ユキヤナギ バラ科シモツケ属
(雪柳) 別名=コゴメヤナギ 「小米柳」落葉低木
日本では関東南西部以西に自生しています。
葉が柳に似ていて細長く、枝いっぱいに雪が降り積もった様に白い小花を、咲かせる事から名付けられました。
自生種は河川の岩場を好んで生える事から、古代はイワヤナギ(岩柳)と呼ばれていたようです。
(ユキヤナギ)
一つ一つの花は小さな米粒の様に見えることからコゴメヤナギ(小米柳)と言う別名もあります。
暖冬の年は12月下旬や1月頃から花が咲き始め、3月下旬までには一気に開花します。
シモツケ属の植物は小ぶりのものが大半ですが、ユキヤナギはその中では比較的大きく、2㍍程の高さに生長します。
植物としてよく使われているのは、在来種と小庭向きの「蒲田種」です。
シモツケ属の仲間は小花を咲かせるものが多く、アイズシモツケ、ケナシアイズシモツケなどがあります。
ユキヤナギと並んで最もポピュラーなのが、中国原産のコデマリです。
葉の形は少し違いますが、よく似た大きさの白い花を咲かせます。
しかし、枝からの花の出方が違います。
ユキヤナギは数個の花が直接枝から、束になって咲くのに対し、コデマリは一端枝から※花梗が出てその先が半球状に丸くつきます。
「小手鞠」と言う名前の由来です。
※花梗とは花を直接支える枝、茎のようなもの。
開花期もユキヤナギよりも若干遅く4月から5月になります。
花のつき方も大きさもユキヤナギにそっくりの品種に、中国原産で八重咲きの白い小花が咲くシジミバナがありますが、これもシモツケ属の仲間です。
(コデマリ)
◉生育管理、環境
樹勢が強く基本的にはあまり土質を選びません。
1日中日が当たり、しかも株元が乾燥しないような所を最も好みます。
庭植えにする場合は適度な湿気があり、しかも水はけのよい肥沃な土質の場所がよいでしょう。
日当たりが悪いと、樹勢が弱くなり枝枯れの原因になります。
花つきも極端に悪くなります。
また、夏期にひどく乾燥しても枝先が枯れ込むので水切れに注意しましょう。
◆肥料
生育状況に合わせて、花後と9月頃に油粕と粒状の化成肥料をばら撒きます。
生育があまりよくない場合は、2月頃に油粕、鶏ふん、骨粉などを混ぜ合わせ寒肥として株回りに浅くすき込みます。
肥料の与え過ぎはよくないので注意しましょう。
◉病害虫
初夏から盛夏にかけて、うどん粉病やアブラムシが発生する場合があります。
放置すると病巣が広がるので、うどん粉病にはトップジンM水和剤やベンレート水和剤などの殺菌剤を散布します。
アブラムシには、スミチオン乳剤やマラソン乳剤などの殺虫剤を、葉を中心にして散布し防除します。
それぞれ1週間おきに2~3回散布すると効果的です。
◆せん定、整姿 (1月~5月)
放任しても整った樹形になるので、基本的には花が終わった頃に、伸びすぎた枝を切り詰める程度で十分です。
この時、内芽からの枝の分かれ目で切ると、ユキヤナギ特有の弓なりの姿を保つことが出来ます。
枝が古くなると花つきが悪くなり、枯れ枝も目立つようになります。
古い枝は花後から5月下旬までの間に、地上30㎝程度の所から刈り込んで新しい枝に更新します。
すぐに新芽が伸び、秋には若々しい姿になります。
小柄に仕立てたい時には、毎年根元から刈り込んで更新すれば小さな樹形に育てられます。
◉殖やし方
株分けは大株を掘り起こし、鋭い刃物で4~5つに切り分けて植え付けます。
植え穴には完熟堆肥や腐葉土をすき込み、少し高植えにします。
挿し木は充実した前年枝を15~20㎝に切ってさし穂とし、日当たりのよい少し湿った場所に植え付けます。
翌年植え広げると2年目には、立派な若株に生長します。
株分け、挿し木とも適期は2~3月ですが、早咲きの園芸種は11月~12月に株分けします。
◉ユキヤナギが告げる春の到来
南北に長い日本列島では、南から順番に花々の開花が春の到来を告げます。
一般には桜(ソメイヨシノ)の開花情報が馴染み深いですが、様々な色の花々が咲き始めるその中でもユキヤナギの花の美しさは、暖かな陽光と共に春の到来を印象づけてくれます。
ユキヤナギは正月から節句の間は、主に切り花として楽しまれますが、やはり本当の美しさは庭に咲き春風にそよぐ姿ではないでしょうか。
ユキヤナギの起源には様々な説があり、元々日本に自生していたと言う説や中国から渡来したと言う説、あるいは日本原産のものが中国に渡り、それがまた日本に伝来したと言う説があり、いずれにせよ東洋的な風景にはユキヤナギの持つ風情はよく似合うものです。