✺土質の対策改善、土壌改良
⑴がれき、石が多い土
深さ30〜50cm程の土を掘り起こし、がれきや石を取り除きます。
土が痩せている養分が少ない時は、園芸用土を入れて、よく混ぜてから植え込みを行います。
新興住宅地などは、養分を含んだ表土が造成される時に削られ、痩せた土が表面に出ている事があります。
このような土や火山灰土壌に植物を植える時は、深く掘りおこして、堆肥、腐葉土、ピートモスを土の量の10〜20%を目安に混ぜ込みます。
更に、1平方㍍当り50〜300㌘程度の暖効性肥料、例えば骨粉50㌘と鶏ふん300㌘を入れます。
こうすることで、1ヶ月後には植物を植え付ける事ができます。
❆砂質土(砂が多い土)
水はけが良すぎて、水分が不足しているので、粘土質の土を客土して保水性を高めます。
◉客土による土質改良
土壌の持つ本質的な欠陥が、生育を阻害している場合、他の場所から改良目的に合った土壌を移動して、土壌改良を行う。
客土の割合は、水はけの様子を見ながら調整します。
また、この土質は痩せていることが多いので、堆肥などをよく混ぜて肥料分の不足を補うようにします。
砂の多い土壌は、粘土分の多い土を入れたり客土や堆肥、ピートモス、腐葉土などの有機物を混ぜる方法があります。
これによって保水力、保肥力がかなり改善されます。
客土や有機物を入れる時期は、秋が最適で、それができなければ翌春に行います。
乾燥しやすい夏は、土の中に有機物を入れるとかえって、乾燥させてしまう事があるので気をつけます。
乾季には植物の根元に、被覆材として有機物を置くと、地表からの水分蒸発を抑えてくれます。
秋になってから、そのまま有機物を土にすき込むようにすれば、より効果的です。
⑶粘土(粘土分が多い土)
砂土とは反対に、排水性が悪いので砂土を客土して、排水性を高めます。
水溜りができないように、植樹空間の中央から、周囲に向かって下り勾配をつけます。
場合によっては、排水路を設けることも必要です。
より本格的な対策は、土管、ビニールパイプなどを埋めて、排水(暗渠“あんきょ”排水)を行うことです。
その場合、水が流れるようにわずかな傾斜をつける事が必要です。
全体の排水を良くする事が無理な場合は、樹木を植える所だけ高く、土を盛り上げても効果的です。
盛り土には砂質の園芸用土を使います。
また、粘土分が多い土壌なら水はけを良くするために、土壌の団粒化をはかるという考え方もあります。
その場合は、少なくとも50cmの深さまで土を掘り返し、そこに堆肥、ピートモスなどの土壌改良材を、掘り起こした土の20%を目安に混ぜ込みます。
砂やパーライトは粒の大きいものを混ぜ込んで、粘土の含まれる比率を小さくする事もできます。
また、この土質は土壌が酸性化している事が多いので、植栽する最低でも10日前に、石灰などで中和しておきます。
⑷湿地
ひどい低湿地なら更に、思い切った盛り土をしたり、又は池を作ってしまうことも考えてみましょう。
草花を育てるなら、背の高いあぜを作り、あぜの上で草花を育てることもできます。
極端に水分が多い土地では、有機物の分解に伴い、ガスが発生して根を傷める心配があります。
よって、湿地では有機質肥料の多用を控えた方が賢明でしょう。
⑸酸性土、やせ地
日本は雨が多いため、土壌からカルシウムなどのアルカリ分が流れやすく、酸性土壌ができやすくなっています。
また、チッ素肥料を多用してしまうと酸性化します。
pH4以下の強酸性の土壌では、カルシウムやマグネシウムが少なく、よってこれらの要素の欠乏症状がでます。
✻酸性土ではカルシウムやマグネシウム、リン酸などが欠乏する。
更に、アルミニウムが溶け出し、過剰に吸収されることで、植物の根を傷め、しかもこのアルミニウムが三大要素の一つである、リン酸を横取りしてしまいます。
✫三大要素=肥料の三要素
チッ素(N)葉肥料
リン酸(P)実肥料
カリウム(K)根肥料
酸性土ばかりが問題視されますが、土がアルカリ性になっても、チッ素の欠乏や各種の微量要素欠乏症が起きるので、注意しなければなりません。
✻アルカリ性が強すぎると、微量要素が欠乏する。
日本の植物の多くは、弱酸性(pH6)を好みます。
土壌酸度がpH6からpH7になるように、調整する必要があります。
pHを酸度から中性へと大きくするには、園芸店で市販されている苦土石灰や、消石灰を土に混ぜ、pHをアルカリ性から中性へ小さくするには、市販されている硫黄華(硫黄粉末)を混ぜます。
目安として、1平方㍍当り、強酸性土壌なら、苦土石灰をコップに8分目100〜200㌘
アルカリ性土壌なら、硫黄華をコップに3分の1杯、10cm以上の深さに混ぜ込みます。
一ヶ月前後にpHを測定してみて、不十分ならまた、同じ事を繰り返します。
土壌pHの調整を正確にする目安は、生理障害が出てからでも間に合うので、余り神経質になる必要はありません。
✿代表的な園芸用土の酸度
✻強酸性園芸用土
水ゴケ、ピートモス
✻酸性園芸用土
黒土、赤土、川砂、腐葉土
鹿沼土
✻中性園芸用土
バーミキュライト、パーライト
✻アルカリ性園芸用土
草木灰
✪酸性土壌を直すのに必要な
石灰量の目安(土の深さ10cm)
土壌pH 1平方㍍ 一坪3.3m2
4.5 280g 500g
5.0 180g 330g
5.5 117g 210g
6.0 67g 120g
6.5 8~17g 15~30g
7.0中性 不要 不要
✭水道水は通常5.5~6.0の
微酸性が一般的
✺土、土壌の関連参考ブログ
✻腐葉土を作る No,35
✻目的別、用途別土の基本ブレンド
No,69,70,71
✻土の基礎知識 No,129
✻よい土?悪い土? No,173
✻主な園芸用土、土壌改良材
No,355
✻庭土を団粒構造にかえる
No,357
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