばれる鱗状の片に分離して落下します。
一片の果鱗には2つの種子が付いていて、風に乗って飛散して繁殖します。
生長が速く強いせん定をしてもよく芽吹くため、各種の仕立て物や高生垣など利用出来ますが、車の排気ガスに弱く街路樹には適しません。
ヒマラヤスギの仲間は2~3種が知られています。
園芸では針葉がヒマラヤシーダーより短く、やや小ぶりの「レバノンシーダー」横に広がった枝が下垂する「シダレヒマラヤスギ」などが親しまれています。
※アトラスシーダー
北アフリカのアトラス山脈を原産地とする、ヒマラヤスギの仲間で原産地では、成長が早く大木となるため建材としての需要が高い。
葉の雰囲気はヒマラヤスギよりもゴヨウマツに近い。
※レバノンシーダー(スギ)
西アジアのレバノン、キプロス島及びシリア、トルコに分布、タウルス山脈トルコ(南部)を原産地とする。
ヒマラヤスギの仲間でレバノン国旗にデザインされている。
ノアの箱舟はこの木で造られたという。
◉生育管理、環境
日当たり、水はけのよい適度な湿度を保った場所を好みます。
土質は特に選びませんが、アルカリ性土壌は好ましくありません。
耐隠性はあるがなるべく日当たりのよい場所を選びます。
◆植え付け、植え替え、移植
庭での植え付けは、生長を考えて出来るだけ広い場所にします。
植え穴は大きめに掘り、元肥として完熟堆肥をすき込みます。
大木になる割には根が浅く、乾燥にも弱いので移植後は支柱を立て、株元をマルチングして乾燥を防ぐようにします。
植え付け、植え替え、移植の適期は3月、10月から11月です。
★肥料
生育状況に応じて、2月頃に堆肥、腐葉土、鶏ふんなどの有機肥料を株回りに環状施肥します。
◆害虫
マツ科の植物につく、マツカレハ、ツガカレハによる葉の食害が発生する場合があります。
幼虫の早期発見と補殺が大切です。
薬剤はスミチオン、カルホスを散布します。
◉せん定
地際に近い程、枝を広げて下垂させ円錐形の美しい自然樹形になります。
刈り込みにも強く自然樹形以外にも、円筒形仕立て、ロウソク仕立て、段造り、散らし玉、生垣仕立てなど様々な樹形を楽しむ事が出来ます。
樹勢が強く、萌芽力も旺盛な樹種ですが晩秋のせん定や刈り込みは、軽めに行うようにします。
基本せん定は春から初夏に行います。
大きく枝が広がるので、庭などでは形のよい側枝を残して主枝を切り、幅を抑えるようにします。
枝を切り戻す時は葉の付いた小枝を残すようにします。
細い枝は枯れやすいので弱い枝は整理して、太さの揃った枝で樹形を整えます。
根が浅いことから強風で倒れやすいので、適度な枝抜きで風当たりを少なくすることも大切です。
また、強い日射しを浴びると幹焼けを起こしたり、樹木の表皮が割れたりする事があるので、初夏に
枝を抜いた後は緑化テープやコモなどで、幹巻きするなどし保護します。
◉殖やし方
晩秋から冬に落下した、果鱗を乾燥させないように低温貯蔵し、翌年の2月から3月頃に蒔きます。
挿し木も(6月~7月頃)可能ですが、挿し木苗は枝がきれいに四方に伸びず、寿命も短いと言われあまりお勧め出来ません。
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