緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/01/29

庭土を団粒構造に変える No,357

 根が大好きな団粒構造

植物の根がうまく生育するには
①雨水が適度に溜まること
②しかも適度に排水されること
③通気性がよく、根が吸収する
酸素が十分にあること
④肥料が土に中に蓄えられていて
少しずつ供給されることなどが
重要となります。

土の構造が団粒構造になると
①〜④のような植物の根に適した
土になると言われています。

✫土の粒を団粒化させるには粘土と腐植の存在が欠かせません。


✻団粒構造

⑴粘土、腐植、土の粒子が結びつき極小さな微小団粒を作る。

⑵土中の根の腐敗物などの有機物や、微生物の菌糸(糸状菌)が接着剤となり、微小団粒を集めて結び付ける。
これを一次団粒と言う。

⑶更に有機物がこの一次団粒をまとめ、より大きな団粒をつくる。

また、この時生きた根の作用が
団粒を強いものにしている。

これを二次団粒または、耐水性団粒と言う。

地中物、特にミミズが腐植と一緒に粘土を食べると、その消化液で糊付けされた粘土と腐植の、複合体ができます。

これはとてもよい耐水性団粒になると言われています。

この様にしてできた団粒構造も、激しい雨が降ると壊されてしまい、もとの単粒に戻ります。


                   (土壌の単粒構造)


                   (土壌の団粒構造)


✿庭土を団粒化する

家庭の庭は、踏み固められている
場合が多く、特に庭木を移植したり苗木、若木の植え込みを行う場合は「地ごしらえ」をし、団粒構造の土質に改良しておく必要があります。

①植え込みする部分な雑草や小石を取り除き、特に雑草類は根までしっかり除去します。

②スコップなどで土を掘り返す。
一般的な溶脱層の厚さは30~50cmですが、できれば50cm以上掘り返しておきます。

❆溶脱層とは

土壌の垂直断面に見られる特徴的な層で、(正しくは層位)の一つで溶脱層位とも言う。

長期間に表層から種々の物質が失われる事の、傾向が強い部分を溶脱層と呼ぶ。
また、A層と略称する事もある。

③堆肥や腐葉土などをたっぷり土に混ぜ、養分を与えます。

堆肥、腐葉土は2㍍程度の樹木に対して、合計で10〜15㎏を目安にし、よく混ぜ込みます。

堆肥、腐葉土は等量

④酸性土壌を好む樹木を育成する場合を除いて、苦土石灰や炭酸石灰を(1平方㍍)当り、200〜600g程度をまき、土を微酸性に変えます。






2021/01/28

土質対策改善、土壌改良のしかた No,356

 ✺土質の対策改善、土壌改良

⑴がれき、石が多い土

深さ30〜50cm程の土を掘り起こし、がれきや石を取り除きます。

土が痩せている養分が少ない時は、園芸用土を入れて、よく混ぜてから植え込みを行います。

新興住宅地などは、養分を含んだ表土が造成される時に削られ、痩せた土が表面に出ている事があります。

このような土や火山灰土壌に植物を植える時は、深く掘りおこして、堆肥、腐葉土、ピートモスを土の量の10〜20%を目安に混ぜ込みます。

更に、1平方㍍当り50〜300㌘程度の暖効性肥料、例えば骨粉50㌘と鶏ふん300㌘を入れます。

こうすることで、1ヶ月後には植物を植え付ける事ができます。


❆砂質土(砂が多い土)

水はけが良すぎて、水分が不足しているので、粘土質の土を客土して保水性を高めます。

◉客土による土質改良
土壌の持つ本質的な欠陥が、生育を阻害している場合、他の場所から改良目的に合った土壌を移動して、土壌改良を行う。

客土の割合は、水はけの様子を見ながら調整します。

また、この土質は痩せていることが多いので、堆肥などをよく混ぜて肥料分の不足を補うようにします。

砂の多い土壌は、粘土分の多い土を入れたり客土や堆肥、ピートモス、腐葉土などの有機物を混ぜる方法があります。

これによって保水力、保肥力がかなり改善されます。

客土や有機物を入れる時期は、秋が最適で、それができなければ翌春に行います。

乾燥しやすい夏は、土の中に有機物を入れるとかえって、乾燥させてしまう事があるので気をつけます。

乾季には植物の根元に、被覆材として有機物を置くと、地表からの水分蒸発を抑えてくれます。

秋になってから、そのまま有機物を土にすき込むようにすれば、より効果的です。


⑶粘土(粘土分が多い土)

砂土とは反対に、排水性が悪いので砂土を客土して、排水性を高めます。

水溜りができないように、植樹空間の中央から、周囲に向かって下り勾配をつけます。

場合によっては、排水路を設けることも必要です。

より本格的な対策は、土管、ビニールパイプなどを埋めて、排水(暗渠“あんきょ”排水)を行うことです。

その場合、水が流れるようにわずかな傾斜をつける事が必要です。

全体の排水を良くする事が無理な場合は、樹木を植える所だけ高く、土を盛り上げても効果的です。

盛り土には砂質の園芸用土を使います。

また、粘土分が多い土壌なら水はけを良くするために、土壌の団粒化をはかるという考え方もあります。

その場合は、少なくとも50cmの深さまで土を掘り返し、そこに堆肥、ピートモスなどの土壌改良材を、掘り起こした土の20%を目安に混ぜ込みます。

砂やパーライトは粒の大きいものを混ぜ込んで、粘土の含まれる比率を小さくする事もできます。

また、この土質は土壌が酸性化している事が多いので、植栽する最低でも10日前に、石灰などで中和しておきます。

⑷湿地

ひどい低湿地なら更に、思い切った盛り土をしたり、又は池を作ってしまうことも考えてみましょう。

草花を育てるなら、背の高いあぜを作り、あぜの上で草花を育てることもできます。

極端に水分が多い土地では、有機物の分解に伴い、ガスが発生して根を傷める心配があります。

よって、湿地では有機質肥料の多用を控えた方が賢明でしょう。

⑸酸性土、やせ地

日本は雨が多いため、土壌からカルシウムなどのアルカリ分が流れやすく、酸性土壌ができやすくなっています。

また、チッ素肥料を多用してしまうと酸性化します。

pH4以下の強酸性の土壌では、カルシウムやマグネシウムが少なく、よってこれらの要素の欠乏症状がでます。

✻酸性土ではカルシウムやマグネシウム、リン酸などが欠乏する。

更に、アルミニウムが溶け出し、過剰に吸収されることで、植物の根を傷め、しかもこのアルミニウムが三大要素の一つである、リン酸を横取りしてしまいます。

✫三大要素=肥料の三要素
チッ素(N)葉肥料
リン酸(P)実肥料
カリウム(K)根肥料

酸性土ばかりが問題視されますが、土がアルカリ性になっても、チッ素の欠乏や各種の微量要素欠乏症が起きるので、注意しなければなりません。

✻アルカリ性が強すぎると、微量要素が欠乏する。

日本の植物の多くは、弱酸性(pH6)を好みます。

土壌酸度がpH6からpH7になるように、調整する必要があります。

pHを酸度から中性へと大きくするには、園芸店で市販されている苦土石灰や、消石灰を土に混ぜ、pHをアルカリ性から中性へ小さくするには、市販されている硫黄華(硫黄粉末)を混ぜます。


目安として、1平方㍍当り、強酸性土壌なら、苦土石灰をコップに8分目100〜200㌘

アルカリ性土壌なら、硫黄華をコップに3分の1杯、10cm以上の深さに混ぜ込みます。

一ヶ月前後にpHを測定してみて、不十分ならまた、同じ事を繰り返します。

土壌pHの調整を正確にする目安は、生理障害が出てからでも間に合うので、余り神経質になる必要はありません。

✿代表的な園芸用土の酸度

✻強酸性園芸用土
水ゴケ、ピートモス

✻酸性園芸用土
黒土、赤土、川砂、腐葉土
鹿沼土

✻中性園芸用土
バーミキュライト、パーライト

✻アルカリ性園芸用土
草木灰

✪酸性土壌を直すのに必要な

石灰量の目安(土の深さ10cm)

土壌pH      1平方㍍       一坪3.3m2
4.5                 280g                500g
5.0                 180g                330g
5.5                 117g                210g  
6.0                   67g                 120g
6.5                8~17g            15~30g   
7.0中性          不要                 不要

✭水道水は通常5.5~6.0の
微酸性が一般的 

✺土、土壌の関連参考ブログ
✻腐葉土を作る No,35

✻目的別、用途別土の基本ブレンド
No,69,70,71

✻土の基礎知識  No,129
✻よい土?悪い土? No,173

✻主な園芸用土、土壌改良材
No,355

✻庭土を団粒構造にかえる
No,357


2021/01/27

主な園芸用土、土壌改良材 No,355

 ✿主な園芸用土

✭黒土

火山灰土壌の表層の土で、有機物を多く含んだ黒色の土で、特に保水、保肥性に優れている。


pHの調整とリン酸質肥料の施肥によって、保水、保肥力もある。


✭赤玉土

赤土を乾燥させて粒状にしたもので、用途によって大粒、中粒、小粒を使い分けます。

特に保水、保肥性に優れている。

赤玉土7、腐葉土3の割合で配合するのが最も一般的。

✭鹿沼土

水分と容気の含有率が理想的といわれている土です。

特に排水、通気性に優れている。

火山性の砂礫(されき)が風化した黄色い土で、肥料分をほとんど含まない土。

肥料成分を蓄えてしまう土で、植物によっては用途に相応しくない品種もある。
ゼラニウムなど

✭荒木田土

水田の下層や河川敷に多い中積土で粘土質ですが、養分に富み団粒構造の土で、特に保水、保肥性に優れている。

排水性や通気性は劣る。

腐葉土やピートモスと配合して使用する。

✭川砂

盆栽や山野草の寄植えなどによく使われる土で、特に通気性に優れている。

✭桐生砂

水はけの良い土で、ランや山野草の栽培によく使われる。

特に通気性に優れている。

✭富士砂、浅間砂

火山性の砂で特に通気性に優れている。


✿主な土壌改良材

✪腐葉土
広葉樹の落葉を発酵させたもので、主として通気性を高めるために用いる。

土を団粒化させ、保肥力を高める効果もある。

❨注❩葉の種類や腐植化の進み具合で、葉の形がそのまま残っている未熟なものの使用は避ける。

✪ピートモス

湿地が泥炭(でいたん)化したもので、保水性を高める時などに使用します。

✪バーミキュライト

鉱物を加工したもので、苗床や挿し床によく使われる。
保水、保肥、通気性に優れている。

❢バーミキュライトはカリウム、アンモニウムを固定する。

✪パーライト

火山岩などの鉱物を焼成した用土で、バーミキュライトと同様に通気、保水性に優れている。

✪苦土石灰

土の酸度調整や団粒構造化に用いる。

特に通気性に優れている。

✪ゼオライト

沸石(ふっせき)を含む多孔質の石で、保水性、保肥力を高める事に優れている。

✪ヤシ殼活性炭

有害物質を抑え、必要な成分を蓄えておく働きがある。

✪バーク堆肥

厚い樹木の樹皮を砕き、発酵させたもので、腐葉土などと同じ性質を持っている。



2021/01/26

さまざまな土質に耐える樹木 No,354

 さまざまな土質に耐える樹木


樹種によって生育に適した土質の

条件は異なります。


養分が豊富でない、痩せた土地や

水はけのあまり良くない土質でも

それらの条件によく耐え、適応できる樹種を選べば、庭木として楽しむことができます。


✿やせ地に耐える樹種

クロマツ、アカマツ、ヤマモモ、エンジュ、ニセアカシア、ハギ

ネムノキ、タマイブキ


                         (ヤマモモ)

✿粘土質の土地に耐える樹種
モミ、トウヒ、クヌギ、コナラなど


✿海岸砂地によく育つ樹種
クロマツ、シャリンバイ、ハマヒサカキ、イヌマキ、キョウチクトウ
クスノキ、トベラ、ネズミモチ

                         (ネズミモチ)

✿湿地帯を好む、またはよく耐える樹種
ラクウショウ、シダレヤナギ
ハンノキ、ミズキ、カツラ、シンパク、ユーカリ、ムクゲ、タイサンボク、トチノキ、サンゴジュ、アオキ、ヤツデ

                            (ヤツデ)

✿乾燥した土地を好む、または
よく耐える樹種

アカマツ、カラマツ、ニセアカシア
カイズカイブキ、クロマツ、ウメ、アセビ、ウバメガシ、ハイビャクシン、ソテツ、ヤシ類

                   (カイズカイブキ)






2021/01/25

樹木による炭酸ガスの吸収と貯蔵 No,353

 地球温暖化緩和に役立つ樹木

近年世界的に問題になっている、地球温暖化に繋がるとされる石油や石炭などの、いわゆる化石燃料を燃やすことによって発生する。


大気中の炭酸ガス(CO2)排出量は現在も増え続けています。


樹木は太陽のエネルギーを利用し、光合成という作用によって、水や炭酸ガスから糖を合成するという、素晴らしい能力を持っています。


植物が炭酸ガスを吸収するという事は、理解できると思いますが、炭酸ガスを貯蔵することはどういうことなのでしょうか。


それは、樹木によって吸収された、炭酸ガスは糖に変えられ、更に木材を構成する成分である「セルロース」などに作り変えられて、最終的に木材という形で貯蔵されると言う事である。


樹木が草花と大きく異る点は、木材を生産することにあります。


樹木の寿命は長い事、木材として長期に渡り使用される事、これが炭酸ガスの貯蔵という意味において重要なのです。


草花も樹木同様に一時的には、炭酸ガスを吸収し、貯蔵しますが枯れると微生物にすぐに分解されます。


最終的には水や炭酸ガスになって、再び大気中に放出されてしまいます。


しかし樹木は、成長している間はもちろんですが、木材になってからも腐朽、或いは焼却されない限り、炭酸ガスの貯蔵庫としての機能を、持ち続けます。


紙の主原料も木材から取ったセルロースですから、紙も重要な炭酸ガスの貯蔵庫なのです。


関連参考ブログNo,9

植物の大気吸収のメカニズム






2021/01/24

大気汚染物質に抵抗力のある樹木 No,352

大気汚染に対する抵抗力の高い樹木


大気汚染に対する抵抗力が強い植物は、汚染物質を余り吸収しない事が要因と考えられ一般に、落葉樹より常緑樹の方が抵抗力は強い傾向があります。


❆常緑樹では

クロマツ、カヤ、クスノキ、ウバメガシ、モッコク、タイサンボク、キョウチクトウ、アオキ、ピラカンサスなど、多くの樹種が強い抵抗力を持ちます。



(カヤノキ )


❆反対に、抵抗力が弱いのは、シラカシ、モクセイ、アカマツなど、一部の樹種に限られます。


✺落葉樹では、プラタナス、ニセアカシア、エンジュ、イチョウ、レンギョウなどは抵抗力が強い。


✺弱いのはケヤキ、ヤマモミジなどです。

✺タケ、ササ類も抵抗力は余り強くありません。


✺植栽を選ぶ時に注意すること

⑴庭園樹

一般の住宅地では、大気汚染の濃度は樹木の生育が阻害される程、高くないと考えられます。

その事から、植栽を選ぶ時は余り

大気汚染に対する抵抗力に

こだわる必要はないと考えて

良いでしょう。

庭の広さに応じて、落葉樹、常緑樹をバランス良く組み合わせて、植栽すると良いでしょう。


例えば、サクラ類は単に花が美しいだけでなく、優れた大気浄化能力を持っています。

広いスペースがあれば、庭木として活用したい樹種です。

尚、サクラ類には大木にならない中低木種もある。


        (大気浄化能力もある桜樹)


⑵街路樹、工場緑化樹など

工場が建ち並ぶ周辺や交通量の多い幹線道路沿いなどでは、汚染物質な濃度が高い事が考えられます。


植栽も大気汚染に対する抵抗力を考えて、選ぶ必要があります。

大気汚染の強い地域では、工場の煙突や自動車の排気ガスに含まれる、煤煙などの浮遊する粉塵が葉面に付着するなどし、光合成を妨げ、葉裏の気孔を塞いだりして、葉の呼吸を妨げたりするため、樹木の生育条件は悪化し続けます。


街路樹や中央分離帯の植栽や工場緑化樹は、大気汚染に強い樹種を中心に選ぶ必要があります。


✪樹木に大気汚染に対する抵抗力

✭落葉樹(抵抗力大)
アキニレ 、イチョウ、エンジュ
オオシマザクラ、ガクアジサイ
カシワ、ニシキギ、ニセアカシア
ニワウルシ、ネムノキ、プラタナス
ポプラ、レンギョウ

✪落葉樹(抵抗力小)

ケヤキ、ヤマモミジ

❆常緑樹(抵抗力大)

アオキ、イヌツゲ、ウバメガシ
キョウチクトウ、クスノキ
クチナシ、クロガネモチ
ゲッケイジュ、サンゴジュ
シャリンバイ、シロモダ
タイサンボク、タブノキ
チャイニーズホーリー、トベラ
ネズミモチ、ヒイラギモクセイ
ピラカンサス、マサキ、モッコク
ヤツデ、ヤマモモ

❆常緑樹(抵抗力小)

アカマツ、シイノキ、シラカシ
ダイスキ、モクセイ

❆関連参考ブログNo,9

植物の大気吸収のメカニズム